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〇〇一話〜〇一〇話
〇一〇話「天地崩壊」
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温かな気持ちのいい日。
私は仕事を終えて、街を散策しながら家路を急ぐ。
妹達がお腹をすかせて待っているはずだ。
私は手に入れたばかりの食べ物を落ちないようにしかりと持ち直した。
かわいい妹達の事を思い出すと思わず顔がほころんでしまう。
「おう、仕事帰りかい」
顔見知りのおばさんが声をかけてくれた。
いつも私たちのことを気にかけてくれる心優しい人だ。
「ええ、今から帰るところです」
「ちょうどよかった、とれたてがあるが、持って行くかい?」
「はい、いつもありがとうございます」
この国の人達は気のいい人達ばかりだ。働き者でみんな別け隔てなく接してくれる。
私はこの国に生まれたことを誇りに思っている。きっと女王様が心優しい方だからだろう。
「そういえば、知っているかい」
おばさんが声をひそめて言った。
「なんですか」
「女王様の予言の話だよ」
「予言?」
初耳だった。
「なんでも、この国が滅ぶっておっかない話なんだよ。いくらなんでも突拍子すぎるってんで誰も信じちゃいないんだけどね」
そう言って、おばさんは豪快に笑った。
私もつらて笑った。笑っていたが、心のなかはぐるぐるとしていた。
世界が滅ぶ、この平和そのものの国がなくなる。
妹達の暮らすこの世界がなくなる。
私は急に心細くなった。
「帰らないと」
私が家へと帰りかけたその時だった。
ずんと地面が揺れた。今まで感じたことにない世界が震えるほどの揺れ。
「敵襲かい!」
おばさんの目が戦士の目になった。
時々だが、この国に他の国の者が来ることが、または他の部族の者が来ることがある。
国の者達は全員が戦士だ。国の一大事ともなれば全員で敵と戦う。
「いや、違うみたいよ」
近くにいた女の人が声を上げた。
「…まさか」
おばさんが青ざめた。
まさか、世界が滅ぶというのだろうか、女王様の予言のとおりに。
ずずん。
再び地面が揺れた。今度は大きい。
地面が割れる。
そして、白い煙が辺りに充満し始めた。
「なんだいこれは…」
おばさんの声が途中で途切れる。
ばたりとおばさんが倒れた。
周りの者達もばたばたと倒れていく。
煙は割れ目から出ていた。
「早く帰らないと」
妹達のことが心配だった。今頃心配しているだろう。声を上げて泣いているだろう。
そのことを思うと、胸が張り裂けそうだった。
意識がもうろうとしてくる。足元がふらつき立っているのがやっとだった。
この煙はなんだろう。どうして地面から噴き出しているのだろう。
ああ駄目だ。もう足に力が入らない。
家まではまだ遠い。
間に合わない。
力を振り絞るが、体がいうことをきかなかった。
ずずずん。
さらに大きな揺れ。地面が大きく割れ、私はその割れ目に落ちていく。
ああ、街が遠ざかっていく。
妹達が遠ざかって行く。
突然、光が目を刺した。強い光、外の光だ。
煙が消えている。
『外』の世界に出たのだと感じた。
徐々に力が戻っていく。
羽に力を込め、飛び立つ。
私は街を捨て、妹達を捨て、逃げ出した。
そして、私は女王になる決意をした。
「ロンよりショウコ」
ショウコ「あっ、スズメバチの巣から一匹逃げたみたいですよ」
ロン「逃すと厄介だな」
ショウコ「どうしてですか?」
ロン「やっとこの辺りのスズメバチを駆除できたと思ったのに一匹でものがしてしまうと、その蜂が女王蜂になる可能性があるからね」
ショウコ「そうなんですか」
ロン「ああ、蜂の世界では働き蜂は全て雌でなんだ。巣が全滅したりした場合は、働き蜂の中の一匹が女王蜂になる場合があるんだよ」
ショウコ「せっかく、駆除したのに残念です」
ロン「人間にとっては駆除でも、蜂にしてみたら家族を根絶やしにされたも同然だからね」
ショウコ「そうですよね」
私は仕事を終えて、街を散策しながら家路を急ぐ。
妹達がお腹をすかせて待っているはずだ。
私は手に入れたばかりの食べ物を落ちないようにしかりと持ち直した。
かわいい妹達の事を思い出すと思わず顔がほころんでしまう。
「おう、仕事帰りかい」
顔見知りのおばさんが声をかけてくれた。
いつも私たちのことを気にかけてくれる心優しい人だ。
「ええ、今から帰るところです」
「ちょうどよかった、とれたてがあるが、持って行くかい?」
「はい、いつもありがとうございます」
この国の人達は気のいい人達ばかりだ。働き者でみんな別け隔てなく接してくれる。
私はこの国に生まれたことを誇りに思っている。きっと女王様が心優しい方だからだろう。
「そういえば、知っているかい」
おばさんが声をひそめて言った。
「なんですか」
「女王様の予言の話だよ」
「予言?」
初耳だった。
「なんでも、この国が滅ぶっておっかない話なんだよ。いくらなんでも突拍子すぎるってんで誰も信じちゃいないんだけどね」
そう言って、おばさんは豪快に笑った。
私もつらて笑った。笑っていたが、心のなかはぐるぐるとしていた。
世界が滅ぶ、この平和そのものの国がなくなる。
妹達の暮らすこの世界がなくなる。
私は急に心細くなった。
「帰らないと」
私が家へと帰りかけたその時だった。
ずんと地面が揺れた。今まで感じたことにない世界が震えるほどの揺れ。
「敵襲かい!」
おばさんの目が戦士の目になった。
時々だが、この国に他の国の者が来ることが、または他の部族の者が来ることがある。
国の者達は全員が戦士だ。国の一大事ともなれば全員で敵と戦う。
「いや、違うみたいよ」
近くにいた女の人が声を上げた。
「…まさか」
おばさんが青ざめた。
まさか、世界が滅ぶというのだろうか、女王様の予言のとおりに。
ずずん。
再び地面が揺れた。今度は大きい。
地面が割れる。
そして、白い煙が辺りに充満し始めた。
「なんだいこれは…」
おばさんの声が途中で途切れる。
ばたりとおばさんが倒れた。
周りの者達もばたばたと倒れていく。
煙は割れ目から出ていた。
「早く帰らないと」
妹達のことが心配だった。今頃心配しているだろう。声を上げて泣いているだろう。
そのことを思うと、胸が張り裂けそうだった。
意識がもうろうとしてくる。足元がふらつき立っているのがやっとだった。
この煙はなんだろう。どうして地面から噴き出しているのだろう。
ああ駄目だ。もう足に力が入らない。
家まではまだ遠い。
間に合わない。
力を振り絞るが、体がいうことをきかなかった。
ずずずん。
さらに大きな揺れ。地面が大きく割れ、私はその割れ目に落ちていく。
ああ、街が遠ざかっていく。
妹達が遠ざかって行く。
突然、光が目を刺した。強い光、外の光だ。
煙が消えている。
『外』の世界に出たのだと感じた。
徐々に力が戻っていく。
羽に力を込め、飛び立つ。
私は街を捨て、妹達を捨て、逃げ出した。
そして、私は女王になる決意をした。
「ロンよりショウコ」
ショウコ「あっ、スズメバチの巣から一匹逃げたみたいですよ」
ロン「逃すと厄介だな」
ショウコ「どうしてですか?」
ロン「やっとこの辺りのスズメバチを駆除できたと思ったのに一匹でものがしてしまうと、その蜂が女王蜂になる可能性があるからね」
ショウコ「そうなんですか」
ロン「ああ、蜂の世界では働き蜂は全て雌でなんだ。巣が全滅したりした場合は、働き蜂の中の一匹が女王蜂になる場合があるんだよ」
ショウコ「せっかく、駆除したのに残念です」
ロン「人間にとっては駆除でも、蜂にしてみたら家族を根絶やしにされたも同然だからね」
ショウコ「そうですよね」
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