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続編
第23話 続編 in the car
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深夜、ブラック・バニーズの従業員通用口から、仕事を終えたスタッフがばらばらと出てきた。
住宅街の中にひっそりとあるため、彼らはほとんど口を利かない。
美崎もその中にいたが、店の外に出ると少し離れたところに停まっていた車にするりと乗り込んだ。
車は静かに発進した。
運転しているのは桐谷の秘書の佐伯だった。
たまに桐谷の代わりに美崎の様子を見に来る。
美崎が「黙って勝手に見られるのは、いや!」と言うと、律儀に前もって連絡をしてくるようになった。
そのうち「どうせなら、店まで迎えに来てうちまで送ってよ」の言葉に、月に一度程度、佐伯が美崎をブラック・バニーズまで迎えに来るようになった。
街灯に照らされてうすぼんやり見える佐伯の横顔を美崎はちらりと見る。
佐伯とは一度、ホテルで関係を持ったきりだ。
美崎が暴行に遭い、桐谷のところに滞在し、最後ホテルで桐谷に抱かれたあと、疼く身体と切り裂くような寂しさを紛らわすために、望んで佐伯に抱かれた。
それも桐谷が残したシャツを着て、佐伯のことを「仁」と呼び、自分の内側に桐谷の放った白濁を残したまま。
その後、美崎がねだれば佐伯は桐谷を抱いたかもしれなかったが、美崎はそうはしなかった。
佐伯も不必要に美崎にふれることはなかった。
「ねぇ、仁は俺の写真、見てくれた?」
美崎は思い切って佐伯に聞いてみた。
優也には、さすがに聞きづらかった。
「ええ、ご覧になっていらっしゃいましたよ」
「何か言ってた?」
弾んだ、期待を込めた美崎の声に佐伯は「いいえ」と淡々と答えた。
美崎はあからさまにがっかりした様子を見せた。
「最近、仁がブラック・バニーズに来ないんだぁ」
溜息と共に美崎は漏らした。
「優也さんがいるから、俺のこと、もう要らないのかな」
ぽそりと言う。
「美崎らしくないな。
これまでなら、奪いに行くだろう?」
佐伯は静かに言う。
「だって一回こっぴどくフラれたもん。
残酷なくらい。
あれだけされれば、ね」
ツンと凍った美崎の横顔を佐伯は横目で見た。
「だからと言って、桐谷だけじゃないだろう?
keiともつき合っているようだし」
「仁は仁。
keiはkei。
全然違うよ。
仁みたいな人、出会ったことがない」
「おまえも私と同じだな。
若いうちから出会わないほうがいい人に会ってしまった」
「どういうこと?」
「影響力が大きすぎて、他の人がつまらなくなってしまう。
私ももっと他の人と関わってもよかったはずなのに、桐谷ほどの人がいなくて逃れられなくなってしまい、早くから桐谷の秘書として働くことを望んでしまった」
美崎はくすくすと笑う。
「わかる、それ。
佐伯さんも桐谷に狂わされた一人なんだ」
「ああ、大きすぎる人だ」
否定もせず、話し続ける佐伯に美崎は少しだけ、親近感を持った。
「ね、佐伯さんからも仁にブラック・バニーズに来るように言ってくれる?」
「私の言うことなんて聞かない人だ」
「うん、それでもいいから」
佐伯はしばらく沈黙したあと、「わかった」と答えた。
美崎は嬉しそうに甘い溜息をついた。
住宅街の中にひっそりとあるため、彼らはほとんど口を利かない。
美崎もその中にいたが、店の外に出ると少し離れたところに停まっていた車にするりと乗り込んだ。
車は静かに発進した。
運転しているのは桐谷の秘書の佐伯だった。
たまに桐谷の代わりに美崎の様子を見に来る。
美崎が「黙って勝手に見られるのは、いや!」と言うと、律儀に前もって連絡をしてくるようになった。
そのうち「どうせなら、店まで迎えに来てうちまで送ってよ」の言葉に、月に一度程度、佐伯が美崎をブラック・バニーズまで迎えに来るようになった。
街灯に照らされてうすぼんやり見える佐伯の横顔を美崎はちらりと見る。
佐伯とは一度、ホテルで関係を持ったきりだ。
美崎が暴行に遭い、桐谷のところに滞在し、最後ホテルで桐谷に抱かれたあと、疼く身体と切り裂くような寂しさを紛らわすために、望んで佐伯に抱かれた。
それも桐谷が残したシャツを着て、佐伯のことを「仁」と呼び、自分の内側に桐谷の放った白濁を残したまま。
その後、美崎がねだれば佐伯は桐谷を抱いたかもしれなかったが、美崎はそうはしなかった。
佐伯も不必要に美崎にふれることはなかった。
「ねぇ、仁は俺の写真、見てくれた?」
美崎は思い切って佐伯に聞いてみた。
優也には、さすがに聞きづらかった。
「ええ、ご覧になっていらっしゃいましたよ」
「何か言ってた?」
弾んだ、期待を込めた美崎の声に佐伯は「いいえ」と淡々と答えた。
美崎はあからさまにがっかりした様子を見せた。
「最近、仁がブラック・バニーズに来ないんだぁ」
溜息と共に美崎は漏らした。
「優也さんがいるから、俺のこと、もう要らないのかな」
ぽそりと言う。
「美崎らしくないな。
これまでなら、奪いに行くだろう?」
佐伯は静かに言う。
「だって一回こっぴどくフラれたもん。
残酷なくらい。
あれだけされれば、ね」
ツンと凍った美崎の横顔を佐伯は横目で見た。
「だからと言って、桐谷だけじゃないだろう?
keiともつき合っているようだし」
「仁は仁。
keiはkei。
全然違うよ。
仁みたいな人、出会ったことがない」
「おまえも私と同じだな。
若いうちから出会わないほうがいい人に会ってしまった」
「どういうこと?」
「影響力が大きすぎて、他の人がつまらなくなってしまう。
私ももっと他の人と関わってもよかったはずなのに、桐谷ほどの人がいなくて逃れられなくなってしまい、早くから桐谷の秘書として働くことを望んでしまった」
美崎はくすくすと笑う。
「わかる、それ。
佐伯さんも桐谷に狂わされた一人なんだ」
「ああ、大きすぎる人だ」
否定もせず、話し続ける佐伯に美崎は少しだけ、親近感を持った。
「ね、佐伯さんからも仁にブラック・バニーズに来るように言ってくれる?」
「私の言うことなんて聞かない人だ」
「うん、それでもいいから」
佐伯はしばらく沈黙したあと、「わかった」と答えた。
美崎は嬉しそうに甘い溜息をついた。
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