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第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」
第138話「火炎演武(フイアンマ) ① ソドムとゴモラ」
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魔術競技大会二日目。
今日も二つの競技が午前と午後に行われることになっていた。
一つは、火炎演武(フイアンマ)。これは厚さ三〇センチ程の鉄の板に火魔法で穴を開けるというもの――ただし、今までこの競技ではクリアした魔法使いはいないということだった。
なんでそんな競技をずっと続けているのだろうか……そこには挑戦する事に意義がある。フェルマーの最終定理のように長い年月をかけて攻略していかなければならない課題だとされているようだ。これは人魔大戦を見据えたことのように思えた。敵の防御を突破する為の攻撃手段としての考えが大きい。
昼からの競技は障壁構築(テララ)。これは防壁を造り出すことを目的とした競技だった。
中央会場。
多くの生徒や魔法使い、研究者達が多く集まっていた。
中央会場の特設会場には昨日飛行を成功させたメーヴェと修復された継ぎ接ぎのピンクのロケットが展示されていた。
タニアのロケットは失格にこそなったものの直線の飛行ではダントツの速度を誇っていた。競技内容が障害物競争でなければ、飛行レース(フリーゲン)で優勝していたのはタニアのロケットなのだ。タニアのロケットにも術式が組み込まれている。火魔法で飛行し続けるという技術もまた今までにないモノなのだ。
「この技術はどこから……」
「見ろ……こんな術式見たことないぞ」
メーヴェに集まった研究者達は口々に言い合う。メーヴェの術式はオレが組んだ――正確にはマザーさんだが――ものが使用されていた。魔法書を読んでいて気がついたのだが、魔法とはいわゆるプログラムの様なものだ。+と-の電気だけで機械が色々な作業をするように、術式というプログラムを通す事によって魔法という奇跡を起こすことができるのだ。その為の呪文であり、魔法陣だった。だからオレは、指先のボタン操作と体重移動だけで自由に飛行できるようにしたのだ――オレのアイデアを形にしたのはマザーさんだが――えっ? オレは何もしてないだろうって? そんなことないさ!
理論を構築しプログラム的な術式を組み込むことによって、古典的で非効率だった魔法を効率的な魔法に転換することができるのだ。
「この……「ろけっと」も凄いぞ!」
「これで……空を飛ぼうと考えるとは……」
「まさしく悪魔的思想……正気の沙汰ではないな」
褒めてるんだからけなしているんだか……ロケットはミサイルに通じる……今後、これが「人間ロケット」に発展しないことを祈るしかない。いや、ヒントはタニアが体を張って実践してしまっていたな……あのアホめ!
「いよいよです」
「お姉ちゃん頑張ってね!」
中央会場で気合を入れるミーシャにマヤが激を飛ばす。
その声に応えるミーシャの表情はどことなく硬い――かなり緊張しているようだった。
「作戦通りにすれば大丈夫だ」
「はい……分かっています」
笑顔を見せているが、本心からのものではない。
「ミーシャ。ちょっと……」
「はい?」
オレはミーシャを手招きした。
近づくミーシャをオレは優しく抱きしめる。
「ちょっ……!」
ミーシャは驚いたままオレに抱かれている。
「あ~らら! 熱いですね」
「こんなところで……ハレンチです」
それを見ていた周囲から冷やかしの声が聞こえた。
「ノゾミ……恥ずかしいです!」
ミーシャが真っ赤になって声を上げた。
「緊張は解けた?」
「もっと緊張しちゃいましたよ!」
ミーシャは抗議したが、その顔には笑顔が見えた。もう大丈夫だ。彼女ならできる。
「これで、ミーシャの優勝も間違いなしだな」
「それは聞き捨てならないな」
唐突に声が上がった。
「君達は優勝できない……なぜなら、私達がいるからよ!」
「何奴!」
振り返るとそこには二人の少年少女がいた。
「私達はユーク魔法学園の代表者!」
少年少女の二人は天を指差した。
「私達はソドムとゴモラ! 風と炎を操る者!」
何と安っぽい登場の仕方であろうか……
まあ、言えないけどね。
「ノゾミ……彼らは双人族です」
双人族とは二人で一つ! みたいな民族だということだった。生まれる時から死ぬ時までずっと一緒という民族だ。
「そうか……手強そうだな」
二人から感じ取れる雰囲気は並の魔法使いを超えるものだった。
今日も二つの競技が午前と午後に行われることになっていた。
一つは、火炎演武(フイアンマ)。これは厚さ三〇センチ程の鉄の板に火魔法で穴を開けるというもの――ただし、今までこの競技ではクリアした魔法使いはいないということだった。
なんでそんな競技をずっと続けているのだろうか……そこには挑戦する事に意義がある。フェルマーの最終定理のように長い年月をかけて攻略していかなければならない課題だとされているようだ。これは人魔大戦を見据えたことのように思えた。敵の防御を突破する為の攻撃手段としての考えが大きい。
昼からの競技は障壁構築(テララ)。これは防壁を造り出すことを目的とした競技だった。
中央会場。
多くの生徒や魔法使い、研究者達が多く集まっていた。
中央会場の特設会場には昨日飛行を成功させたメーヴェと修復された継ぎ接ぎのピンクのロケットが展示されていた。
タニアのロケットは失格にこそなったものの直線の飛行ではダントツの速度を誇っていた。競技内容が障害物競争でなければ、飛行レース(フリーゲン)で優勝していたのはタニアのロケットなのだ。タニアのロケットにも術式が組み込まれている。火魔法で飛行し続けるという技術もまた今までにないモノなのだ。
「この技術はどこから……」
「見ろ……こんな術式見たことないぞ」
メーヴェに集まった研究者達は口々に言い合う。メーヴェの術式はオレが組んだ――正確にはマザーさんだが――ものが使用されていた。魔法書を読んでいて気がついたのだが、魔法とはいわゆるプログラムの様なものだ。+と-の電気だけで機械が色々な作業をするように、術式というプログラムを通す事によって魔法という奇跡を起こすことができるのだ。その為の呪文であり、魔法陣だった。だからオレは、指先のボタン操作と体重移動だけで自由に飛行できるようにしたのだ――オレのアイデアを形にしたのはマザーさんだが――えっ? オレは何もしてないだろうって? そんなことないさ!
理論を構築しプログラム的な術式を組み込むことによって、古典的で非効率だった魔法を効率的な魔法に転換することができるのだ。
「この……「ろけっと」も凄いぞ!」
「これで……空を飛ぼうと考えるとは……」
「まさしく悪魔的思想……正気の沙汰ではないな」
褒めてるんだからけなしているんだか……ロケットはミサイルに通じる……今後、これが「人間ロケット」に発展しないことを祈るしかない。いや、ヒントはタニアが体を張って実践してしまっていたな……あのアホめ!
「いよいよです」
「お姉ちゃん頑張ってね!」
中央会場で気合を入れるミーシャにマヤが激を飛ばす。
その声に応えるミーシャの表情はどことなく硬い――かなり緊張しているようだった。
「作戦通りにすれば大丈夫だ」
「はい……分かっています」
笑顔を見せているが、本心からのものではない。
「ミーシャ。ちょっと……」
「はい?」
オレはミーシャを手招きした。
近づくミーシャをオレは優しく抱きしめる。
「ちょっ……!」
ミーシャは驚いたままオレに抱かれている。
「あ~らら! 熱いですね」
「こんなところで……ハレンチです」
それを見ていた周囲から冷やかしの声が聞こえた。
「ノゾミ……恥ずかしいです!」
ミーシャが真っ赤になって声を上げた。
「緊張は解けた?」
「もっと緊張しちゃいましたよ!」
ミーシャは抗議したが、その顔には笑顔が見えた。もう大丈夫だ。彼女ならできる。
「これで、ミーシャの優勝も間違いなしだな」
「それは聞き捨てならないな」
唐突に声が上がった。
「君達は優勝できない……なぜなら、私達がいるからよ!」
「何奴!」
振り返るとそこには二人の少年少女がいた。
「私達はユーク魔法学園の代表者!」
少年少女の二人は天を指差した。
「私達はソドムとゴモラ! 風と炎を操る者!」
何と安っぽい登場の仕方であろうか……
まあ、言えないけどね。
「ノゾミ……彼らは双人族です」
双人族とは二人で一つ! みたいな民族だということだった。生まれる時から死ぬ時までずっと一緒という民族だ。
「そうか……手強そうだな」
二人から感じ取れる雰囲気は並の魔法使いを超えるものだった。
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