「あまがみのみこと」

あまがみのみこと

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「あまがみのみこと」「避けられない陰謀の渦」第一章:歌姫の囁き伏せられた真実と予知の断片

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ネブンニラニスの星にあるアストレイア大陸の東端に白亜の王都リュゼルナ陽光を反射する大理石の尖塔の影で人々は今日も政治の渦に飲み込まれていた

主人公「カリア」は、まだ三十歳にも満たぬ若き書記官に過ぎなかった

しかし彼の魂には誰も知らぬ秘密が宿っている

数年前に視察の同行により戦場の廃墟で彼は「銀髪の歌姫」の魂の欠片を宿す者と呼ばれた存在の最期を目撃した彼女は血に濡れた喉で

なお震える様な歌声を響かせ、そして消えた、その瞬間「カリア」の胸奥に光の粒が流れ込み魂と魂が交わるように融合したのだ

それ以来「カリア」は時折ではあるが己の思考に混じる歌姫の囁きを聞く柔らかな声でありながら鋭い政治的洞察を突きつけてくる声それは亡霊でも幻覚でもなく確かな知性を持つ魂の欠片だった視察を終え王都に帰還した

その日の夜「カリア」は政庁の書斎で報告書を記していた

戦況の推移や被害状況等や今後の見通し流れる様にペンを走らせる手が

ある項目に差し掛かった瞬間に止まった「銀髪の歌姫」の魂の欠片を宿す者

「書くな彼らは歌の真実を欲してはいない」

突如として脳裏に響く「銀髪の歌姫」の魂の欠片から囁き「カリア」はペンを握りしめ周囲を見渡した誰もいない

だが、その声は確かに彼の耳に届いた報告書には戦場で目撃した全てを客観的に記す義務がある

だがペンを握る「カリア」の手は、まるで意思を持ったかのように動かない囁きは「カリア」の心に深い疑問を投げかけた報告すべきか否か彼は王宮にいる政治家たちが

この事実をどう利用するかを想像した、きっと魔王との戦いを有利に進めるための新たな英雄として祭り上げ

その力を吸い尽くすだろう、そしてなおかつ、その「銀髪の歌姫」の魂の欠片を宿す者の死すら報告書の一行に過ぎぬものとして扱うだろう

脳裏には血に濡れながらも歌い続けた「銀髪の歌姫」である少女の姿が鮮明に蘇ってくる

その歌声は彼に真実を囁いた、その真実を権力に

まみれた王宮の面々に明かす事が、その歌声と魂を汚すことのように思えたのだ

「……分かった……」

「カリア」は深く息を吐き小さな声で呟きペンを置いた

彼は報告書から「銀髪の歌姫」の魂の欠片を宿す者との出会いに関する

その項目の記述をそっと全て削除した、そして報告書を完成させた誰にも告げず誰にも明かさぬ自分だけの秘密として胸に刻んだ

それは、この決断が王都の政治の渦に対する若き書記官の最初で最後の反抗だった、だかしかし彼をこの小さな反抗こそが原因で王国全体を巻き込み揺るがす巨大な陰謀の契機になり序章となっていく事をこの時はまだ知る由もなかった

王都を揺るがす問題は山積していた北方の諸侯は飢饉に苦しみ南方の海商は利権をめぐって暗闘を繰り返す宮廷では派閥が入り乱れ王位継承をめぐる陰謀が織り重なっていた

ある夜、王宮の政庁にて上奏を終えた「カリア」は

ふと背筋に冷気を覚えた彼の意見を聞いた老宰相が不気味な沈黙を守ったのだ

その瞬間「カリア」の胸奥に「銀髪の歌姫」の魂の欠片それ自身による怒りと絶望が津波のように押し寄せた

それは、まるで老宰相がかつて「銀髪の歌姫」の魂の欠片を宿す者を裏切り彼女の絶望的な叫びを嘲笑ったかのような生々しい感情だった「カリア」は

それが自分の感情では、ないと理解しながらも

その怒りに体が震えるのを感じた老宰相の顔が一瞬だけ冷酷な嘲笑を浮かべる幻影となって彼の脳裏をよぎった

その後は感情の嵐が静まると「カリア」の脳裏に

まるで水面に映る幻影のように断片的なビジョンが流れ込んだ

それは老宰相が机に向かい満面の笑みを浮かべながら何枚もの羊皮紙に封印を押している光景だった

その羊皮紙には見慣れない紋章が刻まれており不気味な光を放っていた

「気をつけろ……あの男の沈黙は賛意ではなく計算だ……」

「銀髪の歌姫」の声が脳裏に響く声には今にも泣き出しそうな

しかし強い意志を感じさせる響きがあった「カリア」の心に深い焦燥感を植え付けた「カリア」は表情を変えずに礼をとり退室した

しかし胸中はざわめきに満ちていたリュゼルナの街路に出ると夜風が銀の鈴を鳴らすように吹き抜けた灯籠の明かりの下「カリア」はふと胸に手を当てる

そこに脈打つのは自らの鼓動であり同時に「銀髪の歌姫」の魂の欠片を

なす第二の心臓でもあり「銀髪の歌姫」の魂の欠片たる者の深い悲しみと怒り

そして過去の戦場での絶望的な叫びの残響だった

「「カリア」政治は舞台……言葉は刃だが私の歌を忘れるな歌とは人の心を震わせる真実だ……」

彼女の囁きは導きであり呪縛でもあった「銀髪の歌姫」の魂の欠片に他ならない言葉は「カリア」に権力や名声ではなく人々の心に寄り添うこ事こそが真の力であると語りかけていた一方で彼女の声は単なる助言ではなく

かつて果たせなかった真実を歌う、という使命を「カリア」に託しているようにも感じた

やがて避けられぬ転機が訪れる王国議会にて新たな法案が審議されたのだ

それは北方領の自治を制限し王権を強化するものであった老宰相を筆頭に推進する一派と

それに反発する自由都市同盟の派閥とが激突する若き書記官にすぎぬ「カリア」は、ただ記録を取るだけのはずだった

だが議場で繰り広げられる醜悪な言葉の応酬を聞くうち胸の奥で「銀髪の歌姫」の声が烈しく鳴り響いた

「立て「カリア」言葉を投げろ……あなたの声はもう私の声でもある……」

次の瞬間に彼は立ち上がり議場全体を射抜く声を放った

それは若者らしい直情ではなかった「銀髪の歌姫」が生前に歌で人々を酔わせた様に清らかで抗えぬ響きをもって議員たちの心を揺らした

「王国は血で成り立つのではない!大地に生きる民と共に呼吸するからこそ……ここにあるのだ!……」

静寂が走る彼の声の余韻は誰の耳にも確かに届いていた

だが、その瞬間こそ陰謀の幕開けであった議場の片隅で老宰相が細く笑い指先で机を叩いていた

まるで獲物が自ら罠に飛び込んだと知るかのように

その夜「カリア」は「銀髪の歌姫」の魂の欠片と化す声と共に自分が大陸規模の政治劇に巻き込まれて

ゆく運命を悟っていた、もはや、ただの書記官ではいられない

彼は「銀髪の歌姫」の魂の欠片である継承者として

そして王国を動かす駒として生きねばならないのだ逃れられぬ陰謀の檻の中で

そして、その檻を破る力が自分と「銀髪の歌姫」の魂の欠片にあるのかを、まだ知る由もなかった
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