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第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」
第121話「魔法技術大会 開会式と第三皇女 ②」
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オレはアメリアと待ち合わせを行い。それから応接室に向かった。この学園の最奥、まだ踏み込んだことなのない未知なる領域だ。
「この奥に、アルシアータ国の第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫がいらっしゃるわ」
アメリアの目の前には大きな扉があった。来賓などのために造られた部屋なのだろうが、分厚い扉が異様に存在感を醸し出していた。
どうして第三皇女の姫様がオレを呼び出したのか皆目見当がつかないが、目立たないように生きていくというオレの目標は一度も達成したことがなかった。
「んじゃ、行くか……」
緊張しながらもなんとか息を整える。大丈夫、慎重に行動すればいいだけだ。粗相のないようにしなければ……
だが、オレが扉の取っ手に手をかけるよりも早くにアメリアが勝手に扉を開けた。
「サラちゃーん、入るよぉ!」
うをぉぉい!
何をやっとるんだ。
「おう。入れ!」
中からは気さくな声がかけられた。若い女の子の声。
これって……
当然のことながら、中にはアルシアータ国の第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫。
その周囲には先程演台で挨拶していた三人の領主マイスター卿、バージル卿、ロイマール卿。
そして、ラップ学園長と他三人。この三人はもしかしたら各学園の学園長かもしれない。システィーナの姿もあった。
「アーちゃん遅い。待ちくたびれたぞ!」
黒髪の少女が不機嫌そうに声を上げた。
「ごめんごめん」
アメリアは謝りながら部屋へと入る。
「ア、アメリアちゃん、第三皇女様に向かってそのような口調で……」
ラップ学園長が青ざめながら呟く。
「私がいいっていってるんだから良いのよ」
オレの目の前、たいそうご立派な椅子に腰掛けた黒髪の少女。第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫その人だ。
オレは立ち尽くしたままどう対応していいのか戸惑う。
「何ぼーっと突っ立ってんだ?」
野太い声が響いた。
「うるせぇ!」
ついつい口答えしてしまう。
「ガハハ! 言うじゃねぇか、息子よ!」
バージル卿はそう言うと大きな体を揺らし豪快に笑った。左腕の袖が揺れる。バージル卿の腕は肘のあたりから無くなっていた。誰もその事に触れる者はいない。屋敷ですらその話題はタブーだった。オレだけがその原因を知っている。その原因になった者を知っている。それは、オレとバージル卿――親父との秘密だ。
「本当に……親子になっていたんだな……」
マイスター卿が驚きに目を丸くする。アイスクラ・マイスター卿――マイスター領の領主でシスティーナの父親だ。この世界に来て初めて会った偉い人――娘を取られまいと、出会い頭にいきなり攻撃してきた娘LOVEな狂った父親だ。
「父上! 私の言ったとおりでしたでしょう! なので何の障害もないのです!」
システィーナが何かを力説していたが、とりあえず無視。
「ふん。お前の息子になるというからどんなやつかと思えば……こんななんの気力も感じられない男だとは……拍子抜けだな」
ロイマール卿が吐き捨てるように言った。彼は入学式でいきなり決闘を申し込んできた気狂い次男坊――アイザック・ロイマールの父親にして、ロイマール領の領主だ。初対面なのに中々の憎まれ口だ。親子揃ってよく似ている。そういえば。あの金貨百枚の件はどうなったのだろうか。
「ちょっと、私を差し置いて勝手に話をしないで!」
「まあまあ、久しぶりでみんな色々と積もる話もあるのよ」
アメリアがお姫様をなだめる。
いや、いい話なんてほとんどなかったんですけど!
「まあ、アメリアがそう言うなら……」
お姫様がしぶしぶ引き下がる。
「なあ、アメリアとお姫様ってどんな関係なんだ?」
小声でアメリアに耳打ちする。
「小さい頃、サラちゃんのお世話係と遊び相手をしていたのよ」
アメリアが語ったくれた。なんでも、お姫様が生まれた頃からアメリアがお世話や遊び相手、そして家庭教師をしていたということだ。見た目は子供、中身は大人のアメリアだからこそできる事だった。それは気さくにもなる。
「私にとってアメリアは母親のような存在なのよ」
「いや……そこはお姉ちゃんでしょ」
アメリアのナイスツッコミ。
それを聞いて、お姫様はハハハハと笑う。
実際はお姫様がお姉ちゃんで、アメリアが妹に見えるのだが……
「さて……その男か……」
第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫の目つきが変わった。空気が一気に張り詰める。今までの穏やかな空気が一変し、厳格な雰囲気となった。
「そこの男……名は?」
「ノゾミ……と申します。お姫様」
こういう時なんて言えばいいんだ?礼儀作法なんて知らんぞ。
「ふん。つまらない男ね」
なんだろう。ひどくがっかりされた。
「ロイマール卿の次男坊を叩きのめしたというからどんな奴かと思っていたが……こんな死んだ魚の目をした男だったとは……」
初対面でその発言はひどくない?
姫様だっていうけどひどくない?
ちょっと可愛いからって、お姫様だからってひどくない?
「はっきり言っておくぞノゾミ!」
姫様はビシッとオレを指さした。
「アメリアは私のものだ!」
「……はい?」
お姫様の発言に全員が「?」となる。
「アメリアの【初めて】は私のものだと言っているのだ! それなのに……それなのに……」
いや……これって、かなりまずい状況なのでは……
アメリアはどうしていいのかオロオロとしだしている。
「お前がアメリアをかどわかしたというではないかぁぁぁ!」
姫様はそれはそれはお怒りであった。
「なんじゃとぉぉぉぉぉぉぉぉ! ワシのかわいい孫になんてことしてくれとんじゃぁぁ!」
ラップ学園長ブチ切れ!
「ガハハハハ! さすがワシの息子! やりおるわい!」
バージル卿大爆笑。
「ほほう、そんな不純な奴がシスティーナを……コロス!!」
マイスター卿は音もなく立ち上がった。
「この者を死刑にしようと思うのだが、みんなの意見は?」
第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫が全員を見渡す。
全員が顔を見合わせた。
一つ頷く。
「「「「異議なし!」」」」
「よし、じゃあ死刑!」
「サラちゃーーん!」
アメリアの悲鳴が室内に響き渡った。
「この奥に、アルシアータ国の第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫がいらっしゃるわ」
アメリアの目の前には大きな扉があった。来賓などのために造られた部屋なのだろうが、分厚い扉が異様に存在感を醸し出していた。
どうして第三皇女の姫様がオレを呼び出したのか皆目見当がつかないが、目立たないように生きていくというオレの目標は一度も達成したことがなかった。
「んじゃ、行くか……」
緊張しながらもなんとか息を整える。大丈夫、慎重に行動すればいいだけだ。粗相のないようにしなければ……
だが、オレが扉の取っ手に手をかけるよりも早くにアメリアが勝手に扉を開けた。
「サラちゃーん、入るよぉ!」
うをぉぉい!
何をやっとるんだ。
「おう。入れ!」
中からは気さくな声がかけられた。若い女の子の声。
これって……
当然のことながら、中にはアルシアータ国の第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫。
その周囲には先程演台で挨拶していた三人の領主マイスター卿、バージル卿、ロイマール卿。
そして、ラップ学園長と他三人。この三人はもしかしたら各学園の学園長かもしれない。システィーナの姿もあった。
「アーちゃん遅い。待ちくたびれたぞ!」
黒髪の少女が不機嫌そうに声を上げた。
「ごめんごめん」
アメリアは謝りながら部屋へと入る。
「ア、アメリアちゃん、第三皇女様に向かってそのような口調で……」
ラップ学園長が青ざめながら呟く。
「私がいいっていってるんだから良いのよ」
オレの目の前、たいそうご立派な椅子に腰掛けた黒髪の少女。第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫その人だ。
オレは立ち尽くしたままどう対応していいのか戸惑う。
「何ぼーっと突っ立ってんだ?」
野太い声が響いた。
「うるせぇ!」
ついつい口答えしてしまう。
「ガハハ! 言うじゃねぇか、息子よ!」
バージル卿はそう言うと大きな体を揺らし豪快に笑った。左腕の袖が揺れる。バージル卿の腕は肘のあたりから無くなっていた。誰もその事に触れる者はいない。屋敷ですらその話題はタブーだった。オレだけがその原因を知っている。その原因になった者を知っている。それは、オレとバージル卿――親父との秘密だ。
「本当に……親子になっていたんだな……」
マイスター卿が驚きに目を丸くする。アイスクラ・マイスター卿――マイスター領の領主でシスティーナの父親だ。この世界に来て初めて会った偉い人――娘を取られまいと、出会い頭にいきなり攻撃してきた娘LOVEな狂った父親だ。
「父上! 私の言ったとおりでしたでしょう! なので何の障害もないのです!」
システィーナが何かを力説していたが、とりあえず無視。
「ふん。お前の息子になるというからどんなやつかと思えば……こんななんの気力も感じられない男だとは……拍子抜けだな」
ロイマール卿が吐き捨てるように言った。彼は入学式でいきなり決闘を申し込んできた気狂い次男坊――アイザック・ロイマールの父親にして、ロイマール領の領主だ。初対面なのに中々の憎まれ口だ。親子揃ってよく似ている。そういえば。あの金貨百枚の件はどうなったのだろうか。
「ちょっと、私を差し置いて勝手に話をしないで!」
「まあまあ、久しぶりでみんな色々と積もる話もあるのよ」
アメリアがお姫様をなだめる。
いや、いい話なんてほとんどなかったんですけど!
「まあ、アメリアがそう言うなら……」
お姫様がしぶしぶ引き下がる。
「なあ、アメリアとお姫様ってどんな関係なんだ?」
小声でアメリアに耳打ちする。
「小さい頃、サラちゃんのお世話係と遊び相手をしていたのよ」
アメリアが語ったくれた。なんでも、お姫様が生まれた頃からアメリアがお世話や遊び相手、そして家庭教師をしていたということだ。見た目は子供、中身は大人のアメリアだからこそできる事だった。それは気さくにもなる。
「私にとってアメリアは母親のような存在なのよ」
「いや……そこはお姉ちゃんでしょ」
アメリアのナイスツッコミ。
それを聞いて、お姫様はハハハハと笑う。
実際はお姫様がお姉ちゃんで、アメリアが妹に見えるのだが……
「さて……その男か……」
第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫の目つきが変わった。空気が一気に張り詰める。今までの穏やかな空気が一変し、厳格な雰囲気となった。
「そこの男……名は?」
「ノゾミ……と申します。お姫様」
こういう時なんて言えばいいんだ?礼儀作法なんて知らんぞ。
「ふん。つまらない男ね」
なんだろう。ひどくがっかりされた。
「ロイマール卿の次男坊を叩きのめしたというからどんな奴かと思っていたが……こんな死んだ魚の目をした男だったとは……」
初対面でその発言はひどくない?
姫様だっていうけどひどくない?
ちょっと可愛いからって、お姫様だからってひどくない?
「はっきり言っておくぞノゾミ!」
姫様はビシッとオレを指さした。
「アメリアは私のものだ!」
「……はい?」
お姫様の発言に全員が「?」となる。
「アメリアの【初めて】は私のものだと言っているのだ! それなのに……それなのに……」
いや……これって、かなりまずい状況なのでは……
アメリアはどうしていいのかオロオロとしだしている。
「お前がアメリアをかどわかしたというではないかぁぁぁ!」
姫様はそれはそれはお怒りであった。
「なんじゃとぉぉぉぉぉぉぉぉ! ワシのかわいい孫になんてことしてくれとんじゃぁぁ!」
ラップ学園長ブチ切れ!
「ガハハハハ! さすがワシの息子! やりおるわい!」
バージル卿大爆笑。
「ほほう、そんな不純な奴がシスティーナを……コロス!!」
マイスター卿は音もなく立ち上がった。
「この者を死刑にしようと思うのだが、みんなの意見は?」
第三皇女、サラクニークルス・ディ・アルシアータ姫が全員を見渡す。
全員が顔を見合わせた。
一つ頷く。
「「「「異議なし!」」」」
「よし、じゃあ死刑!」
「サラちゃーーん!」
アメリアの悲鳴が室内に響き渡った。
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