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第5章:絶対的火力の証明と、貴族の突撃戦術
絶対的火力の証明と、貴族の突撃戦術
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「突撃だあぁぁぁ! 命を捨てて、あの忌々しい女どもの里を殲滅しろ! 行けぇ!!」
ドレファス将軍の、朗々と響く号令。
エリュシオンの全戦力、1500人の軍勢が地を蹴って走り出す。先陣を切るのは、功名心に燃える十代の若き兵士たちだ。レオニスもまた、「一番乗りで手柄を立ててやる!」と剣を掲げて叫んでいる。
だが、彼らが対峙しているのは、ファンタジーの魔物ではない。
現代日本の知識と、勇者のチート魔力が融合した、**「冷徹な物理法則の具現体」**だ。
(……みんな、どうにかしてる。若い奴らの高揚した感情はどこから来るんだ?剣を持ってゴーレムに特攻だと?)
軍勢の中ほどで、エース(絆)は冷めた目で戦況を俯瞰していた。
彼は走るふりをしながら、意識を隠れ里の周囲に配置した30体のゴーレムへとリンクさせる。
【召喚操作:全個体、ターゲットロック】
ゴーレムたちの最初の「初弾」は、目の前を走る少年兵たちを狙わなかった。
彼らの視線は、数百メートル後方、安全圏で優雅に指揮を執るドレファス、そして特権階級の貴族幹部たちへと固定されている。
「……掃射開始」
エースがコンソールを操作して引き金を引く。
ドシュゥゥゥゥゥッ!!
空気が爆ぜる音が重なり、30条の衝撃波が戦場を縦断した。
時速300km。プロ野球の剛速球の倍近い速度で射出された、直径20cmの硬質な岩石の弾丸。
「な……ッ!?」
ドレファスが何かに気づいた時には、すでに遅かった。
彼は咄嗟に魔法銀の大盾を構えたが、物理エネルギーの計算は非情だ。弓矢や魔法攻撃はドレファスの場所まで届かないだろうが、ゴーレムのカノン砲は攻城兵器に近い。1発、2発と岩弾が命中するたびに、盾はひしゃげ、彼の美しい腕の骨を粉砕した。そもそも盾なんかでカノン砲が防げるわけないのだ、義務教育くらいの問題だ。
そして、盾を持ち上げられなくなった、ドレファスの胴体にゴーレムの弾丸が直撃する。
「ガハッ……!?」
盾のないドレファスがカノン砲から射出された弾丸を受ければどうなるか。
岩石の凄まじい運動エネルギーは、ドレファスを馬の上から吹き飛ばした。数メートルは吹っ飛んだだろう。衝撃波はドレファスの肋骨を粉々にし内臓を一瞬でズタズタに破壊したのだ。
500メートルという狙撃距離すら意味をなさない。彼は苦痛の悲鳴を上げる暇もなく、血反吐をぶちまけた。
「ド、ドレファス様ぁぁぁ!!」
幹部たちの悲鳴が上がるが、エースは手を緩めない。
第2射。今度は副隊長、そして戦場に行くのをピクニックに行く小学生のように待ち望んでいた上級貴族たちが、ピンポイントで「岩の弾丸」の餌食となっていく。流れ矢なら腕や足に1,2発受けても、たいしたことないだろうけど、カノン砲は違う。腕にでも当たれば体ごと吹き飛ばされて重傷だ。衝突エネルギーも15000Jを超えているはずだ。
わずか数分の出来事だった。
華やかなエリュシオンの軍勢は、その「頭脳」と「権威」を一瞬で失った。
目の前で巨体に踏み潰されるよりも恐ろしい、「見えない距離からの、防ぎようのない死」。
先陣を切っていた少年兵たちは、自分たちの「神」であったドレファスが、無残な肉塊に変わった光景を見て、一気に士気を喪失した。
「……退却だ! 引け、引けぇ!!」
リオンが、顔面を蒼白にして叫ぶ。
士気を維持する術はない。美貌も、権力も、時速300kmの岩の前では無力だった。
1500人の大軍勢は、わずか数分の「今までに出会ったことのない(戦闘)」に完敗し、死に物狂いで敗走を始めた。
「……終わったわね、エース」
男装の隙間から戦場を見つめるティリーの声が、微かに震えていた。
隣ではクロエが、現代日本の物理法則が生み出した「地獄」を、静かに目に焼き付けている。
「ああ。……まずは『第一段階』終了だ。次は、エリュシオンから和平を乞う番だろうよ、自分の命をかけてまでゴーレムと戦おうとするやつはもういないだろうからな」
エースは、逃げ惑う男たちの背中を見送りながら、無限収納から一杯の水を出し、渇いた喉を潤した。
ゴーレムから逃げ惑うエリュシオン軍はまるで自分たちが攻めていたことを忘れてしまったかのようだった。その様はエリュシオンという歪んだ頂点が作り出した偽りの豊かさの崩壊が始まった、確かな合図でもあった。
ドレファス将軍の、朗々と響く号令。
エリュシオンの全戦力、1500人の軍勢が地を蹴って走り出す。先陣を切るのは、功名心に燃える十代の若き兵士たちだ。レオニスもまた、「一番乗りで手柄を立ててやる!」と剣を掲げて叫んでいる。
だが、彼らが対峙しているのは、ファンタジーの魔物ではない。
現代日本の知識と、勇者のチート魔力が融合した、**「冷徹な物理法則の具現体」**だ。
(……みんな、どうにかしてる。若い奴らの高揚した感情はどこから来るんだ?剣を持ってゴーレムに特攻だと?)
軍勢の中ほどで、エース(絆)は冷めた目で戦況を俯瞰していた。
彼は走るふりをしながら、意識を隠れ里の周囲に配置した30体のゴーレムへとリンクさせる。
【召喚操作:全個体、ターゲットロック】
ゴーレムたちの最初の「初弾」は、目の前を走る少年兵たちを狙わなかった。
彼らの視線は、数百メートル後方、安全圏で優雅に指揮を執るドレファス、そして特権階級の貴族幹部たちへと固定されている。
「……掃射開始」
エースがコンソールを操作して引き金を引く。
ドシュゥゥゥゥゥッ!!
空気が爆ぜる音が重なり、30条の衝撃波が戦場を縦断した。
時速300km。プロ野球の剛速球の倍近い速度で射出された、直径20cmの硬質な岩石の弾丸。
「な……ッ!?」
ドレファスが何かに気づいた時には、すでに遅かった。
彼は咄嗟に魔法銀の大盾を構えたが、物理エネルギーの計算は非情だ。弓矢や魔法攻撃はドレファスの場所まで届かないだろうが、ゴーレムのカノン砲は攻城兵器に近い。1発、2発と岩弾が命中するたびに、盾はひしゃげ、彼の美しい腕の骨を粉砕した。そもそも盾なんかでカノン砲が防げるわけないのだ、義務教育くらいの問題だ。
そして、盾を持ち上げられなくなった、ドレファスの胴体にゴーレムの弾丸が直撃する。
「ガハッ……!?」
盾のないドレファスがカノン砲から射出された弾丸を受ければどうなるか。
岩石の凄まじい運動エネルギーは、ドレファスを馬の上から吹き飛ばした。数メートルは吹っ飛んだだろう。衝撃波はドレファスの肋骨を粉々にし内臓を一瞬でズタズタに破壊したのだ。
500メートルという狙撃距離すら意味をなさない。彼は苦痛の悲鳴を上げる暇もなく、血反吐をぶちまけた。
「ド、ドレファス様ぁぁぁ!!」
幹部たちの悲鳴が上がるが、エースは手を緩めない。
第2射。今度は副隊長、そして戦場に行くのをピクニックに行く小学生のように待ち望んでいた上級貴族たちが、ピンポイントで「岩の弾丸」の餌食となっていく。流れ矢なら腕や足に1,2発受けても、たいしたことないだろうけど、カノン砲は違う。腕にでも当たれば体ごと吹き飛ばされて重傷だ。衝突エネルギーも15000Jを超えているはずだ。
わずか数分の出来事だった。
華やかなエリュシオンの軍勢は、その「頭脳」と「権威」を一瞬で失った。
目の前で巨体に踏み潰されるよりも恐ろしい、「見えない距離からの、防ぎようのない死」。
先陣を切っていた少年兵たちは、自分たちの「神」であったドレファスが、無残な肉塊に変わった光景を見て、一気に士気を喪失した。
「……退却だ! 引け、引けぇ!!」
リオンが、顔面を蒼白にして叫ぶ。
士気を維持する術はない。美貌も、権力も、時速300kmの岩の前では無力だった。
1500人の大軍勢は、わずか数分の「今までに出会ったことのない(戦闘)」に完敗し、死に物狂いで敗走を始めた。
「……終わったわね、エース」
男装の隙間から戦場を見つめるティリーの声が、微かに震えていた。
隣ではクロエが、現代日本の物理法則が生み出した「地獄」を、静かに目に焼き付けている。
「ああ。……まずは『第一段階』終了だ。次は、エリュシオンから和平を乞う番だろうよ、自分の命をかけてまでゴーレムと戦おうとするやつはもういないだろうからな」
エースは、逃げ惑う男たちの背中を見送りながら、無限収納から一杯の水を出し、渇いた喉を潤した。
ゴーレムから逃げ惑うエリュシオン軍はまるで自分たちが攻めていたことを忘れてしまったかのようだった。その様はエリュシオンという歪んだ頂点が作り出した偽りの豊かさの崩壊が始まった、確かな合図でもあった。
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