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42王位継承
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「ク、クレイス殿下!?」
王城の厨房に突然現れたクレイスに、料理人達は慌てて料理の手を止め、膝をつこうとする。
「突然訪ねてしまってすまない。かしこまる必要はない。料理を続けてくれ」
「殿下がそうおっしゃるなら。お前ら、手を休めるな!」
「「「「はい!」」」」
「それで、どうして殿下がこんなところに?」
「今日は私にとって大切な式典だからな。その後の晩餐会の料理の出来も見ておきたいのだ」
「なるほど、そういうことでしたか。でしたら、そちらに並んでおりますものが、すでに完成したものです」
「ありがとう。食器はどれを使うつもりだ?」
「それはあちらの棚に入っている最上級の物を」
「上出来だ。念のため確認させてもらうが、問題ないか?」
「当然でございます」
「ありがとう。お前も料理に戻ってくれ。最高のものを期待している」
「っっっ! はいっ! 必ずやご満足いただけるものをご用意させていただきます!」
感極まる料理長を置いて、クレイスは食器が入っている棚に向かい、その食器に手をかざす。いくつか食器を手にとって確認した後、クレイスは厨房を後にした。
***
「――――ですから、この1年間のクレイス殿下の行動は、病によるものだったと考えられます。そして、現在クレイス殿下の病は完治していると、私はここに宣言します」
(ふう。これで良いかしら? 本当は精神疾患じゃなさそうだったし、完治もなにもないんだけど)
「この通り、医学の祖であるエミリアが、我が息子クレイスの完治を宣言した。何か異論のある者はおるか!」
王の呼びかけに、集まった貴族たちは首を振る。皆、ここでクレイスがまともな状態に戻ったことが認められ、クレイスが順当に王位を継承すれば、大きな争いなく次の王が決まることがわかっているのだ。
「では、今この時を持って、我が息子クレイスの一連の行為を不問とする。クレイスよ、これからは次期王として、恥じぬふるまいをするように」
「はい。もちろんです父上」
「うむ。ではこれにて公開診察を終了する。続いてだが、私は近く王位をこのクレイスに譲ろうと思っている」
「なんだって……?」
「そんな……」
「陛下はまだお若いと思いますが……」
「まだ退位されるには早い気が……」
王の言葉に、会場の貴族たちがにわかに騒がしくなる。王がそれを手で制すると、会場は水を打ったように静まり返った。
「皆の気持ちは嬉しい。しかし、私は先日のコ◯ナの後遺症で、あまり頭が働かない状態が続いている。このままでは、この国を正しく導くこともままならない」
「コ◯ナってなんだ?」
「あれだろ? 王城が閉鎖されてた期間に王城内で流行していたという感染症だろ?」
「後遺症なんてあるのか……恐ろしい」
「しかし、エミリア様のおかげで王城の外には広がらなかったらしいぞ」
「流石救国の聖女様だな」
再び騒然となった会場を、王が手で制する。静かになったところで、王は言葉を続けた。
「皆も知っての通り、コ◯ナはエミリアによって王城外には広まらなかった感染症だ。しかし、私を含め王城にいたほとんどの者は感染した。そして、一部には私のように後遺症が残った者もいる」
「しかし、エミリア様なら後遺症も直せるんじゃないか?」
「だよな? だってそのコ◯ナって感染症も知ってたみたいだし、後遺症を治せてもおかしくない」
会場からの声に、王の視線がエミリアに向く。
「残念ですが、後遺症を治す方法は私もまだ探しているところですわ。特に、頭に影響がある場合、今のところは自然に治るのを待つしかありませんの」
「と、言うことだ。つまり、私の頭がいつまでこのままなのかは誰にもわからんということだ。そのような者が玉座に座っていては、有事の際に適切な判断ができず、国を滅ぼしかねん」
今度は、王の言葉を否定する声は無かった。王の言葉に決意が感じられ、本心から国のことを考えている事が伝わったからだろう。
「それ故の、クレイスへの王位継承だ。クレイス、受けてくれるな?」
「はい。謹んでお受けいたします」
「うむ。では準備ができ次第、クレイスへの王位継承の儀を行う。また連絡するゆえ、その際は再び王城に集まってくれ」
自分の言葉に異を唱える者がいないことを確認した王は、大きく頷く。
「これから晩餐会に移る。今日は新たな王が決まっためでたい日だ。皆、好きなだけ食べて飲むがいい!」
「「「「「おおおっ!」」」」」
王の言葉で会場にはたくさんの料理が運ばれてきた。そして、すぐにエミリアの周りには人だかりができる。貴族たちの質問攻めにあったエミリアは、結局ほとんど何も口にできないまま晩餐会を終えたのだった。
***
「………………もう一回言ってちょうだい」
「エミリア様が戻ってきたのとほぼ同時期に、国中の貴族が熱病で倒れたのです。次いで、今日までに、国中の街で熱病で倒れる者が続出しておるのです」
「それは確かな情報なのね?」
「ええ、間違いありませんぞ。なにせ、私やエミリア様の教え子たちからの報告ですからな」
公爵領の戻り、アウレリアノからの報告を聞いたエミリアは顔をしかめる。
「まずいわね……」
(何でまたコ◯ナが? いや、まだコ◯ナだって決まったわけでもないか……でも、インフルエンザだとすれば、もうこの世界で流行っている型のワクチン接種は大半の国民は済ませてる。なのに熱病で倒れる、というのは考えにくい。となると、やっぱり……)
「エミリア様?」
「ごめんなさい。今回の件、一番近い患者はどこ?」
「それは……ここですな」
「わかったわ。イリス、馬を――」
言いかけて、イリスはもう隣にいないことを思い出す。
「エミリア様、馬ですか?」
「ジュード様! ええ、馬ですわ!」
しかし、今はイリスの代わりにジュードがいる。
「お任せ下さい」
エミリアはジュードが操る馬の前に乗り、一番近くの患者のところに到着する。さっそく解析の魔法を使ったエミリアは、表情を険しくする。
「コ◯ナですわ。まずいですわね……」
(なぜこんなに爆発的に国中に発生したか、ってことはこの際後ね。今はとにかくまだ健康な人へのワクチン接種と、発症者への薬の処方、それから……)
「ジュード様、魔法で国中に同じ手紙を届けることは可能かしら?」
「ふむ……流石に同時には難しいですね。手紙を複製し、1つずつ魔法で届けることは可能ですが……」
「それで十分ですわ。今から言う内容の手紙を魔法で複製して、国中の弟子たちに送って下さいまし!」
「エミリア様!」
エミリアがジュードに手紙の内容を伝えようとしたタイミングで、エミリアを追ってきた兵士が割り込んできた。
「なんですか、今はそれどころでは――」
「申し訳ありません。ですがこちらも至急お呼びするように言われておりまして。クレイス王代理陛下がおよびです」
「…………クレイス王代理陛下?」
エミリアは首を傾げながらも、兵士に言われるまま王城に向かうことになってしまった。
王城の厨房に突然現れたクレイスに、料理人達は慌てて料理の手を止め、膝をつこうとする。
「突然訪ねてしまってすまない。かしこまる必要はない。料理を続けてくれ」
「殿下がそうおっしゃるなら。お前ら、手を休めるな!」
「「「「はい!」」」」
「それで、どうして殿下がこんなところに?」
「今日は私にとって大切な式典だからな。その後の晩餐会の料理の出来も見ておきたいのだ」
「なるほど、そういうことでしたか。でしたら、そちらに並んでおりますものが、すでに完成したものです」
「ありがとう。食器はどれを使うつもりだ?」
「それはあちらの棚に入っている最上級の物を」
「上出来だ。念のため確認させてもらうが、問題ないか?」
「当然でございます」
「ありがとう。お前も料理に戻ってくれ。最高のものを期待している」
「っっっ! はいっ! 必ずやご満足いただけるものをご用意させていただきます!」
感極まる料理長を置いて、クレイスは食器が入っている棚に向かい、その食器に手をかざす。いくつか食器を手にとって確認した後、クレイスは厨房を後にした。
***
「――――ですから、この1年間のクレイス殿下の行動は、病によるものだったと考えられます。そして、現在クレイス殿下の病は完治していると、私はここに宣言します」
(ふう。これで良いかしら? 本当は精神疾患じゃなさそうだったし、完治もなにもないんだけど)
「この通り、医学の祖であるエミリアが、我が息子クレイスの完治を宣言した。何か異論のある者はおるか!」
王の呼びかけに、集まった貴族たちは首を振る。皆、ここでクレイスがまともな状態に戻ったことが認められ、クレイスが順当に王位を継承すれば、大きな争いなく次の王が決まることがわかっているのだ。
「では、今この時を持って、我が息子クレイスの一連の行為を不問とする。クレイスよ、これからは次期王として、恥じぬふるまいをするように」
「はい。もちろんです父上」
「うむ。ではこれにて公開診察を終了する。続いてだが、私は近く王位をこのクレイスに譲ろうと思っている」
「なんだって……?」
「そんな……」
「陛下はまだお若いと思いますが……」
「まだ退位されるには早い気が……」
王の言葉に、会場の貴族たちがにわかに騒がしくなる。王がそれを手で制すると、会場は水を打ったように静まり返った。
「皆の気持ちは嬉しい。しかし、私は先日のコ◯ナの後遺症で、あまり頭が働かない状態が続いている。このままでは、この国を正しく導くこともままならない」
「コ◯ナってなんだ?」
「あれだろ? 王城が閉鎖されてた期間に王城内で流行していたという感染症だろ?」
「後遺症なんてあるのか……恐ろしい」
「しかし、エミリア様のおかげで王城の外には広がらなかったらしいぞ」
「流石救国の聖女様だな」
再び騒然となった会場を、王が手で制する。静かになったところで、王は言葉を続けた。
「皆も知っての通り、コ◯ナはエミリアによって王城外には広まらなかった感染症だ。しかし、私を含め王城にいたほとんどの者は感染した。そして、一部には私のように後遺症が残った者もいる」
「しかし、エミリア様なら後遺症も直せるんじゃないか?」
「だよな? だってそのコ◯ナって感染症も知ってたみたいだし、後遺症を治せてもおかしくない」
会場からの声に、王の視線がエミリアに向く。
「残念ですが、後遺症を治す方法は私もまだ探しているところですわ。特に、頭に影響がある場合、今のところは自然に治るのを待つしかありませんの」
「と、言うことだ。つまり、私の頭がいつまでこのままなのかは誰にもわからんということだ。そのような者が玉座に座っていては、有事の際に適切な判断ができず、国を滅ぼしかねん」
今度は、王の言葉を否定する声は無かった。王の言葉に決意が感じられ、本心から国のことを考えている事が伝わったからだろう。
「それ故の、クレイスへの王位継承だ。クレイス、受けてくれるな?」
「はい。謹んでお受けいたします」
「うむ。では準備ができ次第、クレイスへの王位継承の儀を行う。また連絡するゆえ、その際は再び王城に集まってくれ」
自分の言葉に異を唱える者がいないことを確認した王は、大きく頷く。
「これから晩餐会に移る。今日は新たな王が決まっためでたい日だ。皆、好きなだけ食べて飲むがいい!」
「「「「「おおおっ!」」」」」
王の言葉で会場にはたくさんの料理が運ばれてきた。そして、すぐにエミリアの周りには人だかりができる。貴族たちの質問攻めにあったエミリアは、結局ほとんど何も口にできないまま晩餐会を終えたのだった。
***
「………………もう一回言ってちょうだい」
「エミリア様が戻ってきたのとほぼ同時期に、国中の貴族が熱病で倒れたのです。次いで、今日までに、国中の街で熱病で倒れる者が続出しておるのです」
「それは確かな情報なのね?」
「ええ、間違いありませんぞ。なにせ、私やエミリア様の教え子たちからの報告ですからな」
公爵領の戻り、アウレリアノからの報告を聞いたエミリアは顔をしかめる。
「まずいわね……」
(何でまたコ◯ナが? いや、まだコ◯ナだって決まったわけでもないか……でも、インフルエンザだとすれば、もうこの世界で流行っている型のワクチン接種は大半の国民は済ませてる。なのに熱病で倒れる、というのは考えにくい。となると、やっぱり……)
「エミリア様?」
「ごめんなさい。今回の件、一番近い患者はどこ?」
「それは……ここですな」
「わかったわ。イリス、馬を――」
言いかけて、イリスはもう隣にいないことを思い出す。
「エミリア様、馬ですか?」
「ジュード様! ええ、馬ですわ!」
しかし、今はイリスの代わりにジュードがいる。
「お任せ下さい」
エミリアはジュードが操る馬の前に乗り、一番近くの患者のところに到着する。さっそく解析の魔法を使ったエミリアは、表情を険しくする。
「コ◯ナですわ。まずいですわね……」
(なぜこんなに爆発的に国中に発生したか、ってことはこの際後ね。今はとにかくまだ健康な人へのワクチン接種と、発症者への薬の処方、それから……)
「ジュード様、魔法で国中に同じ手紙を届けることは可能かしら?」
「ふむ……流石に同時には難しいですね。手紙を複製し、1つずつ魔法で届けることは可能ですが……」
「それで十分ですわ。今から言う内容の手紙を魔法で複製して、国中の弟子たちに送って下さいまし!」
「エミリア様!」
エミリアがジュードに手紙の内容を伝えようとしたタイミングで、エミリアを追ってきた兵士が割り込んできた。
「なんですか、今はそれどころでは――」
「申し訳ありません。ですがこちらも至急お呼びするように言われておりまして。クレイス王代理陛下がおよびです」
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