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後輩 × 先輩
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しおりを挟むーー集合っ!礼っ!
ーーありがとうございましたっ!!!!
ーーー【ご覧のように、3-6で、××高校が勝ちました。勝利いたしました、…】
終わった。終わらせてしまった…
瀬戸田 爽真 よくある公立高校の2年生。
俺には夢があった。周りから見たら小さい夢だ。
「爽真、ありがとな。」
この人を、甲子園に連れて行きたかった…
先輩を、連れて行きたかったのだ。
「泣くなよ、今からミーティングだぞ。」
「……泣いてません。」
ミーティングの時間なんか来なければいい。このまま、また一緒にダイアモンドの上に立ちたい。
この人、八木 隼翔先輩は、俺のひとつ上の3年生。
ポジションはライトで、打順は5番。ちなみに俺はセンターで4番。
俺は、この大会で先輩を大舞台に立たせたかった。だから、俺は4番なんて務まらないと言ったのに…
本当は俺なんかじゃなくて、先輩が4番を張ると思ってたくらい、先輩は力強いうえに、ロングヒッターなのだ。
沈んだ気分のまま学校に戻り、先輩に声をかけられるまで隅の方でいじけていた俺は、渋々顔を上げて立ち上がった。
その時、先輩から誘いを受けた。
「なあ、爽真。ミーティングの後飯でもどうだ?俺が奢るよ。」
「え、いいですけど… 折半でよくないですか?」
「んー、俺の気持ち的に?奢らせてくんね?」
「あー、はい。分かりました。あ、でも一回家帰っていいっすか?飯食う前に風呂だけ入らせてください。」
「おけ。俺もそうするわ。」
そんなこんなで、俺たちはミーティングが行われる部室へと向かった。
ミーティングは、3年生の挨拶と今後の活動体制についての説明、新キャプテンの任命式のようなものをして終わった。
ちなみに前キャプテンは隼翔先輩で、新キャプテンはキャッチャーの佐久間ってやつ。
先輩が選んだらしい。解せぬ。
「じゃあ、17時に駅前の噴水な。」
「はい、遅刻しないでくださいね。」
「うっ… なら17時半。」
「はいはい。それでいいですよ。」
先輩は遅刻癖があるから、しっかり釘を刺しておかなければならない。
それより、早く帰ろう。先輩の話を聞ける時間が減ってしまわないように。
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