私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

文字の大きさ
95 / 208
第一章

家族①

しおりを挟む
◇◆◇◆

 こ、これは一体……!?どうなっているの!?

 『火事になった』と聞いて嫌な予感を覚え、現場に駆けつけてみれば……まさかのインフェルノ────地獄の業火を発見する。
黒い炎だと聞いていたため、何となく予想はしていたが……ここまで火力の高いものは初めて見た。
『どれだけ魔力を使ったの!?』と混乱しつつ、私も

「インフェルノ」

 黒い炎を顕現させる。
そして薄く広げ、盾にのようにすると────辺りの炎をじわじわ吸収していく。
これなら、盾の強度も増して一石二鳥だ。

「あら?案外すんなり支配下に置けたわね。普通は術者から抵抗されるのだけど」

 反発もせずに吸収されていく炎を前に、私はジリジリ前へ進んでいく。
その後ろには、皇室の騎士の姿があった。
というのも、私はあくまで事態収束に力を貸す形でここに来ているため。

 自分で言うのもなんだけど、炎の扱いはこの場に居る誰よりも上手いからね。

 『小さい頃から、たくさん練習してきたもの』と考えつつ、私は吸収した分だけ盾の範囲を広げる。
ジワジワと相手の炎を取り込んでいく中、不意に────

「セシリア……!何でここに……!?」

 ────聞き覚えのある声が、耳を掠めた。
ハッとして顔を上げる私は、キョロキョロと辺りを見回す。
すると、お得意の水魔法で地道に消火活動を行っているヴィンセントが目に入った。

「ヴィンセント……!やっぱり、ここに居たのね!」

 予想が的中していたことを確信し、私は『協力を申し出て良かった』と考える。

「ルパート殿下とアイリスは……!?まさか、この炎の中に居るの!?」

「分からない……ただ、一人は外へ脱出した筈だよ」

 二人の気配を探っているのか、ヴィンセントは目を閉じて神経を研ぎ澄ませた。
かと思えば、『うん、やっぱり一人は外へ出ている』と言い切る。

「でも、一人は炎の中に取り残されているのよね……!?なら、助けないと!」

 同じ炎の使い手として、『インフェルノ』の恐ろしさはよく理解しているので、私は焦りを覚える。
『この炎に触れたら、火傷程度じゃ済まない!』と思案する中、ヴィンセントはスッと目を細めた。

「それはもちろん。ただ、この炎をどうにかしないことには何も出来ない」

「それじゃあ、私の魔法で何とか……」

 ────する。

 とは到底言えず……口篭る。
どんなに優秀な魔導師でも、あったものをなかったことにするのは不可能だから。
しかも、ここは森の中……炎にとって、有利なフィールド。消火はより困難を極めるだろう。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした

まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】 その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。 貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。 現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。 人々の関心を集めないはずがない。 裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。 「私には婚約者がいました…。 彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。 そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。 ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」 裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。 だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。   彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。 次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。 裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。 「王命って何ですか?」と。 ✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。

【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。

曽根原ツタ
恋愛
 ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。  ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。  その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。  ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?  

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

処理中です...