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ダークヒーローに攫われたいお年頃
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私の名前はシエラ・レイル。
私は今現在私の父、シエラ・デルジに今回の婚約を破棄させている真っ最中であった。
「我が娘よ・・・今・・・なんと言った?」
「父様!私は何度でも申し上げます!この婚約をお断りし、イヴァン様と結婚をします!」
「馬鹿なことを言うんでない!!我は知っているぞ!そのイヴァンなる男は悪い噂の立つ極悪人という事くらい!」
私の父が言ったことは正しい。だが私はこの屋敷の婚約令嬢になるよりイヴァン様の隣で添い遂げたい。その気持ちは絶対に揺らがない。
「お父様になんと言われようと!私は結婚する気はさらさらありません!それに1度もあったことの無い男爵様と勝手に婚約させるなんてどうかしてます!!」
「それは!お前の為であったからだ!」
「嘘はやめてください!自分の私利私欲の為だと私は知っています!」
「き!貴様……!」
父は口をもごもごさせ、それ以上は言ってこない…どうやら図星のようみたいだ、流石我が父だ、やはり自分のこと以外頭にないらしい、これは悪党よりもたちの悪い。
「えぇい!近衛兵よ!!」
父は大声で叫ぶと後ろから数十人もの兵士達が私を取り囲むように覆う。
「お前には悪いが少しの間身柄を拘束させる!」
「お父様!!」
「お前が結婚する相手は我が屋敷に莫大な恩恵を与える!どの道お前には選択権がないのだよ!!」
「……!!やはり下劣極まりないです!」
これが我が父の本性、醜く汚らしい権力に溺れた哀れな男だ。だから私の母が帰ってこなかったのも納得出来る。
「早くそいつを拘束し!牢にぶち込んでおけ!!」
「いや!離して!!」
兵士達は私を押さえつけるように両手を掴み、身動きの出来ない体勢にされた。
「連れて行け!」
実の娘をなんの躊躇いもなく牢に入れるなんて……本当に欲望の塊なんだと私は憂えた。
「その女を離してもらおうか?」
「……!!その声!貴様!」
「イヴァン様!!」
出口に繋がる廊下から、漆黒のローブを纏い、白い髪と白い肌を持ち、蒼く揺らめく瞳をした極悪人……イヴァンが現れたのだ。
「何をしている!!早くあやつをひっ捕らえよ!!」
父は近衛兵達に指示を出す、数人は私の拘束をしたまま待機し、残りの者は一斉にイヴァンの元へ接近する。
「うおらああああ!」
兵士の1人が先陣を切って攻撃を仕掛ける。
「そんな生ぬるい速さで俺に当てられると?」
イヴァンは軽やかに兵士の攻撃を避け、腰に刺した剣を抜いて横に払う。
「ぐあ!」
兵士は断末魔の後に首から血を吹き出しながら倒れる。
「さぁ、そいつからその汚ぇ手を離してもらおうか!」
私まで一直線に走るイヴァン。それを阻止するべく兵士達は立ちはだかるが、美しい剣さばきであっという間に兵士達を倒す。
「ひっ!」
恐れをなした兵士は私の拘束を解いて後ろへ後退する。
「きさまら!!何故戦わぬ!!逃げるな!!」
そんな父の言葉に言うことを聞かない兵士達はそのまま元来た場所へ逃げ去る。
「くそ!使えない奴らめ!」
「シエラ令嬢は頂いていくぜ?」
イヴァンは私をお姫様抱っこし、屋敷の外へ出る為走り去る。
「シエラ……!!絶対に取り返してやるからな…!!」
そんな捨て台詞を吐いていた父を、私は笑いながら聞き流した。
私は今現在私の父、シエラ・デルジに今回の婚約を破棄させている真っ最中であった。
「我が娘よ・・・今・・・なんと言った?」
「父様!私は何度でも申し上げます!この婚約をお断りし、イヴァン様と結婚をします!」
「馬鹿なことを言うんでない!!我は知っているぞ!そのイヴァンなる男は悪い噂の立つ極悪人という事くらい!」
私の父が言ったことは正しい。だが私はこの屋敷の婚約令嬢になるよりイヴァン様の隣で添い遂げたい。その気持ちは絶対に揺らがない。
「お父様になんと言われようと!私は結婚する気はさらさらありません!それに1度もあったことの無い男爵様と勝手に婚約させるなんてどうかしてます!!」
「それは!お前の為であったからだ!」
「嘘はやめてください!自分の私利私欲の為だと私は知っています!」
「き!貴様……!」
父は口をもごもごさせ、それ以上は言ってこない…どうやら図星のようみたいだ、流石我が父だ、やはり自分のこと以外頭にないらしい、これは悪党よりもたちの悪い。
「えぇい!近衛兵よ!!」
父は大声で叫ぶと後ろから数十人もの兵士達が私を取り囲むように覆う。
「お前には悪いが少しの間身柄を拘束させる!」
「お父様!!」
「お前が結婚する相手は我が屋敷に莫大な恩恵を与える!どの道お前には選択権がないのだよ!!」
「……!!やはり下劣極まりないです!」
これが我が父の本性、醜く汚らしい権力に溺れた哀れな男だ。だから私の母が帰ってこなかったのも納得出来る。
「早くそいつを拘束し!牢にぶち込んでおけ!!」
「いや!離して!!」
兵士達は私を押さえつけるように両手を掴み、身動きの出来ない体勢にされた。
「連れて行け!」
実の娘をなんの躊躇いもなく牢に入れるなんて……本当に欲望の塊なんだと私は憂えた。
「その女を離してもらおうか?」
「……!!その声!貴様!」
「イヴァン様!!」
出口に繋がる廊下から、漆黒のローブを纏い、白い髪と白い肌を持ち、蒼く揺らめく瞳をした極悪人……イヴァンが現れたのだ。
「何をしている!!早くあやつをひっ捕らえよ!!」
父は近衛兵達に指示を出す、数人は私の拘束をしたまま待機し、残りの者は一斉にイヴァンの元へ接近する。
「うおらああああ!」
兵士の1人が先陣を切って攻撃を仕掛ける。
「そんな生ぬるい速さで俺に当てられると?」
イヴァンは軽やかに兵士の攻撃を避け、腰に刺した剣を抜いて横に払う。
「ぐあ!」
兵士は断末魔の後に首から血を吹き出しながら倒れる。
「さぁ、そいつからその汚ぇ手を離してもらおうか!」
私まで一直線に走るイヴァン。それを阻止するべく兵士達は立ちはだかるが、美しい剣さばきであっという間に兵士達を倒す。
「ひっ!」
恐れをなした兵士は私の拘束を解いて後ろへ後退する。
「きさまら!!何故戦わぬ!!逃げるな!!」
そんな父の言葉に言うことを聞かない兵士達はそのまま元来た場所へ逃げ去る。
「くそ!使えない奴らめ!」
「シエラ令嬢は頂いていくぜ?」
イヴァンは私をお姫様抱っこし、屋敷の外へ出る為走り去る。
「シエラ……!!絶対に取り返してやるからな…!!」
そんな捨て台詞を吐いていた父を、私は笑いながら聞き流した。
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