25 / 46
二十五、禁断の女子寮
しおりを挟む
モモちゃんの愛車であるミニクーパーに乗って、目的地へと辿り着いた。言うまでもないが、車内ではすったもんだと論争が繰り広げられていた。とは言え、僕の画像は、星矢さんに送信されてしまったので、後の祭りだ。
『似合うじゃないかwww』
星矢さんからのラインに、スマホを投げ捨ててしまいそうになった。ワラワラワラじゃない!
警察沙汰になっても可笑しくない、一大事のはずだ。しかし、星矢さんやモモちゃんを見ていると、緊張している自分が馬鹿らしく思えてきた。
「このマンションよ」
散々愚痴を零し、疲れてしまったので、助手席の窓から暗い景色を眺めていた。車を徐行させながら、モモちゃんがマンションを指さしていた。徐行のままマンションを通り過ぎ、少し離れたコインパーキングに車を停めた。動作があまりにもスムーズだったので、きっと下見は済ませてあるのだろう。
「翔ちゃん。いつまで、むくれてるの? 仕事では気持ちの切り替えは、必要な技術よ」
原因を作ったモモちゃんが、それを言うか。なんだか、釈然としない。モモちゃんは、いつも店で見る格好をしている。ミニのスカートに、網タイツを履いている。僕はというと、デニムを履き、フリフリがついた花柄のワンピースを着ている。真っ赤なハイヒールでコツコツと地面を叩いているモモちゃんの後を追う。流石に革靴だとアンバランスなので、僕はスニーカーを借りた。いくらカツラを被っているからと言って、本当に女性に見えるのか心配だ。僕は、細身な方ではあるが、骨格が許さないだろう。あ、その為のワンピースか。これなら、ある程度体系は隠せるだろう。もしかしたら、ワンピースを着ている女性は、体系を隠す意図もあるのかもしれない。ついつい、そんな邪推が脳裏に過った。
マンションの前に辿り着くと、モモちゃんは道路の反対側へと歩いていく。そして、電柱に背を預け、スマホを取り出し耳に当てた。モモちゃんが電柱の影になる場所を指さしていたので、僕はそこへ。
「スマホを見てなさい。俯いていても不自然じゃないからね」
モモちゃんに言われた通りにする。モモちゃんは、スマホで話しているフリをしているようであった。僕達の真正面に、マンションのエントランスが見える。
「ねえ、モモちゃん。これから、どうするの?」
「入り口の自動ドアは、オートロックだから、住人の出入りに合わせて通るのよ。翔ちゃんが気を付ける事は、三つよ。顔を上げない事。声を出さない事。私の後を必ずついてくる事。常に私の足元を意識して、私の動きに合わせて、瞬時に動けるようにしておいてね」
モモちゃんは、綺麗にネイルを施された手を、僕の視界に下ろし、三本の指を伸ばした。顔を上げるなと言われても、やはり現状が気になる。顔が上がらないように、命一杯眉を上げて、前方を見ようとした。長髪のカツラの隙間から、エントランスの扉を眺める。
黒い大理石のような外壁に囲まれ、スライド式の自動ドアの奥が光っている。とても豪華で、お洒落な仕様になっており、家賃の高さがうかがえた。顎を引き、両眉を極限までに持ち上げていた為、おでこがツリそうになった。足元を見て、一息ついた時だった。
「行くわよ」
コツコツと地面を叩き、赤いハイヒールがマンションへと向かった。慌てて僕も後に続く。もう一度、眉を上げると、前方のエントランス内から、こちらに向かってくる女性がいた。女性が接近すると、自動ドアが開く。モモちゃんは、スマホを耳に当てたまま、いつも以上に腰をくねらせているように見えた。ドキドキしてしまうほど、モモちゃんは堂々としていた。決して、モモちゃんのお尻にドキドキした訳ではない。
扉の手前で、女性とすれ違い、僕は咄嗟に顔を背けた。まるで、干渉しない事が決まっているように、女性は無関心に通り過ぎていった。
拍子抜けしてしまうほど、あっさりと二人の女装した男が、男子禁制の女子寮に潜入した。ここまで容易いと、逆にセキュリティーが心配になった。
『似合うじゃないかwww』
星矢さんからのラインに、スマホを投げ捨ててしまいそうになった。ワラワラワラじゃない!
警察沙汰になっても可笑しくない、一大事のはずだ。しかし、星矢さんやモモちゃんを見ていると、緊張している自分が馬鹿らしく思えてきた。
「このマンションよ」
散々愚痴を零し、疲れてしまったので、助手席の窓から暗い景色を眺めていた。車を徐行させながら、モモちゃんがマンションを指さしていた。徐行のままマンションを通り過ぎ、少し離れたコインパーキングに車を停めた。動作があまりにもスムーズだったので、きっと下見は済ませてあるのだろう。
「翔ちゃん。いつまで、むくれてるの? 仕事では気持ちの切り替えは、必要な技術よ」
原因を作ったモモちゃんが、それを言うか。なんだか、釈然としない。モモちゃんは、いつも店で見る格好をしている。ミニのスカートに、網タイツを履いている。僕はというと、デニムを履き、フリフリがついた花柄のワンピースを着ている。真っ赤なハイヒールでコツコツと地面を叩いているモモちゃんの後を追う。流石に革靴だとアンバランスなので、僕はスニーカーを借りた。いくらカツラを被っているからと言って、本当に女性に見えるのか心配だ。僕は、細身な方ではあるが、骨格が許さないだろう。あ、その為のワンピースか。これなら、ある程度体系は隠せるだろう。もしかしたら、ワンピースを着ている女性は、体系を隠す意図もあるのかもしれない。ついつい、そんな邪推が脳裏に過った。
マンションの前に辿り着くと、モモちゃんは道路の反対側へと歩いていく。そして、電柱に背を預け、スマホを取り出し耳に当てた。モモちゃんが電柱の影になる場所を指さしていたので、僕はそこへ。
「スマホを見てなさい。俯いていても不自然じゃないからね」
モモちゃんに言われた通りにする。モモちゃんは、スマホで話しているフリをしているようであった。僕達の真正面に、マンションのエントランスが見える。
「ねえ、モモちゃん。これから、どうするの?」
「入り口の自動ドアは、オートロックだから、住人の出入りに合わせて通るのよ。翔ちゃんが気を付ける事は、三つよ。顔を上げない事。声を出さない事。私の後を必ずついてくる事。常に私の足元を意識して、私の動きに合わせて、瞬時に動けるようにしておいてね」
モモちゃんは、綺麗にネイルを施された手を、僕の視界に下ろし、三本の指を伸ばした。顔を上げるなと言われても、やはり現状が気になる。顔が上がらないように、命一杯眉を上げて、前方を見ようとした。長髪のカツラの隙間から、エントランスの扉を眺める。
黒い大理石のような外壁に囲まれ、スライド式の自動ドアの奥が光っている。とても豪華で、お洒落な仕様になっており、家賃の高さがうかがえた。顎を引き、両眉を極限までに持ち上げていた為、おでこがツリそうになった。足元を見て、一息ついた時だった。
「行くわよ」
コツコツと地面を叩き、赤いハイヒールがマンションへと向かった。慌てて僕も後に続く。もう一度、眉を上げると、前方のエントランス内から、こちらに向かってくる女性がいた。女性が接近すると、自動ドアが開く。モモちゃんは、スマホを耳に当てたまま、いつも以上に腰をくねらせているように見えた。ドキドキしてしまうほど、モモちゃんは堂々としていた。決して、モモちゃんのお尻にドキドキした訳ではない。
扉の手前で、女性とすれ違い、僕は咄嗟に顔を背けた。まるで、干渉しない事が決まっているように、女性は無関心に通り過ぎていった。
拍子抜けしてしまうほど、あっさりと二人の女装した男が、男子禁制の女子寮に潜入した。ここまで容易いと、逆にセキュリティーが心配になった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる