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夏の暑さ
しおりを挟む「離れるのはイヤ!! 私も行く!!」
「一回家に戻るだけだから、ね?」
日曜日になり、夏ちゃん周辺の事情を知りたいのでこの身体で初めて目を覚ましたあの家に帰ろうとしたのだが……
「一人にしないで……」
今まで寂しかった分、絶賛爆発中なのだろう。勿論それは嬉しいし、出来る限りのことはしてあげたいけれど……
「ハナ……私も一緒がいいけど、学校が始まったらクラス違うし……」
「休み時間は全部ナツといる。一緒に登下校する」
ハナには笑顔でいてほしい。一過性のものなのかもしれないけれど……それでもこの先ハナが笑ってくれるなら今は保護者代わりでも……
【それじゃあ違うだろう!? JC同士の甘酸っぱい感じが良いんじゃないの? えっ!?】
何、急に……必死だね。
【醸し出してこうぜ!! こう、ほらっ、アレだよ!!】
語彙が乏しいな。
【とにかく一緒にいるべきだ。同じ目線で、OK?】
っていうか何様だよ?
【神様だけど?】
ええ、そうですか。
「…………じゃあハナも一緒にくる?」
「うん♪ 支度するね」
…………まぁ、一緒にいたいのは俺も同じだけど。
◇ ◇ ◇ ◇
「わぁ……ここがナツのお家?」
ハナの家から徒歩十五分。数寄屋造りの素朴な平屋を、キラキラとした目でハナは見ている。
中学生が一人で住むには渋い気がする。
「うん、実感は無いけどね」
「へー、ここが……へー……」
嬉しそうに家の周りを一頻り散策し、鼻歌を歌いながら三つ編みを揺らしている。可愛いな……
【お主もこちら側に来たようだな】
一緒にしないでくれる?
「とりあえず中に入ろっか」
生活感の無い質素な室内。
本当に……生きていく為の最低限の物しか置いていない。やっぱり可怪しい。毎日夏ちゃんを見ていたけど、そんな感じは一切しなかった。
何か手掛かりになりそうな物はないかな……
静かだなと思いハナを見ると、目を閉じてニコニコと微笑んでいた。
「ハナ、どうしたの?」
「今ね、ナツを感じてるの。だってナツの匂いがいっぱいなんだもん」
なんでこの子はこんなにも……
「ナツの部屋はどこ?」
「多分こっちだよ」
「……ナツのベッドだ!!」
六畳部屋の扉を開けると、ハナは子猫の様な瞳でこちらを見てきた。なんとなくハナの気持ちが伝わってきて……思わず笑ってしまった。
「うん、いいよ」
「へへっ♪ おじゃましまーす!!」
ハナは嬉しそうにベッドにダイブした。
シーツを握りしめて名前を呟く姿を見て、俺の中で何かが生まれそうだった。夏ちゃんの名前だけど…………でも今は……俺でいいんだよね?
【お主もまたJC、なんの罪もない。欲望の赴くままになだれ込むのだ!!】
いや、そこは自重しようよ。
【バランス保たないとまた死にかけるよ?】
…………控えめにハナの横へと倒れ込んだ。
ハナと目が合うとお互いに微笑み合う。なんとなく……ハナの目線が唇に向かった気がした。
甘い空気は……流石に気づかずにはいられなかった。
どちらからともなく、三回目のキスをした。
ハナは顔を隠すようにうつ伏せになり、足をパタつかせる。白い肌は赤くなった耳を強調させている。
……ただひたすらに、可愛い。
気を紛らわすように部屋を見回すが、これといったものはない。本当に必要あるものしか……
唯一の手がかりは、スマホに残された市外局番から始まる履歴。月に一回程度かかってきている。
夏ちゃんはSNSもやっていないようだし、写真も残されていない。
電話……かけてみるか?
「ナツ……」
「ん?」
ハナが心配そうな顔でこちらを覗いてきた。
……そうだよな。ハナの前なのに思い詰め過ぎていた。
明日、先ずは担任にそれとなく聞いてみよう。だから今は……
「……日曜日だし、映画でもハナの家で見よっか」
「うん!! ナツ大好き♪」
そういってハナに抱きつかれ、そのままベッドへと倒れ込んだ。
勢いのまま鼻先が触れ合う。顔が熱くなっていく理由は、照れとそれから……真夏日だから。
だから一緒に……半分こ。
「暑いね……アイスでも買ってく?」
「うん、パ○コね♪ ナツと一緒だと美味しいの」
溶けていくアイスと心に、夏の暑さを感じた。
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