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第39話 (義弟SIDE)剣神武闘会の出場を決める
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「へっ……全て順調だぜ」
ソルの義弟、エドワード(略称はエド)はユグドラシル家の豪邸から優雅に庭を見下ろしていた。
『久遠の剣聖』という当たり固有スキルを得たエドは瞬く間に剣の腕を向上させていった。
そしてその名声は大陸に轟く程になったのである。他に例のない程の剣の天才として知られるようになったのである。
エドは義父であるカイの寵愛を受け、ユグドラシル家の次期当主として完全に居座る事になったのだ。もはやソルの存在など誰も覚えてはいない。その後どうなったかはエドは知らなかった。だがそんな事はどうでも良かったのだ。
「あんな無能野郎(兄貴)もう必要ねぇ。ユグドラシル家には俺様さえ、いればいいんだからな。世界にどんな危機が襲ってきたって、この俺様が救ってやるぜ」
エドが手に入れたのはユグドラシル家の家督だけではない。エドはどうしても手に入れたかったものも手に入ったのだ。
「……何の用よ?」
一人の少女が入ってきた。金髪をした美しい少女だ。まるで人形のように整った顔をしている。気品のある、まるでお姫様のような風格の少女ではあったが、凛とした表情には少しばかりの棘があった。その棘もまた、エドにとっては愛らしい点ではあった。
何もかもが上手くいきすぎている現状、少しばかり上手くいかない事があった方がいい。その跳ね返りっぷりも可愛げとして捉える事ができた。
彼女の名は『クレア・フレースヴェルグ』。王国フレースヴェルグの王女であり、ソルとエドの幼馴染でもあった。そして、今はただの幼馴染という関係ではない。
「なんだよ。そのつれない顔は。今の俺達は婚約者なんだぜ、もっと嬉しそうにしろよ」
フレースヴェルグとユグドラシル家は非常に密な関係であった。先祖代々、繋がっている関係だ。フレースヴェルグの国王は娘であるクレアをユグドラシル家の次期当主に嫁入りさせると明言していた。
その為、クレアはエドと否応なく婚約関係を結ばれたのである。
エドは養子の身分でありながら、皆が憧れる姫様と婚約を結んだのだ。
その事はある意味、ある意味、エドにとってはユグドラシル家の家督以上に望外なものであった。
「なんであんたなんかが家督を……どうしてソルじゃなかったの」
クレアは嘆いていた。
「へっ! 忘れろよ! あんな無能兄貴の事なんて! 正統なユグドラシル家の子孫として生まれたくせに、『レベル0』なんて外れスキルしか授からなかったゴミ野郎の事なんてよ!」
「やっ! いやっ!」
エドはクレアをベッドに押し倒す。気に入らなかったのだ。元々。エドは察していた、クレアの気持ちがエドになかった事。常にソルを向いていた事。そして幼い頃はクレアに対する気持ちは完全に諦めていた。
自分が養子であるというコンプレックスの上に、想い人の気持ちが自分ではなくソルにあるという事を知ってしまったからである。幼き頃のエドはその二重の劣等感(コンプレックス)に苦しんでいた。
どうせ手に入らないのであるならば、諦めてしまった方がいいと、完全に諦めて生きてきた。クレアに対する気持ちを封印した。だが、あのスキル継承の儀の時、立場は逆転した。
世界はソルではなくエドを選んだのである。エドはユグドラシル家の家督と、そしてクレアを手に入れたのである。
今、すぐ目の前にはクレアがいた。手を伸ばせば届く距離に彼女はいる。
「な、なにするつもりよ?」
「へっ! 男が女にする事なんて一つきりだろうがっ!」
エドはクレアに襲い掛かろうとする。
「強姦するつもり? 人として最低よ」
「へっ。強姦(レイプ)にはならねぇよ。世間的には俺とお前は婚約関係にあるんだからな。婚約者と肉体関係を持つなんて、今じゃ普通の事だろう?」
婚約関係はあくまでも婚約関係だ。以前は婚前交渉は婚約者と言えども禁忌(タブー)な風潮があったが、今ではそんな事もない。関係を事前に持つ事は多々あった。
「いやっ! ふざけないでよっ!」
クレアはエドの頬をはたいた。ただはたいただけではエドはどうって事はない。
ジュウ。頬が焼けたのである。
「ぎ、ぎやあああああああああああああああ! て、てめぇ! やりやがったなっ!」
エドは焼けた炎を慌てて『回復魔法(ヒーリング)』で回復させる。
クレアの固有スキル『煉獄の加護』の効果である。クレアは15歳の時、スキル継承の儀でその固有スキルを授かった。炎を体の一部のように扱う事ができる固有スキルだ。
それだけではない。クレアは『剣姫』と称えられ、恐れられる程の剣の腕前を持っていた。
その為、今のエドの力を以てしても無理やり事を成すのは簡単な事ではなかった。
「ふざけないでよっ! まだ私はあんたの事を認めたわけじゃないから! 例えお父様や国が認めても、私は認めてないっ!」
クレアは言い放つ。
「ったく、どうやったら認めるんだよ! 俺が婚約者だって! あの無能兄貴はもういないんだぞっ!」
表向きにはソルは自分で出て行った事になっていた。そして消息不明になった、そういう扱いに周囲はなっていたのである。実父――カイの手で裏ダンジョンに捨てられたとは知られてはならない事だったのである。
「剣神武闘会で優勝できたら、あなたの事を婚約者として認めてあげる」
剣神武闘会。フレースヴェルグ国で行われる武闘大会の事である。剣の神を決めるべく行われる大会で、優勝者には栄誉の他に、多額の賞金、豪華な景品まで与えられる。なんでもフレースヴェルグに伝わる秘宝が優勝者には授けられるらしい。
「へっ! 本当だなっ! 剣神武闘会で優勝できたら俺を婚約者として認めるんだなっ!」
「ええ。本当よ」
「言葉だけじゃ信用できねぇな。魔術契約をしてもらうぜっ! 俺が剣神武闘会で優勝できたら、俺に絶対服従を誓うってなっ!」
「わかったわ……それでいい」
エドとクレアは魔術契約を結ぶ。
「さっさと優勝決めて、クレアに俺を本物の婚約者として認めさせてやるぜっ!」
エドは意気込んでいた。
剣神武闘会は今から一か月後に行われる事になっていた。
そしてその時、エドは義兄であるソルと運命の再会を果たす事になるとは思ってもいなかったのである。
ソルの義弟、エドワード(略称はエド)はユグドラシル家の豪邸から優雅に庭を見下ろしていた。
『久遠の剣聖』という当たり固有スキルを得たエドは瞬く間に剣の腕を向上させていった。
そしてその名声は大陸に轟く程になったのである。他に例のない程の剣の天才として知られるようになったのである。
エドは義父であるカイの寵愛を受け、ユグドラシル家の次期当主として完全に居座る事になったのだ。もはやソルの存在など誰も覚えてはいない。その後どうなったかはエドは知らなかった。だがそんな事はどうでも良かったのだ。
「あんな無能野郎(兄貴)もう必要ねぇ。ユグドラシル家には俺様さえ、いればいいんだからな。世界にどんな危機が襲ってきたって、この俺様が救ってやるぜ」
エドが手に入れたのはユグドラシル家の家督だけではない。エドはどうしても手に入れたかったものも手に入ったのだ。
「……何の用よ?」
一人の少女が入ってきた。金髪をした美しい少女だ。まるで人形のように整った顔をしている。気品のある、まるでお姫様のような風格の少女ではあったが、凛とした表情には少しばかりの棘があった。その棘もまた、エドにとっては愛らしい点ではあった。
何もかもが上手くいきすぎている現状、少しばかり上手くいかない事があった方がいい。その跳ね返りっぷりも可愛げとして捉える事ができた。
彼女の名は『クレア・フレースヴェルグ』。王国フレースヴェルグの王女であり、ソルとエドの幼馴染でもあった。そして、今はただの幼馴染という関係ではない。
「なんだよ。そのつれない顔は。今の俺達は婚約者なんだぜ、もっと嬉しそうにしろよ」
フレースヴェルグとユグドラシル家は非常に密な関係であった。先祖代々、繋がっている関係だ。フレースヴェルグの国王は娘であるクレアをユグドラシル家の次期当主に嫁入りさせると明言していた。
その為、クレアはエドと否応なく婚約関係を結ばれたのである。
エドは養子の身分でありながら、皆が憧れる姫様と婚約を結んだのだ。
その事はある意味、ある意味、エドにとってはユグドラシル家の家督以上に望外なものであった。
「なんであんたなんかが家督を……どうしてソルじゃなかったの」
クレアは嘆いていた。
「へっ! 忘れろよ! あんな無能兄貴の事なんて! 正統なユグドラシル家の子孫として生まれたくせに、『レベル0』なんて外れスキルしか授からなかったゴミ野郎の事なんてよ!」
「やっ! いやっ!」
エドはクレアをベッドに押し倒す。気に入らなかったのだ。元々。エドは察していた、クレアの気持ちがエドになかった事。常にソルを向いていた事。そして幼い頃はクレアに対する気持ちは完全に諦めていた。
自分が養子であるというコンプレックスの上に、想い人の気持ちが自分ではなくソルにあるという事を知ってしまったからである。幼き頃のエドはその二重の劣等感(コンプレックス)に苦しんでいた。
どうせ手に入らないのであるならば、諦めてしまった方がいいと、完全に諦めて生きてきた。クレアに対する気持ちを封印した。だが、あのスキル継承の儀の時、立場は逆転した。
世界はソルではなくエドを選んだのである。エドはユグドラシル家の家督と、そしてクレアを手に入れたのである。
今、すぐ目の前にはクレアがいた。手を伸ばせば届く距離に彼女はいる。
「な、なにするつもりよ?」
「へっ! 男が女にする事なんて一つきりだろうがっ!」
エドはクレアに襲い掛かろうとする。
「強姦するつもり? 人として最低よ」
「へっ。強姦(レイプ)にはならねぇよ。世間的には俺とお前は婚約関係にあるんだからな。婚約者と肉体関係を持つなんて、今じゃ普通の事だろう?」
婚約関係はあくまでも婚約関係だ。以前は婚前交渉は婚約者と言えども禁忌(タブー)な風潮があったが、今ではそんな事もない。関係を事前に持つ事は多々あった。
「いやっ! ふざけないでよっ!」
クレアはエドの頬をはたいた。ただはたいただけではエドはどうって事はない。
ジュウ。頬が焼けたのである。
「ぎ、ぎやあああああああああああああああ! て、てめぇ! やりやがったなっ!」
エドは焼けた炎を慌てて『回復魔法(ヒーリング)』で回復させる。
クレアの固有スキル『煉獄の加護』の効果である。クレアは15歳の時、スキル継承の儀でその固有スキルを授かった。炎を体の一部のように扱う事ができる固有スキルだ。
それだけではない。クレアは『剣姫』と称えられ、恐れられる程の剣の腕前を持っていた。
その為、今のエドの力を以てしても無理やり事を成すのは簡単な事ではなかった。
「ふざけないでよっ! まだ私はあんたの事を認めたわけじゃないから! 例えお父様や国が認めても、私は認めてないっ!」
クレアは言い放つ。
「ったく、どうやったら認めるんだよ! 俺が婚約者だって! あの無能兄貴はもういないんだぞっ!」
表向きにはソルは自分で出て行った事になっていた。そして消息不明になった、そういう扱いに周囲はなっていたのである。実父――カイの手で裏ダンジョンに捨てられたとは知られてはならない事だったのである。
「剣神武闘会で優勝できたら、あなたの事を婚約者として認めてあげる」
剣神武闘会。フレースヴェルグ国で行われる武闘大会の事である。剣の神を決めるべく行われる大会で、優勝者には栄誉の他に、多額の賞金、豪華な景品まで与えられる。なんでもフレースヴェルグに伝わる秘宝が優勝者には授けられるらしい。
「へっ! 本当だなっ! 剣神武闘会で優勝できたら俺を婚約者として認めるんだなっ!」
「ええ。本当よ」
「言葉だけじゃ信用できねぇな。魔術契約をしてもらうぜっ! 俺が剣神武闘会で優勝できたら、俺に絶対服従を誓うってなっ!」
「わかったわ……それでいい」
エドとクレアは魔術契約を結ぶ。
「さっさと優勝決めて、クレアに俺を本物の婚約者として認めさせてやるぜっ!」
エドは意気込んでいた。
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