田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし

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第97話 新規事業。

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 総会に引き続き、サーバの契約や広告収入の受け取り手続きなどをelf-village inc,に変更し、これで一応会社の業務を終える。もう忘れてることないかな。茜さんに助言を求めると、今回の議事録に入れる必要はないけど、家の会社使用分の家賃や光熱費の配分などを決めて書面にして個人と会社で賃貸契約を結んでおくように言われたけど、結局茜さんに書類作成はお願いした。すみません。

 あと、茜さんの待遇も決定。まあ、決定とはいっても固定の職務はではない。秘書のような会計のような経理のような相談役のような。総合職?いやそれは意味が違うな。

 年収については今年度、前職とほぼ同じ。めっちゃ高給取りだったのね・・・。まあそれでも今の会社の収入からしてみれば・・・。ふぅ、ちょっとカッコつけてみようと思ったけど、毎年税務処理は茜さんが担当してたから、既に知っておられたわ・・・。

 午前中でこちらの用事はすべて終わった。あとは茜さんの引っ越し荷物待ちだけど、僕も待って手伝った方がいいのかなぁ・・と茜さんに聞くと。手伝う必要はないけど、引っ越し屋さんといえども他人が家に入るのに、家の主人が居なくてどうすると言われた。もう茜さんが主人代理でも良いですよ。

 午後いちばんに引っ越し屋さんがやってきて、ドミトリー1号室改め、茜さんの部屋にすべてセッティングを終えて帰って行った。あの部屋に荷物けっこう入るもんだなぁ。もともとあったドミトリー用の家具類は、インベントリに収納してある。スベトーラ地区の家にでも持って行って置こう。けっこういい寝具使ってるし。

 お昼ご飯も晩御飯もコンビニ弁当。ひとりで食べたり異世界で皆で食べる分にはなにも気にしていなかったけど、茜さんが一緒に食べるとなると、もう少し食生活について考え直さないければいけない気がしてきた。栄養価もカロリーも足りてるし、足りて無さそうなものはサプリで摂取しているから問題はないんだけどなぁ。

 同年代の社会人は普段どんな食事摂っているんだろうか。SNSなどに投稿される食事風景とかなんか嘘っぽいんだよね。一度都会でリサーチしてみるかな・・・などと考えていると、茜さんが、『コンビニではなく、たまには普通のスーパーマーケットに行ってみればいいわよ。』とまたもや助言を頂いた。

 あと、顔なじみの方の家でご馳走になるのもいいとか。うむ。斎藤のおっちゃんの家ならば、他の方程はハードル高くないから、一度工務店の近くに行ったら声かけてみようかな・・・。

 さて、駆け足に時間が過ぎていった海外銀行口座開設から会社関係の各種手続きまでの一連の流れが終わり、今ここで新規事業への参入を試みる。まだ前職の有給消化中で正式な従業員ではないけれども、茜さんにももちろん同席してもらう。

 異世界転移から1か月以上が経ち、先日撮影した動画が陽の目を見る日だ。そう、動画サイトへの投稿である。『エルフ村チャンネル』を開設して動画PVで稼ごうという魂胆だ。今の『エルフ村』の集客力とアタール名義での投稿への注目を最大限に生かそうと思う。せっかく海外に会社作ったし。茜さんにも相談済み。

 プレゼン用の大画面液晶にコンデジで”撮影者が被写体に気づかれないよう”撮影した動画を映し出す。決して盗撮ではない。あくまでも被写体への配慮ですよ。スベトーラ地区を散歩しながら撮った映像は、ブレブレ、ボケボケではあるが、総撮影時間30分程度のなかで、10分ほどは使えるものがあったので、パソコンでつぎはぎして5分ほどの動画を2本作製してみた。

 今回の動画は異世界言語が聞き取れるほど鮮明な音声は無さそうなので、音はそのままにしてある。きちんと作るときはアフレコとか音楽当てたりしないとだめかもしれない。しかしまあ今回はあくまで実験投稿だから、特別な編集もなし。海外の会社名義でアカウントを開設して、早速投入。広告掲載の設定も手順通りに行う。条件が満たされれば、収益化開始だそうだ。

 もちろんこの状態ではその他大勢の動画投稿者だ。仕込みはここから。スベトーラ地区の風景と地球ではコスプレにしか見えない猫耳、犬耳、そして今回は日本製の服で着飾ったエレナとスベトラの少し遠目の写真を用意し、アタール名義で『エルフ村』に写真とともに、動画サイトの投稿動画を埋め込んで投稿してみる。

 結果は見ていればすぐに現れるだろう。というかアナティリクスを見れば、すぐに分かるはず。とりあえずは茜さんとティータイム。とはいってもまたペットボトルの紅茶だけどね。おやつにはコンビニスイーツのバームクーヘン。これ好きなんだよなぁ。茜さんも好物だそうで、よかった。

 少しの雑談の後動画のチャンネルを確認してみる。と、うむ、瞬時というか、短時間でチャンネル登録数者数が5桁になっている。評価や再生数は訳の分からにスピードで増えていき、チャンネル登録もデジタル時計の秒の桁より速いスピードで増えていく。行けるとは思っていたけれど、ここまでとは。茜さんは唖然としている。もちろん僕も茜さん以上に唖然としている。

 いつまで見ていても上昇は止まらないので、『エルフ村』の方も確認してみると、503エラーを吐いている。WEBサーバーとデータベースサーバを増強してロードバランサーを設定し直しエラーを回避すると、アタールの投稿した写真と動画へのアクセス数、そしてその投稿に対するコメントがとんでもないことになっていたおそらく開設以来のPVと書き込み数だろう。こういうときは現実逃避して、アナティリクスの数値とだけ向き合うに限る。

 茜さんいくらなんでも今電卓叩くのは下衆いですよ・・・。さすがの僕も引きます。あと、管理者としてサイト運営が海外の会社になったことを告知しておかなければならない。今まではそのあたり結構ルーズだったけれど、これからはきちんとしなきゃいけないらしいから。

 いつまで見ていても始まらない・・・いや終わらないので、サイトを見るのをやめ、うなぎ上りに上がるアクセス数と叩いた電卓の数値にニンマリしていた茜さんに明日から予定をお聞きする。

「特にすることは無いのよね。お盆に一度実家に帰ろうとは思うけれど、その頃にはあたるくんも行くでしょ?それまでは・・・そうね。たまにエレナちゃんと話とかしたいかなぁ。」

 これは遠回しに異世界に連れて行けと言っているんだよなぁ・・・。まあ、別に連れて行く分には問題はないけど、いつも一緒というのはなぁ。ただ二人が仲良くしてくれて、お互いになんというか仲良く交流しながらそれぞれの現地従業員としてやっていってくれるならば、異世界周遊に連れて行かなくて済む理由になりそうな気がするから、良いのかも。

 スベトーラ地区の家とログハウスは既に繋いでいるから、この家のどこかと、ログハウスを空間接続扉で繋げばいいか。

 茜さんに空間接続扉案をプレゼンすると、飛びついてきた。本人が物理的にではなく話に飛びついて来ただけなんだけどね。空間接続扉は接続先は固定式だから“どこでも”繋がるわけじゃないし、通過できる条件も付与できるからここは提案通りに進める。寝る前にサクッと扉を僕の仕事部屋に入ってすぐの場所に設置した。僕の仕事部屋には茜さんも出入りできる設定。これでいつでも行き来できるように・・・なった・・・。というか、なぜエレナがもう日本の僕の家で紅茶淹れてる・・・。こうして、僕とエレナ、そして茜さんは異世界と日本を自由に行き来できるようになってしまった。茜さん、ネットのコスプレ画像をエレナに見せるんじゃありません・・・。あ、エレナのあの顔、めっちゃ着たそうにしてる・・・。

 え?なんだって?エレナは今日こっちで茜さんと一緒に大きな風呂に入って茜さんの部屋で寝るって?ん?ネットでメイド服とか気になる服買うから撮影用衣装として経費で落とすと・・・。まあ、仲の良いことは良いことだからダメとは言わないけど、仲よ過ぎないですかね。

 え?姉妹だから?そういう設定は確かにあったね。今度はスベトラもつれてくる?う~ん・・・まあ好きにさせるか。こうして魔道具化した魔石とか増やしていくのも重要な時期だしな。そのかわり、もう異世界周遊は僕ひとりで出かけるからね。まだ言えないけど・・・。明日こそは言うから、絶対言うから。
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