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第二章「魔法学園の劣等生 入学編」
第50話「学園生活は決闘からのスタートです」 ※イラストあり〼
しおりを挟む夢にまで見た魔法学園生活。
美人な先生方、そして可愛い同級生。
クラスのマドンナ的存在の女子生徒とのラブロマンス。
オレの夢見るドリームパラダイスの予定が……
――どうしてこんなことになった!
オレは周囲を取り囲む群衆を眺めながらそう思った。群衆はこの魔法学園の生徒、そして講師たちだ。
「貴様はこの私を侮辱した。その罪は決して軽いものではない!」
貴族ってのはなんでこんなにプライドが高くて、そして馬鹿が多いのだろうか。
目の前にいる自称公爵家の次男坊は――周りの反応を見るに十中八九本物の公爵家の者だろうが――どうも自意識過剰のようだった。
「貴様を倒し、貴様に脅され無理矢理従わされているこの娘達をわたしは開放してみせよう!」
公爵家の次男坊アイザック・ロイマールは高らかに宣言した。取り巻きの男達はここぞとばかりにはやしたて騒ぎ立てる。
駆けつけてきたシスティーナもあまりの状況に言葉を失っている。
マヤやミーシャ、アンナもどうしていいのか分からないままその場に立ち尽くしていた。
普通に学園生活が送りたかったのに――いきなり決闘とはついていない。
オレは小さくため息をついた。
◆ ◆ ◆ ◆
事の起こる一時間ほど前。
オレ達は魔法学園の入学手続きを終え、この学園の学園長であるラップ学園長から学園の心得についての訓示を受けていた。ラップ学園長はバージル卿の古い友人で今回の侵入捜査の件を依頼してきたクライアントでもある。豊かな白ひげをたくわえたどっかのポッターさんの学園長にそっくりだった。
「いいですか。バージル卿からお話は聞いていると思いますが、あくまでもここの生徒として振る舞ってください」
今回は魔法学園への潜入調査が目的的だ。このためにオレは三週間もの間、血のにじむような戦闘訓練と勉強をひたすらに頑張ってきたのだ。
魔法学園は今日から新学期となる。オレ達も新入生としてこの学園に入学式となったのだ。
「マヤさん。あなたは初等部になります」
なんとマヤは入学試験で最優秀な成績だった。しかも魔法適正も高ランク。
おかしい。身体の構造は同じだというのに何故彼女だけ適正があるのだ。ちなみにオレは中等部。ミーシャもアンナも中等部だった。
ミーシャは冒険者でそもそも魔法使いとして活躍してきたので魔法適性は高い。アンナも巫女なので低いわけがなかった。
一方のオレはというと。
「なお、この学園では一定の基準を設けており、その基準に満たない者と区別しております」
ここはどこかの魔法科高校か!
そんなカースト制度を導入するんじゃない。
マヤたち優秀な生徒には翼の紋様の入ったブレスレットをつけていた。これは学園の生徒の身分証であり、同時にランク付けの証でもある。
ランクは最下位からブロンズ、シルバー、ゴールドと女神様を守る聖闘士(セイント)の如くランクが変わっていく。その上はミスリルとなり最高位はアダマンタイトとなるのだ。冒険者ギルドと同じかよ! と思ったがそれもそのはず元々は魔法学園と冒険者ギルドの創設者は同じだということだった。
見事なヒエラルキーだ。これで学園内はさらなる差別化が起こるだろう。
魔法学園といっても入学する者が皆魔法を使えるというわけではない。素質ありだが実用性に欠ける……そんな者もいるのだ。
マヤはシルバー。ミーシャはゴールド。
そしてアンナはミスリルだった。
オレは最下位のブロンズ……見事に底辺である。
シルバーから上は皆ブレスレットに翼の紋様が入っていた。ブロンズにはその紋様はない。
なのでブランズを翼なしの雛(プーレ)、シルバー以上を翼(アーラ)と陰では言われているらしい。
「もちろん、ランクで差別することは学園規則で禁止しております。また、出自での差別も基本的には行っておりません。平民も貴族もこの学び舎では平等なのです」
立派な思想ではあるが、それが生徒にまで浸透しているかは疑問である。
ブロンズがいかに小宇宙(コスモ)を燃やしてもいきなり魔法を使えたりはしない。
「それで、私は生徒ではなく剣術の講師ということでいいのだな?」
「はい。聖騎士であられるシスティーナ様には是非とも剣術の指南をして頂きたく思います」
女聖騎士のシスティーナは流石に生徒として入学するには無理があった。
郊外とはいえ交易都市キリムに属する魔法学園だ。彼女の素性はすぐにバレるだろう。
領主……つまりは公爵家の令嬢で女聖騎士。そんな有名人が生徒として入学すれば学園内はパニックだ。
「本日の入学式の際にマヤさんには首席合格者として新入生の挨拶をして頂きたいと思います」
何を言っとるんだこの白ひげ学園長!
そんなことしたら、マヤの可愛さがみんなにバレてしまうじゃないか!
というか、今更ながらシスティーナを始め、マヤもミーシャ、アンナに至るまでみんな美少女だ。彼女達を狙う狼どもから守るのもオレの使命だった。
「入学式の後はそれぞれの教室に向かい寮の説明などを受けてください」
この学園では生徒、講師の全員が寮で生活することになる。それぞれに部屋が割り当てられ、そこで生活するというものだ。
もちろん男女は別である。
「寮……ということはもしかしてみんなバラバラなのですか?」
「寮は二人一部屋が基本となります。ルームメイトと仲良くなるのも勉強のうちです」
「私はノゾミ様のお世話がありますので、同室でお願いします」
「却下です」
アンナの申し出をラップ学園長はあっさりと却下した。
「私は妹だから一緒でも大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないですよ」
これも却下。
「ううっ……今夜はノゾミ当番なのに……」
マヤが残念そうに呻く。
説明しよう!「ノゾミ当番」とは?
掃除当番じゃないです。ノゾミ当番です。
毎晩順番を決めて彼女達がオレのベッドにやってくる、またはその逆という夢のようなシステムなのである。
こいつら何しにこの学園に入学しようとしているのか目的を忘れてないか?
そりゃもう、入学するまでの三週間もバージル卿の屋敷でもさんざん揉めました。
もうその辺は別枠か外伝で書くしかないってくらいに色々あったわけです。
そこで登場したのが「ノゾミ当番」
このおかげで、我がハーレムの諸問題は解決したのです。それでも、リューシャや他のメイドさんたちが乱入したりして毎晩、色々と楽しんだんだけどね。
「事件の詳細は。入学式の後で説明させて頂きます」
「わかりました」
入学式開始まで時間がない。まずは式を終わらせてからということだ。
何も問題が起こりませんように!
無駄と知りつつ、オレは祈るのだった。
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