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⑦降りかかる災難。
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要が璃端と付き合いだしてから、俺の心は晴れていく。
と、思っていた。
正直もう顔も見たくないと思う事にして、今の所
付き合っている彼女らと、のらりくらりとした関係を
保っていた。
春は、こんな縁でも切れてしまったりもする訳で。
1人とは連絡がつかなくなっていた。
多分、俺の愚行がバレたんだろう。
致し方ないか、と忘れる事もないけれど
気にもしない。
相変わらずのバイトと大学の講義に追われる日々。
の、はずだった。
俺は、バイト先でとんでもない目に遭い
ニュースにまでなる事に巻き込まれた。
今、居るところは病院。
今さっき警察の人が、事情聴取を終えて部屋を出て行った。
事が事なだけに個室を用意されたのは、
俺の腹部近くを、最近連絡のなかった彼女がグサリと
やってくれたからだ。
はー。恥ずかしい。いっその事消えてなくなりたい。
とも、思っていた所に。
要の彼氏がTVに映っているのを見て、ぞわっとした。
要は、この事…知っているのか?
両親が俺の荷物を持って来てくれたけれど、心なしか
よそよそしかった。
まぁ、痴情のもつれだとか説明されてんだろうな。
もう1人の彼女からの連絡は、来ていた。
けど、そのメッセージは別れを告げるものと
お大事に。とだけ。
合わせる顔も無いだろうし、謝るのもきっと叶わないだろう。
ブロックとか着信拒否されてるだろうし。
こんな時だからか、分からないけれど何となく
都合よくも思えるけど要に逢いたいと思う。
連絡の取り様はあった。でも、できない。
気が咎めていた。
しばらくの入院生活を強いられて、復学し
大学には通うのも嫌だったけれど。
親にこれ以上の心配を掛けるわけにもいかなかった。
今まで以上に、真剣に講義を受講する様になっていた。
一時は、歩く事も大変だったけれどなるべく
日々体を動かし続ける事に専念した。
学内のベンチに座っていると、昔はこの隣に
要が居た事を思い出して、心が柔く痛んだ。
季節は初夏を迎える。
もうそろそろ試験期間に入る。
季節が、あまりにも早くて。
今の俺にはついて行けないんじゃないかって、時々不安になる。
もう、誰とも付き合いをしていない。
ひどく、楽な事に気が付いた。
「もともと、1人が好きなんだっけ。」
空の雲が流れ始める。
雨が降る、前に講堂に戻ろう。
薄暗い、雷が遠くで鳴っている。
「かなめ…」
俺の世界の要はもう居ない。
空は稲光りが走っていた。
友達だったのに、好きになっていた。
初めて、触れたいって思ったのは異性じゃなかった。
惰性で付き合う意味は特になくて。
お互いがお互いのアクセサリとして、有ればそれでよかった。
でも要は違った。
性格は面倒でワガママで夢見がち。
いちいち言わなくても良い事を言って来る。
腹がたってきたりもした。
なのに、要のそのまんまな態度が俺はなんだかんだ
好きだった。
俺のものに、ならないのかな?と真剣に頭を悩ませた相手だ。
嫌われるのも恐いって思わせる相手。
異性なら、いくらでも思いつくのに。
要にだけはいつも成す術がなくて。
情けないけど、必死だった。
消化されていく日々を過ごしていた。
そろそろ、バイト先に正式に挨拶とお詫びをしに行かなければ。
愉しい場を、陰惨な現場に変えてしまった一因は
もちろん俺も担っている。
せっかく、短期のバイトだけではなく長期で
しかも日時の融通まできく様にしてもらえたってのに。
電車で市街のショッピングセンターまで向かう。
歩く時間が長いと、結構しんどい。
階段を避けていても、意外と多く昇らされる。
前までは、軽々と何にも思わなかった事に今では少し
心が触れてしまう。
「くっ、そ…」
思ったより時間が掛かってしまったけれど、約束の時間には
ちゃんと間に合ってほっとした。
1時間近く色々と店長や他の本社の人とも話をして、手続きも終えると
夕方近くになっていた。
最後に、ゲーセンコーナーを見てから帰ろうと思う。
『ちょっと、ソコのお兄さん♪』
弾んだ声が聞こえて、振り返る。
まさか、と思った。
とうとう幻聴までする程になったのかと。
「ほ、本庄…かなめ?」
『生きてて、良かった。』
思いがけない言葉に俺は鼻の奥がツーンとした。
相手は、あの要だからかは分からない。
ただ、単純に嬉しかった。
【続】
と、思っていた。
正直もう顔も見たくないと思う事にして、今の所
付き合っている彼女らと、のらりくらりとした関係を
保っていた。
春は、こんな縁でも切れてしまったりもする訳で。
1人とは連絡がつかなくなっていた。
多分、俺の愚行がバレたんだろう。
致し方ないか、と忘れる事もないけれど
気にもしない。
相変わらずのバイトと大学の講義に追われる日々。
の、はずだった。
俺は、バイト先でとんでもない目に遭い
ニュースにまでなる事に巻き込まれた。
今、居るところは病院。
今さっき警察の人が、事情聴取を終えて部屋を出て行った。
事が事なだけに個室を用意されたのは、
俺の腹部近くを、最近連絡のなかった彼女がグサリと
やってくれたからだ。
はー。恥ずかしい。いっその事消えてなくなりたい。
とも、思っていた所に。
要の彼氏がTVに映っているのを見て、ぞわっとした。
要は、この事…知っているのか?
両親が俺の荷物を持って来てくれたけれど、心なしか
よそよそしかった。
まぁ、痴情のもつれだとか説明されてんだろうな。
もう1人の彼女からの連絡は、来ていた。
けど、そのメッセージは別れを告げるものと
お大事に。とだけ。
合わせる顔も無いだろうし、謝るのもきっと叶わないだろう。
ブロックとか着信拒否されてるだろうし。
こんな時だからか、分からないけれど何となく
都合よくも思えるけど要に逢いたいと思う。
連絡の取り様はあった。でも、できない。
気が咎めていた。
しばらくの入院生活を強いられて、復学し
大学には通うのも嫌だったけれど。
親にこれ以上の心配を掛けるわけにもいかなかった。
今まで以上に、真剣に講義を受講する様になっていた。
一時は、歩く事も大変だったけれどなるべく
日々体を動かし続ける事に専念した。
学内のベンチに座っていると、昔はこの隣に
要が居た事を思い出して、心が柔く痛んだ。
季節は初夏を迎える。
もうそろそろ試験期間に入る。
季節が、あまりにも早くて。
今の俺にはついて行けないんじゃないかって、時々不安になる。
もう、誰とも付き合いをしていない。
ひどく、楽な事に気が付いた。
「もともと、1人が好きなんだっけ。」
空の雲が流れ始める。
雨が降る、前に講堂に戻ろう。
薄暗い、雷が遠くで鳴っている。
「かなめ…」
俺の世界の要はもう居ない。
空は稲光りが走っていた。
友達だったのに、好きになっていた。
初めて、触れたいって思ったのは異性じゃなかった。
惰性で付き合う意味は特になくて。
お互いがお互いのアクセサリとして、有ればそれでよかった。
でも要は違った。
性格は面倒でワガママで夢見がち。
いちいち言わなくても良い事を言って来る。
腹がたってきたりもした。
なのに、要のそのまんまな態度が俺はなんだかんだ
好きだった。
俺のものに、ならないのかな?と真剣に頭を悩ませた相手だ。
嫌われるのも恐いって思わせる相手。
異性なら、いくらでも思いつくのに。
要にだけはいつも成す術がなくて。
情けないけど、必死だった。
消化されていく日々を過ごしていた。
そろそろ、バイト先に正式に挨拶とお詫びをしに行かなければ。
愉しい場を、陰惨な現場に変えてしまった一因は
もちろん俺も担っている。
せっかく、短期のバイトだけではなく長期で
しかも日時の融通まできく様にしてもらえたってのに。
電車で市街のショッピングセンターまで向かう。
歩く時間が長いと、結構しんどい。
階段を避けていても、意外と多く昇らされる。
前までは、軽々と何にも思わなかった事に今では少し
心が触れてしまう。
「くっ、そ…」
思ったより時間が掛かってしまったけれど、約束の時間には
ちゃんと間に合ってほっとした。
1時間近く色々と店長や他の本社の人とも話をして、手続きも終えると
夕方近くになっていた。
最後に、ゲーセンコーナーを見てから帰ろうと思う。
『ちょっと、ソコのお兄さん♪』
弾んだ声が聞こえて、振り返る。
まさか、と思った。
とうとう幻聴までする程になったのかと。
「ほ、本庄…かなめ?」
『生きてて、良かった。』
思いがけない言葉に俺は鼻の奥がツーンとした。
相手は、あの要だからかは分からない。
ただ、単純に嬉しかった。
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