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第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」
第104話「前夜祭 ③」
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「ガロウさん!」
アナライは必死になって森の中を進んだ。予想以上に遠くに飛ばされてしまった。
全くもって予想外だった。
まさか、あのガロウが簡単にのされてまうとは。
アナライは犬人族だった。森の中を走るのは得意だ。
――何なんだあの男は!
心の中で何度も舌打ちする。
彼らの目的は一人でも多くの相手の情報を入手することだった。
あんなの反則だ!
全ての魔法学園の生徒の情報は彼の頭の中にすでに入っている。その中で特に気になったのが「ノゾミ」と「マヤ」という二人の学生だった。
バストーク魔法学園の情報屋としての能力をフル活用して彼らの素性を調べ驚愕した。
彼ら二人はバージル領の領主、バージル卿の養子となっている。そこまではいい。しかし……それ以前にはマイスター領の領主、マイスター卿が身元引受人となっていた。しかも、それ以前の彼らに関する情報が何一つない。戸籍などのないこの時代に個人の情報などないに等しい。だが、領主となると話は別だ。特に客人や養子など重要と思われる人物に関してはしっかりとした調査が行われる。特にバージル卿は魔人族だ。アルシアータ国の監視の目が特に厳しいと思っていい。
だが、彼らに関する情報は皆無だった。
生まれも育ちも分からない。
まるで、二ヶ月ほど前に急に現れたかのようだった。
二ヶ月前といえば、悪魔の門からの飛来物が確認されたのもこの時期だった。
悪魔の門と関係が……?
まあ、そらは考え過ぎだろうと彼は判断する。
そんなバカげた妄想はさておき。
調べれば調べる程に謎は深まる。
情報屋としての彼のカンがささやくのだ。
きっと何かある……と。
そして、仲間のガロウに頼んでワザと騒ぎを起こしてもらった。
彼らが通りかかる時にタイミングを合わせて……と、そこまではよかったのだが……
あの筋肉馬鹿が……勝手に暴走して!
アナライの予想に反し、ガロウはノゾミ達に食ってかかった。
彼は慌てた。それは完全に予想外の出来事だ。下手をすれば調査どころではなくなる。しかし、さらに想定外の出来事が起こる。
ノゾミは売られた喧嘩を買うでもなく、ただ平然とガロウの攻撃を受けたのだ。
「悪い……練習の邪魔をしてしまったのか?」
攻撃を受けながらもノゾミが場違いな言葉を発していた。あれは……もしかしてアナライ達の計画がバレていたとでもいうのか!?
あれは警告だったのだ。これ以上探りを入れるなとノゾミは警告していたのだ。
だが、ガロウはそれを分かっていなかった。
アナライは改めてノゾミを見た。彼には他の生徒にはない特殊能力があった。
固有能力「鑑定眼」
武器や防具、魔法力やその者の力などある程度色や光で見極めることができるのだ。
アナライは能力を発動させて思わず発狂しそうになった。
ななななななな、なんだこれはぁぁぁぁ!
鳥肌が立つなどというものではない。総毛立ち、身が震えた。
巨大なオーラの塊!
両端に控える女の子二人。おそらく一人がマヤだと思われるが、どちらも他の学生とは桁違いのオーラを放っていた。
そして、問題のノゾミだが……これはオーラの大きさはそれ程にない……当然だ。彼のオーラはすべて両腕に付けられているであろう魔具に全て吸い取られているのだ。それでも溢れ出すオーラと輝きはアナライの目を焼くのに十分であった。
――なんでこんな化け物が平然とデートしているんだ!!
彼はすでに国家災害級の人間兵器だ。オーラからして地・火・風・光・闇の属性波動を感じることができた。
そんなバカな!と叫びたくなる。水魔法を除いた全ての魔法属性を持つなど不可能だ。それはすでに神話の領域ではないか。
人は確かに簡易と低威力であれば全ての属性の魔法を行使することができる。
光魔法である治癒や火魔法などがいい例だ。生活範囲内で使用するには問題ない程度の魔法。しっかりとした知識と杖などの魔具があれば誰でも使うことができる範囲。
だが、攻撃に転用できるほどの魔法となると話は変わってくる。
――あんな化け物が、なんでこんなところにいるんだよ!
当然、ガロウはそんな事に気づいてもいなかった。気づいていれば戦おうとはしなかっただろう。
ガロウは無謀にもノゾミに喧嘩を挑み、何の効果も上げていなかった。パンチや蹴りなど攻撃は確実にヒットしているのだが……ノゾミのオーラに完全に弾かれ届きすらしていなかった。
――恐らくは無意識下で防御している。
アナライは的確に見抜いた。ノゾミ本人すら気づいていない。敵意を持った攻撃に対する絶対防御。
いかにガロウが強かろうと傷すらつけられないだろう。
――これは……撤退するしかない。
オーラが見れただけでも収穫だ。ガロウには悪いが、相手が悪かったと諦めるしかない。
そう思った矢先に、ガロウが飛ばされた。
えっ?と状況を判断する前にガロウの身体がはるか上空を舞ったのだ。
そして――
アナライはガロウを追って森の中を進んでいた。
まさか死んでいるということはないだろう。
ガロウは狼人族。耐久値、防御力共にかなり高い。気を失っていた事は少し痛いが、まあ、そこは信じるしかない。
――生きてる……よね?
ガロウの匂いとオーラを頼りになんとか彼の元にたどり着いた。
「ガ、ガロウさん?」
「う……っ」
アナライの声にガロウが反応する。
とりあえずは生きていたことに胸をなでおろす。逆にあれだけの高さまで放り投げられ、この程度のダメージで済んでいることの方が異常なのだが。
「ガロウさん?」
「あ……あの野郎ぉ!」
ガバッと身を起こし、そのまま倒れ込む。
ヒクヒクと痙攣しているがとりあえずは生きている。
しかし、やはりダメージは受けていたようだった。
「大丈夫ですか?」
「だ……大丈夫じゃねぇ……」
ゆっくりと身を起こした。
「ガロロン。だから言ったじゃないか……ノゾミンは強いよって」
二人の背後から声がかけられた。
「オレをガロロンって呼ぶな!」
ガロウの剣幕にも彼女は平然としている。
「そんな生意気な口はボクに勝てるようになってからだよガロロン」
ガロウは舌打ちした。
その姿を見てタニアは楽しそうに笑う。
彼女はガロウやアナライと同じ制服を着ていた。
「さて、アナライザ。君の見てきたものをボクに教えてくれるかな?」
アナライは必死になって森の中を進んだ。予想以上に遠くに飛ばされてしまった。
全くもって予想外だった。
まさか、あのガロウが簡単にのされてまうとは。
アナライは犬人族だった。森の中を走るのは得意だ。
――何なんだあの男は!
心の中で何度も舌打ちする。
彼らの目的は一人でも多くの相手の情報を入手することだった。
あんなの反則だ!
全ての魔法学園の生徒の情報は彼の頭の中にすでに入っている。その中で特に気になったのが「ノゾミ」と「マヤ」という二人の学生だった。
バストーク魔法学園の情報屋としての能力をフル活用して彼らの素性を調べ驚愕した。
彼ら二人はバージル領の領主、バージル卿の養子となっている。そこまではいい。しかし……それ以前にはマイスター領の領主、マイスター卿が身元引受人となっていた。しかも、それ以前の彼らに関する情報が何一つない。戸籍などのないこの時代に個人の情報などないに等しい。だが、領主となると話は別だ。特に客人や養子など重要と思われる人物に関してはしっかりとした調査が行われる。特にバージル卿は魔人族だ。アルシアータ国の監視の目が特に厳しいと思っていい。
だが、彼らに関する情報は皆無だった。
生まれも育ちも分からない。
まるで、二ヶ月ほど前に急に現れたかのようだった。
二ヶ月前といえば、悪魔の門からの飛来物が確認されたのもこの時期だった。
悪魔の門と関係が……?
まあ、そらは考え過ぎだろうと彼は判断する。
そんなバカげた妄想はさておき。
調べれば調べる程に謎は深まる。
情報屋としての彼のカンがささやくのだ。
きっと何かある……と。
そして、仲間のガロウに頼んでワザと騒ぎを起こしてもらった。
彼らが通りかかる時にタイミングを合わせて……と、そこまではよかったのだが……
あの筋肉馬鹿が……勝手に暴走して!
アナライの予想に反し、ガロウはノゾミ達に食ってかかった。
彼は慌てた。それは完全に予想外の出来事だ。下手をすれば調査どころではなくなる。しかし、さらに想定外の出来事が起こる。
ノゾミは売られた喧嘩を買うでもなく、ただ平然とガロウの攻撃を受けたのだ。
「悪い……練習の邪魔をしてしまったのか?」
攻撃を受けながらもノゾミが場違いな言葉を発していた。あれは……もしかしてアナライ達の計画がバレていたとでもいうのか!?
あれは警告だったのだ。これ以上探りを入れるなとノゾミは警告していたのだ。
だが、ガロウはそれを分かっていなかった。
アナライは改めてノゾミを見た。彼には他の生徒にはない特殊能力があった。
固有能力「鑑定眼」
武器や防具、魔法力やその者の力などある程度色や光で見極めることができるのだ。
アナライは能力を発動させて思わず発狂しそうになった。
ななななななな、なんだこれはぁぁぁぁ!
鳥肌が立つなどというものではない。総毛立ち、身が震えた。
巨大なオーラの塊!
両端に控える女の子二人。おそらく一人がマヤだと思われるが、どちらも他の学生とは桁違いのオーラを放っていた。
そして、問題のノゾミだが……これはオーラの大きさはそれ程にない……当然だ。彼のオーラはすべて両腕に付けられているであろう魔具に全て吸い取られているのだ。それでも溢れ出すオーラと輝きはアナライの目を焼くのに十分であった。
――なんでこんな化け物が平然とデートしているんだ!!
彼はすでに国家災害級の人間兵器だ。オーラからして地・火・風・光・闇の属性波動を感じることができた。
そんなバカな!と叫びたくなる。水魔法を除いた全ての魔法属性を持つなど不可能だ。それはすでに神話の領域ではないか。
人は確かに簡易と低威力であれば全ての属性の魔法を行使することができる。
光魔法である治癒や火魔法などがいい例だ。生活範囲内で使用するには問題ない程度の魔法。しっかりとした知識と杖などの魔具があれば誰でも使うことができる範囲。
だが、攻撃に転用できるほどの魔法となると話は変わってくる。
――あんな化け物が、なんでこんなところにいるんだよ!
当然、ガロウはそんな事に気づいてもいなかった。気づいていれば戦おうとはしなかっただろう。
ガロウは無謀にもノゾミに喧嘩を挑み、何の効果も上げていなかった。パンチや蹴りなど攻撃は確実にヒットしているのだが……ノゾミのオーラに完全に弾かれ届きすらしていなかった。
――恐らくは無意識下で防御している。
アナライは的確に見抜いた。ノゾミ本人すら気づいていない。敵意を持った攻撃に対する絶対防御。
いかにガロウが強かろうと傷すらつけられないだろう。
――これは……撤退するしかない。
オーラが見れただけでも収穫だ。ガロウには悪いが、相手が悪かったと諦めるしかない。
そう思った矢先に、ガロウが飛ばされた。
えっ?と状況を判断する前にガロウの身体がはるか上空を舞ったのだ。
そして――
アナライはガロウを追って森の中を進んでいた。
まさか死んでいるということはないだろう。
ガロウは狼人族。耐久値、防御力共にかなり高い。気を失っていた事は少し痛いが、まあ、そこは信じるしかない。
――生きてる……よね?
ガロウの匂いとオーラを頼りになんとか彼の元にたどり着いた。
「ガ、ガロウさん?」
「う……っ」
アナライの声にガロウが反応する。
とりあえずは生きていたことに胸をなでおろす。逆にあれだけの高さまで放り投げられ、この程度のダメージで済んでいることの方が異常なのだが。
「ガロウさん?」
「あ……あの野郎ぉ!」
ガバッと身を起こし、そのまま倒れ込む。
ヒクヒクと痙攣しているがとりあえずは生きている。
しかし、やはりダメージは受けていたようだった。
「大丈夫ですか?」
「だ……大丈夫じゃねぇ……」
ゆっくりと身を起こした。
「ガロロン。だから言ったじゃないか……ノゾミンは強いよって」
二人の背後から声がかけられた。
「オレをガロロンって呼ぶな!」
ガロウの剣幕にも彼女は平然としている。
「そんな生意気な口はボクに勝てるようになってからだよガロロン」
ガロウは舌打ちした。
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