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⑫おかえり(ノビ視点)
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ずっと、冷えていた心がやっと少しずつ温まり始める。
実家から帰って、すぐにシャワーを浴びて浴槽に浸かる。
冷えて凝り固まっていた肌の奥のわだかまりが、スッと引いて行く気がした。
千寿が帰宅するまで、もう少し時間がある。
風呂から出たら、買い出しに行こう。
久し振りにゆっくりと時間を掛けて、食事を作りたい気分だった。
世はGWが終わり、人の行き来も少しだけ落ち着いている。
ティータイムにちょうどいい時間。
きっと今頃は、クロッカスにも和やかな時間が流れている頃だろう。
家の中、いや。
玄関を開けるだけで、すぐに自分にとっての居場所が
どこなのかを実感させられた。
陽の射しこむ明るい玄関、目にも鮮やかなグリーンの観葉植物は
千寿が大切に育てているパキラ。
居心地がいい。空間を共有できる相手ってのは、特別だ。
お通夜の後の通夜振る舞いで、親戚やいとこが結婚したり
子供を連れているのを見ると、思う所が無い訳でもない。
ただ、自分の世界には大きな変化を望まない。
自立して、暮らせているのであれば充分じゃないか。
「……。」
気にしてる時点で、負けてる気がした。
バスオイルの揮発した青い香りが爽やかで、
もう少しだけ浴槽に身を沈める事にした。
『ぇ、お帰り…もう帰ってたんだね。そっかぁ、』
千寿が家に居ると安心する。
「実家に居ても、しょうがないしな。」
『…久し振りなのに、そんな…。でも、お疲れ様。』
18時過ぎに帰宅した千寿は、既に出来上がった夕食を見て
嬉しそうに笑っている。
俺主体で、料理をするのは久し振りだったからだろう。
「暇すぎて、少しだけ作ってみた。」
『そんな軽い感じの?あー、でも何か食べたいって言ってたのに。』
「あの時は…、弱ってたからな。お前に甘えてたんだろ。」
千寿は肩に掛けていたデイパックをポールハンガーに掛けて
キッチンへとやって来た。
『久しぶり、なんて言ったらヘンかなぁ?』
ふわっとした笑顔で、距離を詰められる。
俺の安全圏であると、真に思う。
「こんな近くまで来て…。俺の顔でも忘れたか?」
『んー、どうだろう。もう少しで、危なかったカモ。』
相変わらず、良い匂いがする。
色香ではなくて、単純に勤め先のコーヒーの匂いや
パンの焼ける匂いや、グリルした香ばしい匂いが服にも
くっついている。
「お前の匂い、腹減って来るな。」
『…あ、そういう事か。ゴメン。先にお風呂入って来ようかな?』
「どっちでもいいけど、もう食べれる状態だぞ。」
『じゃ、後にする。ノビはもうお風呂入ったんだ?』
「そう。焼香の後だったからな。あ、お湯流したけど。」
『あ、そうなんだ。いいよ、大丈夫。』
【まったり続くのです】
実家から帰って、すぐにシャワーを浴びて浴槽に浸かる。
冷えて凝り固まっていた肌の奥のわだかまりが、スッと引いて行く気がした。
千寿が帰宅するまで、もう少し時間がある。
風呂から出たら、買い出しに行こう。
久し振りにゆっくりと時間を掛けて、食事を作りたい気分だった。
世はGWが終わり、人の行き来も少しだけ落ち着いている。
ティータイムにちょうどいい時間。
きっと今頃は、クロッカスにも和やかな時間が流れている頃だろう。
家の中、いや。
玄関を開けるだけで、すぐに自分にとっての居場所が
どこなのかを実感させられた。
陽の射しこむ明るい玄関、目にも鮮やかなグリーンの観葉植物は
千寿が大切に育てているパキラ。
居心地がいい。空間を共有できる相手ってのは、特別だ。
お通夜の後の通夜振る舞いで、親戚やいとこが結婚したり
子供を連れているのを見ると、思う所が無い訳でもない。
ただ、自分の世界には大きな変化を望まない。
自立して、暮らせているのであれば充分じゃないか。
「……。」
気にしてる時点で、負けてる気がした。
バスオイルの揮発した青い香りが爽やかで、
もう少しだけ浴槽に身を沈める事にした。
『ぇ、お帰り…もう帰ってたんだね。そっかぁ、』
千寿が家に居ると安心する。
「実家に居ても、しょうがないしな。」
『…久し振りなのに、そんな…。でも、お疲れ様。』
18時過ぎに帰宅した千寿は、既に出来上がった夕食を見て
嬉しそうに笑っている。
俺主体で、料理をするのは久し振りだったからだろう。
「暇すぎて、少しだけ作ってみた。」
『そんな軽い感じの?あー、でも何か食べたいって言ってたのに。』
「あの時は…、弱ってたからな。お前に甘えてたんだろ。」
千寿は肩に掛けていたデイパックをポールハンガーに掛けて
キッチンへとやって来た。
『久しぶり、なんて言ったらヘンかなぁ?』
ふわっとした笑顔で、距離を詰められる。
俺の安全圏であると、真に思う。
「こんな近くまで来て…。俺の顔でも忘れたか?」
『んー、どうだろう。もう少しで、危なかったカモ。』
相変わらず、良い匂いがする。
色香ではなくて、単純に勤め先のコーヒーの匂いや
パンの焼ける匂いや、グリルした香ばしい匂いが服にも
くっついている。
「お前の匂い、腹減って来るな。」
『…あ、そういう事か。ゴメン。先にお風呂入って来ようかな?』
「どっちでもいいけど、もう食べれる状態だぞ。」
『じゃ、後にする。ノビはもうお風呂入ったんだ?』
「そう。焼香の後だったからな。あ、お湯流したけど。」
『あ、そうなんだ。いいよ、大丈夫。』
【まったり続くのです】
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