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第6話 温泉で遊ぶ
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金曜日の夜はわくわくする。
土日の休みはまだまるっと2日間ある。
少々夜更かししても学校がないし、寝坊してもいい。
ふああああ、と大きく伸びをして自室のベッドに倒れ込もうとしたとき、黒い雲が立ち込め遠くから僕の名前を呼ぶ声がした。
「当麻あああああっ」
え、っと思ったら僕はもふもふに包まれ、高速で移動していた。
「ひゃ、百貝様?!」
「金のつく日ならば当麻は山に来られると知ったからな。各務のところに行ったのだから次は俺のところだろ?」
え、どういう…? もしかして「金曜日」ってこと?
それにしても亀に乗ってるんだよね。亀、こんなに速くていいの?
びゅんびゅんと音がしている。
百貝様はいつものように髪と髭のもふもふの中で僕を抱えている。
なので僕は落ちる心配もないし、寒くもないんだけど。
「温泉に入るぞ」
「温泉?」
「うちの山の温泉に入れてやると言っただろう。ほれ」
かけ声とともに僕の身体は宙に放り出された。
うわあああああああ、と叫んでいるとばっしゃーーーーんと大きな水音がして僕はお湯の中にいた。
うわっぷ。え、直接温泉?!
「服着たまま? かけ湯は?」
百貝様もがっはっはっはっ!と笑いながら、僕より派手な水しぶきを上げて温泉に飛び込んできた。
「なにを言ってる、当麻」
「百貝様、服脱いでかけ湯をしなくては…」
「なんだそれ?」
「いや、温泉に入る前のマナーというか」
「ん? ヘンな奴だな、当麻。ここは俺の湯だ。好きに入ればいいのだ」
しかし…
僕は服がまとわりつくのが嫌で、湯の中でもぞもぞと服を脱いだ。そんな僕を見て百貝様も真似るように黒い着物を脱ぎ始めた。
脱いだ服や着物は百貝様の仕者の蝶と蜉蝣たちが細い手で湯の中からすくい上げるとどこかへ持っていってしまった。
青々とした木に囲まれた広い露天風呂にそよっと風が渡る。気持ちいい。
そのままゆっくりお湯につかるのかと思えば、百貝様は泳ぎ始めた。
え、そんなことしていいの?
僕が驚いたように百貝様を見ていたのに気がついたのか「好きに入ればいいんだ。当麻も泳げ」と言った。
旅館の温泉ではないし、他にお客さんがいるわけでもないし、主の百貝様がおっしゃっているのならいい、のかな。
僕はそっと平泳ぎをしてみた。
そのそばを百貝様がばしゃばしゃと大きな音を立てて泳いできた。
僕も楽しくなってどんどん泳いでみた。
「ほら、当麻。うちの山の温泉はこっちに入らなくては」
「嫌ですよ。そっちは熱いんでしょう? 百貝様だけで入っていらっしゃればいいじゃないですか」
「客人をもてなすのが主の役目。ほら行くぞ」
僕は百貝様の太い腕に引かれそれまで泳いでいた温泉から上がると飛び石を渡って、隣の露天風呂に移った。
湯は赤茶色で湯気の量が向こうのとは全然違う。絶対熱いヤツだ。
「一緒に入るぞ」
「え、百貝様。心の準…」
言い終わらないうちに手を繋がれたまま爪先だけ湯につけると「あつっ!」と声を上げた。やっぱ、熱いじゃん!
入るのをやめようと立ち止まったが、百貝様がそのまま湯の中に入ってしまうので、勢いで両足で入ってしまう。
「ぅぅぅぅ」
「ゆっくり慣らしてみろ」
百貝様はなんでもないようにざぶんと湯に入ってしまいちょうど視線の先に僕の股間がきてしまうので、僕は仕方なくじりじりと赤い湯に身を沈める。
なにこの我慢大会。
身体中が一気に温まり、顔中から汗が噴き出る。
「よーし、もういいだろう」
と言われた頃には湯に入っていた肌は赤くなっていた。
百貝様に手を引かれ用意されていた浴衣に着替え、また手を引かれ大広間に通される。
「約束していたからな。当麻、食べてみろ」と言われ黒の漆膳の上に並べられたのは炭火で焼いた川魚だった。
塩が振られ形よく串に刺されて香ばしく焼かれている。
百貝様が「ヤマメ、ゴギ、イワナ、アマゴ、アユ」と指さし、どれがいいかとおっしゃるので僕はヤマメを選んだ。
串を渡されかぶりつく。ほくほくの白身に塩がおいしい。僕は夢中になって食べた。
用意されていたのはほかにもたくさんあったが、百貝様が自慢されるだけあって魚が一番おいしかった。
いつの間にか百貝様はお酒を飲んでいらして、いい気分だ。
僕もなんとなく楽しくなって料理をあれこれ食べた。
食後のお茶も終わり、そろそろ帰るころかな、と思ったとき百貝様は首を横に振った。
「当麻と朝風呂をする」
各務様のところでの僕の言葉を覚えていらしたようだ。
僕がなにを言っても聞かない。
困ってあたりを見回すと蝶と蜉蝣の仕者は困り顔で僕を見ていた。
「当麻は今夜は五郎山で休んで、明日、朝風呂をする」と満足そうに蝶と蜉蝣に言った。そして仕者に優しく頬ずりをした。仕者は言葉にはしないが「仕方ないですね」という様子で百貝様を見て微笑んでいた。そして百貝様と一緒に「だめですか?」と言わんばかりの目で僕を見てきた。
百貝様は山の神様の中で言動が一番乱暴でワイルドなのに、一番下の弟で優しいのかもしれない。
爪は鋭くとがっているし、目は金色にらんらんと光ってぎょろっとにらんでまるで掛け軸の迫力ある達磨大師のようなのに、蝶や蜉蝣というちょっとでも乱暴に扱えばすぐに死んでしまいそうな儚い虫たちに優しく優しく触れる。そうされる虫たちも嬉しそうにしている。
僕は小さく溜息をついて、「今回だけですよ」と言った。
百貝様は「わかっている。各務に負けじと『今』のことを少しずつ学んでいる。だから金のつく日に迎えにいっただろう。あとは当麻に嫌がることはしないのだ」と満足そうに言った。
僕は床をとってもらい一晩眠ると翌朝、百貝様と朝風呂に入った。
図々しく朝食もいただいていると百貝様が「当麻と遊ぶ」と駄々をこねてきかない。
その頃には僕もなんだか面倒くさくなって「いいですよ」と言ってしまった。
百貝様は大声を上げて喜び、すぐに黒雲に包まれた亀に乗り空を飛び始めた。
「なにして遊ぶんですか」
「川で泳ぐぞ、当麻」と答えが返ってきたかと思うと、また身体が宙に浮き、今度は川の水の中に放り込まれていた。
派手に水音を立てて落ちる!と思ったが、聞こえたのはぽちゃんという小さな音だった。
思わず閉じてしまった目を開けると水中がよく見える。
ぽちゃんとまた音がしてそちらを見るとヤマメがすっと近寄ってきた。
「当麻、泳ぐぞ」
百貝様の声がした。そしてヤマメはすっと泳ぐ。
こんなところに置いていかれたら大変だ。僕も慌てて泳ごうと手足を動かした。
はずだが、すっと水を切るように身体が動いた。
なんと僕もヤマメになっていた。
それから百貝様と一緒に水の流れに逆らって川上に向かって泳いだり、流れに乗ってどっちが速く泳げるか競ったり、どれだけ速く岩陰に隠れることができるか比べてみたり、と夢中になって遊んだ。
たったそれだけのことだったのに、とても楽しかった。
びっくりしたのが、水から上がってからだった。
身体がとても重く、筋肉痛だ。
亀に乗って屋敷に帰り、昨日あんなに嫌がった赤く熱い温泉に入った。すっごく気持ちいい。
これまで温泉は「適温のお湯に入るもの」だと思っていたのに、この熱いお湯がぐっと疲れ切った身体に効いた。
湯から上がり、蝶の仕者が用意してくれた冷たい麦茶がおいしくてごくごく飲んだ。
「楽しかったな、当麻」
「はい」
「眠いか」
「はい」
水の中で過ごすのはとても体力を使うものらしい。
百貝様に促されるように畳にごろりと横になると、強烈な睡魔が襲ってきた。
まるで夏休みにプールで遊んで帰ってきた小学生みたいだ。
「寝ている間に送ってやる。また遊ぼうな、当麻」
「はい……」
あっという間に僕は深く眠ってしまった。
***
母親の声で目を覚ましスマホを見ると、金曜日の夜10時過ぎだった。
風呂が空いた、と言われそれにいい加減に答えた。
百貝様と遊んだ時間が夢のようだった。
僕は2回目の週末を過ごすような気分で、家の風呂に入った。
土日の休みはまだまるっと2日間ある。
少々夜更かししても学校がないし、寝坊してもいい。
ふああああ、と大きく伸びをして自室のベッドに倒れ込もうとしたとき、黒い雲が立ち込め遠くから僕の名前を呼ぶ声がした。
「当麻あああああっ」
え、っと思ったら僕はもふもふに包まれ、高速で移動していた。
「ひゃ、百貝様?!」
「金のつく日ならば当麻は山に来られると知ったからな。各務のところに行ったのだから次は俺のところだろ?」
え、どういう…? もしかして「金曜日」ってこと?
それにしても亀に乗ってるんだよね。亀、こんなに速くていいの?
びゅんびゅんと音がしている。
百貝様はいつものように髪と髭のもふもふの中で僕を抱えている。
なので僕は落ちる心配もないし、寒くもないんだけど。
「温泉に入るぞ」
「温泉?」
「うちの山の温泉に入れてやると言っただろう。ほれ」
かけ声とともに僕の身体は宙に放り出された。
うわあああああああ、と叫んでいるとばっしゃーーーーんと大きな水音がして僕はお湯の中にいた。
うわっぷ。え、直接温泉?!
「服着たまま? かけ湯は?」
百貝様もがっはっはっはっ!と笑いながら、僕より派手な水しぶきを上げて温泉に飛び込んできた。
「なにを言ってる、当麻」
「百貝様、服脱いでかけ湯をしなくては…」
「なんだそれ?」
「いや、温泉に入る前のマナーというか」
「ん? ヘンな奴だな、当麻。ここは俺の湯だ。好きに入ればいいのだ」
しかし…
僕は服がまとわりつくのが嫌で、湯の中でもぞもぞと服を脱いだ。そんな僕を見て百貝様も真似るように黒い着物を脱ぎ始めた。
脱いだ服や着物は百貝様の仕者の蝶と蜉蝣たちが細い手で湯の中からすくい上げるとどこかへ持っていってしまった。
青々とした木に囲まれた広い露天風呂にそよっと風が渡る。気持ちいい。
そのままゆっくりお湯につかるのかと思えば、百貝様は泳ぎ始めた。
え、そんなことしていいの?
僕が驚いたように百貝様を見ていたのに気がついたのか「好きに入ればいいんだ。当麻も泳げ」と言った。
旅館の温泉ではないし、他にお客さんがいるわけでもないし、主の百貝様がおっしゃっているのならいい、のかな。
僕はそっと平泳ぎをしてみた。
そのそばを百貝様がばしゃばしゃと大きな音を立てて泳いできた。
僕も楽しくなってどんどん泳いでみた。
「ほら、当麻。うちの山の温泉はこっちに入らなくては」
「嫌ですよ。そっちは熱いんでしょう? 百貝様だけで入っていらっしゃればいいじゃないですか」
「客人をもてなすのが主の役目。ほら行くぞ」
僕は百貝様の太い腕に引かれそれまで泳いでいた温泉から上がると飛び石を渡って、隣の露天風呂に移った。
湯は赤茶色で湯気の量が向こうのとは全然違う。絶対熱いヤツだ。
「一緒に入るぞ」
「え、百貝様。心の準…」
言い終わらないうちに手を繋がれたまま爪先だけ湯につけると「あつっ!」と声を上げた。やっぱ、熱いじゃん!
入るのをやめようと立ち止まったが、百貝様がそのまま湯の中に入ってしまうので、勢いで両足で入ってしまう。
「ぅぅぅぅ」
「ゆっくり慣らしてみろ」
百貝様はなんでもないようにざぶんと湯に入ってしまいちょうど視線の先に僕の股間がきてしまうので、僕は仕方なくじりじりと赤い湯に身を沈める。
なにこの我慢大会。
身体中が一気に温まり、顔中から汗が噴き出る。
「よーし、もういいだろう」
と言われた頃には湯に入っていた肌は赤くなっていた。
百貝様に手を引かれ用意されていた浴衣に着替え、また手を引かれ大広間に通される。
「約束していたからな。当麻、食べてみろ」と言われ黒の漆膳の上に並べられたのは炭火で焼いた川魚だった。
塩が振られ形よく串に刺されて香ばしく焼かれている。
百貝様が「ヤマメ、ゴギ、イワナ、アマゴ、アユ」と指さし、どれがいいかとおっしゃるので僕はヤマメを選んだ。
串を渡されかぶりつく。ほくほくの白身に塩がおいしい。僕は夢中になって食べた。
用意されていたのはほかにもたくさんあったが、百貝様が自慢されるだけあって魚が一番おいしかった。
いつの間にか百貝様はお酒を飲んでいらして、いい気分だ。
僕もなんとなく楽しくなって料理をあれこれ食べた。
食後のお茶も終わり、そろそろ帰るころかな、と思ったとき百貝様は首を横に振った。
「当麻と朝風呂をする」
各務様のところでの僕の言葉を覚えていらしたようだ。
僕がなにを言っても聞かない。
困ってあたりを見回すと蝶と蜉蝣の仕者は困り顔で僕を見ていた。
「当麻は今夜は五郎山で休んで、明日、朝風呂をする」と満足そうに蝶と蜉蝣に言った。そして仕者に優しく頬ずりをした。仕者は言葉にはしないが「仕方ないですね」という様子で百貝様を見て微笑んでいた。そして百貝様と一緒に「だめですか?」と言わんばかりの目で僕を見てきた。
百貝様は山の神様の中で言動が一番乱暴でワイルドなのに、一番下の弟で優しいのかもしれない。
爪は鋭くとがっているし、目は金色にらんらんと光ってぎょろっとにらんでまるで掛け軸の迫力ある達磨大師のようなのに、蝶や蜉蝣というちょっとでも乱暴に扱えばすぐに死んでしまいそうな儚い虫たちに優しく優しく触れる。そうされる虫たちも嬉しそうにしている。
僕は小さく溜息をついて、「今回だけですよ」と言った。
百貝様は「わかっている。各務に負けじと『今』のことを少しずつ学んでいる。だから金のつく日に迎えにいっただろう。あとは当麻に嫌がることはしないのだ」と満足そうに言った。
僕は床をとってもらい一晩眠ると翌朝、百貝様と朝風呂に入った。
図々しく朝食もいただいていると百貝様が「当麻と遊ぶ」と駄々をこねてきかない。
その頃には僕もなんだか面倒くさくなって「いいですよ」と言ってしまった。
百貝様は大声を上げて喜び、すぐに黒雲に包まれた亀に乗り空を飛び始めた。
「なにして遊ぶんですか」
「川で泳ぐぞ、当麻」と答えが返ってきたかと思うと、また身体が宙に浮き、今度は川の水の中に放り込まれていた。
派手に水音を立てて落ちる!と思ったが、聞こえたのはぽちゃんという小さな音だった。
思わず閉じてしまった目を開けると水中がよく見える。
ぽちゃんとまた音がしてそちらを見るとヤマメがすっと近寄ってきた。
「当麻、泳ぐぞ」
百貝様の声がした。そしてヤマメはすっと泳ぐ。
こんなところに置いていかれたら大変だ。僕も慌てて泳ごうと手足を動かした。
はずだが、すっと水を切るように身体が動いた。
なんと僕もヤマメになっていた。
それから百貝様と一緒に水の流れに逆らって川上に向かって泳いだり、流れに乗ってどっちが速く泳げるか競ったり、どれだけ速く岩陰に隠れることができるか比べてみたり、と夢中になって遊んだ。
たったそれだけのことだったのに、とても楽しかった。
びっくりしたのが、水から上がってからだった。
身体がとても重く、筋肉痛だ。
亀に乗って屋敷に帰り、昨日あんなに嫌がった赤く熱い温泉に入った。すっごく気持ちいい。
これまで温泉は「適温のお湯に入るもの」だと思っていたのに、この熱いお湯がぐっと疲れ切った身体に効いた。
湯から上がり、蝶の仕者が用意してくれた冷たい麦茶がおいしくてごくごく飲んだ。
「楽しかったな、当麻」
「はい」
「眠いか」
「はい」
水の中で過ごすのはとても体力を使うものらしい。
百貝様に促されるように畳にごろりと横になると、強烈な睡魔が襲ってきた。
まるで夏休みにプールで遊んで帰ってきた小学生みたいだ。
「寝ている間に送ってやる。また遊ぼうな、当麻」
「はい……」
あっという間に僕は深く眠ってしまった。
***
母親の声で目を覚ましスマホを見ると、金曜日の夜10時過ぎだった。
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