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銀狐の章
第031話「同棲三人 ③」
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台所に立つオレの後ろにあーちゃん先輩がすっと音もなく現れた。
「モー君!」
彼女の手がオレの胸を揉む。
「うわっ!」
唐突に何をする!
不本意ながら胸がきゅんとしてしまったではないか。
本当に不本意ながら――だ。
「な、なんですか?」
「うふふふ、意外とあるのね」
つつつ――っと、胸やら腹やらを指でなぞる。
――何がだ!
あーちゃん先輩の行動がますます怪しくなってきている。
「ぐぬぬぬ!」
台所入り口にはハンカチを噛みしめるシェンの姿があった。
「あの……台所は危ないからやめて下さい」
「はーい」
素直でよろしい。
「じゃあ、台所以外ならいいんだね♡」
「違います!」
なんつ―ことを言うんだ。
「お主様、我様も手伝うのじゃ」
シェンがお手伝い宣言をした。
しかし、前回もそうだったがシェンの身長では色々と届かないのだ。
「大丈夫。こんなこともあろうかと踏み台を買ってきているのじゃ」
後ろに隠していたであろう組み立て式の踏み台を自慢げに披露するシェン。
おお、成長したなぁシェン。お父さんは嬉しいよ。
「分かった。じゃあこの野菜を切ってくれ」
「任せるのじゃ」
腕まくりしてシェンは野菜を切り始めた。
「こらこら、ダメだぞ。野菜を切る時には猫の手にならないと」
「コン? 猫の手……じゃと?」
何やらシェンの様子がおかしい。
「なんだ。猫に嫌な思い出でもあるのか?」
「まあ、以前少しな……」
何だろう。猫にこれだけ固執するとは――
「それとこれとは別だよ」
「分かったのじゃ」
「素直でよろしい!」
あーちゃん先輩はシェンをぎゅっと抱きしめると色々と教えながら料理を始める。
意外にも、あーちゃん先輩はしっかりとシェンに料理の仕方を教えたのだった。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【ハンカチを噛みしめる】
悔しがる様子なのだが、実際にこうやって悔しがる人を今まで見たことがない。
「モー君!」
彼女の手がオレの胸を揉む。
「うわっ!」
唐突に何をする!
不本意ながら胸がきゅんとしてしまったではないか。
本当に不本意ながら――だ。
「な、なんですか?」
「うふふふ、意外とあるのね」
つつつ――っと、胸やら腹やらを指でなぞる。
――何がだ!
あーちゃん先輩の行動がますます怪しくなってきている。
「ぐぬぬぬ!」
台所入り口にはハンカチを噛みしめるシェンの姿があった。
「あの……台所は危ないからやめて下さい」
「はーい」
素直でよろしい。
「じゃあ、台所以外ならいいんだね♡」
「違います!」
なんつ―ことを言うんだ。
「お主様、我様も手伝うのじゃ」
シェンがお手伝い宣言をした。
しかし、前回もそうだったがシェンの身長では色々と届かないのだ。
「大丈夫。こんなこともあろうかと踏み台を買ってきているのじゃ」
後ろに隠していたであろう組み立て式の踏み台を自慢げに披露するシェン。
おお、成長したなぁシェン。お父さんは嬉しいよ。
「分かった。じゃあこの野菜を切ってくれ」
「任せるのじゃ」
腕まくりしてシェンは野菜を切り始めた。
「こらこら、ダメだぞ。野菜を切る時には猫の手にならないと」
「コン? 猫の手……じゃと?」
何やらシェンの様子がおかしい。
「なんだ。猫に嫌な思い出でもあるのか?」
「まあ、以前少しな……」
何だろう。猫にこれだけ固執するとは――
「それとこれとは別だよ」
「分かったのじゃ」
「素直でよろしい!」
あーちゃん先輩はシェンをぎゅっと抱きしめると色々と教えながら料理を始める。
意外にも、あーちゃん先輩はしっかりとシェンに料理の仕方を教えたのだった。
□■□■□■□■用語解説□■□■□■□■
【ハンカチを噛みしめる】
悔しがる様子なのだが、実際にこうやって悔しがる人を今まで見たことがない。
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