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ゴブリンを一網打尽にして滅茶苦茶感謝される
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冬が近づくと洞窟からゴブリンが出てくる。
餌と女を求めてゴブリンが人里に降りてくる。そう、このエルフの国にも例外ではなかった。
エルフの男達は山を散策していた。
「ん? なんだ?」
その時、何か動物が動いたのかと思った。しかし、現れたのは子供程の大きさのモンスター。ゴブリンである。
ゴブリンは小さいが馬鹿ではない。現れるなりに、お手製の槍で男達を攻撃してきた。
「うわっ! なんだっ! 槍がっ!」
槍が男の腕に刺さる。ゴブリンがぞろぞろと姿を現してきた。
いくら一匹ずつは弱いモンスターでもこうも数が多いと厄介であった。ゴブリン達は投石をしてくる。
「うわっ! 石だっ!」
「逃げろっ! 逃げるんだっ! そして皆に伝えないとっ! ゴブリンが大量に出てきた事を!」
男達は一目散にエルフの国に降りて行った。
◆◆◆
平和だ。何事もない。だがこういう日常も良い俺は工房で鍛錬をしている。
「ん?」
そんな時だった。工房に誰かがやってくる。ソフィアかと思ったが違った。
「シャロ」
シャロの姿があった。どことなくその顔は不安げであった。
「フェイ様」
「どうしたんだい? シャロ」
「それが……」
「何か不安な事でもできたのかい?」
「どうしてわかるのですか?」
「そんなに不安そうな顔をしていれば誰でもわかるよ」
「実は――」
シャロは語り始めた。
「へー。ゴブリンが大量に出てきたんだ」
「はい。ゴブリンはそれほど強いモンスターではありませんが、数が多いのが厄介なのです。戦闘になれば多くの兵士が傷つく事になります」
「それで俺に何かして欲しいという事?」
「兵士達が傷つかずにゴブリンを撃退したいのです。エルフ兵の装備は脆弱です。ボロボロの鎧で闘っているのです。それを何とかしてあげたいのです」
「わかった。防具を作ればいいんだね」
「はい! よろしければ是非お願いします!」
シャロは頼み込んできた。
「わかった。量産品だからそんなに性能はよくないと思うけど。作っておくよ」
俺はそう言って、武具の鍛造に取り掛かる。
「はい。よろしくお願いします」
こうして、俺はエルフ兵の防具を鍛造する事になった。
「とりあえずはゴブリン相手か」
ゴブリンは体が小さく力も弱いが、すばしっこい生き物だ。その上に知能が働く。やはり軽量化した鎧か。
だが、それでは駄目だ。攻撃を完全に防ぐ事はできない。危険はできるだけない方がいい。
そうなるとやはり武器か。
◆◆◆
「フェイ様」
「ん?」
ソフィアが話かけてきた。
「今度は何を作られたのですか?」
「ミスリルクロスボウだよ」
「クロスボウ?」
「即射性と連射に優れた弓みたいなものだよ」
「それをどうされるのですか?」
床には沢山のクロスボウが並んでいた。
「エルフ兵に渡すんだ」
「エルフ兵に」
「まあ、見ていればわかるさ。俺の作戦通りにしていれば無傷でゴブリンを追い払えると思うよ」
そしてその日の夜。ゴブリンが襲ってくる時間帯に作戦は結構された。
◆◆◆
「全兵、一列に並べ」
シャロが指示をする。
「これがフェイ様の作ってくれたクロスボウか」
「ああ。軽い上に弓より連射が効くらしいじゃねぇか」
「こんなものを作れるなんて、あの人はやっぱ天才だな。しかもこんな短時間でこれだけのエルフ兵に」
エルフ兵が数十人横に並ぶ。ゴブリンが降りてくる山に向かって陣形を作っていた。
「……よし! では練習通りだ! 手順通りに弓を装着して放て。矢が切れたり、不備があったら後ろのものと交代だ」
10人の射手の後ろにはまた10人の交代役の射手がいた。
「後は獲物がかかるのを待つだけだ」
「ええ。ゴブリン達に目に物を見せてやりましょう」
◆◆◆
「ふわぁ……眠いな」
「馬鹿! 緊張感をなくすなっ! いつゴブリンが襲ってくるかわからないんだぞ!」
「けどよ。眠いものは眠いんだ」
カサカサッ。
「今、何か動いたな。鹿か」
「「「キシャアアアアアアアアアアアアアア!」」」
無数のゴブリンが襲い掛かってきた。その時が来たのである。
「き、きたぞっ! ゴブリンだ!」
「クロスボウの射手よ! 射て!」
クロスボウから矢が放たれる。
「グオッ!」
「ガウゥ!」
ゴブリンはなすすべなく矢を食らった。面での攻撃だ。避けれるはずもない。
「射手! 交代だ! そろそろ矢が切れずぞ。準備しているうちに矢を補充しておけ!」
「はいっ!」
「ガウウウウウウ!」
ゴブリン達は旗色が悪いと思うと、撤退していった。
「へへっ。見ろ! 逃げ帰っていくぜ!」
「これに懲りたら二度と人里に降りてくるなよ! 山にこもってろ! ゴブリン!」
「しかしフェイ様のおかげだな」
「ああ。あの人おおかげだ」
エルフ兵は笑っていた。シャロは笑みを浮かべる。全く、純血だのなんだの言っていた自分が恥ずかしくなっていた。やはりユースの言っていた事は本当だった。
フェイの力はこのエルフの国に必要なのだ。その事を猶更実感した。
◆◆◆
「フェイ様」
「シャロ。どうだった? クロスボウ作戦」
俺のもとにシャロが姿を現す。
「ええ。フェイ様のおかげで無事にゴブリンを撃退できました。フェイ様のおかげで国の危機が救われました。ありがとうございます」
「大げさだよ」
「大げさではありません。本当の事です。それにエルフ兵も大変フェイ様に感謝しておりました。この度の討伐で一人の怪我人もなく終われたのはフェイ様のおかげです。兵を代表してお礼を言わせて頂きます」
「そうか。それはよかったよ」
「フェイ様」
「なんだい?」
「何か私からお礼をさせて頂けませんか? この前の非礼に対する詫びもあるのです」
「お礼って……?」
「それは……その。私にできる事でしたらなんでも」
シャロは顔を赤くしてもじもじとする。
「うーん。けど、使い切れないくらい給料も貰っているし。特別欲しい物も今、俺はないんだよなぁ」
「そうですか」
「シャロが笑顔ならそれでいいよ」
「全く……つくづく欲のない人ですね」
シャロはため息を吐いた。
「ん? どうかしたか? 俺?」
「なんでもありません」
こうしてゴブリンが巻き起こした騒動が終わる。しかし、俺はその時はまだ知らなかった。これからエルフの国を巻き込んだ大きな騒動が起こり始めるという事を。
そして、それは俺が王国を追放された事が、少なくとも遠因になっていたという事を。
その時の俺はまだ知らなかったのである。
餌と女を求めてゴブリンが人里に降りてくる。そう、このエルフの国にも例外ではなかった。
エルフの男達は山を散策していた。
「ん? なんだ?」
その時、何か動物が動いたのかと思った。しかし、現れたのは子供程の大きさのモンスター。ゴブリンである。
ゴブリンは小さいが馬鹿ではない。現れるなりに、お手製の槍で男達を攻撃してきた。
「うわっ! なんだっ! 槍がっ!」
槍が男の腕に刺さる。ゴブリンがぞろぞろと姿を現してきた。
いくら一匹ずつは弱いモンスターでもこうも数が多いと厄介であった。ゴブリン達は投石をしてくる。
「うわっ! 石だっ!」
「逃げろっ! 逃げるんだっ! そして皆に伝えないとっ! ゴブリンが大量に出てきた事を!」
男達は一目散にエルフの国に降りて行った。
◆◆◆
平和だ。何事もない。だがこういう日常も良い俺は工房で鍛錬をしている。
「ん?」
そんな時だった。工房に誰かがやってくる。ソフィアかと思ったが違った。
「シャロ」
シャロの姿があった。どことなくその顔は不安げであった。
「フェイ様」
「どうしたんだい? シャロ」
「それが……」
「何か不安な事でもできたのかい?」
「どうしてわかるのですか?」
「そんなに不安そうな顔をしていれば誰でもわかるよ」
「実は――」
シャロは語り始めた。
「へー。ゴブリンが大量に出てきたんだ」
「はい。ゴブリンはそれほど強いモンスターではありませんが、数が多いのが厄介なのです。戦闘になれば多くの兵士が傷つく事になります」
「それで俺に何かして欲しいという事?」
「兵士達が傷つかずにゴブリンを撃退したいのです。エルフ兵の装備は脆弱です。ボロボロの鎧で闘っているのです。それを何とかしてあげたいのです」
「わかった。防具を作ればいいんだね」
「はい! よろしければ是非お願いします!」
シャロは頼み込んできた。
「わかった。量産品だからそんなに性能はよくないと思うけど。作っておくよ」
俺はそう言って、武具の鍛造に取り掛かる。
「はい。よろしくお願いします」
こうして、俺はエルフ兵の防具を鍛造する事になった。
「とりあえずはゴブリン相手か」
ゴブリンは体が小さく力も弱いが、すばしっこい生き物だ。その上に知能が働く。やはり軽量化した鎧か。
だが、それでは駄目だ。攻撃を完全に防ぐ事はできない。危険はできるだけない方がいい。
そうなるとやはり武器か。
◆◆◆
「フェイ様」
「ん?」
ソフィアが話かけてきた。
「今度は何を作られたのですか?」
「ミスリルクロスボウだよ」
「クロスボウ?」
「即射性と連射に優れた弓みたいなものだよ」
「それをどうされるのですか?」
床には沢山のクロスボウが並んでいた。
「エルフ兵に渡すんだ」
「エルフ兵に」
「まあ、見ていればわかるさ。俺の作戦通りにしていれば無傷でゴブリンを追い払えると思うよ」
そしてその日の夜。ゴブリンが襲ってくる時間帯に作戦は結構された。
◆◆◆
「全兵、一列に並べ」
シャロが指示をする。
「これがフェイ様の作ってくれたクロスボウか」
「ああ。軽い上に弓より連射が効くらしいじゃねぇか」
「こんなものを作れるなんて、あの人はやっぱ天才だな。しかもこんな短時間でこれだけのエルフ兵に」
エルフ兵が数十人横に並ぶ。ゴブリンが降りてくる山に向かって陣形を作っていた。
「……よし! では練習通りだ! 手順通りに弓を装着して放て。矢が切れたり、不備があったら後ろのものと交代だ」
10人の射手の後ろにはまた10人の交代役の射手がいた。
「後は獲物がかかるのを待つだけだ」
「ええ。ゴブリン達に目に物を見せてやりましょう」
◆◆◆
「ふわぁ……眠いな」
「馬鹿! 緊張感をなくすなっ! いつゴブリンが襲ってくるかわからないんだぞ!」
「けどよ。眠いものは眠いんだ」
カサカサッ。
「今、何か動いたな。鹿か」
「「「キシャアアアアアアアアアアアアアア!」」」
無数のゴブリンが襲い掛かってきた。その時が来たのである。
「き、きたぞっ! ゴブリンだ!」
「クロスボウの射手よ! 射て!」
クロスボウから矢が放たれる。
「グオッ!」
「ガウゥ!」
ゴブリンはなすすべなく矢を食らった。面での攻撃だ。避けれるはずもない。
「射手! 交代だ! そろそろ矢が切れずぞ。準備しているうちに矢を補充しておけ!」
「はいっ!」
「ガウウウウウウ!」
ゴブリン達は旗色が悪いと思うと、撤退していった。
「へへっ。見ろ! 逃げ帰っていくぜ!」
「これに懲りたら二度と人里に降りてくるなよ! 山にこもってろ! ゴブリン!」
「しかしフェイ様のおかげだな」
「ああ。あの人おおかげだ」
エルフ兵は笑っていた。シャロは笑みを浮かべる。全く、純血だのなんだの言っていた自分が恥ずかしくなっていた。やはりユースの言っていた事は本当だった。
フェイの力はこのエルフの国に必要なのだ。その事を猶更実感した。
◆◆◆
「フェイ様」
「シャロ。どうだった? クロスボウ作戦」
俺のもとにシャロが姿を現す。
「ええ。フェイ様のおかげで無事にゴブリンを撃退できました。フェイ様のおかげで国の危機が救われました。ありがとうございます」
「大げさだよ」
「大げさではありません。本当の事です。それにエルフ兵も大変フェイ様に感謝しておりました。この度の討伐で一人の怪我人もなく終われたのはフェイ様のおかげです。兵を代表してお礼を言わせて頂きます」
「そうか。それはよかったよ」
「フェイ様」
「なんだい?」
「何か私からお礼をさせて頂けませんか? この前の非礼に対する詫びもあるのです」
「お礼って……?」
「それは……その。私にできる事でしたらなんでも」
シャロは顔を赤くしてもじもじとする。
「うーん。けど、使い切れないくらい給料も貰っているし。特別欲しい物も今、俺はないんだよなぁ」
「そうですか」
「シャロが笑顔ならそれでいいよ」
「全く……つくづく欲のない人ですね」
シャロはため息を吐いた。
「ん? どうかしたか? 俺?」
「なんでもありません」
こうしてゴブリンが巻き起こした騒動が終わる。しかし、俺はその時はまだ知らなかった。これからエルフの国を巻き込んだ大きな騒動が起こり始めるという事を。
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