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第1章

36.戦闘開始①

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 朝になり、軽く朝食を食べながら昨日の調査結果をパーティメンバー全員で共有していた。

 「そうだったんですか。ハクちゃんは偉いですね~。」
 ネージュさんはそう言ってハクを撫で、
 「ミナトも凄いな。」
 と、ハルクさんが俺を褒める。
 「ありがとうございます。ほとんどハクのおかげですがね。(苦笑)」

 その後野営の道具を片付けると作戦の最終確認をする。

 「じゃあ今日の作戦だ。ミラは「サーチ」で周辺に敵がいないか調査を。ネージュは何時でも魔法が放てるように準備をしておいてくれ。ハルクはミラとネージュの間で突っ込んでくる敵から守るように。その後ろにミナト、俺と続く。」
 「「「「了解!」」」」
 「これから森に入る。これまで以上に気を配り、周りを観察するように。以上!」
 「「「「はい!」」」」

そうして俺達は【ジャスパ】の森に足を踏み入れた。


 
 「本当に不気味なくらい静かね…。」
 確かにミラさんの言う通りだ。

 森に入り30分は歩いているが魔獣に遭遇すること無く進んでいた。鳴き声すらも聞こえない。

 更に20分ほど進むと山らしきものが見えてきた。パーティはさらに慎重に進む。
 どうやらその山のふもとに洞窟があり、そこにマンティコアはいるようだ。

 俺の「サーチ」ではかなり前からが見えている。それにしてもかなりデカくないか…?

 「待って、これは本当にマンティコアなの?2mなんてもんじゃない…。優に10mはあるわ!」
 ミラさんの「サーチ」にも引っ掛かったのかそう伝える。

 「なに、10mだと?そんなサイズは聞いたことない!」
 「かもしれないわね。」
 「だったら強力な魔法と防御力にも納得が行くわ。」
ソルさん、ミラさん、ネージュさんと言葉が続く。

 「とりあえず俺達も目視できる所まで近づくしかないな。」
 そう言ってハルクさんが前に出る。

 しばらくすると洞窟が目視できる距離まで来た。

 「とりあえず洞窟が見えてきたら遠距離魔法で先制攻撃。敵が出てきたらミラは誘導しながら攻撃、ハルクは敵の動きを止めてくれ、俺も攻撃を入れる。長期戦になるかもしれないからネージュはバフも頼む。ミナトとハクも怪我のないようにサポートを!…………行くぞ!」

 掛け声と共にネージュさんが魔法を放ち、それぞれが走り出す。

 「アイシクルバレット!!」
 先制攻撃で氷のたまがいくつも洞窟の中へ飛んでいく。

  「アボイド!」「スピード!」
 次に回避率と素早さが上がる魔法をネージュさんは続けた。俺達パーティ全体のステータスが上がり動きやすくなった。


 『グガァァァァァ!!!』
 大きな鳴き声と共に姿を現したのは、体の一部が先制魔法により凍ったマンティコアだ。

 「なんかアイツ小さくないか?」
 敵を見て叫んだのはソルさん。確かに出てきたのは体長5m程のマンティコア。だが俺にはえている、そうではない…。

 そして「サーチ」をかけていたミラさんが焦った表情で叫ぶ。
 「違う!もう一体奥にいる!全部で2体いたんだ!!」

 俺は姿を出した方を「鑑定」した。

~ステータス~
・名前   
   マンティコア    魔獣   推定ランクB
 体力 700/700
 魔力 500/500
 攻撃力 700
 防御力 700
 素早さ 650
 命中 600
 

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