11 / 14
11.
しおりを挟む店を閉めて締め作業を進めていく。レティは閉店後、いつの間にか掃除を手伝ってくれるようになっていた。
曰く、少しでも長く俺との時間を過ごしたい、らしい。
少し悩んでいるのが、俺がレティをチラチラ見てしまうのと、レティがずっとこっちを見ている事だ。
とても目が合うので本当に気恥しい。
最近は俺の満更でもない感が表に出すぎているのか、スキンシップまではかってくる。
頭を撫でられたり、気づいたら後ろに回っていて抱き込まれたり。
俺たちはまだ付き合ってはいないし、いくら番だからってスキンシップ早すぎると思う。
でもムスクのような香りが鼻腔をくすぐるから、全身が溶けてしまいそうになる。
「れ、レティ、だめだ。そこまでだよ。」
「まだお預けか。早く隅々まで触れてみたいんだが。」
「まだ、だめだ。」
時折レティは、俺にキスをしようとする。
まだ心の準備が出来ていないと断っているが、本当は俺だってキスしたい。
それも今日までだ。今日でレティと初めてであってから半年が経つ。
レティは気づいてないかもしれないけど、半年ってそれなりに節目だと俺は思う。
だから今夜、俺はレティと一晩同じ部屋で過ごそうと思う。
だから、どうなってもいいように暫くは営業を休む張り紙も作っておいた。
「レティ、そろそろ買い出しにいこう。」
「わかった。店が閉まる前にね。」
街に出ると、祭りが近いのか出店の準備をしている人が多い。
そういえば、そろそろ建国祭だと聞いたことがあるような。
賑わう人たちを尻目に、いつもの精肉店と青果店に向かう。
買い出しと言っても、生物は毎日配達に来てもらっているし、いつもとは違うものを仕入れる時も事前に連絡を入れてあるので、基本は支払いに行くだけだ。
支払いも済ませて、今度は店で使う消耗品を買うために雑貨店によって、自分で食べるように食材を買い込んでいく。
荷物はレティが持ってくれているので、俺はかなり身軽だ。
最後は酒屋に寄って、良さそうなワインを買っておく。俺じゃなくて、レティが飲むものだから1本で十分かな?
「ワインか、いいね。トウリは飲むの?」
「いや、俺は飲まないよ。レティを夕飯に誘いたくて選んでる。」
「それは嬉しいな。私はこの産地のワインに目がないんだ。ご馳走してくれるの?」
「もちろん。一本でいい?」
「うーん、、、もう一本。」
控えめなお願いに癒されて合計で三本も買ってしまった。
沢山買えた満足感と、待ち受けている夜に胸を膨らませながら、僕らは家路についた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる