オカルトアワー~都市伝説怪奇譚~

ユーカン

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第八話「ピコピコアワー~都市伝説遊戯譚~」

8-1.ピコピコアワー~都市伝説遊戯譚~

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 皆さんこんにちは!四葉署怪奇現象犯罪対策課よつばしょかいきげんしょうはんざいたいさくかの『ロボット少女刑事』、牧島真紀奈まきしままきなです!
 今日のマキナは四葉駅よつばえき前をパトロール中なんです。四葉駅はこの辺りでは結構大きな駅なので、駅前もにぎわっているんですが、こういうところにこそ、悪党どもが潜んでいるというものなんですよね!さっきも大通りで悪さをしている幽霊さんをしょっ引きました!
 そんなこんなでその辺をグルグルしている訳なんですが。何か面白いことはありませんかね~……。
 やややっ!あそこにいるのは『都市伝説キラー』の七生駆人ななおかるとさんに、『もう一人の霊感少女』の綾香栞あやかしおりさんではありませんか!こんなところに一緒にいるとは、アヤしいですね~。早速ちょっかいをかけに行きましょう!

 真紀奈が見つけた二人がいたのは、駅からほど近い雑居ビルの一階、ゲームセンターの外に設置されているプライズゲームの台の前。台の中を覗き込んで、一喜一憂している。
「おやおや~。カルトさんにシオリさんじゃあないですか」
「あ、真紀奈ちゃん。パトロール?お疲れ様」
「はいどうも~。お二人はそろってクレーンゲームなんて、むふふ。おデートですか?」
 下世話な勘繰りに栞は顔を赤くして、手を体の前で小刻みに振りながら否定した。
「ち、違うよ!近くでバッタリ会って、このぬいぐるみが欲しかったから取ってもらおうと思って」
「カルトさん、こういうの得意なんですか?」
 駆人は真紀奈が来てからも、軽く会釈を返した以外は、台の中をにらむばかりである。
「いや、勝手なイメージだよ。あんまりやったことない……。ああ、また駄目だ」
 アームは一度は景品のぬいぐるみをひっかけるも、落とし口に到達する前に落としてしまう。
「なるほどなるほど~。ちょっと貸してください」
 駆人に場所を代わってもらった真紀奈は、目から赤い光線を出す。横に細く広がった光線は、ぬいぐるみを上から下まで動きながら照らした。
「ふむふむ。このぬいぐるみの重心は……、っと」
 やわらかなタッチでコントローラーのボタンを押し、アームを動かすと、ぬいぐるみのど真ん中をアームがつかんだ。そのままに持ち上げると、危なげなくアームは落とし口の上まで動き、ぬいぐるみを離す。
「うわあ。真紀奈ちゃんすごい」
 栞は取り出し口から獲得したぬいぐるみを取り出すと、嬉しそうに抱きかかえた。
「ありがとう。真紀奈ちゃん!」
「えへへ~。このくらいお茶の子さいさいですよ」
「ちょっとズルっぽいけど……」
「まあまあ。それより、この後お暇ですか?ちょっと都市伝説検挙に協力していただきたいんですけど~……」
「私は大丈夫だよ。七生クンは?」
「ああ、特に何か目的があってきたわけでもないから……」
「じゃあ、決まりですね。ではこちらへどうぞ~」
 真紀奈は二人の手を取って、そのゲームセンターの建物の中に入っていった。

 ゲームセンターの入り口付近には、先ほど駆人達がやっていたようなプライズゲームが並び、少し奥の方に入ると、アーケードゲームやメダルゲームがあるエリアだ。しかし、真紀奈は更にズンズンと奥へ進んで行く。
 そこには画面の前にレバーとボタンがいくつかついたゲーム機が並んでいた。映っている画面には、画像の粗いタイトルロゴと、ピコピコとしたBGMに効果音。なんともレトロなゲームが並んでいる。
「へえ~。こんなところがあったんだ」
 駆人が関心を込めて呟く。
「はい~。それで、やっていただきたいゲームはこれなんですが……」
 画面には大きく『KITSUNEBIUSU』とタイトルロゴが表示されている。
 ――『キツネビウス』。往年の名作縦シューティングゲームだ。高めの難易度と、スコアアタックの奥深さから、多数のゲーマーがこのタイトルに熱中し、社会現象となったほど。家庭用ゲーム機にも移植され、そちらでもかなりの人気を誇り、伝説となっているゲームだ。
 真紀奈に促され、駆人はそのゲーム機の前の席に着いた。硬貨を投入口にいれたら、ゲームスタートだ。
「とりあえず、普通にやればいいのかな?」
「はい~。もう少ししたら出てきますんで」
 駆人は見事なレバーさばきで自分の操る戦闘機を動かし、敵キャラクターに弾丸を打ち込み、倒してゆく。
「七生クン、これやったことあるの?」
「いや。でもシューティングゲームの基本的なところは同じだから最初の方のステージなら……」
 言葉通りにスイスイとステージ1を突破した。
「で、どこまでやればいいの?」
「ステージ2の~、あ!もうそろそろですね。きました!」
 ゲームの進む方向、画面上部から、板のようなグラフィックの障害物が流れてくる。
「その障害物は無敵のはずなんですが、自機の攻撃を256発当てると壊れる。という都市伝説があるんですよ」
「にひゃく……。まあ、やってみるけど」
 レバーを動かし、さっき出てきたものは一度避け、次のタイミングで出てきた障害物の真ん前に陣取る。あとはボタンを連打するだけだ。
「でやああああああああ!」
 なかなかのスピードで攻撃ボタンを連打する。しかし、障害物は一向に壊れる気配を見せず、遂には自機と衝突し、チャレンジミスとなってしまった。
「む、無理だろ……」
「そうですね~。カルトさんの連打もなかなかでしたが、今のは30発でした」
「今のも十分早い連打に見えたけど……」
「そもそも障害物が出現してから、一番下で構えている自機に当たるまで五秒ほどでしょうか。更にこのゲームが30FPSだとしても、一回攻撃するにはボタンを押して、放して、という入力が必要になるわけですから、秒間15発が限度です。つまり15発×五秒、75発しかシステム上当てられないわけですねえ」
「ちょ、ちょっと良く分からないんだけど」
 込み入った説明に、栞は理解がついていかないように目を回している。
「ま、つまりこの都市伝説は全くのでたらめってことですねえ」
 真紀奈はまるで予想していたかのように言い放つと、コンテニュー画面のキツネビウスの筐体を後にして次に遊ぶゲームを物色し始めた。
「あ、じゃあこちらのゲームにしましょう」
 真紀奈が目を付けた筐体のタイトルは『カイキタンZ』。左右から迫りくる敵を次々に倒しながら先へ進むアクションゲームだ。
「あんまり見たことないなあ。どんな都市伝説なんだ?」
「ええとですねえ。なんでも26週すると、敵のグラフィックがヒロインのものに変わるんだとか~」
「……、それは興味深いけど、初めてのゲームを26週は厳しいかな……」
「ですよね~。じゃあ今回は私がやります」
 今度は真紀奈が席に着く。硬貨を入れてゲームスタート。道着を着たプレイヤーキャラクターが中心に表示され、画面の左右から襲ってくる敵をパンチやキックで撃退する。一定距離を移動すれば、ボスが出てきて、更にそいつを倒せばステージクリアだ。
 『周回』をするには更にそれを何ステージも繰り返す必要がある。
「え、これってすっごく時間かからない?」
「かかりますねえ。あ、じゃあお二人は他のゲームで何か都市伝説の気配を感じたらそれをやってみてください。こちらが問題のところまで行ったら呼びますから~」
 というわけで、『カイキタンZ』は真紀奈に任せて、二人はゲームセンター内を回ってみることにした。
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