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第8話 スパイ活動
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チャマンカ人が来るまでかつかつの生活だった蒼介だが『新天地』で毎月手取り30万の月給プラス年2回の賞与を貰えるようになり、それまで住んでたボロアパートを出て、都内に新たに建設された国営マンションに引っ越した。
不動産屋にはダメージだろうが3LDKのマンションが、今や都内で家賃5万で住めるのだ。
大総督府は格安の国営住宅を全国いや世界中に建設し、低所得者でも住めるようにしたのである。
しかも医療は無料になった。
衆参両院は今も存在したが定数削減で両院とも半数ずつになり、高額だった給与も減らされた。
ニート時代に車を手放した蒼介だが、余裕ができたので国産の新車を買った。
彼だけではない、経済的に余裕のできた多くの国民いや、世界中の人が新車を買ったので、車の生産台数と売上台数は、は飛躍的に上昇したのだ。
今や『若者の車離れ』は、過去の物となっていた。
新しい法と異星の技術が導入され、全ての車は電気自動車になり、免許を持った人物の指紋を車についた認証装置で認識しないと、運転できなくなったのだ。つまり無免許運転は不可能になった。
全ての車に衝突防止センサーが導入され、歩行者や他の車やスケボーにぶつかる前に、停止するようにもなったのだ。
地球上の二酸化炭素を削減するため世界中に成長の速い異星の樹木が植えられた。
そもそも増えすぎた二酸化炭素はマイクロ・ワープで大気圏外に転送され、捨てられたのだ。
ゆえに地球温暖化も解消された。
蒼介の新居の近くに、以前はどぶみたいな川があったが、宇宙人達が水質浄化用のナノマシンをばらまいたのでありえない程透き通った川になった。
大気の浄化もナノマシンによって行われ、世界中の大気汚染も改善された。
そんな頃の話である。突然、玄関の呼び鈴が鳴った。
インターフォンの画像を見ると驚く事に、穂刈の画像が映ってる。蒼介は玄関まで行き、ドアを開いた。
「よくここがわかりましたね!」
「まあな。実はさあ『新天地』での仕事を辞めて、転職するんだ。もちろん上司にも話した」
「そうなんですね。今度は地球で働くんですか」
「そんなところだ。何で、しばらく一色君とも会えそうにない」
「東京にいるなら、また会えるでしょう。遠方でも、マイクロ・ワープで簡単に会えるじゃないですか」
「仕事の性質上、そうもいかんのよ」
穂刈の言葉は歯切れが悪い。蒼介は違和感を覚えたが、突っ込まない事にする。
「そうなんですか。どんな仕事かわからないけど、お元気で。穂刈さんがいなくなったら寂しくなるなあ。明日の月曜は来るんですよね」
「それが急な話なんで、明日はもう『新天地』には行けないのよ。もう職場には、顔を出さない。上司も知ってるし、ロッカーの荷物も全部回収してきた」
「そうでしたか……。新しい職場でもがんばってください」
「お前もな」
最後に握手して、別れた。何だか様子がおかしいと、蒼介は、感じていた。
あまりに急な話だし、穂刈の顔は笑おうと努力していたが、目は笑っていなかったから。
穂刈はチャマンカ総督府を批判するビラを、東京都内の街頭で配り始めた。
これはソワール大佐の入れ知恵だ。チャマンカ人は言論の自由を保障していたので、ポリスロボットに連行されはしない。
皮肉だが、チャマンカ人の政策で豊かな生活を享受するようになった数名の日本人から『チャマンカ人を批判するとは何事だ』と抗議される時が何度かあった。
「ちょっと失礼」
連日ビラ配りを続けていた穂刈だが、そんなある日見知らぬ男が声をかけてきた。
「何でしょう?」
「以前あんたの配っていたビラを読ませてもらったけど、おれも同じ考えでね。時間あるかな。よければ近くのカフェで話そうや」
「チャマンカのスパイじゃないだろうな?」
「とんでもない」
男は、顔に苦笑を浮かべる。
「どんな話かわからないけど、そろそろ撤退しようとしてたんだ。つきあうよ」
見知らぬ男は、すぐそばにあるチェーン店のカフェを素通りして、少し離れた場所にある個人経営らしいカフェに、穂刈を連れてきた。
「マスター、いつもの席、空いてる?」
「空いてるよ」
「タバコ吸うかい」
穂刈を連れてきた男が、聞いてくる。
「ああ、吸うけど」
「ちょうどよかった。おれも吸うから」
2人は奥の、個室に向かい合わせで座った。
「ここなら、安心して話せる」
話すが早いか、男はタバコとライターを取りだして火をつけて吸いだした。穂刈も、自分のシガレットに火をつける。
「チャマンカ人が来て色々変わったが、喫煙に対する風当たりは変わらなかったね。残念ながら。あいつらタバコは吸わないんだってな」
「みたいだね」
穂刈は、答える。
「実は、ここのマスターも我々の同志でね。盗聴器もしかけられてないし、近くにドローンが来ても、このボックス席内の話を聞く事はできない。そういう装置が取りつけられてある。もちろん装置は地球製の物じゃない。チャマンカと対立してるショードファ人が作った物だ。ガシャンテを拉致した宇宙人だ」
男は得意そうに話し始めた。
「正直どこまで信じていいか、わからんな」
穂刈は、述べた。
「あんたの話が事実としても、そんな簡単に初対面のおれを信じていいのかね」
「あんた元自衛官だろう。一度はチャマンカ星のラグランジュ・ポイントに浮かぶコロニーで働いていたものの、やつらのやり方に嫌気がさして、日本に戻ったって話じゃねえか。そこまで調べはついてるのよ。何でも大勢の同僚が見てる前で、上司のチャマンカ人をなぐったそうじゃないか」
「そんな話も伝わってるのか。すげえな」
ソワールをなぐったのは、事実である。ソワールと打ち合わせての芝居であった。
「電波ジャックされたから知ってるだろうが、君がコロニーで一緒に働いていた雫石結菜も我々『アース・パルチザン』の仲間だ。どうだろう。我々は、君のような愛国者が仲間になるのを、心から望んでるんだ。自衛隊出身の君ならレジスタンスの闘志として、人一倍活躍できるだろう」
穂刈は返答しなかった。しばらく沈黙が続き、ウェイターが持ってきたコーヒーを、口に入れた。
「まあ、突然言われても君も困るだろう」
男が、再び口を開く。
「今日のところは返事は保留でオッケーだ。気が向いたら、ここに寄ってくれ。マスターが窓口になってるから。ちなみにおれの名字は阿多(あた)だ」
阿多は、漢字でどう書くか説明した。本名なのか偽名なのかもわからない。
が、偽名ならもっとポピュラーな名字を使いそうなものだから本名なのか。
「おれの頭の中にはチャマンカ人が位置発信機を、埋めこんだんだけど」
「それも、簡単に消去できる。もちろん痛くない方法でね」
その後穂刈は自分の住むアパートに戻った。アパートにあるヴィジフォンで、ソワール大佐と連絡をとる。
大佐の言葉を信じるなら、ヴィジフォンの内容は、敵方に盗聴されてないはずだ。
やがてクマのぬいぐるみみたいなソワールの顔が投影台の上にホログラムで映しだされた。
「首尾は、どうかね?」
「早速敵方に勧誘されたが、返事は保留にした。あまり簡単に飛びつくと、怪しまれると考えてね」
「正しい判断だな。君に今度の件を任せてよかったよ」
ソワールは、満足そうな笑みを浮かべる。
「おれを勧誘してきた阿多という男は、気が向いたら今日会ったカフェに来るよう誘ってきた。個人経営の店で、マスターも仲間だそうだ」
穂刈はカフェの店名と住所を伝えた。
「次の行動はわかってるだろうが、再びそのカフェへ行ってくれ」
「まだ、手付金が入金されてないんだけどね」
「すまなかった。今日中に君の口座に振りこむよ。入金額を確認してから、次の行動に移ってくれ。今日振り込むから残高に反映されるのは、明日かもしれんが。チャマンカのシステムならすぐ送れるが、地球の原始的なシステムでは、そういかんのでな」
ヴィジフォンを切った後穂刈は何度も自分のスマホのアプリで預金残高を確認したがなかなか増えず、ようやく翌日約束の金額が残高に反映された。
その後彼は元妻にスマホでショートメールを送った。
内容は、彼女の口座にまとまった金額を振りこんだというものだ。
ショートメールを送った後銀行に行き、お金を元妻の口座へと入金した。
その翌日ショートメールの返信が返ってきたが、その文面は『受け取りました』のみである。
わかってはいたが、すでにもう愛情のかけらも残ってないのだろう。ラブラブの恋人同士だった頃が懐かしい。
3日後穂刈は、阿多に誘われて連れていかれたカフェを再訪した。
レジにいたウエイトレスにマスターに会いたいと話すと、バックルームの事務室に連れていかれる。
そこでマスターと2人きりになったので、阿多に会いたいむねを話す。
マスターは阿多と連絡を取り、穂刈に直接連絡を取る話になった。
その際穂刈はマスターから、連絡用の携帯装置を渡された。形状は円盤型で、掌にすっぽり収まるサイズである。
「こいつはショードファ人の作った連絡装置だ。これを使えば、盗聴される心配はない」
マスターは、装置の使い方を説明した。帰宅後阿多から連絡装置にメールが来た。
翌日同じカフェで、再び会う事で話がつく。あくる日指定された時刻に、穂刈はカフェを訪れる。
奥にあるボックス席に行くと、すでに阿多の姿があった。
「君ならわかってくれると思った。組織としても、大歓迎だ」
阿多は、満面の笑みを浮かべている。
「早速だが、おれは何をやればいいの?
ビラ配りかい?」
「君にはアース・パルチザンの戦士として、他の者達と一緒に訓練を受けてほしいと考えてる。いや、君はむしろ指揮に回った方がいいのかもしれないが」
「革命でも、起こすつもりかい」
「ゆくゆくはね」
「そういえばあんたらに拉致された、ガシャンテ将軍はどうなってるの?」
「何で、そんな質問をする?」
阿多の目に、警戒心が影を落とした。
「別に。単なる好奇心だよ」
穂刈は、そう笑い飛ばす。
「誘拐された時は大々的に報道されてたじゃないか。それが最近は続報がないからね。まだ地球にいるのか? それとも他の惑星に連行されたか? それともとっくに死んじまったか? 気になるじゃないか」
「死んではいない。重要な人質だからな。が、場所は言えない。そもそもおれも知らないんだ」
不動産屋にはダメージだろうが3LDKのマンションが、今や都内で家賃5万で住めるのだ。
大総督府は格安の国営住宅を全国いや世界中に建設し、低所得者でも住めるようにしたのである。
しかも医療は無料になった。
衆参両院は今も存在したが定数削減で両院とも半数ずつになり、高額だった給与も減らされた。
ニート時代に車を手放した蒼介だが、余裕ができたので国産の新車を買った。
彼だけではない、経済的に余裕のできた多くの国民いや、世界中の人が新車を買ったので、車の生産台数と売上台数は、は飛躍的に上昇したのだ。
今や『若者の車離れ』は、過去の物となっていた。
新しい法と異星の技術が導入され、全ての車は電気自動車になり、免許を持った人物の指紋を車についた認証装置で認識しないと、運転できなくなったのだ。つまり無免許運転は不可能になった。
全ての車に衝突防止センサーが導入され、歩行者や他の車やスケボーにぶつかる前に、停止するようにもなったのだ。
地球上の二酸化炭素を削減するため世界中に成長の速い異星の樹木が植えられた。
そもそも増えすぎた二酸化炭素はマイクロ・ワープで大気圏外に転送され、捨てられたのだ。
ゆえに地球温暖化も解消された。
蒼介の新居の近くに、以前はどぶみたいな川があったが、宇宙人達が水質浄化用のナノマシンをばらまいたのでありえない程透き通った川になった。
大気の浄化もナノマシンによって行われ、世界中の大気汚染も改善された。
そんな頃の話である。突然、玄関の呼び鈴が鳴った。
インターフォンの画像を見ると驚く事に、穂刈の画像が映ってる。蒼介は玄関まで行き、ドアを開いた。
「よくここがわかりましたね!」
「まあな。実はさあ『新天地』での仕事を辞めて、転職するんだ。もちろん上司にも話した」
「そうなんですね。今度は地球で働くんですか」
「そんなところだ。何で、しばらく一色君とも会えそうにない」
「東京にいるなら、また会えるでしょう。遠方でも、マイクロ・ワープで簡単に会えるじゃないですか」
「仕事の性質上、そうもいかんのよ」
穂刈の言葉は歯切れが悪い。蒼介は違和感を覚えたが、突っ込まない事にする。
「そうなんですか。どんな仕事かわからないけど、お元気で。穂刈さんがいなくなったら寂しくなるなあ。明日の月曜は来るんですよね」
「それが急な話なんで、明日はもう『新天地』には行けないのよ。もう職場には、顔を出さない。上司も知ってるし、ロッカーの荷物も全部回収してきた」
「そうでしたか……。新しい職場でもがんばってください」
「お前もな」
最後に握手して、別れた。何だか様子がおかしいと、蒼介は、感じていた。
あまりに急な話だし、穂刈の顔は笑おうと努力していたが、目は笑っていなかったから。
穂刈はチャマンカ総督府を批判するビラを、東京都内の街頭で配り始めた。
これはソワール大佐の入れ知恵だ。チャマンカ人は言論の自由を保障していたので、ポリスロボットに連行されはしない。
皮肉だが、チャマンカ人の政策で豊かな生活を享受するようになった数名の日本人から『チャマンカ人を批判するとは何事だ』と抗議される時が何度かあった。
「ちょっと失礼」
連日ビラ配りを続けていた穂刈だが、そんなある日見知らぬ男が声をかけてきた。
「何でしょう?」
「以前あんたの配っていたビラを読ませてもらったけど、おれも同じ考えでね。時間あるかな。よければ近くのカフェで話そうや」
「チャマンカのスパイじゃないだろうな?」
「とんでもない」
男は、顔に苦笑を浮かべる。
「どんな話かわからないけど、そろそろ撤退しようとしてたんだ。つきあうよ」
見知らぬ男は、すぐそばにあるチェーン店のカフェを素通りして、少し離れた場所にある個人経営らしいカフェに、穂刈を連れてきた。
「マスター、いつもの席、空いてる?」
「空いてるよ」
「タバコ吸うかい」
穂刈を連れてきた男が、聞いてくる。
「ああ、吸うけど」
「ちょうどよかった。おれも吸うから」
2人は奥の、個室に向かい合わせで座った。
「ここなら、安心して話せる」
話すが早いか、男はタバコとライターを取りだして火をつけて吸いだした。穂刈も、自分のシガレットに火をつける。
「チャマンカ人が来て色々変わったが、喫煙に対する風当たりは変わらなかったね。残念ながら。あいつらタバコは吸わないんだってな」
「みたいだね」
穂刈は、答える。
「実は、ここのマスターも我々の同志でね。盗聴器もしかけられてないし、近くにドローンが来ても、このボックス席内の話を聞く事はできない。そういう装置が取りつけられてある。もちろん装置は地球製の物じゃない。チャマンカと対立してるショードファ人が作った物だ。ガシャンテを拉致した宇宙人だ」
男は得意そうに話し始めた。
「正直どこまで信じていいか、わからんな」
穂刈は、述べた。
「あんたの話が事実としても、そんな簡単に初対面のおれを信じていいのかね」
「あんた元自衛官だろう。一度はチャマンカ星のラグランジュ・ポイントに浮かぶコロニーで働いていたものの、やつらのやり方に嫌気がさして、日本に戻ったって話じゃねえか。そこまで調べはついてるのよ。何でも大勢の同僚が見てる前で、上司のチャマンカ人をなぐったそうじゃないか」
「そんな話も伝わってるのか。すげえな」
ソワールをなぐったのは、事実である。ソワールと打ち合わせての芝居であった。
「電波ジャックされたから知ってるだろうが、君がコロニーで一緒に働いていた雫石結菜も我々『アース・パルチザン』の仲間だ。どうだろう。我々は、君のような愛国者が仲間になるのを、心から望んでるんだ。自衛隊出身の君ならレジスタンスの闘志として、人一倍活躍できるだろう」
穂刈は返答しなかった。しばらく沈黙が続き、ウェイターが持ってきたコーヒーを、口に入れた。
「まあ、突然言われても君も困るだろう」
男が、再び口を開く。
「今日のところは返事は保留でオッケーだ。気が向いたら、ここに寄ってくれ。マスターが窓口になってるから。ちなみにおれの名字は阿多(あた)だ」
阿多は、漢字でどう書くか説明した。本名なのか偽名なのかもわからない。
が、偽名ならもっとポピュラーな名字を使いそうなものだから本名なのか。
「おれの頭の中にはチャマンカ人が位置発信機を、埋めこんだんだけど」
「それも、簡単に消去できる。もちろん痛くない方法でね」
その後穂刈は自分の住むアパートに戻った。アパートにあるヴィジフォンで、ソワール大佐と連絡をとる。
大佐の言葉を信じるなら、ヴィジフォンの内容は、敵方に盗聴されてないはずだ。
やがてクマのぬいぐるみみたいなソワールの顔が投影台の上にホログラムで映しだされた。
「首尾は、どうかね?」
「早速敵方に勧誘されたが、返事は保留にした。あまり簡単に飛びつくと、怪しまれると考えてね」
「正しい判断だな。君に今度の件を任せてよかったよ」
ソワールは、満足そうな笑みを浮かべる。
「おれを勧誘してきた阿多という男は、気が向いたら今日会ったカフェに来るよう誘ってきた。個人経営の店で、マスターも仲間だそうだ」
穂刈はカフェの店名と住所を伝えた。
「次の行動はわかってるだろうが、再びそのカフェへ行ってくれ」
「まだ、手付金が入金されてないんだけどね」
「すまなかった。今日中に君の口座に振りこむよ。入金額を確認してから、次の行動に移ってくれ。今日振り込むから残高に反映されるのは、明日かもしれんが。チャマンカのシステムならすぐ送れるが、地球の原始的なシステムでは、そういかんのでな」
ヴィジフォンを切った後穂刈は何度も自分のスマホのアプリで預金残高を確認したがなかなか増えず、ようやく翌日約束の金額が残高に反映された。
その後彼は元妻にスマホでショートメールを送った。
内容は、彼女の口座にまとまった金額を振りこんだというものだ。
ショートメールを送った後銀行に行き、お金を元妻の口座へと入金した。
その翌日ショートメールの返信が返ってきたが、その文面は『受け取りました』のみである。
わかってはいたが、すでにもう愛情のかけらも残ってないのだろう。ラブラブの恋人同士だった頃が懐かしい。
3日後穂刈は、阿多に誘われて連れていかれたカフェを再訪した。
レジにいたウエイトレスにマスターに会いたいと話すと、バックルームの事務室に連れていかれる。
そこでマスターと2人きりになったので、阿多に会いたいむねを話す。
マスターは阿多と連絡を取り、穂刈に直接連絡を取る話になった。
その際穂刈はマスターから、連絡用の携帯装置を渡された。形状は円盤型で、掌にすっぽり収まるサイズである。
「こいつはショードファ人の作った連絡装置だ。これを使えば、盗聴される心配はない」
マスターは、装置の使い方を説明した。帰宅後阿多から連絡装置にメールが来た。
翌日同じカフェで、再び会う事で話がつく。あくる日指定された時刻に、穂刈はカフェを訪れる。
奥にあるボックス席に行くと、すでに阿多の姿があった。
「君ならわかってくれると思った。組織としても、大歓迎だ」
阿多は、満面の笑みを浮かべている。
「早速だが、おれは何をやればいいの?
ビラ配りかい?」
「君にはアース・パルチザンの戦士として、他の者達と一緒に訓練を受けてほしいと考えてる。いや、君はむしろ指揮に回った方がいいのかもしれないが」
「革命でも、起こすつもりかい」
「ゆくゆくはね」
「そういえばあんたらに拉致された、ガシャンテ将軍はどうなってるの?」
「何で、そんな質問をする?」
阿多の目に、警戒心が影を落とした。
「別に。単なる好奇心だよ」
穂刈は、そう笑い飛ばす。
「誘拐された時は大々的に報道されてたじゃないか。それが最近は続報がないからね。まだ地球にいるのか? それとも他の惑星に連行されたか? それともとっくに死んじまったか? 気になるじゃないか」
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