駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

文字の大きさ
18 / 126
本編

公爵様なりの謝罪②

しおりを挟む
「さあ、奥様!注文するドレス・・・を選びましょう!何かこだわりはありますか?色でも、デザインでもいいので!」

 ペラペラとカタログのページを捲りながら、ロルフはこちらの反応を窺う。
何か気に入るものはないか、と探っているのだろう。

「う~ん……ドレスを一から仕立てたことがないので、何とも……」

 これまでずっと姉のお下がりや既製品を着てきたため、私は思い悩む。
嫁いでからも一応ドレスは買っているものの、ほぼ全てベロニカに選んでもらったものなので。
『ファッションセンス以前の話なのよね』と内心苦笑しながら、私は頬に手を当てた。

「初心者だから、変な注文をしてしまいそうで……」

「大丈夫です!今回は帝国一のデザイナーに依頼する予定なので!きっと、どのような要望を出しても素敵に仕上げてくれますよ!」

 グッと手を握り締めて力説し、ロルフは『さあ、どんどん意見を出してください!』と促す。
必死の形相でこちらを見つめる彼に対し、私は少し考え込む素振りを見せた。

「それなら……花をモチーフにしていただくことは、可能でしょうか?」

「ええ、もちろん可能ですよ!他にも何かご要望があれば、仰ってください!」

 懐から手帳とペンを取り出して、ロルフは『全て書き留めて、デザイナーに伝えます!』と宣言した。
なので、遠慮なくこちらの意見を述べる。
『露出は控えめに』とか、『派手な色は避けて』とか。

「分かりました!そのようにお伝えしますね!」

 パタンと手帳を閉じて、満足そうに笑うロルフは扉へ足を向けた。
さっさとこちらに背を向けて歩き出す彼の前で、私は思わず目を見開く。

「えっ?今から、知らせに行くんですか?」

 ついつい疑問を投げ掛けると、ロルフはこちらを振り返った。
と同時に、扉へ手を掛ける。

「はい!出来れば、近々開催される────皇室主催のパーティーに間に合わせたいので!」

 『バッチリ着飾って、周りを驚かせましょう!』と意気込み、ロルフはこの場を後にする。
いつもより、ちょっと早い足音を響かせて。

「……パーティー?」

 完全に初耳だった私は、ロルフの去っていった方向を見つめてそう呟いた。
すると、夫が怪訝そうに眉を顰める。

「毎年のように開かれている春の祝賀会だ。知らないのか?」

「いえ、春の祝賀会そのものは存じています。ただ、私はいつも欠席だったので完全に存在を忘れていたと言いますか……」

 『仕事漬けで、それどころじゃなかったから』と思いつつ、私は目頭を押さえた。
今後のことを考えると、憂鬱で。

 しばらく、のんびり生活はお預けね。
パーティー当日までに、礼儀作法の復習やら流行の調査やらやらないと。

 デビュタント以降まともに社交界へ出たことがないため、私は危機感を抱く。
『公爵夫人として、恥ずかしくない振る舞いを身につけなければ』と。

「旦那様、用事を思い出したので今日はもう失礼します」

 『ごきげんよう』と挨拶し、私はさっさと自室へ戻った。
しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。 サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。

厄介払いされてしまいました

たくわん
恋愛
侯爵家の次女エリアーナは、美人の姉ロザリンドと比べられ続け、十八年間冷遇されてきた。 十八歳の誕生日、父から告げられたのは「辺境の老伯爵に嫁げ」という厄介払いの命令。 しかし、絶望しながらも辺境へ向かったエリアーナを待っていたのは――。

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません

ゆうき
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。 そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。 婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。 どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。 実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。 それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。 これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。 ☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

処理中です...