11 / 11
一年
しおりを挟む
田舎に帰って来てから、そろそろ1年が経とうとしている。
早かった。本当に、さっき夢からさめたような気持ちで
今でも、僕は山の中にある古民家カフェに従業員として勤めている。
送迎の車に揺られて、今日もいつもの様に帰宅する。
家が近所の幼馴染の礼緒くんが、明日は誕生日を迎える。
去年は、色々あって遅れた誕生日のお祝いを
今年は、当日に出来るんだから。
僕としては、かなり楽しみでしかなかった。
本当に、今でも去年の夏の魔法が解けてない気がする。
怪我をして入院していたのに、僕は礼緒くんの前に現れたり
不思議な事が起きていた。
説明のつかなさそうな事も、全部何も否定せずに
僕を心配して、お見舞いに来てくれた礼緒くん。
彼は、ひまわりみたいに真っすぐで、温かな人。
ちなみに、僕の初恋の人でもある。
紆余曲折を経て、やっと想いを交わしたとは言え。
相変わらず、お互いが忙しくてなかなか2人で
ゆっくり出来る事も、少ない。
携帯で、言葉のやりとりを交わすだけじゃ
より一層、想いだけが募って行って苦しくもなる。
だから、時々僕は礼緒君に言って
2人で車で遠出する。
日常を少しだけ忘れたくて。
もっと、お互いを近くに感じていたいから。
『悠里のそれくらいのワガママだったら、いくらでも聞いてやる。』
そう言ってくれる事が嬉しくて仕方なかった。
誕生日当日、仕事終わりの礼緒くんには前日にもう
予定を開けておいて貰う様に、お願いしてある。
のに、何でだろう。
急、に僕の方が気恥ずかしいような。
照れくささが一気に噴出してしまって。
電話を掛けて、礼緒くんに何故か僕の家に来て貰う事に
したんだった。
察しの良い礼緒くんは、なんとなく分かっているみたいで
笑ってくれてるけど。
テーブルの上には、ケーキの準備も飲み物の準備も出来ている。
階段を上がって来る足音。
はぁ、ドキドキする。
プレゼントは、少し落ち着いてから渡そう。
ドアが開いた、と思うとすぐに礼緒くんと
目が合う。…今日も、凛々しい。
僕、本当に礼緒くんが好き過ぎて
ついには、今日お休みだったからケーキも
手作りしてしまって。
『お疲れ、悠里。ごめんな、少し遅くなった。』
「お疲れ様、礼緒くん。っても、僕今日は休みだったんだ。」
『ぁ、そっか。忘れてた。この前言ってたな。』
僕の前に座る礼緒くんは、お風呂上りみたいで。
少しまだ、髪が濡れている。
「……」
『で?…お前、自分で俺を呼んでおきながら、何固まってるんだよ。』
くすくす笑っている礼緒くん。
そんな優しい声で言われても…、余計になんかこう…、ね?
「お誕生日おめでとう、礼緒くん。本当は、お店のケーキの方が美味しいと思うんだけど。」
礼緒くんは、視線をケーキに注いで
『これ、悠里が作ったのか?』
僕とを交互に見なている。
「一応は、オーナーさんに作り方を教えて貰ったんだけどね。練習1回だから、不安で。」
『お店の人に教わったんだったら、美味しいと思う。それに、悠里が頑張って作ったんなら尚更だ。』
この幼馴染彼氏、もう彼氏としてのスペックが高すぎて
僕なんかじゃ太刀打ちも出来ないよ。
「大好きな人に、食べてもらえるなら…本望だよ。」
本当は、この後にもちょっと色々あったんだけど。
あり過ぎて、頭の中で整理がつかないから
もう少し落ち着いたら、またね。
早かった。本当に、さっき夢からさめたような気持ちで
今でも、僕は山の中にある古民家カフェに従業員として勤めている。
送迎の車に揺られて、今日もいつもの様に帰宅する。
家が近所の幼馴染の礼緒くんが、明日は誕生日を迎える。
去年は、色々あって遅れた誕生日のお祝いを
今年は、当日に出来るんだから。
僕としては、かなり楽しみでしかなかった。
本当に、今でも去年の夏の魔法が解けてない気がする。
怪我をして入院していたのに、僕は礼緒くんの前に現れたり
不思議な事が起きていた。
説明のつかなさそうな事も、全部何も否定せずに
僕を心配して、お見舞いに来てくれた礼緒くん。
彼は、ひまわりみたいに真っすぐで、温かな人。
ちなみに、僕の初恋の人でもある。
紆余曲折を経て、やっと想いを交わしたとは言え。
相変わらず、お互いが忙しくてなかなか2人で
ゆっくり出来る事も、少ない。
携帯で、言葉のやりとりを交わすだけじゃ
より一層、想いだけが募って行って苦しくもなる。
だから、時々僕は礼緒君に言って
2人で車で遠出する。
日常を少しだけ忘れたくて。
もっと、お互いを近くに感じていたいから。
『悠里のそれくらいのワガママだったら、いくらでも聞いてやる。』
そう言ってくれる事が嬉しくて仕方なかった。
誕生日当日、仕事終わりの礼緒くんには前日にもう
予定を開けておいて貰う様に、お願いしてある。
のに、何でだろう。
急、に僕の方が気恥ずかしいような。
照れくささが一気に噴出してしまって。
電話を掛けて、礼緒くんに何故か僕の家に来て貰う事に
したんだった。
察しの良い礼緒くんは、なんとなく分かっているみたいで
笑ってくれてるけど。
テーブルの上には、ケーキの準備も飲み物の準備も出来ている。
階段を上がって来る足音。
はぁ、ドキドキする。
プレゼントは、少し落ち着いてから渡そう。
ドアが開いた、と思うとすぐに礼緒くんと
目が合う。…今日も、凛々しい。
僕、本当に礼緒くんが好き過ぎて
ついには、今日お休みだったからケーキも
手作りしてしまって。
『お疲れ、悠里。ごめんな、少し遅くなった。』
「お疲れ様、礼緒くん。っても、僕今日は休みだったんだ。」
『ぁ、そっか。忘れてた。この前言ってたな。』
僕の前に座る礼緒くんは、お風呂上りみたいで。
少しまだ、髪が濡れている。
「……」
『で?…お前、自分で俺を呼んでおきながら、何固まってるんだよ。』
くすくす笑っている礼緒くん。
そんな優しい声で言われても…、余計になんかこう…、ね?
「お誕生日おめでとう、礼緒くん。本当は、お店のケーキの方が美味しいと思うんだけど。」
礼緒くんは、視線をケーキに注いで
『これ、悠里が作ったのか?』
僕とを交互に見なている。
「一応は、オーナーさんに作り方を教えて貰ったんだけどね。練習1回だから、不安で。」
『お店の人に教わったんだったら、美味しいと思う。それに、悠里が頑張って作ったんなら尚更だ。』
この幼馴染彼氏、もう彼氏としてのスペックが高すぎて
僕なんかじゃ太刀打ちも出来ないよ。
「大好きな人に、食べてもらえるなら…本望だよ。」
本当は、この後にもちょっと色々あったんだけど。
あり過ぎて、頭の中で整理がつかないから
もう少し落ち着いたら、またね。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
貴方へ贈る白い薔薇~思い出の中で
夏目奈緖
BL
亡くなった兄との思い出を回想する。故人になった15歳年上の兄への思慕。初恋の人。忘れられない匂いと思い出。黒崎圭一は黒崎家という古い体質の家の当主を父に持っている。愛人だった母との同居生活の中で、母から愛されず、孤独感を感じていた。そんな6歳の誕生日のある日、自分に兄がいることを知る。それが15歳年上の異母兄の拓海だった。拓海の腕に抱かれ、忘れられない匂いを感じる。それは温もりと、甘えても良いという安心感だった。そして、兄との死別、その後、幸せになっているという報告をしたい。亡くなった兄に寄せる圭一の物語。「恋人はメリーゴーランド少年だった」も併せてどうぞよろしくお願いいたします。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
嘘をついたのは……
hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。
幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。
それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。
そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。
誰がどんな嘘をついているのか。
嘘の先にあるものとはーー?
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる