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本編
公爵様なりの謝罪②
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「さあ、奥様!注文するドレスを選びましょう!何かこだわりはありますか?色でも、デザインでもいいので!」
ペラペラとカタログのページを捲りながら、ロルフはこちらの反応を窺う。
何か気に入るものはないか、と探っているのだろう。
「う~ん……ドレスを一から仕立てたことがないので、何とも……」
これまでずっと姉のお下がりや既製品を着てきたため、私は思い悩む。
嫁いでからも一応ドレスは買っているものの、ほぼ全てベロニカに選んでもらったものなので。
『ファッションセンス以前の話なのよね』と内心苦笑しながら、私は頬に手を当てた。
「初心者だから、変な注文をしてしまいそうで……」
「大丈夫です!今回は帝国一のデザイナーに依頼する予定なので!きっと、どのような要望を出しても素敵に仕上げてくれますよ!」
グッと手を握り締めて力説し、ロルフは『さあ、どんどん意見を出してください!』と促す。
必死の形相でこちらを見つめる彼に対し、私は少し考え込む素振りを見せた。
「それなら……花をモチーフにしていただくことは、可能でしょうか?」
「ええ、もちろん可能ですよ!他にも何かご要望があれば、仰ってください!」
懐から手帳とペンを取り出して、ロルフは『全て書き留めて、デザイナーに伝えます!』と宣言した。
なので、遠慮なくこちらの意見を述べる。
『露出は控えめに』とか、『派手な色は避けて』とか。
「分かりました!そのようにお伝えしますね!」
パタンと手帳を閉じて、満足そうに笑うロルフは扉へ足を向けた。
さっさとこちらに背を向けて歩き出す彼の前で、私は思わず目を見開く。
「えっ?今から、知らせに行くんですか?」
ついつい疑問を投げ掛けると、ロルフはこちらを振り返った。
と同時に、扉へ手を掛ける。
「はい!出来れば、近々開催される────皇室主催のパーティーに間に合わせたいので!」
『バッチリ着飾って、周りを驚かせましょう!』と意気込み、ロルフはこの場を後にする。
いつもより、ちょっと早い足音を響かせて。
「……パーティー?」
完全に初耳だった私は、ロルフの去っていった方向を見つめてそう呟いた。
すると、夫が怪訝そうに眉を顰める。
「毎年のように開かれている春の祝賀会だ。知らないのか?」
「いえ、春の祝賀会そのものは存じています。ただ、私はいつも欠席だったので完全に存在を忘れていたと言いますか……」
『仕事漬けで、それどころじゃなかったから』と思いつつ、私は目頭を押さえた。
今後のことを考えると、憂鬱で。
しばらく、のんびり生活はお預けね。
パーティー当日までに、礼儀作法の復習やら流行の調査やらやらないと。
デビュタント以降まともに社交界へ出たことがないため、私は危機感を抱く。
『公爵夫人として、恥ずかしくない振る舞いを身につけなければ』と。
「旦那様、用事を思い出したので今日はもう失礼します」
『ごきげんよう』と挨拶し、私はさっさと自室へ戻った。
ペラペラとカタログのページを捲りながら、ロルフはこちらの反応を窺う。
何か気に入るものはないか、と探っているのだろう。
「う~ん……ドレスを一から仕立てたことがないので、何とも……」
これまでずっと姉のお下がりや既製品を着てきたため、私は思い悩む。
嫁いでからも一応ドレスは買っているものの、ほぼ全てベロニカに選んでもらったものなので。
『ファッションセンス以前の話なのよね』と内心苦笑しながら、私は頬に手を当てた。
「初心者だから、変な注文をしてしまいそうで……」
「大丈夫です!今回は帝国一のデザイナーに依頼する予定なので!きっと、どのような要望を出しても素敵に仕上げてくれますよ!」
グッと手を握り締めて力説し、ロルフは『さあ、どんどん意見を出してください!』と促す。
必死の形相でこちらを見つめる彼に対し、私は少し考え込む素振りを見せた。
「それなら……花をモチーフにしていただくことは、可能でしょうか?」
「ええ、もちろん可能ですよ!他にも何かご要望があれば、仰ってください!」
懐から手帳とペンを取り出して、ロルフは『全て書き留めて、デザイナーに伝えます!』と宣言した。
なので、遠慮なくこちらの意見を述べる。
『露出は控えめに』とか、『派手な色は避けて』とか。
「分かりました!そのようにお伝えしますね!」
パタンと手帳を閉じて、満足そうに笑うロルフは扉へ足を向けた。
さっさとこちらに背を向けて歩き出す彼の前で、私は思わず目を見開く。
「えっ?今から、知らせに行くんですか?」
ついつい疑問を投げ掛けると、ロルフはこちらを振り返った。
と同時に、扉へ手を掛ける。
「はい!出来れば、近々開催される────皇室主催のパーティーに間に合わせたいので!」
『バッチリ着飾って、周りを驚かせましょう!』と意気込み、ロルフはこの場を後にする。
いつもより、ちょっと早い足音を響かせて。
「……パーティー?」
完全に初耳だった私は、ロルフの去っていった方向を見つめてそう呟いた。
すると、夫が怪訝そうに眉を顰める。
「毎年のように開かれている春の祝賀会だ。知らないのか?」
「いえ、春の祝賀会そのものは存じています。ただ、私はいつも欠席だったので完全に存在を忘れていたと言いますか……」
『仕事漬けで、それどころじゃなかったから』と思いつつ、私は目頭を押さえた。
今後のことを考えると、憂鬱で。
しばらく、のんびり生活はお預けね。
パーティー当日までに、礼儀作法の復習やら流行の調査やらやらないと。
デビュタント以降まともに社交界へ出たことがないため、私は危機感を抱く。
『公爵夫人として、恥ずかしくない振る舞いを身につけなければ』と。
「旦那様、用事を思い出したので今日はもう失礼します」
『ごきげんよう』と挨拶し、私はさっさと自室へ戻った。
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