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第17話【洗練された女性】
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エレベーターの扉が開くと、幸は静かに総務部のフロアへ足を踏み入れた。
コツコツと、ヒールの音が廊下に響く。
ドアを押して中に入ると、数人の社員が同時に顔を上げた。
その瞬間――全員の動きが止まる。
そこに立っていたのは、見惚れるほど洗練された美しい女性。
「……誰?」
「新しい取引先の人?」
「すごく綺麗……モデルみたい」
小声の囁きがオフィスのあちこちで交錯する。
だが、誰一人として、その女性が社長第二秘書の“西村幸”だとは気づかない。
幸は周囲の視線を意に介さず、受付カウンターへ歩み寄り、穏やかな声で告げた。
「西村幸です。退職の手続きをお願いします」
その名を聞いた瞬間、一階の受付嬢と同じように、社員は目を見開き、思わず声を上げた。
「えっ?! もしかして、社長第二秘書の――西村さんですか?!」
驚きの声とともに、オフィスの空気がざわめきに変わる。
周囲の社員たちが次々と顔を上げ、信じられないという表情で幸を見つめた。
その時、電話対応を終えた社員の一人が慌てて幸のもとへ駆け寄る。
「あの、西村さん。社長から伝言です。――社長室に来るようにとのことです」
幸は一瞬眉をひそめた。
今さら、何の話――?
そう思いながらも、静かに頷く。
「わかりました。ここでの手続きが済んだら伺います」
声は落ち着き、どこか冷静な響きを帯びていた。
総務での手続きが無事に終わった。
これで、この会社とは本当にサヨナラだ。
幸はそう思いながら書類を受け取る。
周囲の社員たちは息を呑むように、その姿を見守っていた。
幸は軽く会釈をし、書類を手にドアを開け総務部を後にする。
ヒールの音が、誰もいない廊下に静かに響いた。
――社長室か。
――もう二度と入る気はなかったのに。
胸の奥がざわつく。
それでも、圭吾とけじめをつけるためには、一度は会わなければならない――。
そう思いながら、幸はエレベーターに乗り込んだ。
扉がゆっくり閉まり、社長室のあるフロアへと上がっていく。
やがて扉が開くと、見慣れた廊下が目に入った。
幸はヒールの音を響かせながら進む。
そして、社長室の扉の前。
一瞬、躊躇った。
今さら会って、何を話すというのか――。
だが、やはり一度はきちんと話をしなければいけない。
そう思った幸は、扉をノックした。
すると、待っていたかのように、すぐに扉が開く。
そこには片桐秘書の姿があり、複雑な表情をしていた。
そんな彼に対して幸は、穏やかな笑みを浮かべ、軽く会釈する。
そして、その彼の前を通り過ぎ、社長室の中へと足を踏み入れた。
社長室に足を踏み入れると、すぐに圭吾と視線がぶつかった。
圭吾は椅子に腰を下ろしたまま、薄く笑みを浮かべて幸を見つめている。
その目には、どこか余裕と探るような光があった。
その視線を受け止めた瞬間、幸の眉間にかすかに皺が寄る。
三歩ほど進んだところで、彼女は静かに足を止めた。
かつて愛した男。
けれど今は――近づくことさえ、嫌悪を覚える。
コツコツと、ヒールの音が廊下に響く。
ドアを押して中に入ると、数人の社員が同時に顔を上げた。
その瞬間――全員の動きが止まる。
そこに立っていたのは、見惚れるほど洗練された美しい女性。
「……誰?」
「新しい取引先の人?」
「すごく綺麗……モデルみたい」
小声の囁きがオフィスのあちこちで交錯する。
だが、誰一人として、その女性が社長第二秘書の“西村幸”だとは気づかない。
幸は周囲の視線を意に介さず、受付カウンターへ歩み寄り、穏やかな声で告げた。
「西村幸です。退職の手続きをお願いします」
その名を聞いた瞬間、一階の受付嬢と同じように、社員は目を見開き、思わず声を上げた。
「えっ?! もしかして、社長第二秘書の――西村さんですか?!」
驚きの声とともに、オフィスの空気がざわめきに変わる。
周囲の社員たちが次々と顔を上げ、信じられないという表情で幸を見つめた。
その時、電話対応を終えた社員の一人が慌てて幸のもとへ駆け寄る。
「あの、西村さん。社長から伝言です。――社長室に来るようにとのことです」
幸は一瞬眉をひそめた。
今さら、何の話――?
そう思いながらも、静かに頷く。
「わかりました。ここでの手続きが済んだら伺います」
声は落ち着き、どこか冷静な響きを帯びていた。
総務での手続きが無事に終わった。
これで、この会社とは本当にサヨナラだ。
幸はそう思いながら書類を受け取る。
周囲の社員たちは息を呑むように、その姿を見守っていた。
幸は軽く会釈をし、書類を手にドアを開け総務部を後にする。
ヒールの音が、誰もいない廊下に静かに響いた。
――社長室か。
――もう二度と入る気はなかったのに。
胸の奥がざわつく。
それでも、圭吾とけじめをつけるためには、一度は会わなければならない――。
そう思いながら、幸はエレベーターに乗り込んだ。
扉がゆっくり閉まり、社長室のあるフロアへと上がっていく。
やがて扉が開くと、見慣れた廊下が目に入った。
幸はヒールの音を響かせながら進む。
そして、社長室の扉の前。
一瞬、躊躇った。
今さら会って、何を話すというのか――。
だが、やはり一度はきちんと話をしなければいけない。
そう思った幸は、扉をノックした。
すると、待っていたかのように、すぐに扉が開く。
そこには片桐秘書の姿があり、複雑な表情をしていた。
そんな彼に対して幸は、穏やかな笑みを浮かべ、軽く会釈する。
そして、その彼の前を通り過ぎ、社長室の中へと足を踏み入れた。
社長室に足を踏み入れると、すぐに圭吾と視線がぶつかった。
圭吾は椅子に腰を下ろしたまま、薄く笑みを浮かべて幸を見つめている。
その目には、どこか余裕と探るような光があった。
その視線を受け止めた瞬間、幸の眉間にかすかに皺が寄る。
三歩ほど進んだところで、彼女は静かに足を止めた。
かつて愛した男。
けれど今は――近づくことさえ、嫌悪を覚える。
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