魔法使いニヒニヒと魔法のスープ

Ari

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ニヒニヒの家

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深いフラワーランドの森を、陶芸家のAriが歩いていました。
Ariは新しい土を探す旅の途中、お腹がペコペコになってしまい、森の小さな空き地で焚き火を起こし、持っていた野菜とハーブでスープを作り始めました。
すると、ぐつぐつと煮えるいい匂いが、森中にふわ~っと広がっていきました。
その匂いに誘われて、小さなおばあちゃん妖精が現れました。
銀色の髪をお団子に結って、緑の洋服を着ています。
「まあ、なんて良い匂い! あなたが作ってるのね。この森の奥まで漂ってきたわ」
妖精は優しく微笑んで、Ariに話しかけました。
「はじめまして、私はトエル。この先の大きな家に住んでるんだけど、最近家族が増えすぎちゃって、とにかく大忙しなのよ」
Ariは疲れた顔のトエルを見て、スープをよそって手渡しました。
「まぁ、嬉しいわ。お昼ご飯を食べる時間もなかったの」
トエルは嬉しそうにスープをひと口。
「おいしい! この味なら、気難しいニヒニヒもみんなもきっと喜ぶわ。ねえ、一緒に家に来ない?
私ももういい歳だから、あなたがご飯係になってくれたら、庭に素敵な部屋を建ててあげるわ!」
Ariはびっくりしましたが、トエルの優しい笑顔に惹かれて、
知らない森をさまようより、トエルの家に少しお邪魔しようと思いました。
家に着くと、髭の長いニヒニヒが巨大な設計図を広げてニヤニヤしていました。
トエルが「みんな、この子が新しい家族よ!」と紹介すると、
ニヒニヒは「ふんっ、勝手に……」と言いながら、こっそり親指を立ててグッドのポーズ。
「Ariさん、疲れているところ申し訳ないけど、もうすぐみんなが帰ってくるから、
台所仕事をお願いしてもいいかしら? さっきのスープをたくさん作ってくれると嬉しいわ」
Ariは山積みの食器と、材料がいっぱいの台所を見て、目をキラキラさせました。
なぜなら、Ariは料理が大得意だったからです!
さて、何を作ろう? どれに盛り付けよう? デザートは何がいいかな?
夕方になると、森の動物たちがぞろぞろと帰ってきて、家の中はあっという間に大騒ぎ!ニヒニヒの家は、住民が増えるたびに新しい部屋ができて、どんどん大きくなっていくので、フラワーランドでは「ニヒニヒハウス」と言われとても有名でした。
Ariが台所仕事を終えると、トエルが「特別なお礼よ」と小さな種をプレゼントしました。
「庭に植えるといいわ!」
Ariが早速庭に種を蒔いて水をあげると、種はすぐに芽を出し、
大きな蔓を伸ばして、家全体を優しく包むようにバラの花が満開になりました。
甘い香りが森中に広がって、家はすてきなバラの家に変わりました。
ニヒニヒは「ふんっ、手入れが面倒じゃ……バラが咲くとは…ニヒヒ……」と言いながら、
楽しそうに新しい設計図にバラの模様をたくさん描き加えていました。
「おーい! ワォ! どこにいる? これAri君の部屋だ、台所の横に増築してくれ!」
キツネザルのワォが「ニヒニヒOK!」と元気に返事。
みんなで手分けをして、せっせと部屋を作り始めました。
熊が木材を運び、猿が壁を作り、犬が床を貼り、
鳥が窓枠をはめ、リスが木の実のスイッチをつけると、
あっという間にAriの素敵な部屋が完成!
テーブル、椅子、本棚、ふかふかの赤いベッドに、バラの花がいっぱいです。
「みんな、お疲れ! さぁ、Ari君の歓迎会だ! 手伝え!」
ニヒニヒの声で、動物たちが台所に集まってきました。
みんなで楽しくAriの作った料理を運び、大きなテーブルに並べます。
バラの甘い香りをそえて、幸せなごちそうの時間になりました。
「わぁ、おいしそう!」
「このスープ、最高!」
「Ariさん、すごいね!」
そして、誰かが大きな声で叫びました。
「おかわり! 」
すると「おかわり! おかわり!」の声があちこちから響いて、
バラの家は笑い声でいっぱいになりました。
窓の外ではバラの花が満開に咲いて、
優しい甘い香りをそっと漂わせています。
でも今は、台所から立ち上るスープやごちそうの温かい匂いが、
家の中を幸せでいっぱいにしていました。
Ariさんはみんなのキラキラした笑顔を見て、胸がぽかぽかになりました。

「誰かが誰かのためにスープを作るとき、
そこにはきっと優しい気持ちがこもっていて、どんなスープにも「笑顔」の魔法がかかります。」

でもね、Ariさん、
この家のちょっと欠けたお皿や、
少し古びた器をじーっと見つめて、
なんだか気になる様子。

そう、彼は陶芸家なのです。
きっと、次は素敵な器を焼いて、
みんなをまたびっくりさせてくれるに違いありません。

このお話の続きは、また今度!

おしまい。
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