奪われたはずの婚約者に激しく求められています?

ROSE

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シャロン 4 奪われたい 3

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 自分がいつの間に眠りに落ちてしまったのか、シャロンにはわからなかった。気絶という表現の方が正しい。
 どうしても、口の中だけは我慢ができない。
 違う。殿下に触れられるとそれだけで全身どこでもぞくぞくしてしまう。
 背中に温もりを感じる。
 すぐ後ろから寝息が聞こえた。
 殿下が隣で眠っている。そう思うと幸せな気分で満たされる。
 ずっとこのまま一緒に居られたらいいのに。
 そう、背後の彼にぴったり背中をくっつけてみる。
 今このときは彼を独占できる。
 ずっとこのまま時間が止まってくれたらいいのに。
 そう考えていると、彼の手がもぞもぞと動く。
 寝ぼけているのかしっかりとシャロンを抱きしめる手が胸元に触れている。
 くすぐったい。
 きっと疲れているのだろう。もう少し寝かせてあげたい。
 そう思ったのに、次の瞬間には両の手がシャロンの膨らみを揉み始めた。
「あ、あの……殿下?」
 これは、起きているのだろうか。それとも寝ぼけているだけなのだろうか。
 ふにふにと感触を楽しむように何度も揉まれてはなんとなく居心地が悪い。
「起きていらっしゃるのでしたら……もうっ」
 これは絶対に起きている。
 止めさせようと手に触れれば、首筋に口づけられた。
「少しくらいいいだろう? 滅多に触れないんだ」
「……普通は他人に触れさせる部位ではありません」
「俺の婚約者だろう? 他の女にするわけじゃないんだからいいだろ」
 それはそれでどうなのだろう。
 確かに他の女性に同じことをすれば大問題だ。けれどもシャロンだからよいという話にはならないのではないだろうか?
「シャロン? 怒っているのか? 胸はだめか?」
 なら唇をと、彼の手が口元に伸びる。
「だ、だめです……胸は揉んでもよろしいのでお口は……だめです……」
 胸を触れられる数倍口の方が恥ずかしい。
 なにより脳が蕩けきってしまう。あんなだらしない顔を見られたくなかった。
「……それはそれでどうなんだ?」
 呆れたような反応をするくせに、彼の両手はしっかりとシャロンの膨らみを揉みしだいている。
 なんだか不思議な感覚だ。
 あまり自分でも触れない部位だ。こんなに長時間触れられることは本当にない。
 恥ずかしくて鼓動が速まる。
 けれどもそれだけではない。
 少しずつ、頭の中にもやが掛かるような気がした。
「ふ……んっ……」
 思わず、変な声が漏れてしまう。
「胸はあんまり感じないのか? いや、でも顔が赤いな」
 殿下はシャロンの反応を楽しむように観察する。
 少しずつ、呼吸が乱れていく。
 初めは違和感がある程度だったのに、次第に腹の奥がむずむずともどかしくなってきた。
 いけない。
 口の中を弄られることと比べれば非常に緩やかな感覚。しかし徐々に徐々に弱々しい刺激が神経を駆け巡るようだった。
「シャロン、このまま口も弄られたい? それとも耳? いや、こっちか?」
 殿下の手が胸から腹を伝ってシャロンの秘めやかな部分に伸びた。
「殿下、お止めください……」
 言葉ではそう言っても、シャロンの本心は確かに彼が示したとおり、求めてしまっている。
「本当に、止めていいのか?」
 からかうような声。本心を見透かされてしまったのかと、どきりとした。
 思わず口元を押さえて声を出してしまわないように祈る。
 それを肯定だと受け止めたのだろう。
 殿下の手が下着越しにシャロンの恥ずかしい部分を撫でた。
 その瞬間背筋に痺れるような感覚が走る。
 神経が過剰に反応してしまっているようだ。
「撫でられるの、そんなに好きか? それとも、これからなにをされるのか期待している?」
 耳に掛かる吐息が、体を跳ねさせた。
「お前……そんなにかわいい反応するな。止まらなくなるだろ」
 困ったような声と共に、解放されてしまった。
「でん、か?」
 どうして止めてしまうの。
 そう、言いそうになった自分を嫌悪する。
 なんてはしたない。
 一体なにを考えているのだろう。
 そもそも結婚前に寝室に入れるなんてそのこと自体が過ちだというのに。
「……途中で止められて残念って顔してるな。お前……普段澄ました顔してるくせに、結構淫乱だな」
 その言葉がぐさりと刺さるようだった。
 呆れられてしまった。
 嫌われてしまっただろうか。
 不安な気持ちのまま彼を見る。
「そんな顔するな。大歓迎だ」
 とんと、額を小突かれた。
「けど……もうすぐメイドが来るだろ? 途中で邪魔されたくないから今日は我慢しろ。俺だって我慢してるんだ」
 シャロンは顔に熱が集まるのを感じた。
 恥ずかしい。完全に見透かされていたようだ。
「……殿下は……こんなはしたない私に……幻滅したり……しないのですか?」
 きっと未来の王妃に相応しくないと言われてしまう。
 そうしたら、殿下といられなくなってしまう。
 彼の隣に、他の誰かが立つ。そうなってしまうことが恐ろしくて堪らない。
 そして、彼の機嫌を損ねてしまうことも。
「……ったく……俺はお前がいいと言っているだろう。俺の言葉が信じられないのか?」
 不機嫌な彼は、シャロンの腕を乱暴に引いてそのまま口づける。
 噛みつくように乱暴に、口の中を舌先がなぞる。
 治まり始めていたもどかしさがより強烈になって蘇るように、甘い痺れが一気に神経を駆け巡る。
 目の前で火花が散るようだった。
 こわばったかと思うと、一気に脱力してしまう。
「お前は、余計なことを考えるな」
 殿下の声が少し遠く感じる。
 啄むように優しく口づけられれば、そのたびに神経に触れられたような感覚。
「安心しろ。お前以外欲しくない。どんなお前だって……手放さない」
 ぼんやりとする意識に、毒のような言葉が書き込まれる。
 気づけばシャロンは彼の首に腕を回し、自分から口づけていた。
 
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