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第四章「カルネアデス編」
第94.5話 060メザイヤ編「子供たちの瞳」
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館から子供たちを救出し、騎士団での報告を終えてから数日が経過していた。
その間、オレは騎士団の詰め所から一歩も出ることなくダラダラと過ごしている。
別に疲れたとか、ここ最近働きすぎだから休みが欲しいとか――そんな理由でダラダラしていたわけではない。
ちゃんとノルンやリベラ、ミネルバの相手もしていたのだ――主に夜だが。
それだけじゃないぞ。
今だってちゃんと騎士たちの相手をしてあげていたのだ。
練習用の剣で五対一の対戦形式。もちろんオレが圧勝したけどさ。
騎士たちとちゃんと練習して、きちんと昼食をとって、そしてこれから大切な昼寝タイム。
その後はアマンダ団長たちとのミーティングがあるのだ。
それまでの間ゆっくりしようと自分に与えられた部屋に戻る。
その途中、救い出した子供たちのいる部屋の前を通った。
「あっ、ノゾミ兄ちゃんだ!」
部屋で友達と遊んでいた男の子がオレに声をかけてきた。
子供たちとはここメザイヤの街に向かう際にかなり仲良くなることができた。オレの周りに子供たちが集まってくる。まだ、周囲の物音に過敏になり夜に眠れない子供もいるようだ――そんな子供に対してはしっかりとしたカウンセリングの必要があることをオレは帰りの道中ミネルバ話をしておいた。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は放っておくと後々大きな問題になることが多い。せっかく救った子供たちが社会不適合者や犯罪者になることだけは避けたかった。
何かあってからでは遅いのだ。
オレの話をミネルバは真剣に聞いてくれ「アマンダ団長にお話しておきます」と快く了承してくれた。
魔物に襲われたり盗賊の襲撃にあったりと大都市ならばともかく周辺の小さな村では常に危険と隣り合わせだ。その中で生活する子供たちは精神的にかなりのストレスにさらされているだろう。
そういった子供たちを救うのが教会や騎士団の仕事なのだとオレは思っている。
そんなことを考えていると可愛い女の子がオレの所へと近づいてきた。
おいおい、もしかして愛の告白かい。
困ったなぁ、オレの両手は今女の子で埋まっているんだぜBABY。
「助けてくれてありがとうな」
――ん? 聞き慣れた声だった。
「もしかしてフィナか?」
オレの問いかけに女の子は頷いた。
館で助けた時には分からなかったが、こうして身ぎれいにしてきちんとした服を着せるとかなり可愛いお嬢さんに大変身だ。
まあ、あの時はそんなことを考える余裕なんてなかったからな。
「そうだよ。この前は助けてくれてありがとう。あの時はバタバタしていてしっかりお礼を言えてなかったから」
「そうか。みんな元気になったみたいでよかった」
「うん。ノゾミが助けてくれなかったらきっと奴隷として売られてた……だから感謝しているんだ」
フィナは笑顔を見せる。
ほほう。殊勝な心掛けだ。
周囲を見れば子供たちの笑顔。みんないい顔をしている。
この笑顔のために頑張る価値があった。
「攫われたという村にも連絡が行っていますよ」
振り返るとミネルバがこちらへと向かってくるところだった。
さすが騎士団補佐官仕事が早い。
「皆さんは体調がよくなるまでしばらく騎士団で預かります」
ミネルバの言葉に子供たちの顔が僅かばかりだが曇った。
当然だ。少しでも早くに自分の家に帰りたいだろう。
しかし――子供たちの願いを叶えるわけにはいかない。
恐らくはガルハン卿の仲間がこの近辺を監視しているだろう。
マザーさんに衛星上から監視してもらっている。万が一にも侵入者がいた場合にはすぐに連絡が来るようになっている。それに監視者もまさか自分たちが衛星上から監視されているとは思うまい。
今まで受け身だったものがやっと攻めに転じることができるのだ。
「いよいよだ」
オレの言葉にミネルバが静かに頷いた。
その間、オレは騎士団の詰め所から一歩も出ることなくダラダラと過ごしている。
別に疲れたとか、ここ最近働きすぎだから休みが欲しいとか――そんな理由でダラダラしていたわけではない。
ちゃんとノルンやリベラ、ミネルバの相手もしていたのだ――主に夜だが。
それだけじゃないぞ。
今だってちゃんと騎士たちの相手をしてあげていたのだ。
練習用の剣で五対一の対戦形式。もちろんオレが圧勝したけどさ。
騎士たちとちゃんと練習して、きちんと昼食をとって、そしてこれから大切な昼寝タイム。
その後はアマンダ団長たちとのミーティングがあるのだ。
それまでの間ゆっくりしようと自分に与えられた部屋に戻る。
その途中、救い出した子供たちのいる部屋の前を通った。
「あっ、ノゾミ兄ちゃんだ!」
部屋で友達と遊んでいた男の子がオレに声をかけてきた。
子供たちとはここメザイヤの街に向かう際にかなり仲良くなることができた。オレの周りに子供たちが集まってくる。まだ、周囲の物音に過敏になり夜に眠れない子供もいるようだ――そんな子供に対してはしっかりとしたカウンセリングの必要があることをオレは帰りの道中ミネルバ話をしておいた。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は放っておくと後々大きな問題になることが多い。せっかく救った子供たちが社会不適合者や犯罪者になることだけは避けたかった。
何かあってからでは遅いのだ。
オレの話をミネルバは真剣に聞いてくれ「アマンダ団長にお話しておきます」と快く了承してくれた。
魔物に襲われたり盗賊の襲撃にあったりと大都市ならばともかく周辺の小さな村では常に危険と隣り合わせだ。その中で生活する子供たちは精神的にかなりのストレスにさらされているだろう。
そういった子供たちを救うのが教会や騎士団の仕事なのだとオレは思っている。
そんなことを考えていると可愛い女の子がオレの所へと近づいてきた。
おいおい、もしかして愛の告白かい。
困ったなぁ、オレの両手は今女の子で埋まっているんだぜBABY。
「助けてくれてありがとうな」
――ん? 聞き慣れた声だった。
「もしかしてフィナか?」
オレの問いかけに女の子は頷いた。
館で助けた時には分からなかったが、こうして身ぎれいにしてきちんとした服を着せるとかなり可愛いお嬢さんに大変身だ。
まあ、あの時はそんなことを考える余裕なんてなかったからな。
「そうだよ。この前は助けてくれてありがとう。あの時はバタバタしていてしっかりお礼を言えてなかったから」
「そうか。みんな元気になったみたいでよかった」
「うん。ノゾミが助けてくれなかったらきっと奴隷として売られてた……だから感謝しているんだ」
フィナは笑顔を見せる。
ほほう。殊勝な心掛けだ。
周囲を見れば子供たちの笑顔。みんないい顔をしている。
この笑顔のために頑張る価値があった。
「攫われたという村にも連絡が行っていますよ」
振り返るとミネルバがこちらへと向かってくるところだった。
さすが騎士団補佐官仕事が早い。
「皆さんは体調がよくなるまでしばらく騎士団で預かります」
ミネルバの言葉に子供たちの顔が僅かばかりだが曇った。
当然だ。少しでも早くに自分の家に帰りたいだろう。
しかし――子供たちの願いを叶えるわけにはいかない。
恐らくはガルハン卿の仲間がこの近辺を監視しているだろう。
マザーさんに衛星上から監視してもらっている。万が一にも侵入者がいた場合にはすぐに連絡が来るようになっている。それに監視者もまさか自分たちが衛星上から監視されているとは思うまい。
今まで受け身だったものがやっと攻めに転じることができるのだ。
「いよいよだ」
オレの言葉にミネルバが静かに頷いた。
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