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第1章

35.夜の見張り番

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 夜中2時頃に見張りを交代し、後半組の番になった。
 俺はハクに念話を飛ばし一足先に森の中の様子を見て来てもらう事にした。
 「すまないが少し森の中の様子を見てきて欲しい。くれぐれも無理はしないように。」
 『分かった。なに、この姿でも能力はいつもと変わらんでな、安心せい。では行ってくる。』
 「気をつけてな。何かあれば念話を飛ばしてくれ。」
 そう言うとハクは気配を消して夜の森に入っていった。

 「おーい、ミナトも焚き火の近くにいるといい。」
 小声でソルさんが俺を呼んでいた。

 「分かりました。」
 「あれ?ハクちゃんはどうしたの?」
 「少しこの洞穴の周りを見てきてもらってます。」
 「あの子1匹で大丈夫?」
 「はい、ハクは強いので!」
 焚き火の近くまで行くとミラさんが聞いてきたので俺はそう答えた。
 俺は寝ている間も「サーチ」を飛ばし、今も続けているが魔獣がかかる気配がない。この森の魔獣はどこへ行ったのか…?

 しばらく何も起こらず過ごしているとハクが帰ってきた。
 「おかえり、ハク。」
 「ハクちゃん無事だったんだね、よかった~。」
 ハクの姿を見てミラさんは一安心した様子。ハクはミラさんに頭を撫でてもらうと俺の横に座り念話を飛ばしてきた。

 『この森に入ってみたが魔獣の姿はどこにも見えぬ。代わりにがたくさんあった。もしかしたらほとんどの魔獣はマンティコアという奴に食われたのかも知らぬ。食った張本人は森の中心辺りにいると思われる。ただ、何やらじゃったがな…。』
 「おかしな気配?」
 『我の知るマンティコアは以前勇者によって討伐されたはずなのじゃ。それからしばらく見ておらんかったがあの様な気配をしておったかと思ってな。』
 「じゃあまた魔素から新たに生まれたとかじゃないのか?」
 『それにしては大きかったような…?ただ洞窟に隠れておってその全貌ぜんぼうは分からなかったのじゃ。』
 「そうか。でもそこまでの情報をありがとうな!」
 『これくらいわれにとっては朝飯前よ!』

 そこまで言うとハクは丸まって眠り出した。
 俺はハクの情報をソルさんとミラさんに伝えた。
 
 「なるほど、だから魔獣の気配がなかったのか。目的地はその中心にある洞窟だな。」
 「明日の朝ネージュとハルクにも伝えなきゃね。テイマーってのはそんな事まで伝達出来るんだね!凄いよミナトくんとハクは。」
 「確かにな、ありがとう。」
 「いえいえ、ほとんどハクのおかげで俺はなんにも…。」
 話を聞いたソルさんとミラさんはこんな反応だった。
 その後は魔獣の気配が少ない事もあり、ミラさんの「サーチ」を展開させ後半組も再び1時間ほどの仮眠をとるのだった。

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