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銀狐の章
第018話「本当は……?」
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「………………」
あーちゃん先輩の最後の質問。
シェンは無言のままじっと自分の手の甲を見つめている。
小さな手だ。
その手がぎゅっときつく握りしめられている。
「シェン?」
オレは心配になって彼女の顔を覗き込もうとした。
シェンの肩が小さく震える。
「フ……フフフ……フハハハハハ!」
次の瞬間。高らかに笑いだすシェン。
「笑止!」
シェンはいきなり立ち上がった。オレの膝の上で!
オレは慌てて彼女の足を支える。
ズバッとシェンが両腕を上げる。
そう――それはまるで組体操の基本技「サボテン」に酷似していた――ってか、まんまだった。
尻尾をフリフリ。モフ毛がオレの顔を叩く。
嗚呼、ぽふぽふと我が頬を打ち据えるのはダメでございます!!
もっと、もっと!!
ハッと我に返る。
――オ、オレは何をしていたのだ。
危ない。このままではこの自称神に魂を奪われるところだった。
「我様はこやつを愛しておるのじゃ!」
言い切りやがった。女の子に好きだと言われて嫌な思いをする男子はいない。しかも美少女だ――だが、なぜだろう。あんまり嬉しくない。
「愛してるって、どれくらい?」
たたみかけるようにあーちゃん先輩。
「嫌いじゃと言われたら殺して来世に再度告白するくらいに愛しておるのじゃ!」
――愛が……重い。
何なのその愛のカタチ。
イヤだぁ。オレ怖い。
「ふふふ、私だってモー君好きだもん」
あーちゃん先輩の告白。
いや、彼氏持ちに言われましてもあんまり嬉しくないのですが。
「ほほう。さすがじゃのう」
シェンは腰に手を当てたままあーちゃん先輩を見下ろす。
組体操の技「サボテン」は相手を見下すのに最適の技だ。
太ももが痛い。そろそろ降りて欲しい。
「さすが、お主様の彼女にあることないこと吹き込んで別れさせただけのことはあるわい」
…………………………はい?
シェンの言葉にオレは絶句しつつあーちゃん先輩を見つめる。
「嘘……ですよね?」
何言ってんだ。あーちゃん先輩がオレのフラれた原因だなんて――そんなはすがない。
だって――彼女には付き合っている彼氏が……
「この女……付き合っている奴などおらんぞ」
さもありなん。といった表情のシェン。
「いや、だって……」
あーちゃん先輩は付き合っている人がいると言っていた。あっまり仲が良くないからと、オレの家によく転がり込んできていた。オレの家は「避難所」ということで彼女は私物をオレの家に置いている。「オレ、先輩の彼氏に殺されちゃいますよ」という言葉にも「大丈夫、大丈夫!」と笑顔の先輩。
それはそうだ。
付き合っている相手など最初からいなかったのだ。
「全部……嘘だったんですか?」
オレの言葉にあーちゃん先輩はしばらく固まっていた。
「だって、そうしないとモー君とお話しできないと思ったから……」
そんなことない……はずだ。
たしかにオレは人付き合いの良い方ではない。悪友――はいるが――あいつらは別枠だ。
「でも、先輩……いくら何でも……」
まあ、別れた彼女についてはあまり長くは続かないだろうとオレ自身も思えていた部分もあった。性格の不一致というのだろうか――あ、やっぱりこれ無理かも――というのがなかったといえば嘘になる。
「私なら……モー君の事、大好きだよ」
真剣な瞳で告白された。
「ほほう。どれくらい好きなのじゃ?」
シェンが腕を組み言い放つ。
真剣な場面のはずなのに「サボテン」のおかげでぶち壊しだ。
それにさっきからシェンの尻尾のおかげであーちゃん先輩の顔が見れていない。
「もう何されてもいいってくらいに大好き!」
ナ、ナンデスト!
それは【どんなリクエスト】にもお応え頂けるということでしょうか!
「お主は分かっておらん……こやつの性癖を……」
「なんですって!?」
いや待て、何を言おうとしているこの銀狐。
「そこのところもっと詳しく!」
食いつきいいねぇ。グイグイ来るよ。
――これが……女子会!
オレは戦慄の思いで二人を見る。
シェン。できれば、オレの上から降りて下さい。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【組体操の基本技「サボテン」】
組体操で多く取り入れられている技の一つ。二人一組が基本で土台となる一人目が上にのる人の足を支えつつ後ろへ体を倒し、上段が前へ反り出してバランスをとる姿が美しい技。普通の家の中、しかもソファーの上でこれをすると天井で頭を打つこと必至。
あーちゃん先輩の最後の質問。
シェンは無言のままじっと自分の手の甲を見つめている。
小さな手だ。
その手がぎゅっときつく握りしめられている。
「シェン?」
オレは心配になって彼女の顔を覗き込もうとした。
シェンの肩が小さく震える。
「フ……フフフ……フハハハハハ!」
次の瞬間。高らかに笑いだすシェン。
「笑止!」
シェンはいきなり立ち上がった。オレの膝の上で!
オレは慌てて彼女の足を支える。
ズバッとシェンが両腕を上げる。
そう――それはまるで組体操の基本技「サボテン」に酷似していた――ってか、まんまだった。
尻尾をフリフリ。モフ毛がオレの顔を叩く。
嗚呼、ぽふぽふと我が頬を打ち据えるのはダメでございます!!
もっと、もっと!!
ハッと我に返る。
――オ、オレは何をしていたのだ。
危ない。このままではこの自称神に魂を奪われるところだった。
「我様はこやつを愛しておるのじゃ!」
言い切りやがった。女の子に好きだと言われて嫌な思いをする男子はいない。しかも美少女だ――だが、なぜだろう。あんまり嬉しくない。
「愛してるって、どれくらい?」
たたみかけるようにあーちゃん先輩。
「嫌いじゃと言われたら殺して来世に再度告白するくらいに愛しておるのじゃ!」
――愛が……重い。
何なのその愛のカタチ。
イヤだぁ。オレ怖い。
「ふふふ、私だってモー君好きだもん」
あーちゃん先輩の告白。
いや、彼氏持ちに言われましてもあんまり嬉しくないのですが。
「ほほう。さすがじゃのう」
シェンは腰に手を当てたままあーちゃん先輩を見下ろす。
組体操の技「サボテン」は相手を見下すのに最適の技だ。
太ももが痛い。そろそろ降りて欲しい。
「さすが、お主様の彼女にあることないこと吹き込んで別れさせただけのことはあるわい」
…………………………はい?
シェンの言葉にオレは絶句しつつあーちゃん先輩を見つめる。
「嘘……ですよね?」
何言ってんだ。あーちゃん先輩がオレのフラれた原因だなんて――そんなはすがない。
だって――彼女には付き合っている彼氏が……
「この女……付き合っている奴などおらんぞ」
さもありなん。といった表情のシェン。
「いや、だって……」
あーちゃん先輩は付き合っている人がいると言っていた。あっまり仲が良くないからと、オレの家によく転がり込んできていた。オレの家は「避難所」ということで彼女は私物をオレの家に置いている。「オレ、先輩の彼氏に殺されちゃいますよ」という言葉にも「大丈夫、大丈夫!」と笑顔の先輩。
それはそうだ。
付き合っている相手など最初からいなかったのだ。
「全部……嘘だったんですか?」
オレの言葉にあーちゃん先輩はしばらく固まっていた。
「だって、そうしないとモー君とお話しできないと思ったから……」
そんなことない……はずだ。
たしかにオレは人付き合いの良い方ではない。悪友――はいるが――あいつらは別枠だ。
「でも、先輩……いくら何でも……」
まあ、別れた彼女についてはあまり長くは続かないだろうとオレ自身も思えていた部分もあった。性格の不一致というのだろうか――あ、やっぱりこれ無理かも――というのがなかったといえば嘘になる。
「私なら……モー君の事、大好きだよ」
真剣な瞳で告白された。
「ほほう。どれくらい好きなのじゃ?」
シェンが腕を組み言い放つ。
真剣な場面のはずなのに「サボテン」のおかげでぶち壊しだ。
それにさっきからシェンの尻尾のおかげであーちゃん先輩の顔が見れていない。
「もう何されてもいいってくらいに大好き!」
ナ、ナンデスト!
それは【どんなリクエスト】にもお応え頂けるということでしょうか!
「お主は分かっておらん……こやつの性癖を……」
「なんですって!?」
いや待て、何を言おうとしているこの銀狐。
「そこのところもっと詳しく!」
食いつきいいねぇ。グイグイ来るよ。
――これが……女子会!
オレは戦慄の思いで二人を見る。
シェン。できれば、オレの上から降りて下さい。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【組体操の基本技「サボテン」】
組体操で多く取り入れられている技の一つ。二人一組が基本で土台となる一人目が上にのる人の足を支えつつ後ろへ体を倒し、上段が前へ反り出してバランスをとる姿が美しい技。普通の家の中、しかもソファーの上でこれをすると天井で頭を打つこと必至。
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