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生まれ変わったって人生は変わらないと思っていた。
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かつての俺はサービス業に従事するしがない日本人男性だった。
かつて――というのは、すでにそのときの俺は死亡しているからである。
死因についてはよく覚えていない。
仕事帰りにコンビニで酒を買って、それを呑みながらウトウトと家路についていたことだけは薄ぼんやりと覚えている。
死後、俺は生前の記憶を受け継いだ状態でこの世界に転生することになった。
そして、どうやらそのときに特別な『加護』というものをもらったらしい。
【絶倫】というなんだか笑えてしまうそのスキルは、それでも俺の第二の人生をそれなりに充実させてくれた。
実際、俺は新たな生において他とは比較にならないほど健康的だったし、何かを学んだり身につけたりする能力についても抜きん出ていた。
ただ、生まれについてはそこまで恵まれたものではなかったかもしれない。
第二の人生において、俺はエドワルドと名づけられた。
俺のことを知る者はたいてい『エド』あるいは『エディ』と呼ぶ。
まあ、好きに呼べば良いと思う。
この世界で新たな生を受けた直後のことはほとんど覚えていないが、物心ついたころには名もない傭兵団で丁稚のような暮らしをしていた。
10歳から剣の修練をはじめ、初めて戦地に立ったのは15歳のころだったと思う。
それ以来、人間だけでなく、ときにはこの世界に蔓延る魔物を相手取ってひたすら殺し合いをするようになった。
同じ傭兵団にいた『アネゴ』と呼ばれる女傑に童貞を散らされ、『オヤジ』と呼ばれる傭兵団の頭目にケツの穴を掘られたのもだいたいそれくらいだ。
俺はアネゴにもオヤジにもとても気に入られていた。
どちらも実に精力旺盛だったが、俺は【絶倫】の力によって望むと望まざるとに関わらず二人の欲望をすべて受けとめることができたのだ。
アネゴもオヤジも俺を愛玩動物――あるいは単純に性奴隷のように扱ったが、少なくともそれぞれの形で愛してくれていたとは思う。
それ自体は別に良かった。待遇自体もそこまで悪いわけじゃなかったしな。
ただ、そのことがやがて騒動の火種になってしまう。
いつしか二人で俺を取り合うようになってしまったのだ。
18歳のとき、オヤジが勢い余ってアネゴを手にかけてしまった。
それだけならまだ内輪揉めで済んでいたのだが、間もなくアネゴに懸想していた男連中が共謀してオヤジをその手にかけてしてしまう。
そして、そのままさらに争いの火種になった俺をも亡き者にしようとしてきたのだ。
いくら剣の腕に自信があっても、何十人といる手練れの傭兵たちを一人で対峙できるほどの胆力は当時の俺にはなかった。
俺は命からがら傭兵団を脱走し、その後、冒険者として日銭を稼ぎながら彼らの手の及ばない地を目指して諸国を渡り歩いた。
ドラゴニアという辺境の小国で腰を落ち着けるようになったころには、気づけば傭兵団を抜け出して十年以上も経っていた。
それから俺は誰かと手を組むこともなく、身一人、剣一本で冒険者稼業を続けている。
冒険者ギルドで適当に依頼を受けて魔物退治に出向き、報酬で旨い酒を飲み、ときには娼館で女を買ったりする――その繰り返しだ。
けっきょく、新たな世界で第二の生を授かっても、俺の生活は変わり映えがなかった。
ただ、もともと俺自身があまりに高望みをしない性格だったから、そんな退屈な日々にもそれなりに愛着を持っていた。
他愛なくも悠々自適な日々――そんな人生がこの先もずっと続くのだと思っていた。
少なくとも、今回の依頼を受けるまでは——。
かつて――というのは、すでにそのときの俺は死亡しているからである。
死因についてはよく覚えていない。
仕事帰りにコンビニで酒を買って、それを呑みながらウトウトと家路についていたことだけは薄ぼんやりと覚えている。
死後、俺は生前の記憶を受け継いだ状態でこの世界に転生することになった。
そして、どうやらそのときに特別な『加護』というものをもらったらしい。
【絶倫】というなんだか笑えてしまうそのスキルは、それでも俺の第二の人生をそれなりに充実させてくれた。
実際、俺は新たな生において他とは比較にならないほど健康的だったし、何かを学んだり身につけたりする能力についても抜きん出ていた。
ただ、生まれについてはそこまで恵まれたものではなかったかもしれない。
第二の人生において、俺はエドワルドと名づけられた。
俺のことを知る者はたいてい『エド』あるいは『エディ』と呼ぶ。
まあ、好きに呼べば良いと思う。
この世界で新たな生を受けた直後のことはほとんど覚えていないが、物心ついたころには名もない傭兵団で丁稚のような暮らしをしていた。
10歳から剣の修練をはじめ、初めて戦地に立ったのは15歳のころだったと思う。
それ以来、人間だけでなく、ときにはこの世界に蔓延る魔物を相手取ってひたすら殺し合いをするようになった。
同じ傭兵団にいた『アネゴ』と呼ばれる女傑に童貞を散らされ、『オヤジ』と呼ばれる傭兵団の頭目にケツの穴を掘られたのもだいたいそれくらいだ。
俺はアネゴにもオヤジにもとても気に入られていた。
どちらも実に精力旺盛だったが、俺は【絶倫】の力によって望むと望まざるとに関わらず二人の欲望をすべて受けとめることができたのだ。
アネゴもオヤジも俺を愛玩動物――あるいは単純に性奴隷のように扱ったが、少なくともそれぞれの形で愛してくれていたとは思う。
それ自体は別に良かった。待遇自体もそこまで悪いわけじゃなかったしな。
ただ、そのことがやがて騒動の火種になってしまう。
いつしか二人で俺を取り合うようになってしまったのだ。
18歳のとき、オヤジが勢い余ってアネゴを手にかけてしまった。
それだけならまだ内輪揉めで済んでいたのだが、間もなくアネゴに懸想していた男連中が共謀してオヤジをその手にかけてしてしまう。
そして、そのままさらに争いの火種になった俺をも亡き者にしようとしてきたのだ。
いくら剣の腕に自信があっても、何十人といる手練れの傭兵たちを一人で対峙できるほどの胆力は当時の俺にはなかった。
俺は命からがら傭兵団を脱走し、その後、冒険者として日銭を稼ぎながら彼らの手の及ばない地を目指して諸国を渡り歩いた。
ドラゴニアという辺境の小国で腰を落ち着けるようになったころには、気づけば傭兵団を抜け出して十年以上も経っていた。
それから俺は誰かと手を組むこともなく、身一人、剣一本で冒険者稼業を続けている。
冒険者ギルドで適当に依頼を受けて魔物退治に出向き、報酬で旨い酒を飲み、ときには娼館で女を買ったりする――その繰り返しだ。
けっきょく、新たな世界で第二の生を授かっても、俺の生活は変わり映えがなかった。
ただ、もともと俺自身があまりに高望みをしない性格だったから、そんな退屈な日々にもそれなりに愛着を持っていた。
他愛なくも悠々自適な日々――そんな人生がこの先もずっと続くのだと思っていた。
少なくとも、今回の依頼を受けるまでは——。
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