7 / 8
第5章:ルミエール防衛戦と安住の地
ルミエール防衛戦と安住の地
しおりを挟む
互いの秘密を共有し、本当の意味での「家族」となった感動の夜明け。
しかし、その美しくも静寂に満ちた朝の空気を切り裂くように、ルミエール城塞の監視塔から、けたたましい銅鑼の音が連続して打ち鳴らされた。
「敵襲ぅぅぅっ!! ザルドニア帝国の軍勢だァァァッ!!」
見張りの兵士の悲痛な絶叫が、都市中に響き渡る。
地平線の彼方から、朝靄を押し除けるようにして姿を現したのは、大地を黒く染め上げるような鋼鉄の波。ザルドニア帝国が誇る1000の重装歩兵と騎馬隊であった。
朝日に鈍く光る無数の槍と長剣、そして血のように赤いザルドニアの軍旗が風に翻る。対するルミエールの守備兵はわずか300。誰の目にも、その戦力差は絶望的であった。
だが――ルミエールには今、異世界から舞い降りた『規格外の守護者』がいる。
「開戦だ! 小国の城など、力押しで踏み潰せ!!」
ザルドニア軍の指揮官が剣を振り下ろし、開戦の矢が放たれた。
ドォォォォンッ! と地響きを立てて、1000の重装兵たちが野獣のような怒号を上げながら一斉に城壁へと突撃を開始する。彼らの脳裏には、数日前に神宮寺領の城塞をあっさりと踏み潰した、あの勝ち戦の驕りがあった。
だが、彼らの猛進は、城壁の手前数百メートルの地点で突如として阿鼻叫喚の地獄へと変わった。
「な、なんだこれはっ!?」
「止まれっ! 前へ出るな! 落ちるぞォォッ!!」
先頭を走っていた兵士たちが、信じられないものを見るように目を剥き、泥濘に足を取られて次々と姿を消していく。
――水堀である。
昨日までただの開けた平原だったはずの城の周囲に、和架のチート級の『土魔法』と雫の『水魔法』によって一晩で作り上げられた、幅数十メートル、深さ二十メートルに及ぶ広大で底知れぬ巨大な水堀が、彼らの行く手を完全に遮っていたのだ。
「ぎゃあああっ!? 鎧が、重いっ……!」
「溺れるっ! 助け、ブクブクブクッ……!」
分厚い鋼鉄のプレートアーマーを着込んだザルドニア兵たちにとって、深い水場は文字通りの『死地』であった。一度足を踏み外せば、その重すぎる装備のせいで自力で浮かび上がることなど絶対に不可能。彼らは為す術もなく、深い水底へと次々に沈んでいく。
「今だ! 放てェェェッ!!」
ゼノンザード領主の号令と共に、ルミエールの城壁の上から、雨あられと無数の弓矢、そして魔術師たちの魔法攻撃が降り注いだ。
足場を失い、堀の縁で身動きが取れなくなったザルドニア兵たちは、ただの案山子と同じ。城内に一歩も踏み入ることができないまま、彼らは一方的な殺戮の的となり、澄んでいた水堀は瞬く間に敵兵の血と死屍累々で赤黒く埋め尽くされていった。
「ええい、忌々しい! 一夜にして巨大な水堀を作るなど、いったいどんな妖術を使いおった!?」
ザルドニア軍の本陣。
自軍の兵士たちが虫けらのように殺されていく様を目の当たりにし、業を煮やした男がいた。
ザルドニア軍の総大将にして、大陸全土に『猛将』としてその武威を轟かせる将軍・ブレイドである。
身の丈二メートルに迫ろうかという巨躯を、特注の分厚い黒鋼のプレートアーマーで包み込み、背には身の丈ほどもある巨大な両刃の大剣(グレートソード)を背負っている。彼が戦場に出れば、一振りで十人の兵士が両断されると恐れられる、まさに歩く暴力であった。
「水堀に引きこもるとは、卑怯者め! まともに戦う度胸もないのか!!」
ブレイドは愛馬を進め、弓矢の届かないギリギリの距離から城壁を見上げ、腹の底から響くような大音声を張り上げた。
「ルミエールの領主よ! 聞こえるか! このままでは互いに無駄な血を流すだけだ! 俺と『一騎打ち』をして勝敗を決めようではないか!! 俺が勝てば、貴様らが匿っている神宮寺小羽玖を渡してもらうぞ!!」
その圧倒的な覇気と武威を伴った挑発に、城壁の上に並ぶルミエールの兵士たちはゴクリと息を呑んだ。
ゼノンザードは苦々しい表情で舌打ちをする。
(……奴め、堀を越えられないと見るや、一騎打ちで状況を打開する気か。だが……)
ゼノンザードとて、若かりし頃であれば自ら大剣を提げて打って出ただろう。しかし、彼はもう初老の身。あの理不尽なまでの筋力と体力を誇る巨漢の猛将と正面から打ち合えば、数合で叩き潰されることは火を見るより明らかだった。
「誰か……! 誰か、あのブレイド将軍と打ち合い、討ち取れる者はいないか!」
ゼノンザードが悲痛な声で周囲を見渡す。
だが、ルミエールの歴戦の騎士たちでさえ、恐怖に顔を伏せ、誰一人として名乗り出ようとはしなかった。相手はあの『ブレイド』なのだ。自殺しに行くようなものである。
絶望的な沈黙が城壁を支配した、その時。
「……私が、行きます」
凛とした、しかしどこまでも平坦で静かな声が響いた。
ルミエールの兵士たちが驚いて振り返ると、そこには、漆黒の和風甲冑を身に纏い、黒髪をポニーテールに結い上げた一人の少女が、白銀の日本刀を腰に差し、静かに進み出ていた。
村雨和架――いや、異世界の魂を持つ『御巫沙也加』である。
「なっ!? ば、馬鹿な! お前のような小柄な娘が、あのブレイドと戦うだと!?」
「死にに行くつもりか! 神宮寺の近衛兵殿、血迷うな!!」
ルミエールの兵士たちが大慌てで引き止めようと騒ぎ立てる。
しかし、神宮寺の陣営の反応は全く異なっていた。
小羽玖は和架の背中を見つめ、ただ静かに、絶対的な信頼を込めて微笑んでいる。椿椛や天宮蒼芭に至っては、「よし、和架の出番だな」「和架はガルムウルフを一人で倒すからな……」と、完全に和架が勝つことを疑っていない余裕の表情を浮かべていた。
魔法の刀ではなく、和架自身が化け物じみた強さを持っていることを知っている彼女たちからすれば、村雨和架が絶対に勝つと信じていた。
「……ゼノンザード様。城門を、開けてください」
「わ、和架殿……本気か?」
「ええ。すぐに終わらせてきます」
和架の揺るぎない眼差しに気圧され、ゼノンザードは重々しく頷いた。
ギギギギギ……ッ!!
重厚な音を立てて、ルミエールの巨大な城門がゆっくりと開かれる。
ザルドニア軍の兵士たちから「おい、出てきたぞ!」「領主が出てきたのか!?」と期待のどよめきが起こる。
しかし、水堀に架けられた一本の跳ね橋を渡り、たった一人で戦場へと足を踏み入れたのは――華奢な、黒髪の少女であった。
「は……? なんだ、あのガキは」
ブレイドが兜の奥で目を細める。
「ルミエールの領主は震え上がって出てこられないようね。神宮寺の近衛兵、村雨和架。私があなたの相手よ」
和架は、刀を鞘に収めたまま、だらりと両手を下げた無防備な立ち姿で、冷たい瞳で大男を見据えた。
「ハッ! ハハハハハハハッ!!」
ブレイドは腹を抱えて爆笑した。
「神宮寺の近衛兵か! 逃げ隠れしていたお姫様の護衛が、ついに捨て駒として出てきたというわけか! いいだろう、俺はこの小娘を討ち取ったら、約束通り姫を貰い受けるからな!!」
ブレイドが背中の大剣を抜き放つと、ザルドニア軍の陣営から地鳴りのような大歓声と嘲笑が湧き起こった。彼らは、自軍の総大将がこんな小娘に負けるはずがないと、すでに完全なる勝利を確信しているのだ。
一方のルミエール城壁の上では、「ああ……神宮寺の近衛兵が殺される」「なんてむごいことを」と、悲痛などよめきと嘆きが巻き起こっている。
圧倒的なアウェー。
だが、和架の心は、深夜の湖面のように静まり返っていた。
『システム:オート索敵完了。敵将のステータス、物理防御に極振り』
『転生勇者の力(ステータス・限界突破)』
(……防御力全振りの脳筋ね。なら、やることは一つ)
和架は、鍔に親指をかけ、冷たく言い放った。
「やれるもんなら、やってみよ」
「ほざけェッ!!」
ブレイドが大地を蹴り、その巨体に似合わぬ猛スピードで突進してくる。振り被られた大剣が、空気を切り裂き、和架の小さな身体を唐竹割りにしようと迫る。
ルミエールの兵士たちが思わず目を瞑った、次の瞬間。
ドンッ!!
和架の姿が、完全に「掻き消えた」。
「なっ――!?」
ブレイドが大剣を振り下ろすより遥かに速く。
『転生勇者の力』による超加速を用いた和架は、すでにブレイドの極端に狭い懐へと潜り込んでいた。
「チィッ!!」
ブレイドは驚愕しながらも、長年の勘で大剣の軌道を無理やり曲げ、懐の和架を薙ぎ払おうとする。だが、和架の動きはそれをさらに凌駕していた。
抜刀術『瞬刃』。
白銀の閃きが、ブレイドの分厚いプレートアーマーの胸部に激突する。
キィィィンッ!!
けたたましい金属音が響き渡り、火花が散った。
しかし、いかに和架の腕力が限界突破していようと、ただの物理的な日本刀の斬撃では、魔法で何重にも強化されたブレイドの特注鎧を完全に両断することはできなかった。刃は装甲の表面を浅く削っただけで弾かれる。
「なんて速さだ……! だが!」
ブレイドは冷や汗を流しながらも、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「動きは虫けらのように早いが、この俺の鎧に傷をつけるほどの威力はないようだな! 貴様の武器では、俺は殺せん!!」
ブレイドは、和架の攻撃を「脅威ではない」と完全に甘く見た。
(当たらなければどうということはないが、当たっても痛くないなら、無理に防御する必要はない)
そう判断したブレイドの攻撃は、防御を完全に捨てた、ただただ和架を叩き潰すための「大振り」へと変化した。
ブンッ! ブォォォンッ!!
風を切り裂く大剣の連撃。かすっただけで骨が粉砕されるであろう圧倒的な膂力の暴力を、和架は流れるような体術と神速のステップで、紙一重ですべていなし、躱していく。
「ちょこまかと……ッ! 潰れろォ!!」
ブレイドが大きく振りかぶり、渾身の力で大剣を縦に振り下ろした。
完全に重心が前に傾き、その巨大な胴体が無防備に晒される、最大の隙。
(……かかったわね、馬鹿が)
和架は、振り下ろされる大剣を半身で躱した瞬間、刀を振るうのではなく――空いた左手を、ブレイドの巨大な胴体(鎧の腹部)に、ピタリと密着させた。
「あ……?」
ブレイドが、奇妙な行動に出た和架に疑問符を浮かべた、その時だった。
「防刃・物理耐性の鎧は立派だけど……『熱』と『衝撃波』への対策は、忘れてるんじゃない?」
和架の瞳に、残酷な光が宿る。
杖も、詠唱もない。ただの素手からの、至近距離(ゼロ距離)での魔法発動。
『魔法【業火球(エクス・ファイヤーボール)】――圧縮発動』
「バカな!? これだけの剣の使い手が……魔法も、使えるのか!?」
ブレイドが驚愕に見開いた目は、圧倒的な爆炎によって白く塗り潰された。
ドゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!!
戦場全体を揺るがすような、凄まじい炸裂音。
和架の手のひらから放たれた極大の炎の魔法は、ブレイドの鎧の表面で爆発を起こした。
魔法強化されたプレートアーマー自体は、なんとか爆炎を防ぎきり、溶け落ちることはなかった。しかし――逃げ場を失ったすさまじい「爆発の衝撃波」と「超高温」は、鎧という密閉空間を伝わり、ブレイドの生身の肉体と内臓を容赦なく破壊し尽くした。
「ガ、アァァァァァァァァァッ!!??」
血を吐きながら、ブレイドの巨体が大砲で撃ち出されたように数メートル後方へと宙を舞い、泥まみれの地面に激しく叩きつけられた。
「な、なんだと!?」
「将軍が……あの無敵のブレイド将軍が、吹き飛ばされたぞ!?」
勝利を確信し、囃し立てていたザルドニア軍の歓声が、ピタリと止まる。
静寂が支配する戦場で、もうもうと立ち上る黒煙の中から、黒焦げになった鎧を引きずりながら、ブレイドが必死に立ち上がろうとしていた。
「が、はっ……! ぐ、うぅぅ……!」
内臓を激しく損傷し、耳から血を流し、足元がおぼつかない。大剣はとうに手放してしまっている。
ふらつくブレイドが、霞む視界でなんとか前方の和架を確認しようとした、次の瞬間だった。
ガクン、と限界を迎えて膝をついた彼の首筋――鎧の隙間から覗く無防備な肉の部分に、氷のように冷たい白銀の刀身が、ピタリと当てられていた。
煙が晴れる。
そこには、刀を構え、一切の感情を排した冷徹な見下ろす瞳でブレイドを睥睨する、村雨和架の姿があった。
「……降参しろ。それ以上動けば、斬る」
死の冷気を孕んだ、絶対者の宣告。
少しでも首を動かせば、一瞬で頸動脈が切り裂かれる。自分を圧倒的な武力と魔法でねじ伏せたこの小柄な少女が、本気で自分を殺す気であることを、ブレイドの戦士としての本能が理解してしまった。
さしもの猛将ブレイドも、その圧倒的な死の気配を前に、戦意を完全にへし折られた。
「……ま、参った……。俺の、負けだ……」
ブレイドの屈辱に満ちた降伏宣言が、戦場に響き渡った。
「……ぜ、全軍っ! 兵を引き上げろ……! 撤退だ……ッ!!」
その号令を皮切りに、大将を人質に取られ、巨大な水堀を越える手立ても失っていたザルドニアの1000の軍勢は、蜘蛛の子を散らすように、潮を引くような勢いで地平線の彼方へと敗走していった。
* * *
数分間の、信じられないような静寂。
そして――。
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「勝った……! 勝ったぞぉぉぉぉっ!!」
「万歳! ルミエール万歳! 神宮寺の近衛兵殿、万歳ァァァイッ!!」
ルミエールの城壁の上から、鼓膜が破れんばかりの大歓声と拍手喝采が爆発した。
絶対に勝てないと思われていた小柄な少女が、武勇で名を馳せたあのブレイド将軍を、剣と魔法の圧倒的な力で一方的にやり込めてしまったのだ。これ以上の痛快な大逆転劇があるだろうか。
ゼノンザード領主も、顔を真っ赤にして拳を突き上げ、兵士たちと共に「素晴らしい! 見事な武辺である!」と叫び声を上げている。
和架が刀を鞘に納め、城門へと歩み戻ると、そこには歓喜に沸く仲間たちが待ち受けていた。
「お前っ、どんだけ強ええんだよ!! 最高だぜ和架!!」
椿椛が興奮冷めやらぬ様子で和架の背中をバンバンと叩く。
「ガルムウルフも一人で倒し、あのブレイドも一人で倒すなんて……! さすがは異世界の勇者様、いや、私たちの和架です!」
天宮蒼芭も槍を掲げて涙ぐみながら拍手を送る。雫や五月も、安堵と感動で言葉にならない声を上げていた。
そして、人だかりを掻き分けて飛び出してきたのは、神宮寺小羽玖だった。
「和架……ッ!」
小羽玖は、泥と血にまみれた和架の腕を強く、強く握りしめた。その大きな瞳からは、滝のような涙が溢れ出ている。
もし和架が負けていれば、自分はザルドニアに引き渡され、凌辱の末に殺されていただろう。和架はまたしても、自らの命を救ってくれたのだ。
「よくやりましたね、和架……! 本当に、本当に……っ」
「姫様。お約束通り、護り抜きましたよ」
泣き崩れる小羽玖を、和架は優しく抱きしめた。
異世界から転生してきたただのOL・御巫沙也加。
だが、彼女がこの世界で成し遂げた軌跡は、間違いなく一人の少女の運命を救い、一つの都市を滅びから救った『英雄』のそれであった。
ルミエールに降り注ぐ朝の光が、歓喜に沸く人々を温かく包み込む。
亡国の姫君を辺境の果てまで護り抜く、長く過酷な逃避行。それは今、この最強の近衛兵の圧倒的な勝利によって、ついに確かな安住の地へと辿り着いたのだった。
しかし、その美しくも静寂に満ちた朝の空気を切り裂くように、ルミエール城塞の監視塔から、けたたましい銅鑼の音が連続して打ち鳴らされた。
「敵襲ぅぅぅっ!! ザルドニア帝国の軍勢だァァァッ!!」
見張りの兵士の悲痛な絶叫が、都市中に響き渡る。
地平線の彼方から、朝靄を押し除けるようにして姿を現したのは、大地を黒く染め上げるような鋼鉄の波。ザルドニア帝国が誇る1000の重装歩兵と騎馬隊であった。
朝日に鈍く光る無数の槍と長剣、そして血のように赤いザルドニアの軍旗が風に翻る。対するルミエールの守備兵はわずか300。誰の目にも、その戦力差は絶望的であった。
だが――ルミエールには今、異世界から舞い降りた『規格外の守護者』がいる。
「開戦だ! 小国の城など、力押しで踏み潰せ!!」
ザルドニア軍の指揮官が剣を振り下ろし、開戦の矢が放たれた。
ドォォォォンッ! と地響きを立てて、1000の重装兵たちが野獣のような怒号を上げながら一斉に城壁へと突撃を開始する。彼らの脳裏には、数日前に神宮寺領の城塞をあっさりと踏み潰した、あの勝ち戦の驕りがあった。
だが、彼らの猛進は、城壁の手前数百メートルの地点で突如として阿鼻叫喚の地獄へと変わった。
「な、なんだこれはっ!?」
「止まれっ! 前へ出るな! 落ちるぞォォッ!!」
先頭を走っていた兵士たちが、信じられないものを見るように目を剥き、泥濘に足を取られて次々と姿を消していく。
――水堀である。
昨日までただの開けた平原だったはずの城の周囲に、和架のチート級の『土魔法』と雫の『水魔法』によって一晩で作り上げられた、幅数十メートル、深さ二十メートルに及ぶ広大で底知れぬ巨大な水堀が、彼らの行く手を完全に遮っていたのだ。
「ぎゃあああっ!? 鎧が、重いっ……!」
「溺れるっ! 助け、ブクブクブクッ……!」
分厚い鋼鉄のプレートアーマーを着込んだザルドニア兵たちにとって、深い水場は文字通りの『死地』であった。一度足を踏み外せば、その重すぎる装備のせいで自力で浮かび上がることなど絶対に不可能。彼らは為す術もなく、深い水底へと次々に沈んでいく。
「今だ! 放てェェェッ!!」
ゼノンザード領主の号令と共に、ルミエールの城壁の上から、雨あられと無数の弓矢、そして魔術師たちの魔法攻撃が降り注いだ。
足場を失い、堀の縁で身動きが取れなくなったザルドニア兵たちは、ただの案山子と同じ。城内に一歩も踏み入ることができないまま、彼らは一方的な殺戮の的となり、澄んでいた水堀は瞬く間に敵兵の血と死屍累々で赤黒く埋め尽くされていった。
「ええい、忌々しい! 一夜にして巨大な水堀を作るなど、いったいどんな妖術を使いおった!?」
ザルドニア軍の本陣。
自軍の兵士たちが虫けらのように殺されていく様を目の当たりにし、業を煮やした男がいた。
ザルドニア軍の総大将にして、大陸全土に『猛将』としてその武威を轟かせる将軍・ブレイドである。
身の丈二メートルに迫ろうかという巨躯を、特注の分厚い黒鋼のプレートアーマーで包み込み、背には身の丈ほどもある巨大な両刃の大剣(グレートソード)を背負っている。彼が戦場に出れば、一振りで十人の兵士が両断されると恐れられる、まさに歩く暴力であった。
「水堀に引きこもるとは、卑怯者め! まともに戦う度胸もないのか!!」
ブレイドは愛馬を進め、弓矢の届かないギリギリの距離から城壁を見上げ、腹の底から響くような大音声を張り上げた。
「ルミエールの領主よ! 聞こえるか! このままでは互いに無駄な血を流すだけだ! 俺と『一騎打ち』をして勝敗を決めようではないか!! 俺が勝てば、貴様らが匿っている神宮寺小羽玖を渡してもらうぞ!!」
その圧倒的な覇気と武威を伴った挑発に、城壁の上に並ぶルミエールの兵士たちはゴクリと息を呑んだ。
ゼノンザードは苦々しい表情で舌打ちをする。
(……奴め、堀を越えられないと見るや、一騎打ちで状況を打開する気か。だが……)
ゼノンザードとて、若かりし頃であれば自ら大剣を提げて打って出ただろう。しかし、彼はもう初老の身。あの理不尽なまでの筋力と体力を誇る巨漢の猛将と正面から打ち合えば、数合で叩き潰されることは火を見るより明らかだった。
「誰か……! 誰か、あのブレイド将軍と打ち合い、討ち取れる者はいないか!」
ゼノンザードが悲痛な声で周囲を見渡す。
だが、ルミエールの歴戦の騎士たちでさえ、恐怖に顔を伏せ、誰一人として名乗り出ようとはしなかった。相手はあの『ブレイド』なのだ。自殺しに行くようなものである。
絶望的な沈黙が城壁を支配した、その時。
「……私が、行きます」
凛とした、しかしどこまでも平坦で静かな声が響いた。
ルミエールの兵士たちが驚いて振り返ると、そこには、漆黒の和風甲冑を身に纏い、黒髪をポニーテールに結い上げた一人の少女が、白銀の日本刀を腰に差し、静かに進み出ていた。
村雨和架――いや、異世界の魂を持つ『御巫沙也加』である。
「なっ!? ば、馬鹿な! お前のような小柄な娘が、あのブレイドと戦うだと!?」
「死にに行くつもりか! 神宮寺の近衛兵殿、血迷うな!!」
ルミエールの兵士たちが大慌てで引き止めようと騒ぎ立てる。
しかし、神宮寺の陣営の反応は全く異なっていた。
小羽玖は和架の背中を見つめ、ただ静かに、絶対的な信頼を込めて微笑んでいる。椿椛や天宮蒼芭に至っては、「よし、和架の出番だな」「和架はガルムウルフを一人で倒すからな……」と、完全に和架が勝つことを疑っていない余裕の表情を浮かべていた。
魔法の刀ではなく、和架自身が化け物じみた強さを持っていることを知っている彼女たちからすれば、村雨和架が絶対に勝つと信じていた。
「……ゼノンザード様。城門を、開けてください」
「わ、和架殿……本気か?」
「ええ。すぐに終わらせてきます」
和架の揺るぎない眼差しに気圧され、ゼノンザードは重々しく頷いた。
ギギギギギ……ッ!!
重厚な音を立てて、ルミエールの巨大な城門がゆっくりと開かれる。
ザルドニア軍の兵士たちから「おい、出てきたぞ!」「領主が出てきたのか!?」と期待のどよめきが起こる。
しかし、水堀に架けられた一本の跳ね橋を渡り、たった一人で戦場へと足を踏み入れたのは――華奢な、黒髪の少女であった。
「は……? なんだ、あのガキは」
ブレイドが兜の奥で目を細める。
「ルミエールの領主は震え上がって出てこられないようね。神宮寺の近衛兵、村雨和架。私があなたの相手よ」
和架は、刀を鞘に収めたまま、だらりと両手を下げた無防備な立ち姿で、冷たい瞳で大男を見据えた。
「ハッ! ハハハハハハハッ!!」
ブレイドは腹を抱えて爆笑した。
「神宮寺の近衛兵か! 逃げ隠れしていたお姫様の護衛が、ついに捨て駒として出てきたというわけか! いいだろう、俺はこの小娘を討ち取ったら、約束通り姫を貰い受けるからな!!」
ブレイドが背中の大剣を抜き放つと、ザルドニア軍の陣営から地鳴りのような大歓声と嘲笑が湧き起こった。彼らは、自軍の総大将がこんな小娘に負けるはずがないと、すでに完全なる勝利を確信しているのだ。
一方のルミエール城壁の上では、「ああ……神宮寺の近衛兵が殺される」「なんてむごいことを」と、悲痛などよめきと嘆きが巻き起こっている。
圧倒的なアウェー。
だが、和架の心は、深夜の湖面のように静まり返っていた。
『システム:オート索敵完了。敵将のステータス、物理防御に極振り』
『転生勇者の力(ステータス・限界突破)』
(……防御力全振りの脳筋ね。なら、やることは一つ)
和架は、鍔に親指をかけ、冷たく言い放った。
「やれるもんなら、やってみよ」
「ほざけェッ!!」
ブレイドが大地を蹴り、その巨体に似合わぬ猛スピードで突進してくる。振り被られた大剣が、空気を切り裂き、和架の小さな身体を唐竹割りにしようと迫る。
ルミエールの兵士たちが思わず目を瞑った、次の瞬間。
ドンッ!!
和架の姿が、完全に「掻き消えた」。
「なっ――!?」
ブレイドが大剣を振り下ろすより遥かに速く。
『転生勇者の力』による超加速を用いた和架は、すでにブレイドの極端に狭い懐へと潜り込んでいた。
「チィッ!!」
ブレイドは驚愕しながらも、長年の勘で大剣の軌道を無理やり曲げ、懐の和架を薙ぎ払おうとする。だが、和架の動きはそれをさらに凌駕していた。
抜刀術『瞬刃』。
白銀の閃きが、ブレイドの分厚いプレートアーマーの胸部に激突する。
キィィィンッ!!
けたたましい金属音が響き渡り、火花が散った。
しかし、いかに和架の腕力が限界突破していようと、ただの物理的な日本刀の斬撃では、魔法で何重にも強化されたブレイドの特注鎧を完全に両断することはできなかった。刃は装甲の表面を浅く削っただけで弾かれる。
「なんて速さだ……! だが!」
ブレイドは冷や汗を流しながらも、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「動きは虫けらのように早いが、この俺の鎧に傷をつけるほどの威力はないようだな! 貴様の武器では、俺は殺せん!!」
ブレイドは、和架の攻撃を「脅威ではない」と完全に甘く見た。
(当たらなければどうということはないが、当たっても痛くないなら、無理に防御する必要はない)
そう判断したブレイドの攻撃は、防御を完全に捨てた、ただただ和架を叩き潰すための「大振り」へと変化した。
ブンッ! ブォォォンッ!!
風を切り裂く大剣の連撃。かすっただけで骨が粉砕されるであろう圧倒的な膂力の暴力を、和架は流れるような体術と神速のステップで、紙一重ですべていなし、躱していく。
「ちょこまかと……ッ! 潰れろォ!!」
ブレイドが大きく振りかぶり、渾身の力で大剣を縦に振り下ろした。
完全に重心が前に傾き、その巨大な胴体が無防備に晒される、最大の隙。
(……かかったわね、馬鹿が)
和架は、振り下ろされる大剣を半身で躱した瞬間、刀を振るうのではなく――空いた左手を、ブレイドの巨大な胴体(鎧の腹部)に、ピタリと密着させた。
「あ……?」
ブレイドが、奇妙な行動に出た和架に疑問符を浮かべた、その時だった。
「防刃・物理耐性の鎧は立派だけど……『熱』と『衝撃波』への対策は、忘れてるんじゃない?」
和架の瞳に、残酷な光が宿る。
杖も、詠唱もない。ただの素手からの、至近距離(ゼロ距離)での魔法発動。
『魔法【業火球(エクス・ファイヤーボール)】――圧縮発動』
「バカな!? これだけの剣の使い手が……魔法も、使えるのか!?」
ブレイドが驚愕に見開いた目は、圧倒的な爆炎によって白く塗り潰された。
ドゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!!
戦場全体を揺るがすような、凄まじい炸裂音。
和架の手のひらから放たれた極大の炎の魔法は、ブレイドの鎧の表面で爆発を起こした。
魔法強化されたプレートアーマー自体は、なんとか爆炎を防ぎきり、溶け落ちることはなかった。しかし――逃げ場を失ったすさまじい「爆発の衝撃波」と「超高温」は、鎧という密閉空間を伝わり、ブレイドの生身の肉体と内臓を容赦なく破壊し尽くした。
「ガ、アァァァァァァァァァッ!!??」
血を吐きながら、ブレイドの巨体が大砲で撃ち出されたように数メートル後方へと宙を舞い、泥まみれの地面に激しく叩きつけられた。
「な、なんだと!?」
「将軍が……あの無敵のブレイド将軍が、吹き飛ばされたぞ!?」
勝利を確信し、囃し立てていたザルドニア軍の歓声が、ピタリと止まる。
静寂が支配する戦場で、もうもうと立ち上る黒煙の中から、黒焦げになった鎧を引きずりながら、ブレイドが必死に立ち上がろうとしていた。
「が、はっ……! ぐ、うぅぅ……!」
内臓を激しく損傷し、耳から血を流し、足元がおぼつかない。大剣はとうに手放してしまっている。
ふらつくブレイドが、霞む視界でなんとか前方の和架を確認しようとした、次の瞬間だった。
ガクン、と限界を迎えて膝をついた彼の首筋――鎧の隙間から覗く無防備な肉の部分に、氷のように冷たい白銀の刀身が、ピタリと当てられていた。
煙が晴れる。
そこには、刀を構え、一切の感情を排した冷徹な見下ろす瞳でブレイドを睥睨する、村雨和架の姿があった。
「……降参しろ。それ以上動けば、斬る」
死の冷気を孕んだ、絶対者の宣告。
少しでも首を動かせば、一瞬で頸動脈が切り裂かれる。自分を圧倒的な武力と魔法でねじ伏せたこの小柄な少女が、本気で自分を殺す気であることを、ブレイドの戦士としての本能が理解してしまった。
さしもの猛将ブレイドも、その圧倒的な死の気配を前に、戦意を完全にへし折られた。
「……ま、参った……。俺の、負けだ……」
ブレイドの屈辱に満ちた降伏宣言が、戦場に響き渡った。
「……ぜ、全軍っ! 兵を引き上げろ……! 撤退だ……ッ!!」
その号令を皮切りに、大将を人質に取られ、巨大な水堀を越える手立ても失っていたザルドニアの1000の軍勢は、蜘蛛の子を散らすように、潮を引くような勢いで地平線の彼方へと敗走していった。
* * *
数分間の、信じられないような静寂。
そして――。
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「勝った……! 勝ったぞぉぉぉぉっ!!」
「万歳! ルミエール万歳! 神宮寺の近衛兵殿、万歳ァァァイッ!!」
ルミエールの城壁の上から、鼓膜が破れんばかりの大歓声と拍手喝采が爆発した。
絶対に勝てないと思われていた小柄な少女が、武勇で名を馳せたあのブレイド将軍を、剣と魔法の圧倒的な力で一方的にやり込めてしまったのだ。これ以上の痛快な大逆転劇があるだろうか。
ゼノンザード領主も、顔を真っ赤にして拳を突き上げ、兵士たちと共に「素晴らしい! 見事な武辺である!」と叫び声を上げている。
和架が刀を鞘に納め、城門へと歩み戻ると、そこには歓喜に沸く仲間たちが待ち受けていた。
「お前っ、どんだけ強ええんだよ!! 最高だぜ和架!!」
椿椛が興奮冷めやらぬ様子で和架の背中をバンバンと叩く。
「ガルムウルフも一人で倒し、あのブレイドも一人で倒すなんて……! さすがは異世界の勇者様、いや、私たちの和架です!」
天宮蒼芭も槍を掲げて涙ぐみながら拍手を送る。雫や五月も、安堵と感動で言葉にならない声を上げていた。
そして、人だかりを掻き分けて飛び出してきたのは、神宮寺小羽玖だった。
「和架……ッ!」
小羽玖は、泥と血にまみれた和架の腕を強く、強く握りしめた。その大きな瞳からは、滝のような涙が溢れ出ている。
もし和架が負けていれば、自分はザルドニアに引き渡され、凌辱の末に殺されていただろう。和架はまたしても、自らの命を救ってくれたのだ。
「よくやりましたね、和架……! 本当に、本当に……っ」
「姫様。お約束通り、護り抜きましたよ」
泣き崩れる小羽玖を、和架は優しく抱きしめた。
異世界から転生してきたただのOL・御巫沙也加。
だが、彼女がこの世界で成し遂げた軌跡は、間違いなく一人の少女の運命を救い、一つの都市を滅びから救った『英雄』のそれであった。
ルミエールに降り注ぐ朝の光が、歓喜に沸く人々を温かく包み込む。
亡国の姫君を辺境の果てまで護り抜く、長く過酷な逃避行。それは今、この最強の近衛兵の圧倒的な勝利によって、ついに確かな安住の地へと辿り着いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる





