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第一章「いきなり冒険者」
第48話「黒竜族の陰謀 ②」
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「黒竜族の件はこちらの方から王に伝えておこう」
バージル卿は「どうせ、握りつぶされるだろうがな」と、自嘲気味に呟く。
国の大事とされる事柄でさえ、握りつぶされる可能性があるというのだ。
「それで、奴らの目的というのは?」
「ノワール派の目的はただ一つ。生き残ることです」
アンナの言葉が静かに響く。
「そのために魔人族側につき、自身の力を増強するために各部族の力を吸収しているのです」
「力の吸収だと?」
「はい、部族にはそれぞれに守る宝玉があります」
それは以前にも聞いた話だ。赤竜族と緑竜族の宝玉は既に奪われているんだったか。
「宝玉は竜人族にとって命そのもの。力の源と言っていいものです」
「それらを奪い力を増強することが目的か……」
宝玉を集めた竜族がどれほどの力になるのか想像もつかない。
「だが心配することはあるまい」
バージル卿がにやりと笑う。
「こちらにはノゾミ殿がいるからな」
「と、当然だ」
今更嫌ですとも言えないしな。
「そうですね。ノゾミであれば問題なかろう」
「ノゾミ様にこの命お預けいたします」
何なのその信頼。
めっちゃ重いんですけど。
しかし、信頼されているのは悪くない。
でも、大丈夫かな……オレ。
「それと、昨日から気になっていたのだが……」
バージル卿はオレの目を見る。
情熱的な眼差しだった。
やばい。これはもしかして禁断の恋?
いや、オレそれは無理っす。
受けも攻めも無理っすから!
「ノゾミ殿……お主、もしや暗黒魔法が使えるのか?」
周囲がどきりとしたようにオレを見る。
「それどころか……光魔法も使えると思うのだが……?」
するどい。というかなんで分かったんだ。
「まだ、使えるというレベルじゃないな。使える可能性があるかもしれないという程度だ」
オレの言葉にバージル卿が頷いた。
「魔法使いというのは無意識に属性のオーラを放つものなのだ。しかし、それは敵に手の内をさらしているということになる。今のままでは確かに危険だな」
そういえば能力に「魔力感知」ってのがあったな。
あれって、魔法の属性とかもわかるものなのか?
多分だけどそれがないと魔法を使えないとか?
(推測。魔力感知は未知なる力「魔法」を行使するために必要不可欠な力であると推測されます。しかしながら、条件などは一切不明。行使するためには「魂」の存在が重要と思われます)
マザーさんにしてはずい分とあいまいな答えだった。
いくら科学が進んでも、魂の解明までには至っていないということか。
(回答。正解です。魂に関しては未だ未解明な部分が多く存在します。カルネアデスの保存個体も魂の保存に関しては……)
「ノゾミ殿」
バージル卿に声をかけられた。
「ん?」
「お主は魔法についてどの程度理解しているのかな?」
全く持って知識ゼロです。
そのことを伝えるとバージル卿はニヤリと笑った。
「ならば、是非とも手伝ってもらいたい仕事があるのだが」
なんだろう。嫌な予感しかない。
「もちろん、謝礼は弾むぞ」
うぬぬ。
「もちろん君達の仲間にも手伝ってもらいたい」
うぬぬぬぬ。
「そして……」
バージル卿がオレの背中をバシッと叩く。
「ノゾミ殿にとって損はない話なのだよ」
ぐっと顔を近づけてくる。おっさんの近視は禁止したい。
「分かったよ。とりあえず内容を聞いてからだ」
「そうか、是非とも検討してもらいたい」
いや、だから話を聞いてからだって言ってるだろ。
「ノゾミ殿には、魔法学園に入学してもらいたいのだよ」
何、魔法学園だと……!
うーむ。
入学ともなればそれなりに学力も必要となってくる。地球での知識がどこまで通用するのか見当もつかない。
「魔法学園で何をするんだ?」
「なあに、ちょっとした調査だ」
なんだかうまくはぐらかされた感があるが、詳細はまだ語れないということなのだろうか。
「今は魔法学園の資料を取り寄せている。そのうえで説明しよう」
いきなり決断を迫られるかと思ったがそういうことではないらしい。
「分かった」
「さて、資料が届くまでしばらく時間があるわけだが……これからの予定はどうするのだ?」
そうか、そもそもこの領地へは視察が目的だったのだ。
今はかなり予定が変わってしまった。
「その辺は問題ない。視察に関しては私が報告書を提出しておこう」
さすがはお嬢様。剣も事務もベッドの上でも頼りになる。
「私は、ノゾミ様とならばたとえ地獄でもお供致します」
それはありがたいができれば地獄ではなく天国にして欲しい。
「そうだな……」
せっかく時間があるのだ。ここはオレのわがままを聞いてもらおう。
オレはアンナに向き直る。
「アンナまずは君の村に案内してくれ」
「えっ?」
アンナは驚いた顔でオレを見つめる。
「よろしいのですか?」
「当たり前だろ。オレはお前の主人なんだから……それに、白竜族にも興味あるしな」
竜人族の話は他人事ではない。バージル卿の話にもよるかもしれないが、今解決すべきはアンナの事案だ。
アンナは瞳を潤ませコクリと頷いた。
「分かりました。白竜族の村にご案内いたします。あの……ノゾミ様」
アンナが頭を下げる。
「ありがとうございます」
バージル卿は「どうせ、握りつぶされるだろうがな」と、自嘲気味に呟く。
国の大事とされる事柄でさえ、握りつぶされる可能性があるというのだ。
「それで、奴らの目的というのは?」
「ノワール派の目的はただ一つ。生き残ることです」
アンナの言葉が静かに響く。
「そのために魔人族側につき、自身の力を増強するために各部族の力を吸収しているのです」
「力の吸収だと?」
「はい、部族にはそれぞれに守る宝玉があります」
それは以前にも聞いた話だ。赤竜族と緑竜族の宝玉は既に奪われているんだったか。
「宝玉は竜人族にとって命そのもの。力の源と言っていいものです」
「それらを奪い力を増強することが目的か……」
宝玉を集めた竜族がどれほどの力になるのか想像もつかない。
「だが心配することはあるまい」
バージル卿がにやりと笑う。
「こちらにはノゾミ殿がいるからな」
「と、当然だ」
今更嫌ですとも言えないしな。
「そうですね。ノゾミであれば問題なかろう」
「ノゾミ様にこの命お預けいたします」
何なのその信頼。
めっちゃ重いんですけど。
しかし、信頼されているのは悪くない。
でも、大丈夫かな……オレ。
「それと、昨日から気になっていたのだが……」
バージル卿はオレの目を見る。
情熱的な眼差しだった。
やばい。これはもしかして禁断の恋?
いや、オレそれは無理っす。
受けも攻めも無理っすから!
「ノゾミ殿……お主、もしや暗黒魔法が使えるのか?」
周囲がどきりとしたようにオレを見る。
「それどころか……光魔法も使えると思うのだが……?」
するどい。というかなんで分かったんだ。
「まだ、使えるというレベルじゃないな。使える可能性があるかもしれないという程度だ」
オレの言葉にバージル卿が頷いた。
「魔法使いというのは無意識に属性のオーラを放つものなのだ。しかし、それは敵に手の内をさらしているということになる。今のままでは確かに危険だな」
そういえば能力に「魔力感知」ってのがあったな。
あれって、魔法の属性とかもわかるものなのか?
多分だけどそれがないと魔法を使えないとか?
(推測。魔力感知は未知なる力「魔法」を行使するために必要不可欠な力であると推測されます。しかしながら、条件などは一切不明。行使するためには「魂」の存在が重要と思われます)
マザーさんにしてはずい分とあいまいな答えだった。
いくら科学が進んでも、魂の解明までには至っていないということか。
(回答。正解です。魂に関しては未だ未解明な部分が多く存在します。カルネアデスの保存個体も魂の保存に関しては……)
「ノゾミ殿」
バージル卿に声をかけられた。
「ん?」
「お主は魔法についてどの程度理解しているのかな?」
全く持って知識ゼロです。
そのことを伝えるとバージル卿はニヤリと笑った。
「ならば、是非とも手伝ってもらいたい仕事があるのだが」
なんだろう。嫌な予感しかない。
「もちろん、謝礼は弾むぞ」
うぬぬ。
「もちろん君達の仲間にも手伝ってもらいたい」
うぬぬぬぬ。
「そして……」
バージル卿がオレの背中をバシッと叩く。
「ノゾミ殿にとって損はない話なのだよ」
ぐっと顔を近づけてくる。おっさんの近視は禁止したい。
「分かったよ。とりあえず内容を聞いてからだ」
「そうか、是非とも検討してもらいたい」
いや、だから話を聞いてからだって言ってるだろ。
「ノゾミ殿には、魔法学園に入学してもらいたいのだよ」
何、魔法学園だと……!
うーむ。
入学ともなればそれなりに学力も必要となってくる。地球での知識がどこまで通用するのか見当もつかない。
「魔法学園で何をするんだ?」
「なあに、ちょっとした調査だ」
なんだかうまくはぐらかされた感があるが、詳細はまだ語れないということなのだろうか。
「今は魔法学園の資料を取り寄せている。そのうえで説明しよう」
いきなり決断を迫られるかと思ったがそういうことではないらしい。
「分かった」
「さて、資料が届くまでしばらく時間があるわけだが……これからの予定はどうするのだ?」
そうか、そもそもこの領地へは視察が目的だったのだ。
今はかなり予定が変わってしまった。
「その辺は問題ない。視察に関しては私が報告書を提出しておこう」
さすがはお嬢様。剣も事務もベッドの上でも頼りになる。
「私は、ノゾミ様とならばたとえ地獄でもお供致します」
それはありがたいができれば地獄ではなく天国にして欲しい。
「そうだな……」
せっかく時間があるのだ。ここはオレのわがままを聞いてもらおう。
オレはアンナに向き直る。
「アンナまずは君の村に案内してくれ」
「えっ?」
アンナは驚いた顔でオレを見つめる。
「よろしいのですか?」
「当たり前だろ。オレはお前の主人なんだから……それに、白竜族にも興味あるしな」
竜人族の話は他人事ではない。バージル卿の話にもよるかもしれないが、今解決すべきはアンナの事案だ。
アンナは瞳を潤ませコクリと頷いた。
「分かりました。白竜族の村にご案内いたします。あの……ノゾミ様」
アンナが頭を下げる。
「ありがとうございます」
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