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続く朝
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お昼前に、やっと起きる気になってシャワーを浴びに行く。
だってもう、体中…ね。
あんな直情的に抱かれたのは久し振りだったから少しだけ
身体はビックリしてるかもしれない。
兄貴は、ブランチを台所で作ってくれているみたい。
階段を降りて来る時、その…中から出て来たのがかなり
恥ずかしかった。
兄貴は、相変わらず優しくて心配もしてくれたんだけど。
こればっかりは自分で何とかしたかった。
どっちかと言えば、ちゃんとゴムする方だと思ってたけど近頃は
そうでも無くなって来てる気がする。
征服欲、かな?
一応、兄貴も男相手の俺にもまさか
そんな欲求があるんだとしたら。
これはこれで、少しだけ心が揺らぎそうな話だ。
裸の体に、あちこち紅い痕が残ってる。
嬉しくなりそうで、自分で自分が怖い。
求められる事が全てでは無いけれど。
腰にまで、薄いうっ血の痕がある。
「兄貴って、もの凄く…独占欲強いよなぁ。」
鏡越しに、苦笑いをした。
シャワーを終えて着替えを済ませ。
髪を乾かして、台所に行くと
『ケーキ可愛いサイズだな。今年のも綺麗に仕上がってて…ありがとうな。』
兄貴はエプロンを外しながら、俺を椅子までエスコートしてくれる。
こういう所ね、好きだなぁ。
ごく自然で、気取らない。
もう身についてしまっている事なんだよね。
「あの、もう…何とも思ってないからさ。兄貴も気にしないで?」
『いや、でも…俺も約束守れなかったのは本当に…。』
「俺ね、兄貴の自由を奪う存在にはなりたくないから。」
いつもの自分の席に座ると、兄貴がお手製のサンドイッチをふるまってくれた。
「兄貴、料理だってほんと上手くなったよね、よく一緒に料理してるからかな?」
嬉しかった、俺は単純だし。
ただ、この家に兄貴と何となく住めているだけで十分なんだろう。
『俺、星明をそんな風には思ってない。し、昨日は同級生が結婚するって言うのを
聞いたから、そのお祝いも兼ねていたんだ。』
手を合わせて兄貴とほぼ同時に、サンドイッチを食べ始めた。
厚焼き玉子がフワフワで、味も美味しい。
パンの内側に塗ってある、からしマヨネーズとも馴染んでいて
思わず兄貴の方を見て、何度も頷く。
兄貴も、俺の言いたい事が伝わってるみたいで
何度か頷いてくれる。
お気に入りのキャンディ紅茶が、ティーカップに注がれている。
俺の好きなもの、ちゃんと覚えててくれて
用意までしてくれる。
俺も兄貴も、兄弟でやっぱり同じ感覚なのがよく分かる。
だって、相手に喜んでもらいたいよね。
「美味しい~、俺の作り方と同じなんだよね?」
『うん、星明のお料理ノート見て覚えた。』
「でも、ちょっと違うんだよね。でも、それがまた良いんだよ…兄貴の味になってるんだろうね。」
『機嫌取ろうって事は無かったんだけど、その…朝方は無理させたから。お詫びと言うか、』
「ぇ、…あ、…ぅん……平気だよ。もぉ、思い出させないでよ…えっち…。」
妙な気恥ずかしさが込み上げて来て、頬っぺたが熱い。
兄貴は、俺が食べ終えるのをゆったりと頬杖をつきながら
待っていてくれる。
そんなに見られてると、食べづらいけど。
でも、兄貴は嬉しそうに俺を見ていてくれるから
何とも言えない気持ちになる。
この人の愛情の深さは、計り知れない。
ずっと、傍にいて欲しいなぁ。
俺は、ずっと兄貴の傍にいてもいいかな?
迷惑じゃない?
こんな言葉さえ、俺は今でも聞けずにいる。
どうしてそんなに優しく微笑むのか。
俺の恋愛感情は、芽生えた瞬間からずっと兄貴だけのものなんだ。
太陽の様に温かに俺を見守ってくれる存在。
月の満ち欠けは、兄貴と俺の秘密を知っている。
だってもう、体中…ね。
あんな直情的に抱かれたのは久し振りだったから少しだけ
身体はビックリしてるかもしれない。
兄貴は、ブランチを台所で作ってくれているみたい。
階段を降りて来る時、その…中から出て来たのがかなり
恥ずかしかった。
兄貴は、相変わらず優しくて心配もしてくれたんだけど。
こればっかりは自分で何とかしたかった。
どっちかと言えば、ちゃんとゴムする方だと思ってたけど近頃は
そうでも無くなって来てる気がする。
征服欲、かな?
一応、兄貴も男相手の俺にもまさか
そんな欲求があるんだとしたら。
これはこれで、少しだけ心が揺らぎそうな話だ。
裸の体に、あちこち紅い痕が残ってる。
嬉しくなりそうで、自分で自分が怖い。
求められる事が全てでは無いけれど。
腰にまで、薄いうっ血の痕がある。
「兄貴って、もの凄く…独占欲強いよなぁ。」
鏡越しに、苦笑いをした。
シャワーを終えて着替えを済ませ。
髪を乾かして、台所に行くと
『ケーキ可愛いサイズだな。今年のも綺麗に仕上がってて…ありがとうな。』
兄貴はエプロンを外しながら、俺を椅子までエスコートしてくれる。
こういう所ね、好きだなぁ。
ごく自然で、気取らない。
もう身についてしまっている事なんだよね。
「あの、もう…何とも思ってないからさ。兄貴も気にしないで?」
『いや、でも…俺も約束守れなかったのは本当に…。』
「俺ね、兄貴の自由を奪う存在にはなりたくないから。」
いつもの自分の席に座ると、兄貴がお手製のサンドイッチをふるまってくれた。
「兄貴、料理だってほんと上手くなったよね、よく一緒に料理してるからかな?」
嬉しかった、俺は単純だし。
ただ、この家に兄貴と何となく住めているだけで十分なんだろう。
『俺、星明をそんな風には思ってない。し、昨日は同級生が結婚するって言うのを
聞いたから、そのお祝いも兼ねていたんだ。』
手を合わせて兄貴とほぼ同時に、サンドイッチを食べ始めた。
厚焼き玉子がフワフワで、味も美味しい。
パンの内側に塗ってある、からしマヨネーズとも馴染んでいて
思わず兄貴の方を見て、何度も頷く。
兄貴も、俺の言いたい事が伝わってるみたいで
何度か頷いてくれる。
お気に入りのキャンディ紅茶が、ティーカップに注がれている。
俺の好きなもの、ちゃんと覚えててくれて
用意までしてくれる。
俺も兄貴も、兄弟でやっぱり同じ感覚なのがよく分かる。
だって、相手に喜んでもらいたいよね。
「美味しい~、俺の作り方と同じなんだよね?」
『うん、星明のお料理ノート見て覚えた。』
「でも、ちょっと違うんだよね。でも、それがまた良いんだよ…兄貴の味になってるんだろうね。」
『機嫌取ろうって事は無かったんだけど、その…朝方は無理させたから。お詫びと言うか、』
「ぇ、…あ、…ぅん……平気だよ。もぉ、思い出させないでよ…えっち…。」
妙な気恥ずかしさが込み上げて来て、頬っぺたが熱い。
兄貴は、俺が食べ終えるのをゆったりと頬杖をつきながら
待っていてくれる。
そんなに見られてると、食べづらいけど。
でも、兄貴は嬉しそうに俺を見ていてくれるから
何とも言えない気持ちになる。
この人の愛情の深さは、計り知れない。
ずっと、傍にいて欲しいなぁ。
俺は、ずっと兄貴の傍にいてもいいかな?
迷惑じゃない?
こんな言葉さえ、俺は今でも聞けずにいる。
どうしてそんなに優しく微笑むのか。
俺の恋愛感情は、芽生えた瞬間からずっと兄貴だけのものなんだ。
太陽の様に温かに俺を見守ってくれる存在。
月の満ち欠けは、兄貴と俺の秘密を知っている。
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