【クソ彼氏から離れらんなくて】⑤クソ彼氏に振り回される日々。

あきすと

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クソ彼氏が、ただのイケメン彼氏でしかなかった日。

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またもや、クソ彼氏が夏の終わりごろから怪しい行動を開始した。
今に始まった事じゃないから、あんまり気にしないつもりでいたけど。
週末は、必ずいない。居て欲しい!って事も無いけど…実家に行ってるらしい。

なんだろう?気にはなる。ちょっと様子を見守る事にしましょうか。
仕事が終わった後に、実家に寄って、朝には帰って来る。
俺としては、何をしてても今更いう事もないし。
でも、一か月以上そんな生活をしている。何を考えてるのかも
想像がつかない。
土曜日は夕方には、朔が実家に行くから2人での予定もなんだか立てにくい。
デートなんかももう何年もしてないから、お互いが家に居ても
ただ空気みたいに存在している域まで行っている。

冗談みたいに、長し聞いていた、結婚したいなんて朔の言葉にも
思い返してみれば重みがあったのに。
束縛する気なんかも更々無いのに、今でも朔の行動が気になってるだなんて。
認めたくねぇ…。

休みの晩くらい、一緒に夕食食べてのんびり過ごしたい。と思っていたけど
毎日、そんな生活はしているのに。よくもまぁ…飽きもせずに。
もしかしたら、とは思いたくないけど朔の方が今の生活に飽きて来たのかなぁとさえ思う始末。
朔が実家に行ってる間は、メッセージもあんまり帰ってこない。
今から帰るー!ってのはちゃんと返してはくれるんだけど。
俺としては、夜の間に何をしているのかが気になるのに。
帰国してから3か月が経過して、一人寝が久しぶり。朔は自分の部屋が俺の部屋の隣でも
ほとんど、俺の部屋に帰って来る。

決して、広いとは言えないこの部屋で良い距離感を保って暮らしているのが
当たり前になって来た。
浮気していても、おかしくない気もするけど…
でも、信じたい心が強いから頭がそれを認めたがらない。
一本気な所もあるのも知っている。
いい加減な気持ちで、ずっと居た訳でもない。
朔には朔の、ちゃんとした道理も持ってはいるんだろう。

最近の週末は、ちょっとだけ寝不足なのは朔のせい。
朔の事を考えても考えてもキリがない。
この世で一番よく分からない彼氏なんだ。
朝になれば、ちゃんと帰って来て一緒に朝ごはんまで食べはする。
様子を見てる限りだと、疲れて帰って来てるのか。
肩とか首を気にしてるっぽい。
「マッサージしようか?」
と、聞いても
『んや、大丈夫~』って、笑ってごまかされる。
何か重いものでも持ったりしてるんだろうか。
和食の朝ごはんの日は、朔は結構嬉しそう。実家が寺なのもあるから
馴染むんだろうなぁと思う。
本当に、一体何しに帰ってるのか。そろそろ聞き出したいところではある。

『央未さ、来週末って休み?』
食器を片していると0距離程の近くまで、朔がくっ付いてくる。
そんなに近くに来なくても、聞こえてはいるんだけどね。
「…土曜も、確か休みだけど、どうした?朔」
『なぁんでもない…。いや、あるか。俺の実家に遊びにくる?』
「え?何だよ珍しい…。あんまり最近は行ってなかったのに何かあるの?」
『それは、言うと面白くないから…。』
何なんだろうか、このはっきりしない態度は。
でも、本当に朔が何かを考えているのだったら
「せっかくだから、お邪魔したいな。お姉さんたちにも久しぶりに会うし」
『俺の嫁として紹介しなくても、親父も姉貴も…央未の味方だから安全圏ではある。』

まさか、とは思うけど…今更カミングアウトとかする気なのかな?と、少しヒヤヒヤする。
「朔、何かよく分かんないけど…物事は穏便に頼むよ?」
『へぇー?なんで』
「人にはそれぞれ、心の準備って物があるだろ」
『ぁー。それは、さすがに考えてるよ。でも、俺も一生懸命がんばるからさ!央未に見てて欲しい』

んん?これ、会話が噛み合っているんだろうか。
でも、まぁ…大丈夫でしょ。うん、万事オッケーって事にしておこう。
「手首、痛めたのかよ朔…お前一体何してるんだよ、週末になる度に」
『これは、努力の証だから。』
「言いたくないんだったら、それでもいい。でも、無理はするな。」
『分かった。央未に言われちゃ…頷くしかないからさ。』
うん、うん、と数回頷いて朔は俺を抱き締める。
あ…、お線香の匂いがする。
朔は実家に行って帰って来るとすぐに分かる。
俺は、このお線香の匂いをくっつけて帰って来る朔が実は結構好きである。

跡を継げばよかったのに、もったいない。とは、思いつつも
言えない。朔の家には少なからず引け目と負い目がある。
俺も、また朔と離れる事は考えたくはない。
思ったよりも、朔の事を根深く慕っているのは解ってる。
ちょっと雑に抱き締めて、髪を荒く撫でる手が
もっと言えば、顔がものすごく…好きだ。
女受けする顔してても、意外と真面目で。俺を傍に置いてくれる情に
絆される。

朔は俺の生活の、いや…人生においての半分以上を占めている。
酔狂な性格だけど、愛おしいのは邪心が無いからかもしれない。

やっぱり、家で俺と一緒に居てくれる朔は…特別だ。
朔は、その週の夜は連日実家に寄ってから帰宅している。
俺はもう、何も聞かない事にした。
ちゃんと迎えれる様に準備すれば、朔はきっと喜ぶことを知っている。
すぐにお風呂に入って、さっぱりした朔は疲れからか
少しだけ、上の空だった。
俺が話しても、あんまり聞いちゃいない。週末の事が何か気がかりなのか。

相変わらず、朔と言う男は夜になればケロッとして俺と絡み合う様に
寝てしまう訳だが(その間の事は今回は言及しない)
何かをきっと頑張っているんだろう。
お疲れさま、朔…せめて、寝る時ぐらいは何もかもから解放されますように。
こめかみに、キスをして俺も夢の世界に落ちて行く。


「…やっば、俺の彼氏こんなにカッコよかったっけ?」
週末俺は、昼過ぎに一人で朔の家に行った。手土産を持って朔の家の玄関のチャイムを
鳴らした。すぐに、朔のお姉さんが赤ちゃんを抱っこして現れた。
「お久しぶりです、お姉さん。赤ちゃん…おめでとうございます。可愛い~、」
話には聞いていたものの、初めて対面する朔の甥っ子という事もあり
俺は、たまらない気持ちで嬉しかった。
朔のお父さんは、御堂に居るみたいでお姉さんの旦那さんは遅れて来るらしい。
「今日って、もしかして…」
朔の家に来る途中で聞こえた、笛や太鼓の音を思い出す。
「この地域の秋季祭禮ですか…、すっかり忘れてました。」
でも、お姉さんは朔は居ないから、もうちょっと待っててと言って
俺を朔の部屋に案内してくれた。

懐かしい。10年ほど前は夏祭りの時に来て。
よく風の通る部屋だ。
朔の匂いはかなり薄れてはしまっているけど、
記憶の中にはずっと残っている。
しばらくして、お姉さんがお茶を入れて来てくれた。
申し訳ないなぁと思いながら、俺は2人で話しながらお茶をした。
今年は、朔の家でかなりの花を打つらしくて是非見て行って欲しいと言われた。

小学生の時は、俺も獅子舞の練習に行ったりしてたけど
親が家を空ける事が多くて、留守番をしてて欲しいからと。
数年でやめる事になった。朔は、もう参加してないんだろうな。

そう、思って来てたものだから朔の家の前の広い敷地内で
獅子舞が披露された時、俺は目を疑った。

はぁーーーーーー!?
何か。あれ、絶対…獅子頭やってるの朔なんだけど!!!!
「やばいー…祭りのせいで3割増しで良く見える…!」
俺は、お姉さんや、朔のお父さん、他の観客からは少し離れた所で
めちゃくちゃ朔ばっかりガン見して、内心興奮してた(かなりね)
こ、れ、は…!ずるい!!!(まぁ、ずるいと言うか何と言うか)
いつも、アホなことばっかり言って俺をこまらせる朔、では無く見える。
脚絆がめっちゃカッコイイ…あー、まさか朔でこんなにも満たされる日が
来るとは…。えー、めっちゃ眼福です。
しかもしっかりと家族にカッコイイ姿を見せつけて…朔ってなかなか
やりおる。
俺も、見せつけられてんだよね、コレ。
うんうん、しっかり朔の思い通りの。いや、思った以上に効果が高いのを
やってくれてると思う。

朔ばっかり見てるのに真剣で、他の情報が全然入ってこなかった。

長時間の舞(振り)になるから、途中で朔は他の人と交代してた。
水を朔のお父さんからもらって、一気に飲み、手の甲で拭うと
俺を見つけて、朔は駆け寄って来た。

『ごめんな、せっかく来てくれたのに。俺まだ回らないといけないから。
央未、適当に帰っても良いし、泊ってっていい。好きにして』
「…朔は、これを俺に見せたかったんだなぁ。」
『うん。3年ぶりだからさー、ブランクあったし、真面目に練習してた。』
「俺が辞めた後も、朔はずっと続けてたんだな。」
『…せっかく覚えたのは、辞められなかったし。好きだからさ。』

もー!!朔のこういう所。なぁんできゅうにそんな一途なんだよ。
あーあ、また好きになるだけだから。ほんと、朔ってば意外性の塊みたいな男だと
俺は改めて思う。
「お前、写真撮られまくってたぞ。」
『ぁー、あっつい…。これさ、夜中までやるんだからさ。明日は俺あんまり動けないかも。』
「泊まるのは、お姉さんに悪いから。頃合い見て帰るよ。」
『そっかぁ、んじゃ、気をつけて帰れよ?』
へらへらと笑って、軽く朔が手を振る。
もう、仲間の方に戻るのだろう。

「朔…!」
朔は、ゆっくりと振り返る。
『……』
「ちゃんと、カッコ良かった。」
それだけ伝えると、朔は満面の笑顔で拳を上に振り上げた。



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