36 / 67
「あまがみのみこと」「激闘の日々」「風の魔法」第一章:風の魔法とスタンピード
しおりを挟む
レネカントの星は絶えず風が吹く星だった谷を渡り山を越え草原を撫で森を揺らす人々はその風を星の息吹と呼び呼吸そのものであり風が途絶える日は世界の終わりだとまで語った
山間の町セリュス石造りの家々が寄り添う小さな町は風と共に生きてきた
しかし、その日、風は歌を変え異変を奏でた地の底から黒き咆哮が響いたのだ町の外れにある古いダンジョン長らく封印され周辺は日頃から
まめに間引きや駆除や討伐といった事が行われていたのだが突如として洞窟が唸り声を上げ獣の群れを吐き出し牙を剥いた狼に甲殻に覆われた巨虫と燃える眼を持つ異形たち押し寄せる奔流は
まるで闇そのものが町を呑み込もうとする濁流だった
「スタンピードだ!避難しろ!鐘を鳴らせ!子供たちを奥へ!」
町長の声が響く鐘の音と悲鳴が重なり混乱は一気に広がる兵士たちは必死に防衛線を張るが数の暴力は止まらない人々の目は恐怖に染まり足は
すくんでいた誰もが思った己の終わりを予感し町は終わりかもしれないと
そのとき丘の上に一人の少女が立った「リアム」彼女の力は人々にとって祝福でもあり呪いでもあった風を呼び嵐を操る能力
幼い頃に一度制御を失い町に小さな被害を出してしまった経験がある
その日以来、彼女は災厄の子と呼ばれ誰からも恐れられ視線はいつも遠巻きで孤独の中で育った
しかし人々の視線は今は怯えや忌み嫌うどころか切なげな期待の目で彼女を見ていた「……どうか「リアム」あの時みたいに嵐を起こさないで、でも、どうか……」その視線が、かえって彼女の胸を締めつけていた
それでも今、彼女は逃げなかった胸元に揺れる羽根のブローチ亡き姉の形見
風の精霊と交わる鍵だと伝えられてきた宝それを強く握りしめ「リアム」は颶風に語りかけた
「お願い私に力を!聖なる風よ魔物を退けて~【ウィンド・アセンション~大地の吐息・上昇気流~】」
「リアム」の呼びかけに応じ渦を巻く突風が巻き起こり彼女の周囲に集まり草原が、うねる風の猛獣は彼女の髪を舞い上げ瞳に強い光を宿し天空の柱となった彼女が両腕を広げると丘を覆う様に形成し
荒ぶる竜の昇天の壁が生まれ押し寄せる魔物の群れが町の手前で
その壁に弾き飛ばされてゆき空が裂け雲が千切れ轟音が下へ向かう谷に響き渡る
「やった……まだ守れる!……」
けれど群れは尽きない次から次へとダンジョンから湧き出し空と地を結ぶ竜に突っ込んでくる倒しても倒しても黒い影は絶える事がなく雲の蛇の壁は次第に削られていった汗が流れ腕は痺れ膝が震え、それでも「リアム」は踏みとどまった
「大丈夫……兵士たちは伝令を出した必ず誰かが来る……それまで持ちこたえる……それが私の役目……」
折れそうな心を自分に言い聞かせた恐れられ孤独であった彼女だからこそ自分の役割を理解していた人々に望まれてはいない、けれど町を守れるのは自分しかいない救援が来るまでの時間稼ぎ、
それが自分に課された使命だった叫びと同時に嵐が再び吠えた魔物の群れが吹き飛ばされ岩に叩きつけられる
しかし数の勢いは止まらず風の壁は少しずつ、すり減らされていった
「もう限界が」
そのとき遠く丘の向こうで光が閃く稲妻が走り闇を裂く
それは「リアム」の心臓を直接叩くような力強い光と音だった
「ここだ!」
「お前が「リアム」か?無事か?」
風が運んできた声が聞こえ、その調べに「リアム」の瞳が揺れる炎を纏った剣士「リュウガ」そして輝く歌声で闇を払う光を呼ぶ少女「ミコト」続いて仲間たちが到着した彼らは「リアム」を探して並行世界を越え、この星で旅を続けてきた
だが偶然この地で目の前で起きているスタンピードに巻き込まれ
そして「リアム」が孤独に戦っている事を知ったのだ
「来てくれたんだ」
「もう大丈夫だ「リアム」俺たちが来た!」
その言葉に「リアム」は深く息を吸い込み風を再び呼んだ
同時に横笛を取り出した「アマガミ」
「光の精霊よ我が歌声に応じ~その姿を顕し道を照らしたまえ~【ルーメン・エレメンタリア~精霊召喚魔法~】」
そう切なる願いを込めて横笛を吹き旋律を奏でた音色に呼応して横笛からはオーラが溢れ光彩陸離たる閃光が放たれ幻想的な風景を描き出し澄み渡る音律と共に空間に七色の光の粒子が舞い上がる
それは、やがて小さな精霊の姿へと形を変え風の精霊の「ナッシュ」は穏やかで
ありながら強く優しさも兼ね備えている風を吹かせ彼女の髪を揺らす水の精霊「ルナ」は清澄な水の雫となって彼女の頬を伝い光を咲かせ横笛の周囲を
くるくると舞いながら曲節を待つ様に寄り添った妖精たちは「アマガミ」の心に触れ、その祝福の輝きを横笛に宿し風と水の精霊が彼女の前に姿を現す
「「ナッシュ」「ルナ」仲間が困っているの力を貸して!」
「ナッシュ」と「ルナ」は「アマガミ」と「リアム」の周囲を旋回する
「気高き風の強さを示せ~【ピッチ・アロー~音高の矢~】」
「ナッシュ」は突風の刃を形づくり魔物の群れを斬り裂く「リアム」との共鳴により、さらに天を貫く螺旋の中で宙を舞い突風を射出し魔物を打ち上げ空中で回転しながら突き落とす
「仲間を助け敵を遠ざけよ循環水~【アクア・バリア~青緑の防御壁~】」
水の盾を築き魔物の突進を受け止める「ルナ」のその盾から水流の鞭を伸ばし絡め取り敵を巻き込んで吹き飛ばす
「アマガミ」は深呼吸し精霊たちの旋回に合わせてもう一度、吹奏する
「「ナッシュ」!「ルナ」!全力で行くわよ!」
「ナッシュ」の突風が刃となり「ルナ」の水流が盾となって魔物の群れに立ちはだかる「リアム」と妖精の連携は
さらに嵐の壁を強化し押し寄せる黒き群れを押し返す魔物が突進して
くるたび「リアム」は風を呼び「ナッシュ」が突風で魔物を吹き飛ばし「ルナ」が水流で足止めする
そして空中で水しぶきと風の刃が交錯し丘の上で嵐が次々と渦巻き地面は切り裂かれる
「うん一緒に!」
安堵と涙が混じり、もしかしたら届かないと思っていた希望に「リアム」の胸が震える
それまで必死に保って張り続けていた嵐の壁が一瞬揺らぐ、だがしかし「ミコト」の清音がそれを支えた
澄んだ韻律が空に響き光が降り注ぐ「リュウガ」の剣が炎を纏い魔物の群れを切り裂き
そして薙ぎ払い嵐と炎と玉響さらに精霊たちの力が重なり黒き群れを跳ね返す孤独だった少女は初めて誰かと肩を並べて戦った
こうして風の少女「リアム」と仲間たちの激闘の日々が始まった
山間の町セリュス石造りの家々が寄り添う小さな町は風と共に生きてきた
しかし、その日、風は歌を変え異変を奏でた地の底から黒き咆哮が響いたのだ町の外れにある古いダンジョン長らく封印され周辺は日頃から
まめに間引きや駆除や討伐といった事が行われていたのだが突如として洞窟が唸り声を上げ獣の群れを吐き出し牙を剥いた狼に甲殻に覆われた巨虫と燃える眼を持つ異形たち押し寄せる奔流は
まるで闇そのものが町を呑み込もうとする濁流だった
「スタンピードだ!避難しろ!鐘を鳴らせ!子供たちを奥へ!」
町長の声が響く鐘の音と悲鳴が重なり混乱は一気に広がる兵士たちは必死に防衛線を張るが数の暴力は止まらない人々の目は恐怖に染まり足は
すくんでいた誰もが思った己の終わりを予感し町は終わりかもしれないと
そのとき丘の上に一人の少女が立った「リアム」彼女の力は人々にとって祝福でもあり呪いでもあった風を呼び嵐を操る能力
幼い頃に一度制御を失い町に小さな被害を出してしまった経験がある
その日以来、彼女は災厄の子と呼ばれ誰からも恐れられ視線はいつも遠巻きで孤独の中で育った
しかし人々の視線は今は怯えや忌み嫌うどころか切なげな期待の目で彼女を見ていた「……どうか「リアム」あの時みたいに嵐を起こさないで、でも、どうか……」その視線が、かえって彼女の胸を締めつけていた
それでも今、彼女は逃げなかった胸元に揺れる羽根のブローチ亡き姉の形見
風の精霊と交わる鍵だと伝えられてきた宝それを強く握りしめ「リアム」は颶風に語りかけた
「お願い私に力を!聖なる風よ魔物を退けて~【ウィンド・アセンション~大地の吐息・上昇気流~】」
「リアム」の呼びかけに応じ渦を巻く突風が巻き起こり彼女の周囲に集まり草原が、うねる風の猛獣は彼女の髪を舞い上げ瞳に強い光を宿し天空の柱となった彼女が両腕を広げると丘を覆う様に形成し
荒ぶる竜の昇天の壁が生まれ押し寄せる魔物の群れが町の手前で
その壁に弾き飛ばされてゆき空が裂け雲が千切れ轟音が下へ向かう谷に響き渡る
「やった……まだ守れる!……」
けれど群れは尽きない次から次へとダンジョンから湧き出し空と地を結ぶ竜に突っ込んでくる倒しても倒しても黒い影は絶える事がなく雲の蛇の壁は次第に削られていった汗が流れ腕は痺れ膝が震え、それでも「リアム」は踏みとどまった
「大丈夫……兵士たちは伝令を出した必ず誰かが来る……それまで持ちこたえる……それが私の役目……」
折れそうな心を自分に言い聞かせた恐れられ孤独であった彼女だからこそ自分の役割を理解していた人々に望まれてはいない、けれど町を守れるのは自分しかいない救援が来るまでの時間稼ぎ、
それが自分に課された使命だった叫びと同時に嵐が再び吠えた魔物の群れが吹き飛ばされ岩に叩きつけられる
しかし数の勢いは止まらず風の壁は少しずつ、すり減らされていった
「もう限界が」
そのとき遠く丘の向こうで光が閃く稲妻が走り闇を裂く
それは「リアム」の心臓を直接叩くような力強い光と音だった
「ここだ!」
「お前が「リアム」か?無事か?」
風が運んできた声が聞こえ、その調べに「リアム」の瞳が揺れる炎を纏った剣士「リュウガ」そして輝く歌声で闇を払う光を呼ぶ少女「ミコト」続いて仲間たちが到着した彼らは「リアム」を探して並行世界を越え、この星で旅を続けてきた
だが偶然この地で目の前で起きているスタンピードに巻き込まれ
そして「リアム」が孤独に戦っている事を知ったのだ
「来てくれたんだ」
「もう大丈夫だ「リアム」俺たちが来た!」
その言葉に「リアム」は深く息を吸い込み風を再び呼んだ
同時に横笛を取り出した「アマガミ」
「光の精霊よ我が歌声に応じ~その姿を顕し道を照らしたまえ~【ルーメン・エレメンタリア~精霊召喚魔法~】」
そう切なる願いを込めて横笛を吹き旋律を奏でた音色に呼応して横笛からはオーラが溢れ光彩陸離たる閃光が放たれ幻想的な風景を描き出し澄み渡る音律と共に空間に七色の光の粒子が舞い上がる
それは、やがて小さな精霊の姿へと形を変え風の精霊の「ナッシュ」は穏やかで
ありながら強く優しさも兼ね備えている風を吹かせ彼女の髪を揺らす水の精霊「ルナ」は清澄な水の雫となって彼女の頬を伝い光を咲かせ横笛の周囲を
くるくると舞いながら曲節を待つ様に寄り添った妖精たちは「アマガミ」の心に触れ、その祝福の輝きを横笛に宿し風と水の精霊が彼女の前に姿を現す
「「ナッシュ」「ルナ」仲間が困っているの力を貸して!」
「ナッシュ」と「ルナ」は「アマガミ」と「リアム」の周囲を旋回する
「気高き風の強さを示せ~【ピッチ・アロー~音高の矢~】」
「ナッシュ」は突風の刃を形づくり魔物の群れを斬り裂く「リアム」との共鳴により、さらに天を貫く螺旋の中で宙を舞い突風を射出し魔物を打ち上げ空中で回転しながら突き落とす
「仲間を助け敵を遠ざけよ循環水~【アクア・バリア~青緑の防御壁~】」
水の盾を築き魔物の突進を受け止める「ルナ」のその盾から水流の鞭を伸ばし絡め取り敵を巻き込んで吹き飛ばす
「アマガミ」は深呼吸し精霊たちの旋回に合わせてもう一度、吹奏する
「「ナッシュ」!「ルナ」!全力で行くわよ!」
「ナッシュ」の突風が刃となり「ルナ」の水流が盾となって魔物の群れに立ちはだかる「リアム」と妖精の連携は
さらに嵐の壁を強化し押し寄せる黒き群れを押し返す魔物が突進して
くるたび「リアム」は風を呼び「ナッシュ」が突風で魔物を吹き飛ばし「ルナ」が水流で足止めする
そして空中で水しぶきと風の刃が交錯し丘の上で嵐が次々と渦巻き地面は切り裂かれる
「うん一緒に!」
安堵と涙が混じり、もしかしたら届かないと思っていた希望に「リアム」の胸が震える
それまで必死に保って張り続けていた嵐の壁が一瞬揺らぐ、だがしかし「ミコト」の清音がそれを支えた
澄んだ韻律が空に響き光が降り注ぐ「リュウガ」の剣が炎を纏い魔物の群れを切り裂き
そして薙ぎ払い嵐と炎と玉響さらに精霊たちの力が重なり黒き群れを跳ね返す孤独だった少女は初めて誰かと肩を並べて戦った
こうして風の少女「リアム」と仲間たちの激闘の日々が始まった
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
竜華族の愛に囚われて
澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
近代化が進む中、竜華族が竜結界を築き魑魅魍魎から守る世界。
五芒星の中心に朝廷を据え、木竜、火竜、土竜、金竜、水竜という五柱が結界を維持し続けている。
これらの竜を世話する役割を担う一族が竜華族である。
赤沼泉美は、異能を持たない竜華族であるため、赤沼伯爵家で虐げられ、女中以下の生活を送っていた。
新月の夜、異能の暴走で苦しむ姉、百合を助けるため、母、雅代の命令で月光草を求めて竜尾山に入ったが、魔魅に襲われ絶体絶命。しかし、火宮公爵子息の臣哉に救われた。
そんな泉美が気になる臣哉は、彼女の出自について調べ始めるのだが――。
※某サイトの短編コン用に書いたやつ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる