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4 おそろい 🧸
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朝の通勤で使っている電車で、みやびと同じ車両になった。立っている乗客がかなり多いが、満員電車というわけでもない。みやびは乗車口の傍に立って、窓の外をぼんやりと眺めていた。
高校の制服が眩しい。
高校生である時間なんてほんの三年、大人になってしまった僕にとってはあっという間だ。
みやびはその儚い時間を生きている、綺麗な生き物だ。JKなんて単語でくくってしまうのは、もしかしたらもったいないくらいの──なんて、朝からよくわからないことを考えているのは、僕も疲れているのかもしれない。
最近残業続きだった。けれど昨夜帰宅したら嬉しいことがあったので生き返った。
みやびがポストにクッキーの差し入れをしてくれていた。そのことに対して一言礼を言うべきだろう。
「おはよう、みやび」
揺れる電車の乗客の隙間を縫うようにして、みやびの立っているところまで行く。
「同じ電車に乗るなら、そう言ってよね」
突然声を掛けられて、みやびは少し目を大きくした。
「え、いつ言えば」
というか、言う必要があったのだろうか。
「クッキー、食べた?」
「ああ、旨かったよ。わざわざありがとう」
「べ、別にわざわざとかじゃないんだからねっ。ついでよ、ついで」
何のついでなのだろう?
「ついでに、手紙も書いてくれた?」
「そう、ついでなの。勘違いしないで」
「なんの、勘違い?」
「なんでもいいけど」
みやびはツンと僕から顔をそらし、また窓の外の景色を見た。特に面白くもない景色が流れてゆくだけなのに、なんでそんなに外を見るのだろう。僕と一緒にいるのがつまらないのかもしれない、と思いそこから離れようとした。
「どこ行くのよ。ここにいて」
「えっ」
どきりとした。甘えるような口調ではないが、僕がいなくなることに対して不満を抱いているのはわかった。
「痴漢対策。オジサンでも、傍にいたら少しは役に立つでしょ」
オジサン、なんて僕のことを呼んで、みやびはくすりと笑った。その笑顔が小悪魔的で、僕はまたどきりとした。
そりゃみやびからしたらオジサンかもしれない。わかってるけど名前は呼んでもらえないらしい。そもそもみやびは僕の名前を知っているのだろうか。
「宮田さんでしょ」
「あ、知ってたんだ」
「みやびと似てるから、忘れない。お揃いね」
みやびはまたツンと顔をそらしたが、何故か耳が少し赤かった。
高校の制服が眩しい。
高校生である時間なんてほんの三年、大人になってしまった僕にとってはあっという間だ。
みやびはその儚い時間を生きている、綺麗な生き物だ。JKなんて単語でくくってしまうのは、もしかしたらもったいないくらいの──なんて、朝からよくわからないことを考えているのは、僕も疲れているのかもしれない。
最近残業続きだった。けれど昨夜帰宅したら嬉しいことがあったので生き返った。
みやびがポストにクッキーの差し入れをしてくれていた。そのことに対して一言礼を言うべきだろう。
「おはよう、みやび」
揺れる電車の乗客の隙間を縫うようにして、みやびの立っているところまで行く。
「同じ電車に乗るなら、そう言ってよね」
突然声を掛けられて、みやびは少し目を大きくした。
「え、いつ言えば」
というか、言う必要があったのだろうか。
「クッキー、食べた?」
「ああ、旨かったよ。わざわざありがとう」
「べ、別にわざわざとかじゃないんだからねっ。ついでよ、ついで」
何のついでなのだろう?
「ついでに、手紙も書いてくれた?」
「そう、ついでなの。勘違いしないで」
「なんの、勘違い?」
「なんでもいいけど」
みやびはツンと僕から顔をそらし、また窓の外の景色を見た。特に面白くもない景色が流れてゆくだけなのに、なんでそんなに外を見るのだろう。僕と一緒にいるのがつまらないのかもしれない、と思いそこから離れようとした。
「どこ行くのよ。ここにいて」
「えっ」
どきりとした。甘えるような口調ではないが、僕がいなくなることに対して不満を抱いているのはわかった。
「痴漢対策。オジサンでも、傍にいたら少しは役に立つでしょ」
オジサン、なんて僕のことを呼んで、みやびはくすりと笑った。その笑顔が小悪魔的で、僕はまたどきりとした。
そりゃみやびからしたらオジサンかもしれない。わかってるけど名前は呼んでもらえないらしい。そもそもみやびは僕の名前を知っているのだろうか。
「宮田さんでしょ」
「あ、知ってたんだ」
「みやびと似てるから、忘れない。お揃いね」
みやびはまたツンと顔をそらしたが、何故か耳が少し赤かった。
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