7 / 58

強力な弓矢を作り狩人から滅茶苦茶感謝される

しおりを挟む
 グウウウウウウウウウウウウウウウウ!

 そこはエルフの森だった。エルフの国は森に囲まれている。豊かな森の中には木の実や果物が実り、食用の小動物が存在した。だが、それと同時に多くの危険も存在していた。
 
 狩人達はカモシカなどの食用動物の狩りをしていた。

 だがその時、思わぬ敵に遭遇する。

「ぐわっ!」

 狩人達は狼に食いつかれたのだ。

「ち、ちくしょう! 腕が! いてぇ!」

「ちくしょう! こいつ等!」

 狩人達は弓を放つ。

「キャウ!」

「やったか!」
 
 しかし、矢は刺さったが狼は怯まない。それどころか、攻撃されて怒りだした様子だ。

 ガウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
 
 複数の狼達がエルフの狩人に襲いかかる。

「「「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」

 狩人達は脱兎の如く逃げ出した。

 ◆◆◆◆◆◆◆

 俺は目を覚ます。エルフ城の私室でだ。良い朝だった。朝日が差し込んでくる。

「おはようございます。フェイ様」

「ああ。おはよう。ソフィア」

 俺は挨拶する。キングサイズの上質なベッドだった。寝心地も半端なく良い。エルフの国は森に囲まれており、人の都のように五月蠅くないのも安眠に効果的だった。

「フェイ様」

「なんだい?」

「溜まってはおりませんか?」

「溜まっている?」

「ええ。人間の男性は朝、性的欲求を持て余し、下半身が反り立つそうではありませぬか。それを鎮めるのもメイドの役割だと聞いております」

 色々と無駄な知識を知っているな、このソフィアというメイドは。一体、誰が教えたんだ。
「い、いや。いいよ。遠慮しておくよ。トイレに行くから」

「そうですか。もし鎮めたい場合是非私にご協力させてください」

「いや、遠慮するよ」

 俺はトイレに向かった。


 朝起きた俺はまずは食堂で朝食を済ませた。そして何となくエルフ城を散歩していた。

「ま、まあ! そんな事があったんですか!」

 そんな時だった。ユースが声を張り上げた。使用人から何か報告を受けているようだった。
「ん? どうしたんだい? ユース」

「フェイ様ですか。エルフの狩人達が狼の群れに襲われ、重傷を負わされたらしいのです。幸い、死者は出ませんでしたが」

「そうか。それは大変だな」

 どんな仕事でも危険は憑き物だった。鍛冶仕事だって手を大やけどしたり、切断する恐れはある。だが無論そんな出来事起きない方が幸せな事ではあった。

「理由はなんでだい?」

「矢があまり効かなかったらしいのです。それで狼を仕留めきれずに、逆に激情させてしまったそうです」

「矢が?」

「はい」

「僕で良かったら力になるけど」

「フェイ様は弓矢も作れるのですか?」

「多分ね。どうせエルフの矢は木製のものだろう? 矢だって耐久力が低い木で作れば、当然弦が耐えられる力も多くなくなる。それだけ放たれる矢の力も小さくなるんだよ」

「ありがとうございますフェイ様。お手間でなければお願いします」

 ユースは頭を下げた。

「頭を下げなくて良いよ。ユース。こんな良い待遇で雇われているんだからね、少しばかり役に立つのは当然のことさ」

「ありがとうございますフェイ様。そのお言葉私の心が大変救われますわ」

 ユースはうっとりとした顔をした。


 俺は早速工房で弓を鍛錬する。数日の間作業をした。

 キンコンカンコン!

「よし! 出来た!」

 俺は弓を何本か、そして矢を数十本作った。

「フェイ様、できたのですね?」

「ああ。これが新しい弓矢だ」

「弓が鋼鉄で出来ているのですね」

「ああ。しかもただの鋼鉄じゃない。重くないように、最も軽い金属と言われてみるミスリルで作ったんだ」

「まあ、あの魔法の金属と言われているミスリルで」

「矢の方も鏃はミスリル製だ。さらには効果があがるように、矢によって魔法効果も秘められている。こっちは毒。こっちは麻痺。そしてこっちが眠りだ。色分けされているからちゃんと確認して狩人に使うように言っておいてよ」

「ありがとうございますフェイ様。早速狩人達に渡すように手配いたします。これでこのエルフの国に平和が訪れますわ」

「そんな大袈裟だよ」

「大袈裟ではありません。フェイ様はそれだけの事をなさっているのです。感謝してもしきれないくらいですわ」

 こうして、エルフの狩人達に俺のミスリル弓矢が渡される事となった。

 ◆◆◆

「これがあの鍛治師様がくれた弓矢か」

「すげー軽いじゃねぇか! しかも強度は木の弓とは比べものにならねぇんだろ!」

 ミスリル弓矢を渡されたエルフの狩人達は喜んでいた。

「ああ。しかも矢の方も特別製らしいぜ」

「これで狼に遭遇しても安心だぜ」

「だな」

「よし。今晩早速狩りに行くか」

「ああ」

 こうしてその日のうちに狩人達は森に狩りへ行ったのだ。


「いたぞ! シカはそっちに逃げたぞ!」

「ああ! 逃がさねぇぞ!」

 狩人達は狩りに勤しむ。そんな時だった。

「「「「グウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」」」」

 複数のうなり声が聞こえてきた。

「へっ! 来たな、狼の群れだぜ!」

 この前と同じように狩人達の前に狼の群れが姿を現す。

「もう怖くねぇ! なんたって俺達には鍛治師のフェイ様から授かったこのミスリル弓矢があるんだからな!」

「くらいやがれ!」

 狩人はミスリル弓矢を放つ。

「キャウン!」

 狼は矢を喰らった。そしてすぐに動けなくなる。矢には麻痺の魔法が込められていたようだ。

「なんて威力だ! その上麻痺の効果で狼が一瞬で動けなくなったぜ!」

「ああっ! 次はこっちの番だ! そらっ!」

「キャウン!」

 また別の狼が悲鳴をあげて動かなくなった。

「へへっ! もう狼なんて怖くないぜ!」

「だなっ! これもフェイ様のおかげだ! ああっ!」

 この日を境に森の危険が減り、狩りの効率が大幅にあがったそうだった。

 ◆◆◆

「フェイ様」

「なんだ? ユース」

 それは俺がミスリル弓矢を鍛造してから数日経過した時の事だった。

「エルフの狩人達がフェイ様にお礼を言いたくてきているそうです。是非面会して頂けないでしょうか?」

「いいけど」

「ありがとうございます」


「鍛治師フェイ様! こんな素晴らしい弓矢を授けてくださり誠にありがとうございます!」

「あなた様は俺達の英雄だ! 神様だ!」

「何とお礼を申し上げていいか」

「おかげで狼による危険もなくなったし、安心して狩りができますっ!」

 狩人達は地に頭をこすりつけて礼を言ってきた。

「いいよ。気にしないで。大した事じゃないから」

「フェイ様には大した事がなくても、俺達にとってはもの凄い大事なんですぜ!」

「だから気にしなくていいって。頭をあげてくださいよ」

「それでフェイ様。俺達から細やかなお礼なんですが、受け取ってくれないでしょうか」

「なんだい?」

 狩人達は狩猟したイノシシやシカを丸ごと差し出してきた。

「俺達の狩りの成果です。お礼としてどうか受け取ってください」

「ありがとう。嬉しいよ。俺の弓矢が役に立てたみたいで」

「ええ。こんなものしか差し上げられませんが」

「いや。十分だよ。ソフィア」

「はっ」

「使用人何人か連れて、厨房まで運ぶんだ。それでシェフに料理を作らせて」

「かしこまりました」

「よろしければ狩人の人達も食べていってよ」

「め、滅相もありません。俺達が王城に立ち入るなんて」

「ユース、構わないよね。きっと食べきれないと思うんだ。それに皆に振る舞った方が良いと思うんだ」

「ええ。構いませんわ。狩人の人達が狩りに勤しんでいるから国民が飢えないのです。その労は労わなければなりませぬ」

 ユースは笑顔で答えた。

「「「「ありがとうございます」」」

 狩人達は頭を深々と下げた。

 こうしてその日の夕食にシカやイノシシをふんだんに使った料理が並び。
 皆の胃を満たし、舌を喜ばせたのであった。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

処理中です...