29 / 78
三話 瀬名姫、激おこ?
瀬名姫、激おこ?(5)
しおりを挟む
日没後。
服部隊の女忍者二人が交代し、半蔵の屋敷に報告に戻る。
それに合わせて、呼んでもいないのに情人契約を結んでいる他の二人も参上する。
半蔵は、自分が包囲されていると感じた。
「まずは、新しい現場での情報から」
いつもは穏和な月乃が、半蔵を睨みながら報告を始める。
「殿と瀬名姫様は、睦ごとの最中にも高度な政治的駆け引きをしておりました。形上は幽閉状態ですが、子供達には好きに会える事。清洲同盟への文句は、殿だけに述べる事。旧今川の家臣でも、不当な差別をしない事。月に一度は、殿の方から夜伽に来る事」
今の家康に向かって夜伽に来いとか、今川プリンセスの気位が半端ない。
「今日の処は、瀬名姫様の方に害意は見られませんでした」
月乃の不機嫌が、目に見えて膨れ上がる。
(ひょっとして、瀬名姫に共感したのか?)
と思ったが、違った。
「ここからが本題です」
情人契約四人組の包囲網が、狭まる。
「半蔵様」
月乃が、本題の口火を切る。
「五年経っても、誰も孕まないなんて、おかしいです」
月乃が、顔を半蔵の至近距離まで近付けて責める。
「ズルをしていませんか?」
ズルをした覚えがあるので、半蔵は困る。
「ズルなんかしてないよ」
「本当に?」
月乃の目が、据わっている。
嘘が通用しない位に、縁が深くなっている。
(思えば、仲の拗れた奥方と速攻で休戦した殿は見事だった。見事過ぎて、俺の参考には成らないけど)
更紗が下半身褌一丁になり、背後から襲い掛かるポーズを取る。
「やり盛り産み盛りの健康な女四人が、五年間孕まない。考えられる原因は、半蔵様の、玉袋?」
更紗が、半蔵の股間に話しかける。
「種無しカボチャさん、な~の~か~な~~?」
そう言われてしまうと、半蔵も不安になる。
「すみません。今度から、意識して精のつくものを食べてから出します」
月乃と更紗の機嫌が、少しだけ改善される。
「騙されてはいけません」
陽花が、火縄銃でヘッドショットする時の眼付きで半蔵を見下ろす。
仁王立ちで見下ろす。
「月一で四人を回すから、一年で三回、五年で十五回。一人頭十五回しか、種付け合体をしていません。平均的なご家庭の一ヶ月分にも満たない種付け回数ですよ! これは意図的な、怠慢行為です!」
算術的に根拠を提示しながら、陽花が月乃と並んで半蔵を睨む。
これには心当たりが有るので、半蔵は陽花から眼を逸らす。
「私たちを可能な限り妊娠させずに扱き使う為に、発射回数を故意に減らしましたね? 普通の間隔なら二三人は産んでいてもおかしくないのに!」
「う」
「う、じゃないよ! 怪しいと思っていたんだ、いつも一発しか撃たないから」
「え?」
「…え?」
夏美が迂闊に反応してしまい、陽花の視線が四人の中で一番肉付きの良い体に集まる。
月乃と更紗にも視線を向けると、二人も陽花と目を合わせないように姿勢を変える。
気まずい空気を吸い込んで、陽花の糾弾が仲間に向く。
「…怒ってないよ。先生、怒ってないから、お前ら正直に答えろ? 半蔵様の最多発射回数を、指で答えろぉぉ!」
月乃は四本、更紗は五本、夏美は七本、指を立てた。
嫌な沈黙と硬直の後、陽花が能面を被って火縄銃に弾込めを始めたので、皆で取り押さえて簀巻きにする。
「放せ~~! そこの限定火縄銃野郎に、あたしの火縄銃を撃ち込んでやる~~!」
「契約内容を見直しましょう」
月乃が簀巻きの上に腰を下ろし、本題を続けようとするが、陽花は尚も暴れようとする。
「一発。一発だけだから」
「正気に戻りなさい、陽花」
「大丈夫。一発で気が済むから~~」
更紗が無表情に『うふふふふふふ』と笑いながら、身動きの取れない陽花に指を五本見せる。
「半蔵様も、一発で済ませたものねえ」
「お前には五発撃ち込んだるわ~~!!」
夏美が、常識的な意見を述べる。
「何発だろうと、当たらなければ、無意味です」
情人四忍の視線が、再び半蔵一人に集中する。
「半蔵様。五年も外そうとして外した手際、見事です」
月乃が、嫌味を言った。
「ですが、もう逃がしません」
服部隊の女忍者二人が交代し、半蔵の屋敷に報告に戻る。
それに合わせて、呼んでもいないのに情人契約を結んでいる他の二人も参上する。
半蔵は、自分が包囲されていると感じた。
「まずは、新しい現場での情報から」
いつもは穏和な月乃が、半蔵を睨みながら報告を始める。
「殿と瀬名姫様は、睦ごとの最中にも高度な政治的駆け引きをしておりました。形上は幽閉状態ですが、子供達には好きに会える事。清洲同盟への文句は、殿だけに述べる事。旧今川の家臣でも、不当な差別をしない事。月に一度は、殿の方から夜伽に来る事」
今の家康に向かって夜伽に来いとか、今川プリンセスの気位が半端ない。
「今日の処は、瀬名姫様の方に害意は見られませんでした」
月乃の不機嫌が、目に見えて膨れ上がる。
(ひょっとして、瀬名姫に共感したのか?)
と思ったが、違った。
「ここからが本題です」
情人契約四人組の包囲網が、狭まる。
「半蔵様」
月乃が、本題の口火を切る。
「五年経っても、誰も孕まないなんて、おかしいです」
月乃が、顔を半蔵の至近距離まで近付けて責める。
「ズルをしていませんか?」
ズルをした覚えがあるので、半蔵は困る。
「ズルなんかしてないよ」
「本当に?」
月乃の目が、据わっている。
嘘が通用しない位に、縁が深くなっている。
(思えば、仲の拗れた奥方と速攻で休戦した殿は見事だった。見事過ぎて、俺の参考には成らないけど)
更紗が下半身褌一丁になり、背後から襲い掛かるポーズを取る。
「やり盛り産み盛りの健康な女四人が、五年間孕まない。考えられる原因は、半蔵様の、玉袋?」
更紗が、半蔵の股間に話しかける。
「種無しカボチャさん、な~の~か~な~~?」
そう言われてしまうと、半蔵も不安になる。
「すみません。今度から、意識して精のつくものを食べてから出します」
月乃と更紗の機嫌が、少しだけ改善される。
「騙されてはいけません」
陽花が、火縄銃でヘッドショットする時の眼付きで半蔵を見下ろす。
仁王立ちで見下ろす。
「月一で四人を回すから、一年で三回、五年で十五回。一人頭十五回しか、種付け合体をしていません。平均的なご家庭の一ヶ月分にも満たない種付け回数ですよ! これは意図的な、怠慢行為です!」
算術的に根拠を提示しながら、陽花が月乃と並んで半蔵を睨む。
これには心当たりが有るので、半蔵は陽花から眼を逸らす。
「私たちを可能な限り妊娠させずに扱き使う為に、発射回数を故意に減らしましたね? 普通の間隔なら二三人は産んでいてもおかしくないのに!」
「う」
「う、じゃないよ! 怪しいと思っていたんだ、いつも一発しか撃たないから」
「え?」
「…え?」
夏美が迂闊に反応してしまい、陽花の視線が四人の中で一番肉付きの良い体に集まる。
月乃と更紗にも視線を向けると、二人も陽花と目を合わせないように姿勢を変える。
気まずい空気を吸い込んで、陽花の糾弾が仲間に向く。
「…怒ってないよ。先生、怒ってないから、お前ら正直に答えろ? 半蔵様の最多発射回数を、指で答えろぉぉ!」
月乃は四本、更紗は五本、夏美は七本、指を立てた。
嫌な沈黙と硬直の後、陽花が能面を被って火縄銃に弾込めを始めたので、皆で取り押さえて簀巻きにする。
「放せ~~! そこの限定火縄銃野郎に、あたしの火縄銃を撃ち込んでやる~~!」
「契約内容を見直しましょう」
月乃が簀巻きの上に腰を下ろし、本題を続けようとするが、陽花は尚も暴れようとする。
「一発。一発だけだから」
「正気に戻りなさい、陽花」
「大丈夫。一発で気が済むから~~」
更紗が無表情に『うふふふふふふ』と笑いながら、身動きの取れない陽花に指を五本見せる。
「半蔵様も、一発で済ませたものねえ」
「お前には五発撃ち込んだるわ~~!!」
夏美が、常識的な意見を述べる。
「何発だろうと、当たらなければ、無意味です」
情人四忍の視線が、再び半蔵一人に集中する。
「半蔵様。五年も外そうとして外した手際、見事です」
月乃が、嫌味を言った。
「ですが、もう逃がしません」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる