12 / 406
第一章「いきなり冒険者」
第9話「救出! 猫娘」
しおりを挟む
システィーナの様態が安定したことを見届け、オレは再び洞窟へと足を向けた。
「ノゾミ、また洞窟に行くのか。少し休んだ方が……」
アランが心配そうにオレの顔をのぞき込む。
「大丈夫だ。ニャンの場所はだいたい分かっている」
先程戻る時にニャンらしき反応を確認している。その時はシスティーナの方が優先だったので後回しにしていたが、本来なら彼女の救出が大事だ。
ロープを持ち、アランとオットーを連れて洞窟内を進む。
今度はマザーさんのナビもあるから迷うことはない。
十分もしないうちにオレが落ちたのとは別の大穴にたどり着いた。
「この下で反応があった」
見えにくいが、反応からしてこの辺りにいるはずだ。
くそう暗視の能力があれば。
悔やんでもない物は仕方ない。
「下の方に……いた!」
アランが声を上げる。岩くぼみに少女が倒れていた。体中傷だらけだった。おそらくは吸血コウモリに襲われたのだろう。
「ノゾミ、君をあそこまでロープで降ろす。彼女をお願いできるか?」
アランが聞いてくる。
オレの答えは当然決まっていた。
頷くとロープを手に取った。
「よーし、ゆっくりと降ろしてくれ」
オレの号令に合わせてゆっくりと体が降りていく。ニャンは岩肌に引っかかるようにして気絶していた。その手には虹色に光る花がにぎられている。
彼女はこの花のために命がけで洞窟に入り込んだのだ。
オレは虹色の花を袋に入れ、ニャンの体にロープを結ぶ。そして彼女の体をしっかりと抱きしめた。
「ふにゃあ……誰にゃ?」
ニャンが目を覚ました。
「オレの名はノゾミ、君を助けに来たんだ」
「そうかにゃ、薬草は?」
「大丈夫。ここにある」
オレはニャンを安心させるように笑いかける。
「良かったにゃ!」
ニャンは安心したように目を閉じる。
「つかんだぞ。上げてくれ!」
声に合わせて、オレとニャンの体が上へと上がっていく。
こうして長かった救出劇は無事成功した。
無事とは言えないか……オレ一回死んでるし。
◆ ◆ ◆ ◆
救出は結局、夕方すぎまでかかってしまった。
深夜までかけて誰も入れないように柵を作る。
村人全員で徹夜の作業だ。マヤも炊き出しや何やらで村人を手伝っていた。小さな体で一生懸命に働く姿は見ていて微笑ましかった。
翌日は疲労のせいで、村人のほぼ全員が昼過ぎまで眠ってしまった。
オレもその例にもれず。昼過ぎまで爆眠してしまいましたよ。そりゃもうぐっすりです。
システィーナや、ニャンはまだ眠っているそうだ。薬を飲ませたミャンも快方に向かっているということだった。
ミーシャは昨日からずっと看病につきっきりだ。後で顔を出してみよう。
結局、オレたちは猫人族の村にもう一泊することにした。
早く出発したかったのだが、今夜に村人たちがオレたちへの感謝を込めて宴をひらいてくれることになったのだ。
薬の調合とか色々と興味があったのでミーシャの所に行きたかったのだが、アランたちがオレを行かせてくれなかった。
村人たちの振る舞う料理は質素だがとても美味しい。
酒もふるまわれている。オレは未成年……なのか?
酒の味はよくわからないし興味もなかったので、果実ジュースを飲んでいる。
功労者ということで、目を覚ましたシスティーナも出席していた。
彼女は辞退していたらしいが、村人たちが強引に連れてきたようだ。
昨日以来システィーナとはしっかりと話ができていない。
オレのミスで彼女には大変なことをしてしまった。
きっとオレのことを怒っているだろう。
「システィーナ」
「ひゃい!」
オレが声をかけるとシスティーナが飛び上がった。
真っ赤になりながらオレを睨みつけてくる。
まだ、怒っているのか……それも当然だ。
「すまなかった!」
オレは頭を下げる。
「そんなことは……ない。私も……助けてもらったし」
システィーナは下を向き震えながら言葉を絞り出した。
うむむ。まだ激オコ中らしいぞ。
オレはまだ許されていないらしい。
「ノソミ……できれば……今夜二人っきりで……話を……!」
真っ赤になりながらオレの肩をつかんできた。
まさか。この後、聖騎士の洗礼が待っているのか!
聖騎士恐るべし!
村人の前ではできないような体罰が待っているのだろうか。
聖騎士の私に怪我をさせるとは何事だ! 的な。
怒りに震えているであろう聖騎士にオレはおびえる。
――怖い。聖騎士怖い。
このままだと、交易都市キリムに着いたら逮捕されそうだ。
その時、救いの女神……ではなくアランが現れた。
「ノゾミ! 本当にすみゃなかった!」
こちらは泥酔してる。どんだけ飲まされたんだ。
オットーも後ろにいたが手に負えないとさじを投げていた。
ミーシャがいれば対処もできたかもしれないが、酔ったアランは手がつけられない。
「あーあー、分かったからとりあえず向こうで飲もう!」
アランに肩を貸し空いている席へと向かう。
「あっ……」
システィーナの声が聞こえたがとりあえず無視。
ここでつかまると大変なことになりそうだ。
「システィーナ様どうぞこちらへ!」
村人たちがシスティーナを取り囲む。
ナイス村人ABC!
オレは村人たちに感謝しながらその場を離れていった。
「お兄ちゃん大変だったね!」
マヤが果実ジュースを片手に手を振ってくる。
おお、心のオアシス。
マヤの優しい笑顔がオレの心にしみわたる。
「お兄ちゃん。昨日は本当にご苦労様」
マヤとは感覚を共有している。離れていても昨日のことはマヤには筒抜けだ。
オレの苦労をマヤは理解してくれている。
「後でたっぷり反省会ね!」
にこやかな笑顔で悪魔のようなことをのたまった。
オレの安息の地は……どこにあるんだ?
「ノゾミ、また洞窟に行くのか。少し休んだ方が……」
アランが心配そうにオレの顔をのぞき込む。
「大丈夫だ。ニャンの場所はだいたい分かっている」
先程戻る時にニャンらしき反応を確認している。その時はシスティーナの方が優先だったので後回しにしていたが、本来なら彼女の救出が大事だ。
ロープを持ち、アランとオットーを連れて洞窟内を進む。
今度はマザーさんのナビもあるから迷うことはない。
十分もしないうちにオレが落ちたのとは別の大穴にたどり着いた。
「この下で反応があった」
見えにくいが、反応からしてこの辺りにいるはずだ。
くそう暗視の能力があれば。
悔やんでもない物は仕方ない。
「下の方に……いた!」
アランが声を上げる。岩くぼみに少女が倒れていた。体中傷だらけだった。おそらくは吸血コウモリに襲われたのだろう。
「ノゾミ、君をあそこまでロープで降ろす。彼女をお願いできるか?」
アランが聞いてくる。
オレの答えは当然決まっていた。
頷くとロープを手に取った。
「よーし、ゆっくりと降ろしてくれ」
オレの号令に合わせてゆっくりと体が降りていく。ニャンは岩肌に引っかかるようにして気絶していた。その手には虹色に光る花がにぎられている。
彼女はこの花のために命がけで洞窟に入り込んだのだ。
オレは虹色の花を袋に入れ、ニャンの体にロープを結ぶ。そして彼女の体をしっかりと抱きしめた。
「ふにゃあ……誰にゃ?」
ニャンが目を覚ました。
「オレの名はノゾミ、君を助けに来たんだ」
「そうかにゃ、薬草は?」
「大丈夫。ここにある」
オレはニャンを安心させるように笑いかける。
「良かったにゃ!」
ニャンは安心したように目を閉じる。
「つかんだぞ。上げてくれ!」
声に合わせて、オレとニャンの体が上へと上がっていく。
こうして長かった救出劇は無事成功した。
無事とは言えないか……オレ一回死んでるし。
◆ ◆ ◆ ◆
救出は結局、夕方すぎまでかかってしまった。
深夜までかけて誰も入れないように柵を作る。
村人全員で徹夜の作業だ。マヤも炊き出しや何やらで村人を手伝っていた。小さな体で一生懸命に働く姿は見ていて微笑ましかった。
翌日は疲労のせいで、村人のほぼ全員が昼過ぎまで眠ってしまった。
オレもその例にもれず。昼過ぎまで爆眠してしまいましたよ。そりゃもうぐっすりです。
システィーナや、ニャンはまだ眠っているそうだ。薬を飲ませたミャンも快方に向かっているということだった。
ミーシャは昨日からずっと看病につきっきりだ。後で顔を出してみよう。
結局、オレたちは猫人族の村にもう一泊することにした。
早く出発したかったのだが、今夜に村人たちがオレたちへの感謝を込めて宴をひらいてくれることになったのだ。
薬の調合とか色々と興味があったのでミーシャの所に行きたかったのだが、アランたちがオレを行かせてくれなかった。
村人たちの振る舞う料理は質素だがとても美味しい。
酒もふるまわれている。オレは未成年……なのか?
酒の味はよくわからないし興味もなかったので、果実ジュースを飲んでいる。
功労者ということで、目を覚ましたシスティーナも出席していた。
彼女は辞退していたらしいが、村人たちが強引に連れてきたようだ。
昨日以来システィーナとはしっかりと話ができていない。
オレのミスで彼女には大変なことをしてしまった。
きっとオレのことを怒っているだろう。
「システィーナ」
「ひゃい!」
オレが声をかけるとシスティーナが飛び上がった。
真っ赤になりながらオレを睨みつけてくる。
まだ、怒っているのか……それも当然だ。
「すまなかった!」
オレは頭を下げる。
「そんなことは……ない。私も……助けてもらったし」
システィーナは下を向き震えながら言葉を絞り出した。
うむむ。まだ激オコ中らしいぞ。
オレはまだ許されていないらしい。
「ノソミ……できれば……今夜二人っきりで……話を……!」
真っ赤になりながらオレの肩をつかんできた。
まさか。この後、聖騎士の洗礼が待っているのか!
聖騎士恐るべし!
村人の前ではできないような体罰が待っているのだろうか。
聖騎士の私に怪我をさせるとは何事だ! 的な。
怒りに震えているであろう聖騎士にオレはおびえる。
――怖い。聖騎士怖い。
このままだと、交易都市キリムに着いたら逮捕されそうだ。
その時、救いの女神……ではなくアランが現れた。
「ノゾミ! 本当にすみゃなかった!」
こちらは泥酔してる。どんだけ飲まされたんだ。
オットーも後ろにいたが手に負えないとさじを投げていた。
ミーシャがいれば対処もできたかもしれないが、酔ったアランは手がつけられない。
「あーあー、分かったからとりあえず向こうで飲もう!」
アランに肩を貸し空いている席へと向かう。
「あっ……」
システィーナの声が聞こえたがとりあえず無視。
ここでつかまると大変なことになりそうだ。
「システィーナ様どうぞこちらへ!」
村人たちがシスティーナを取り囲む。
ナイス村人ABC!
オレは村人たちに感謝しながらその場を離れていった。
「お兄ちゃん大変だったね!」
マヤが果実ジュースを片手に手を振ってくる。
おお、心のオアシス。
マヤの優しい笑顔がオレの心にしみわたる。
「お兄ちゃん。昨日は本当にご苦労様」
マヤとは感覚を共有している。離れていても昨日のことはマヤには筒抜けだ。
オレの苦労をマヤは理解してくれている。
「後でたっぷり反省会ね!」
にこやかな笑顔で悪魔のようなことをのたまった。
オレの安息の地は……どこにあるんだ?
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる