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7話
しおりを挟む夏休みが明け、10月の文化祭に向けて学校全体が動き始めた頃には、Violetの新曲も仕上がりがみえてきた。
その日の午後は文化祭実行委員に企画を提出したり、クラスの出し物を決める時間となっていた。
晶のクラスはタピオカ屋をやることになり、販売係のシフトやクラスTシャツのデザインなどの話題で盛り上がっていた。
「ねぇねぇ、町田くんてViolet入ったんでしょー?当日演奏するの?」
「するよ」
町田の顔をした晶に話しかけてきたのは割と初期の頃からVioletを気に入ってくれている女子生徒だった為、晶は"町田っぽさ"を意識して少し引きつった笑いを浮かべた。
「えっと…ヴォーカルは朝陽くんが…って噂で聞いたんだけど…ほんと?」
「ほんと。晶ほどしゃないけど、朝陽も上手いから応援してあげて」
「う、うん!分かった!今年もVioletのオリジナルTシャツ販売あるなら私、絶対買うから!」
「まじ?ありがとう、暖に確認してみるわー」
女子との会話が終わり、晶が再び手元の紙に視線を戻すと、「お、おい…町田」と震える男子生徒の声がした。
「ん?」
顔を上げると、そこには元いじめっ子の生徒がおり、引きつった表情で「軽音部が呼んでる…」と廊下を指さした。
「ああ、ありがとう」
晶は廊下に確かに見慣れた3人の姿があるのを確認すると、わざと雑に立ち上がり、左耳に付けたピアスを弄りながら、ついでにギリギリのところで男子生徒にわざとぶつかりながら歩き出した。
「今からステージ発表の順番決めるらしいんだけど、誰が行く?」
「暖で良いんじゃね?一番イカついし。勿論大トリもぎ取ってこいよ♡」
教室の入口付近で派手な4人組が固まっているだけで目立つというのに、よりによって新人の町田が一番イカつい暖に馴れ馴れしくするものだから、周囲の生徒達は内心ハラハラとしていた。
が、そんな外野の心配も他所に、暖は素直に「じゃあ行ってくる」と1人で生徒会室へと向かって行った。
「てか、お前クラスメイトに相当怖がられてるっぽいな…大丈夫なのか?」
元いじめっ子の反応を見た朝陽が晶に耳打ちする。
「大丈夫ってなにが?別にもう誰も何もしてこねーけど?」
「いや…それは良いんだけどさ…町田に戻った時、大丈夫なのかってことだよ」
「は?大丈夫って?」
「報復とかさ」
「それはお前らが庇えよ、仲間なんだから。コイツが居なくなったらVioletの曲は生まれないんだからな。ちゃんと守れよ」
相変わらず押し付けがましい物言いの晶に、朝陽がため息を付く一方で、樹は「守る」と素直に頷いた。
「え、マジかよ…どうした樹?」
「朝陽も町田を認めて。Violetと晶の為に」
「認めるもなにも、晶が言い出したら曲げらんねーのは知ってるから拒絶なんてしねーよ。俺だって本気でVioletしてるんだ」
「本気で…Violetしてる…?朝陽、その日本語はちょっとおかしい」
真剣にバンドの話をしていると思いきや、朝陽の言葉遣いに樹が疑問を呈した辺で3人はとうとう笑いを堪えきれなくなり、同時に吹き出した。
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