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第四章「カルネアデス編」
第228.5話 042「if-story 崩壊した世界 ①」
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オレとタニアは密林の中を進む。
とりあえずは北を目指す。
「ずいぶんと大きい木だね」
タニアが額の汗をぬぐいながら言った。
確かにそうだ。
屋敷から離れてそれほど時間が経過したわけではない。せいぜい三十分ほどだ。
いざ踏み出してみた分かったのだが、よく見ると足元にはわずかではあるがアスファルトらしき舗装の跡を見ることができた。
周囲をよく見れば
建物らしき跡も見受けられる。そのほとんどが朽ち果て原形を留めていない。とてつもない時間の経過、タニアの言っていた世界崩壊という言葉もあながち間違っていないのではないだろうか。
「ノゾミン……水の匂いがする」
タニアがクンクンと鼻をひきつかせ言った。むせかえるような緑の香りの中で彼女は水の匂いを嗅ぎ分けることができるらしい。
「こっちだ」
タニアは迷いを見せずに歩きだす。
オレは彼女の後をついていく。
やがて、川のせせらぎが聞こえ始めた。しばらく進むと川に突き当たる。
そこでオレは――天使に出会った。
川の水面に身を沈め、水浴びをする一人の少女。
オレの目はその少女にくぎ付けになっていまっていた。
金髪の少女だった。
まるで妖精のような整った可愛い顔立ち。身体は小さくまだ幼さの残る幼い胸のふくらみ。
歳はオレよりも下だろう。
オレは思わず前のめりになって川を覗き込む。
「誰!」
少女がオレたちに気づき慌てたように水面に身を沈める。
しまった。のぞき見がバレてしまった。
いや、それ以前に獣か何かと勘違いされているのかもしれない。
「そこに誰かいるの?」
彼女の声は鈴のように心地よく耳に響く。
だがそうしたものか。オレがそのまま出て行っては怪しまれてしまうだろう。
「しょうがないな……」
タニアはそんなオレを見て「任せろ」と立ち上がった。
さすがタニア、頼もしい。やはり第一印象は同性の者が適任だ。これで彼女も警戒を解いてくれるだろう。
「やあ……はじめまして」
タニアは両手を広げて少女の前に立つ。少女は顔だけ水面から出してタニアを凝視している。タニアが女性だと気づきその顔から警戒に色が消えていった。
「誰なの?」
「私はタニア。この近くに屋敷に住んでいるんだ」
「屋敷……住んでる?」
少女がいぶかし気にタニアをジロジロと見つめる。
こんなジャングルの中だ。いきなり言っても信じないだろう。
「君はこの近くに住んでいるのかな?」
少女は首を横に振る。
「気が付いたら……世界がこんなになっていたの」
小さな声で囁くように彼女。
そうか、彼女もオレたちのようにいきなりこんな世界に送りこまれたのか。
少女の緊張は少しずつほぐれているような感じだった。
よしよし、イイ感じだ。このまま何とか話をして彼女の警戒をほぐしてしまおう。
「そうかそうか……そりゃ大変だったねぇ」
うんうんと頷くタニア。
果たして目の前の少女がどういった経緯でここまでたどり着いたのか分からないがそれなりの苦労があったのだろう。
目の前の枝にかけられている彼女の服は擦り切れ所々が汚れていた。木の実なども途中で採ったのか小さな帽子に果実らしきものが入っているのが見て取れる。
「それなら私たちの所に来ない?」
「私たち?」
「うんそうだよ。私の名前はタニア、そして……」
タニアは隠れているオレの腕をつかむとその場に立たせる。
「ここに隠れてのぞき見していたこいつがノゾミン」
「ちょ……おま、待て!」
今、オレが姿を現すのはまずい。それはタニアにだってわかっているはずだ。
それとも彼女に何かしらの考えがあるというのだろうか。
立ち上がるオレ。
オレと少女の目が合った。
見つめ合う二人。運命の瞬間。
「……ど、どうも」
「き………………」
「これから三人で力を合わせて……」
「きゃあああああああぁぁぁ!!」
タニアのセリフは少女の悲鳴でかき消されてしまった。
「あ、あれれ?」
タニアの気の抜けた声が川岸にこだました。
とりあえずは北を目指す。
「ずいぶんと大きい木だね」
タニアが額の汗をぬぐいながら言った。
確かにそうだ。
屋敷から離れてそれほど時間が経過したわけではない。せいぜい三十分ほどだ。
いざ踏み出してみた分かったのだが、よく見ると足元にはわずかではあるがアスファルトらしき舗装の跡を見ることができた。
周囲をよく見れば
建物らしき跡も見受けられる。そのほとんどが朽ち果て原形を留めていない。とてつもない時間の経過、タニアの言っていた世界崩壊という言葉もあながち間違っていないのではないだろうか。
「ノゾミン……水の匂いがする」
タニアがクンクンと鼻をひきつかせ言った。むせかえるような緑の香りの中で彼女は水の匂いを嗅ぎ分けることができるらしい。
「こっちだ」
タニアは迷いを見せずに歩きだす。
オレは彼女の後をついていく。
やがて、川のせせらぎが聞こえ始めた。しばらく進むと川に突き当たる。
そこでオレは――天使に出会った。
川の水面に身を沈め、水浴びをする一人の少女。
オレの目はその少女にくぎ付けになっていまっていた。
金髪の少女だった。
まるで妖精のような整った可愛い顔立ち。身体は小さくまだ幼さの残る幼い胸のふくらみ。
歳はオレよりも下だろう。
オレは思わず前のめりになって川を覗き込む。
「誰!」
少女がオレたちに気づき慌てたように水面に身を沈める。
しまった。のぞき見がバレてしまった。
いや、それ以前に獣か何かと勘違いされているのかもしれない。
「そこに誰かいるの?」
彼女の声は鈴のように心地よく耳に響く。
だがそうしたものか。オレがそのまま出て行っては怪しまれてしまうだろう。
「しょうがないな……」
タニアはそんなオレを見て「任せろ」と立ち上がった。
さすがタニア、頼もしい。やはり第一印象は同性の者が適任だ。これで彼女も警戒を解いてくれるだろう。
「やあ……はじめまして」
タニアは両手を広げて少女の前に立つ。少女は顔だけ水面から出してタニアを凝視している。タニアが女性だと気づきその顔から警戒に色が消えていった。
「誰なの?」
「私はタニア。この近くに屋敷に住んでいるんだ」
「屋敷……住んでる?」
少女がいぶかし気にタニアをジロジロと見つめる。
こんなジャングルの中だ。いきなり言っても信じないだろう。
「君はこの近くに住んでいるのかな?」
少女は首を横に振る。
「気が付いたら……世界がこんなになっていたの」
小さな声で囁くように彼女。
そうか、彼女もオレたちのようにいきなりこんな世界に送りこまれたのか。
少女の緊張は少しずつほぐれているような感じだった。
よしよし、イイ感じだ。このまま何とか話をして彼女の警戒をほぐしてしまおう。
「そうかそうか……そりゃ大変だったねぇ」
うんうんと頷くタニア。
果たして目の前の少女がどういった経緯でここまでたどり着いたのか分からないがそれなりの苦労があったのだろう。
目の前の枝にかけられている彼女の服は擦り切れ所々が汚れていた。木の実なども途中で採ったのか小さな帽子に果実らしきものが入っているのが見て取れる。
「それなら私たちの所に来ない?」
「私たち?」
「うんそうだよ。私の名前はタニア、そして……」
タニアは隠れているオレの腕をつかむとその場に立たせる。
「ここに隠れてのぞき見していたこいつがノゾミン」
「ちょ……おま、待て!」
今、オレが姿を現すのはまずい。それはタニアにだってわかっているはずだ。
それとも彼女に何かしらの考えがあるというのだろうか。
立ち上がるオレ。
オレと少女の目が合った。
見つめ合う二人。運命の瞬間。
「……ど、どうも」
「き………………」
「これから三人で力を合わせて……」
「きゃあああああああぁぁぁ!!」
タニアのセリフは少女の悲鳴でかき消されてしまった。
「あ、あれれ?」
タニアの気の抜けた声が川岸にこだました。
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