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第三章 三つ目の願いを握った小さな娘
十四
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遠くの方から、微かに破裂音や金属音が耳に届いてきた。意識がはっきりしているけど、眠っていたような奇妙な感覚に襲われていた。未だに、激しい戦闘を繰り広げている銀将君・神槍さん、そして夜叉丸と化した祈子さんから生み出されている音だ。
雫さんが、長縄縛寿の孫だって? 笑えない冗談だ。
長縄縛寿とは、六角堂の当主と神槍の当主、そして響介さんの三人がかりで討伐した御三家の一角の当主だ。禁忌を犯した長縄縛寿は、打倒された。そして、歪屋に異議を唱えていたそうだ。それは、いったいどういう事なのだろう? そして、長縄が犯した禁忌とは、いったいなんなのだろう。
「響介さん、教えて下さい」
視線を響介さんに向けると、彼は大きく息を吐いて、僕を見た。
「長縄縛寿の犯した禁忌とは、『妖結晶』の作成だよ。そして、『妖結晶』とは、『人間にもののけの能力を、移植する代物』だ。つまり、意図的に、『もののけ』を作り出すものだ。非人道的な実験も繰り返されていた。ほとんどの者が『妖結晶』によって、後天的に発症した。しかし・・・」
響介さんは、言葉を切り、僕の背後に視線を送る。地下への階段が存在する小さな社の方だ。小さな社の前に設置されている賽銭箱の前に、真君が横たわっている。九十九君の一人が、真君を見守っていた。
「受精卵に『妖結晶』を含ませて、先天的に『もののけ』として産み落とされたのが、真君だ」
思わず、息が詰まった。真君の出生に、長縄が関わっているというのは、そういう事だったのか。僕が放心状態でいると、突然影が頭上を越えていった。咄嗟に顔を上げ影を追うと、背中に『鍵』と描かれた緑色の羽織が見えた。鍵助さんが、応戦に向かったようだ。
これで、あちらは、三対一だ。刃物を扱う達人である祈子さんが、夜叉丸を手にすると、凶悪な殺戮マシーンと化すようだ。御三家の二人であっても、食い止める事ができないみたいだ。いや、単純に打倒するだけなら、簡単なのかもしれない。祈子さんを傷つけないように立ち回っているからこそ、攻めあぐねている感じだ。僕は、現実逃避をするように、遠くの戦闘をまるで映画でも見る感覚で眺めていた。
そうでもしないと、メンタルが崩壊しそうだ。
あまりにも現実味がなくて、涙すら流れてこない。
響介さんは、僕達が地下へ行く前から、雫さんが黒幕であることを悟っていたのだろう。だからこそ、突然アドバイスのようなものを送ってくれたのだ。そして、九十九さんも知っていたのかもしれない。でなければ、真君が宝石を盗み出したのをみすみす逃したりはしないだろう。
「君の目的は、長縄家の復興かい? 妖結晶を奪い取って、引っ繰り返す腹積もりだったのかい? ついでに、憎き僕を倒せたら、一石二鳥って感じかい?」
「・・・」
雫さんは、眠そうな目つきで、響介さんを見つめている。すると、スルスルと響介さんの背後に、鏡々さんがやってきた。そして、鏡々さんは、響介さんに耳打ちをした。
「・・・ほう。なるほどねえ」
響介さんが、口角を吊り上げて、ニヤリと笑みを浮かべた。顔面に笑みを張り付けたまま響介さんは、雫さんへと歩み寄った。そして、暫く雫さんを見つめていた響介さんが、勢い良く右手を伸ばし、雫さんの左胸を掴んだ。
「ちょっっ!! 何やってんですか!?」
僕は、反射的に大声で叫んだ。そして、衣服が破れる音と共に、響介さんは右手を引いた。響介さんの右手からは、真っ赤な血液が滴り落ちている。
雫さんの衣服は破れ、大きな胸が露わに・・・心臓が止まったように、時間が止まったように、頭が真っ白になった。
どこからともなく、響き渡る薄気味悪い笑い声。
「久しいのう。歪屋あ。貴様の顔を見ると、受けた傷が疼くわい」
雫さんの左胸に、人の顔が存在していた。
雫さんが、長縄縛寿の孫だって? 笑えない冗談だ。
長縄縛寿とは、六角堂の当主と神槍の当主、そして響介さんの三人がかりで討伐した御三家の一角の当主だ。禁忌を犯した長縄縛寿は、打倒された。そして、歪屋に異議を唱えていたそうだ。それは、いったいどういう事なのだろう? そして、長縄が犯した禁忌とは、いったいなんなのだろう。
「響介さん、教えて下さい」
視線を響介さんに向けると、彼は大きく息を吐いて、僕を見た。
「長縄縛寿の犯した禁忌とは、『妖結晶』の作成だよ。そして、『妖結晶』とは、『人間にもののけの能力を、移植する代物』だ。つまり、意図的に、『もののけ』を作り出すものだ。非人道的な実験も繰り返されていた。ほとんどの者が『妖結晶』によって、後天的に発症した。しかし・・・」
響介さんは、言葉を切り、僕の背後に視線を送る。地下への階段が存在する小さな社の方だ。小さな社の前に設置されている賽銭箱の前に、真君が横たわっている。九十九君の一人が、真君を見守っていた。
「受精卵に『妖結晶』を含ませて、先天的に『もののけ』として産み落とされたのが、真君だ」
思わず、息が詰まった。真君の出生に、長縄が関わっているというのは、そういう事だったのか。僕が放心状態でいると、突然影が頭上を越えていった。咄嗟に顔を上げ影を追うと、背中に『鍵』と描かれた緑色の羽織が見えた。鍵助さんが、応戦に向かったようだ。
これで、あちらは、三対一だ。刃物を扱う達人である祈子さんが、夜叉丸を手にすると、凶悪な殺戮マシーンと化すようだ。御三家の二人であっても、食い止める事ができないみたいだ。いや、単純に打倒するだけなら、簡単なのかもしれない。祈子さんを傷つけないように立ち回っているからこそ、攻めあぐねている感じだ。僕は、現実逃避をするように、遠くの戦闘をまるで映画でも見る感覚で眺めていた。
そうでもしないと、メンタルが崩壊しそうだ。
あまりにも現実味がなくて、涙すら流れてこない。
響介さんは、僕達が地下へ行く前から、雫さんが黒幕であることを悟っていたのだろう。だからこそ、突然アドバイスのようなものを送ってくれたのだ。そして、九十九さんも知っていたのかもしれない。でなければ、真君が宝石を盗み出したのをみすみす逃したりはしないだろう。
「君の目的は、長縄家の復興かい? 妖結晶を奪い取って、引っ繰り返す腹積もりだったのかい? ついでに、憎き僕を倒せたら、一石二鳥って感じかい?」
「・・・」
雫さんは、眠そうな目つきで、響介さんを見つめている。すると、スルスルと響介さんの背後に、鏡々さんがやってきた。そして、鏡々さんは、響介さんに耳打ちをした。
「・・・ほう。なるほどねえ」
響介さんが、口角を吊り上げて、ニヤリと笑みを浮かべた。顔面に笑みを張り付けたまま響介さんは、雫さんへと歩み寄った。そして、暫く雫さんを見つめていた響介さんが、勢い良く右手を伸ばし、雫さんの左胸を掴んだ。
「ちょっっ!! 何やってんですか!?」
僕は、反射的に大声で叫んだ。そして、衣服が破れる音と共に、響介さんは右手を引いた。響介さんの右手からは、真っ赤な血液が滴り落ちている。
雫さんの衣服は破れ、大きな胸が露わに・・・心臓が止まったように、時間が止まったように、頭が真っ白になった。
どこからともなく、響き渡る薄気味悪い笑い声。
「久しいのう。歪屋あ。貴様の顔を見ると、受けた傷が疼くわい」
雫さんの左胸に、人の顔が存在していた。
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