恋愛禁止な僕は求めてくる彼女を振り払えない?  「恋愛×冒険」

風霧悠軌

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恋愛禁止のからくり

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俺は高校2年16歳、ごく普通の高校生、と普通の物語なら言いたいところだがこの世界は違う。
いや、言い方を変えよう俺には禁止事項がある。
それは、恋愛禁止。恋愛禁止…。
それを聴いてどう思うだろうか?
たぶん最初に思うのが「好きになるならぎりぎりOK」じゃないか。
しかし、現実は甘くない。
まずは、そんな恋愛禁止な俺の日常を見て貰おう。


 そう、寒さが本格的になってくる冬12月、僕は最後の終業式に出席していた。退屈な校長の話を長々と聞き、あくびを一つ。話はしばらくして終わり、今日の日程は終了だ。

親友としばらくの別れを告げ、教室を出る。
学校を出て、周りの空気の寒さに身震いしてしまう。
もうこんなに寒くなっているのか。
校門を出て、しばし歩き裏道を通る。裏道、ここはほとんど人通りがない。
故に、誰の声も訊かなくても良い。
別に人間関係にうんざりしているのではなく、一人の時間を作りたかったからだ。

自分の過去や自分の人生を振り返る時間。
「あのときは楽しかった」とか「あのときは大変だった」とか振り返るのにはもってこいの時間だ。
まぁ、こうして僕はメンタルを保っている。

「せん、ぱ~い」その呼びかけに振り返ると、世に言う清楚系美人が僕に話しかけてきた。
髪はストレートで、髪の長さは肩ぐらい伸びていた。
髪が風にあおられ、まっすぐな髪が重力に反して揺れていた。
髪が揺れた瞬間、フローラル系の匂いが香った。
その匂いに心奪われる。

「良い匂いだ」思わず口にしてしまった。
「先輩、きもい」信じられないほど低い声で言われる。
「んで、君は誰?」僕は身に覚えがない女性だった。
「やだなー、冗談は良くないですよ」そう言って僕の顔をつねる。
「痛いから、放して」しばらくして、彼女の手が離れた。

「まぁ、良いです」
「許してあげます」
「もう一度、自己紹介をします」
「私の名前は、霧傘美玲」
「美玲って、呼んでください」僕は、その名前を聞いてもぴんとこなかった。「美玲?」
「はい、先輩?」首をかしげながら僕の顔を眺める美玲。僕は名前を口にするが思い当たる節がない。なぜだ、考えても分からない。色々頭の中で思案するが、直接聞いてみることにした。
「美玲、俺とどこかで会ったことあるかな?」つかの間の沈黙後、彼女は答えた。
「それ、本気で言っているのですか?」少し怒り気味な声をしていた。
「もう、良いです」呆れた彼女は僕を置いて走って行ってしまった。
「??」僕は呆然と裏道に立ち尽くしていた。
その後、僕は普通に家に帰った。

16時34分家、寝室。僕は帰って、シャワーを軽く浴びた。そして半裸で、寝室のベッドに寝転がる。そして、スマホを片手にメモ帳を見ていた。
僕は毎日このスマホに入っているメモ帳に日記をつけていた。

―昨日、メモ…。僕は禁断の恋をしてしまった。彼女に惹かれてしまった。彼女を見ていると心がどこか高鳴る気がした。話していて楽しいし、何よりまっすぐな髪に触れたい。
美玲に…。
なんだこの文章、身に覚えのない文書がつづられていた。身に覚えのない文章に焦りが募る。手に変な汗が垂れて、操作しにくい。
「まて、一回落ち着こう」声に出して状況を整理する。
つまり俺は美玲に恋した。
しかし、彼女を覚えていない。
つまり結論は記憶の欠如。いや、違う。記憶がなくなった。短期記憶が消えたって事か?恋したから消えた?まさか…な。

スマホの画面は、僕を嘲笑うように電源が切れた。電源を何回も押すが付かない。電源切れだと思い、充電器を差し込むと驚きの光景を目にした。
充電器を差し込んだ瞬間、画面が砂嵐になり、画面に表示されたのは恋愛禁止。その4文字だった。
…普通怖がるのが道理だろうが、俺は違った。
「面白い」
「ふふ、ふふふ」不気味に笑い、その日は床についた。

孤独それは寂しく、つまらないのが付き纏う。
しかし、それは最初だけ。今はもう慣れた。そう、慣れればなんてことはない。いきなり何を言っているのかわからないと思う。
僕にとって恋愛禁止=孤独という公式が成り立っていたからだ。
自宅、朝6時起床、すると僕はあることに気づく。
なんだこれ。そう体を起こして、シャツの下のお腹の部分に紋章のようなものが書かれていた。

「と、とりあえずシャワー浴びるか」そう思い風呂場に向かった。風呂場に着くと、いそいそとその紋章を落とそうとするが落ちない。
「なんでだよ」
まぁ、見られないから大して問題ではないんだが。
昨日の四文字「恋愛禁止」が関係しているのか?そう思いつつ、風呂場から洗面所に出た。体を拭き終えて髪をセットする。今日は、アップバングにしようか。そう言って、ドライヤーを当てブローする。
そして以下略、完成した。
鏡を見て確認。「はい~、そこナルシとか言わない」悲しい独り言は、洗面所に響きわたった。

さて、学校は昨日で休みを迎えたわけだがどうしたものか?普通ここで、都合のいいキャラが出てきて、(その紋章を消したければ、どうすればいいか言ってくれるところだが、人生そんな甘くない。
「...何も、起こらないじゃないか」期待した自分が馬鹿みたいだ。
「あー、暇だ」そう、冬休み特有の時間を持て余してやること無さに無償の寂しさを感じていた。
これじゃ、自宅警備員まっしぐらだな。

そう思った矢先、インターホンがなる。
ピンポーン。
初めは一回。
ピンポン、ピンポン、ピンポーン。
次は3回。
ピーんポーーン。
次は、長めに一回。
しばらく無視を決め込むと、しばし静まりかえった。

「セーンパイ」ガチャ、チェーンをかけていた筈だが、何故取れた。
そんな疑問とは裏腹にズカズカと部屋に入ってきた。
「先輩~、寝てるんですか」
「なんで私を無視するんですか?」
「私って、そんな醜いですか?」
「私の存在を無視しないで下さい」彼女は慌てふためき、わけわからない妄言を言っていた。
彼女の目つきは凍るほど冷たく、視線を合わせるのも辛くなってくる。
そして何より、彼女の言動が怖い。

「お、落ち着け美玲」そう言って、彼女の肩に触れる。すると、自分の異変に気付いた。そう、腹のあたりの紋章が痛むのだ。
「い、痛い」そして自身の腹は、誰かに蹴られるように陣痛が走る。立っていられないほどの陣痛に四つん這いになってしまう。視界すら淀んできた。視界がだんだん狭くなり、ついには真っ暗になってしまった。


 次に眼が覚めると自分は病院のベッドで寝かされていた。
紋章からの痛みはなくなっていたが、何故か記憶がなくなっている。
俺、誰かの肩に触れて…。
「あれ?誰だったけ」あらゆる脳の記憶を辿るが思いつかない。そこだけの記憶がすっぽり消えていた。
何故だ、考えれば考えるほどわからない。そうこう思案していると女が入ってきた。
「先輩、私のせいで...」どこか見覚えのある少女を見つめていた。見つめたというより凝視に近い。どこかで、その思いだけが頭を巡る。
「先輩、私です」そう僕を揺さぶるが、一向に思い出せない。
そして彼女は、3時間の格闘の末帰った。

しばらくして、病室のドアがノックされた。僕はノックの音に反応して、返事をした。しばらくして、ドアが開いた。ドアは、軽く開かれた。
「こんにちは~、29歳ぴちぴちの医者兼あなたの専属ナース飛鳥香恋でーす」
「香恋って呼んでくださいね、ご主人様~」フリフリのメイド服をきた痛い人は、僕を目の前にノリノリで挨拶する。若干痛いので、思わず体が身震いしてしまう。

「どうしたの~、もしかしてお姉さんの魅力に惹かれちゃったかな?」
「も~う、だ・め・だ・ぞ」絡みがうざい、そう思ったのは俺だけだろうか?「あ・な・た、毛布を掛けないと風邪引いてしまいますよ」
そう言いながら彼女は毛布を掛ける。
「それとも、まだ紋章が痛むのかしら」
彼女は、不意に真面目な声になった。

「どうしてそれを?」不意に見抜かれて、驚きを隠せない。
「私、こう見えて科学系の賞も取ったので、ある程度はそういうことは分かるのですよ」
「それより、あなたは知っての通り恋愛は出来ないわ」
「いや、こういうべきかしら、自分が好意を持った相手のことを忘れてしまうある種の病気」彼女の観察眼は当たっていた。悔しいが、僕はその病気らしい。簡単にこの病気を説明するなら、恋愛に関する事が出来ない。
そして、その好意を行った場合、記憶がなくなる。 
つまり、そういうことだ。

「紋章のことを知りたいなら、私を愛してみて」含み笑いで僕を見つめる。「いや、無理です」僕は即答する。
「なんでよ?そこはいいよっていうとこでしょ。」
「まあ、いいわ」
「入院中は、わたしがずっと看病するから」不敵に笑い、病室から出て行った。
「やっと、一人か」そう僕は呟く。病室のベットから見えるのは、白いカーテンとテレビぐらいだ。
「リモコンを取ろう」そう思い立ち上がろうとする。ジャラジャラ。甲高い金属音が響き渡った。
「あれ?なんだこれ」身に覚えのない手枷がつけられていた。
「あ、そうそう、ここから逃げちゃダメだよ」香恋が病室に戻ってきて言った。
「じゃあね、愛しのあ・な・た」香恋は、そう言ってまた病室から出て行った。
「って、なんで手錠付けられているんだよ俺は」病室に響き渡るが虚しくも誰にも聴こえていなかった。香恋意外は。
「ふふ、ふふふ」香恋の不気味な笑いが、院内の廊下に響き渡っていた。
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