ホワイトチョコは好きですか?

春山 一貴

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⑥ 3月14日 昼

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 プロデューサー・京香のホワイトデー告白大作戦特訓が今始まる。
「はーい、どーぞ(手を叩く)」
「に、新田君…。じ…じ実はね、、あたし、新田、くんの、こと、…ずっと……。す……」
「す?」
「…す……。。」
「すー???」
「……。」
「きーーだよきーーーー!!」
「ううぅ…」
「うーじゃねぇーよー、きーーだよきーー!」
「わ、分かってるよ…」
「なら言っちゃいなよー」
「それがねー…」
「新田君のこと好きなんだろ?」

 ここで美咲は今日イチの赤面を見せる。

「…ぅn。」
「声がちっちゃーーーい!昨日のさ、うん!明日は頑張って今の気持ち伝えるね!、はどこいったんじゃーー(笑)」
「だって好きだなんてなかなか言えないよ…」
「ふっ(笑)今言ったじゃん(笑)」
「…!!」

 ここで京香は今日イチのツボに入る。
「腹いてぇー…(笑)ひぃぃぃ~(笑)ダメだって美咲それは、、ん?いや、もしかしたら実はそれでも良かったりして…」
「ど、どういうことよ…」
「ワンチャンありかも」
「どういうことー…!?」
「いや、んまぁなるようになるさ(笑)」
「ええええ!!ここで手放すのー…!!」
「そういうわけじゃないよ(笑)あっ、でも、一応原稿だけは確認しておこっかな?」
「う、うん、、」

 美咲はきれいに四つ折りに畳んだメモを京香にゆっくりと手渡した。

「んーどれどれー…」
『新田君。あのね、実は私、一年の時からずっと新田君のことが好きでした。本当は一年のバレンタインに渡したかったんだけど、ずっと渡せなくて…、今年も渡せなかった…。でも、今日渡さないと絶対一生後悔すると思ったから、昨日の夜新田君にラインしたの。今日、ホワイトデーだよね。私、ホワイトチョコ作ったんだ。もし良かったら受け取ってください』

「…どう?」
「受けとるだけでいいの?」
「えっ?」
「だから、受け取ってそれで終わりでいいの??」
「えぇ…っと、、」
「良くないでしょ! あぁ、あたしが言っちゃったよー…(笑)」
「京ちゃん…。」
「最後のあたりは変えましょう~」

 どこからともなく京香はシャーペンを取り出し、舌を片方の唇から出し笑みを浮かべながらいきいきとペンを走らせた。

「かけた!」
『新田君。あのね、実は私、一年の時からずっと新田君のことが好きでした。本当は一年のバレンタインに渡したかったんだけど、ずっと渡せなくて…、今年も渡せなかった…。でも、今日渡さないと絶対一生後悔すると思ったから、昨日の夜新田君にラインしたの。…今日、ホワイトデーだよね。はい!これ。ホワイトチョコ。良かったら食べて。練習で疲れてると思うし。あと、ひとつ言いたいことがあって…。新田君、私と付き合って欲しい…』

 まるで公園一体がミルクとカカオの香りで甘く優しく包まれたような気がした。

「…これはやばいよ京ちゃん…。」
「でしょー!!これは絶対新田君イチコロだよ!」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「えー、なにー。あたしの書いたセリフやっぱだめー?」
「ううん、そういうことじゃなくて…!」
「んじゃあなに?」
「自信無い…」

 公園がまるで真冬に時を遡ったかのように場が凍ったような気が美咲にはしたらしい。
「…ごめん」
「みさき(笑)あたし怒ってないよ(笑)」
「でも、、」
「大丈夫!みさきなら。この原稿で当たって砕けな!大丈夫!相手は推薦で選ばれたバスケのスポーツマンだよ?みさきがタックルしたって全部受け止めてくれるはずだよ?」
「だめだよ…!!タックルなんて出来ないよ!!」
「しちゃいなよ(笑)」
「だめ!」
「しちゃいなって(笑)新田君のためにも」
「えっ?」

 美咲の反応にまた笑いの沸点が来てしまったが、ぐっと堪えて、一呼吸おき、満を持して美咲に告げた。

「だって、バスケはタックルしたら反則だから、いつもルールに縛られて新田君はタックル出来てないんだよ?みさきがタックルしてあげたら喜ぶと思うけどなあ」

ここで美咲は今日イチの赤面の記録を更新した。
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