27 / 47
第七話「バケーションアワー~都市伝説甲殻譚~」
7-4.end
しおりを挟む
次々と振り下ろされるゴーレムの腕を避け続け、蔓脚を伸ばしてくれば光線と刀で断ち切る。海に足をつけながらなので動きにくい。ギリギリでかわし続けるも、体力の限界は近い。
そこにゾンビ達の起こす地鳴りと共に、駆人が走りこんできた。
「持ってきましたよ!空子さん!バケツを投げますから、狐火ームで壊してください!」
そう叫ぶや否や、持ってきたという金属のバケツをゴーレムの頭上まで投げ飛ばした。
「あれですね!狐火ーム!」
見事に光線が命中し、バケツが爆発すると、中から黒い塊や白い粉が舞い上がり、ゴーレムの体に降りかかる。
「ああ!何か出てきましたよ。あれはなんですか?」
「さっきまでグリルで使っていた炭と着火剤です!ぽん吉さんあれに向かって風を!」
「おうよ!スピニング・ブレード!」
ぽん吉は駆人の声に応え、手に持った刀を扇風機のように回転させる。すると、嵐のような強風がゴーレムを叩きつけた。
その瞬間。炭のくすぶっていた火が風によって供給された酸素により大きく燃え上がった。ゴーレムを火がおおいつくし、ジュウジュウと音を立て、水分が蒸発していく。
みるみる間にゴーレムの体を覆うフジツボは白く、ボロボロになっていく。ゴーレム全体も動きが鈍くなってきたようだ。
「よし!今ならいけるぜ!空子さん!俺の体に狐火ームを!」
「分かりました!」
妖力をこめ、白く発光させた足を突き出し、ぽん吉はゴーレムの胸のあたりに向かって飛び蹴りをくりだした。更にその後ろから空子がぽん吉に光線を当てると、その勢いはグンと増す。
「くらえ!ライジング狸ック!」
飛び蹴りがゴーレムに直撃する。もろくなったゴーレムの体にそれを止める力はもう残っていない。勢いのままに貫通したぽん吉が背中側から飛び出した。
胴体に大穴を開けられたゴーレムは、力を失い、ばらばらと崩れていく。
「やった……、のか?」
「ええ。……、あ、姉さん!」
崩れて転がる岩の中に、天子が紛れて倒れている。空子はそれをひっくり返し、足の裏についているフジツボに向かって光線を放った。
フジツボは抵抗する力もなく、光の中に消えてゆく。それと同時に、フジツボゾンビ達の体についたフジツボが剥がれ、サラサラと砂のように分解され、風に散らされていった。
フジツボが消えるのと同時に、駆人を追いかけるをやめその場に立ち尽くすゾンビ達。追いかけられ続けていた駆人はその場に座り込んだ。
「た、助かった」
目を覚ました海水浴客達は、ゾンビにされていたことさえ憶えていないようで、何もなかったかのように海水浴に戻っていく。
時を同じくして天子も目を覚ました。
「ん?お。お。ここは……。うわ、なんじゃこれは!」
天子の周りには先ほど倒したフジツボゴーレムの残骸、フジツボや、その他の岩に潜んでいた生物が山のように散乱している。
「あ、姉さん、目を覚ましましたか」
「ああ、空子か。この磯の生物たちはなんじゃ。……、まさかお主らわしの知らん間に磯遊びを楽しんだのか!?」
「ハハハ……。ずいぶんハードな磯遊びだったがな」
「ぬぬぬ。知らん間にそんなことを……」
「ささ、姉さん。そろそろ夕方ですから、帰り支度をしましょう」
「なんでじゃ!わしはまだ帰りとうない!お主らだけで磯遊びするなんてずるいぞ!」
天子は波打ち際にあおむけに倒れこんで駄々をこねる。
「おい、わがまま言ってんじゃねえぞ」
「それもそうじゃな」
動きを止めスクッと立ち上がる。
「うわあいきなり立ち直るな」
「いいことを思いついた。ビニール袋をもらってくるから待っちょれ」
そう言い残し、天子は海の家の方へ駆けて行った。
「さて、おーい駆人。俺たちのバイトも夕方で終わりだ。後片付けして帰るぞ」
「はい。はあ、とんだ海水浴になっちゃいましたね」
夕日に染まる海で何かを拾い集める天子を尻目に、一行は帰りの準備をするのであった。
海水浴場を後にした四人は、再び電車に揺られ、四葉町の神社に帰ってきた。
「うひひひ。これじゃこれじゃ。これが磯遊びの醍醐味じゃ」
「天子様、ビニール袋を持ってると思ったらこれを持って帰ってきてたんですね」
七輪に乗せた網の上に並べられたフジツボの中身が美味しそうなにおいで焼けている。天子はあのゴーレムから剥がれ落ちたフジツボやその他の海産物を袋に入れて持ち帰っていたのだ。
「味噌汁もあるぞ!お主らも食うか?」
「いや、僕はちょっと」
「あいつにくっついてたと思うと……なあ」
「ええ。姉さんが全部食べていいですよ」
フジツボ達が焼けるにおいはなかなか魅力的であったが、アレに張り付いていたと思うとどうも食欲が出ない。そもそもの発生源が天子であれば、なおさらだ。
「お、よいのか?仕方ないのう。わしが全部たいらげちゃるか。……、美味しい!蟹の味じゃな!」
天子を乗っ取ろうとしたフジツボの末路は、果たして天子の腹の中だというのだから、因果応報というものだろうか。
そこにゾンビ達の起こす地鳴りと共に、駆人が走りこんできた。
「持ってきましたよ!空子さん!バケツを投げますから、狐火ームで壊してください!」
そう叫ぶや否や、持ってきたという金属のバケツをゴーレムの頭上まで投げ飛ばした。
「あれですね!狐火ーム!」
見事に光線が命中し、バケツが爆発すると、中から黒い塊や白い粉が舞い上がり、ゴーレムの体に降りかかる。
「ああ!何か出てきましたよ。あれはなんですか?」
「さっきまでグリルで使っていた炭と着火剤です!ぽん吉さんあれに向かって風を!」
「おうよ!スピニング・ブレード!」
ぽん吉は駆人の声に応え、手に持った刀を扇風機のように回転させる。すると、嵐のような強風がゴーレムを叩きつけた。
その瞬間。炭のくすぶっていた火が風によって供給された酸素により大きく燃え上がった。ゴーレムを火がおおいつくし、ジュウジュウと音を立て、水分が蒸発していく。
みるみる間にゴーレムの体を覆うフジツボは白く、ボロボロになっていく。ゴーレム全体も動きが鈍くなってきたようだ。
「よし!今ならいけるぜ!空子さん!俺の体に狐火ームを!」
「分かりました!」
妖力をこめ、白く発光させた足を突き出し、ぽん吉はゴーレムの胸のあたりに向かって飛び蹴りをくりだした。更にその後ろから空子がぽん吉に光線を当てると、その勢いはグンと増す。
「くらえ!ライジング狸ック!」
飛び蹴りがゴーレムに直撃する。もろくなったゴーレムの体にそれを止める力はもう残っていない。勢いのままに貫通したぽん吉が背中側から飛び出した。
胴体に大穴を開けられたゴーレムは、力を失い、ばらばらと崩れていく。
「やった……、のか?」
「ええ。……、あ、姉さん!」
崩れて転がる岩の中に、天子が紛れて倒れている。空子はそれをひっくり返し、足の裏についているフジツボに向かって光線を放った。
フジツボは抵抗する力もなく、光の中に消えてゆく。それと同時に、フジツボゾンビ達の体についたフジツボが剥がれ、サラサラと砂のように分解され、風に散らされていった。
フジツボが消えるのと同時に、駆人を追いかけるをやめその場に立ち尽くすゾンビ達。追いかけられ続けていた駆人はその場に座り込んだ。
「た、助かった」
目を覚ました海水浴客達は、ゾンビにされていたことさえ憶えていないようで、何もなかったかのように海水浴に戻っていく。
時を同じくして天子も目を覚ました。
「ん?お。お。ここは……。うわ、なんじゃこれは!」
天子の周りには先ほど倒したフジツボゴーレムの残骸、フジツボや、その他の岩に潜んでいた生物が山のように散乱している。
「あ、姉さん、目を覚ましましたか」
「ああ、空子か。この磯の生物たちはなんじゃ。……、まさかお主らわしの知らん間に磯遊びを楽しんだのか!?」
「ハハハ……。ずいぶんハードな磯遊びだったがな」
「ぬぬぬ。知らん間にそんなことを……」
「ささ、姉さん。そろそろ夕方ですから、帰り支度をしましょう」
「なんでじゃ!わしはまだ帰りとうない!お主らだけで磯遊びするなんてずるいぞ!」
天子は波打ち際にあおむけに倒れこんで駄々をこねる。
「おい、わがまま言ってんじゃねえぞ」
「それもそうじゃな」
動きを止めスクッと立ち上がる。
「うわあいきなり立ち直るな」
「いいことを思いついた。ビニール袋をもらってくるから待っちょれ」
そう言い残し、天子は海の家の方へ駆けて行った。
「さて、おーい駆人。俺たちのバイトも夕方で終わりだ。後片付けして帰るぞ」
「はい。はあ、とんだ海水浴になっちゃいましたね」
夕日に染まる海で何かを拾い集める天子を尻目に、一行は帰りの準備をするのであった。
海水浴場を後にした四人は、再び電車に揺られ、四葉町の神社に帰ってきた。
「うひひひ。これじゃこれじゃ。これが磯遊びの醍醐味じゃ」
「天子様、ビニール袋を持ってると思ったらこれを持って帰ってきてたんですね」
七輪に乗せた網の上に並べられたフジツボの中身が美味しそうなにおいで焼けている。天子はあのゴーレムから剥がれ落ちたフジツボやその他の海産物を袋に入れて持ち帰っていたのだ。
「味噌汁もあるぞ!お主らも食うか?」
「いや、僕はちょっと」
「あいつにくっついてたと思うと……なあ」
「ええ。姉さんが全部食べていいですよ」
フジツボ達が焼けるにおいはなかなか魅力的であったが、アレに張り付いていたと思うとどうも食欲が出ない。そもそもの発生源が天子であれば、なおさらだ。
「お、よいのか?仕方ないのう。わしが全部たいらげちゃるか。……、美味しい!蟹の味じゃな!」
天子を乗っ取ろうとしたフジツボの末路は、果たして天子の腹の中だというのだから、因果応報というものだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる