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第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」
第105話「前夜祭 アメリア編 ①」 ※イラストあり〼
しおりを挟むオレは二人を連れたまま時計塔の下までやってきた。
「あら、お二人で仲良くデートですか?」
振り返るとアメリア先生がいる。
「アメリア先生、準備はもう終わってんですか?」
「ノゾミ君!」
ちょっと起こった感じでアメリア先生。
こっちは気を使ったというのに……
「はい。アメリア」
オレの言葉にアメリアはにっこりと笑う。
彼女はエルフだ。それもとびっきりの美少女。年は70歳ということだが、エルフとしてはまだまだ子供。聞いたところによるとこの学園のラップ学園長の孫にあたるということだった。ラップ学園長が御年3千歳ということなので、エルフ族の寿命の長さが伺える。縄文杉か!
彼女はオレのプレゼントした浴衣を着ていた。
金髪に浴衣……これは……兵器だ。人類を滅ぼしかねない兵器だ。
白い肌には白い浴衣が映える。
これは、調査しなければ!
オレは人類移民船カルネアデスの調査員として彼女たちを早急に調査しなければならないのだ。
「ノゾミ君……何だかイヤらしい目つきになってますよ」
アメリアがジト目でこちらを見ている。
金髪に金の瞳、こうして見ると本当に妖精のようだ。
「ななな、何のことですか?」
平常心だ。落ち着けオレ!
「先生……じゃなかった。アメリア、喉が渇いたりしないか?」
さり気なく自然にオレは話しかけた。
「ノゾミ君がなにかおごってくれるのかな?」
アメリアが期待した目でこちらを見てくる。オレはモチのロンですと答えました。
「お兄ちゃん……マヤ、歩き疲れちゃった。アープルと先に帰ってるからね」
マヤがアープルを連れて寮へと戻ると宣言。
アメリアの様子からピンときたのだろう。
恐ろしく気の回る妹達だ。末恐ろしい。
「二人で待ってるからね~!」
と、一言を忘れない。
「なんだか、邪魔しちゃったかな?」
「いえいえ、全然です!」
オレは近くの屋台でフルーツのジュースを買ってくる。氷で冷やされた柑橘系の飲み物だ。
近くのベンチに腰掛ける。アメリアも素直に隣に座った。
「ふう……」
アメリアは一口飲んでから息を吐く。
「お疲れみたいだね」
「そうでも……あるかな……」
アメリアはお疲れのようだった。魔法学園祭は他の魔法学園も注目している一大イベント、失敗は許されない。今日は前夜祭でまさしくお祭りムードだが、明日は本番、また後日に開催される魔法技術大会には国内外の重鎮も見学に訪れるほどの重要なイベントだ。システシーナもそうだったが先生方の苦労も並大抵ではない。
「うーん……」
アメリアが肩に頭をのせてきた。オレは何も言わず彼女の頭をなでた。
ゴロゴロと聞こえてきそうなくらいに甘えてきている。
「ぎゅってして……」
「はい。お姫様」
抱きしめるとほっそりとした腕が抱き返してきた。
しばらく抱き合う。
時計塔の下で抱き合う二人。
薄暗いとはいえこれは目立つのではないだろうか。
「認識阻害……してるから」
耳元でアメリアがささやく。
認識阻害の魔法は相手の認識を攪拌させ、認識されないようにする魔法だ。
時計塔は学園内でもトップクラスのデートスポット。周りを見渡せばカップルがちらほらといるではないか。
「もっと、二人っきりでこうしていたいな」
アメリアがわがままを言い始めた。
すねた子供のように唇を尖らせている。
「いっぱい頑張ってるのになぁ」
このエルフのお嬢様はもっと褒めて欲しいらしい。
「分かった!」
オレはアメリアを抱き上げる。
「ちょっと!ノゾミ君!」
アメリアは慌てたように言う。
「認識阻害はちゃんと効いているんですよね?」
オレの言葉にアメリアは頷く。
「とっておきの場所がありますよ」
オレはアメリアを抱きかかえたまま進む。
行く先は、以前タニアと入った部屋だ。彼女はその部屋を「ボクだけの秘密の部屋」と言っていた。
後でわかったことだが、この部屋は外からは分かりにくいようにカモフラージュしてあった。
それをタニア自身で行ったかどうかは分からないが、あるものはちゃんと活用しなければもったいない。
いや、時々……というか、かなりの頻度で活用させて頂いているお部屋でございます。何に使っているかって?ふふふ。ヒミツでござるよぉ!
アメリアを抱きかかえたまま部屋に入りカギを閉める。
頻繁にこの部屋は掃除しているので中は綺麗だ。調度品も快適なように工夫している。
「さあ、ここに座って」
柔らかめのイスの上にアメリアをちょこんと座らせた。
灯りをつける。
魔法の灯りの中にアメリアのほっそりとした姿が浮かび上がった。
オレはアメリアの肩を揉む。
「はう……っ」
ほっそりとした肩。七〇歳というが、エルフ族ではまだまだ子供の年齢だ。
「アメリア……どう?」
「気持ちいいでふぅ」
アメリアはにんまりとしたまま肩を揉まれている。
「ノゾミ君にもこんな特技があったんですね」
なんだか失礼なことを言われているのだろうか。
肩揉みをオレの特技だと断定するのは早計であると断言させて頂こう。
「ふふふ、アメリア……オレの特技をこれだけだと思ってもらっちゃ困るぜ」
アメリアに手のひらを出させマッサージを始めた。
「ちょっと、くすぐったいかも」
そういうアメリアだったが気持ちよさそうだ。
「ノゾミ君……」
アメリアの言葉に顔を上げると目をつむるアメリアがいた。
「はい。お姫様」
唇を重ねる。途端にアメリアが抱き着いてくる。
「ねぇ……しよ♡」
アメリアの恥ずかしそうな声が、部屋に響いた。
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